第二東京弁護士会所属。刑事事件で逮捕されてしまっても前科をつけずに解決できる方法があります。
「刑事事件 法律Know」では、逮捕や前科を回避する方法、逮捕後すぐに釈放されるためにできることを詳しく解説しています。
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刑事事件の被害届とは|被害届の取り下げの効果は?不起訴になる?告訴との違いは?
刑事事件においての被害届の意味をご存知でしょうか。
もし、ご自身やご家族が刑事事件を起こし、被害者に被害届を出されたら…
- 被害届が出されるとどうなる?
- 刑事事件の被害届を取り下げてもらうにはどうすればいい?
- 被害届なしでも刑事事件化して逮捕される?
- 被害届の取り下げで必ず不起訴になる?
など、不安なことばかりですよね。
今回は、「刑事事件の被害届」について詳しく解説していきます。
目次
刑事事件の被害届とは?告訴との違いは?被害届なしだとどうなる?
刑事事件の「被害届」とは?
被害届とは、簡単に言うと被害にあった事実等を申告する届出です。
被害届は、捜査が開始されるきっかけの一つです。
捜査開始のきっかけにはなるものの、捜査開始が義務になるわけではありません。
犯罪により被害を受けた者が、被害を受けた事実を捜査機関に申告するため作成する書面。この書面の提出は、犯罪捜査の端緒となる。
引用元:有斐閣 法律用語辞典 第4版
被害届は、「犯罪捜査の端緒」となります。
捜査の端緒とは、捜査機関が犯罪が発生したと疑いを抱き、捜査を開始する原因となった事由のことです。
被害届に記載されてる内容は以下の通りです。
- 被害者の住所・氏名
- 被害の年月日
- 被害の場所
- 被害の態様
- 加害者の住所・氏名など加害者を特定する事柄
- その他の参考事項
以上のような事柄が記載されますが、記載事項は、書く人により様々です。
他にも、
- 被害者と加害者の関係
- 示談の有無
など、警察に知っておいてもらったほうが良いことも書かれます。
被害届と言っても、何か特別なことが書かれている訳ではなく、事実が記載されています。
警察に被害届が出されたら刑事事件になる?
被害届が出されてもすべてのトラブルが刑事事件化するわけではありません。
ただし、被害届の提出は、警察が刑事事件を認知する一つのきっかけになります。
警察は、犯罪があると判断したときに、捜査を開始します。
上記については、刑事訴訟法第189条第2項に記載されています。
(一般司法警察職員の捜査権)
第189条
(略)
2.司法警察職員は、犯罪があると思料するときは、犯人及び証拠を捜査するものとする。
引用元:刑事訴訟法第189条第2項
被害届があれば、この条文の「犯罪があると思料するとき」に該当します。
もっとも、被害届がなくても「犯罪があると思料するとき」に該当すれば、捜査が始まります。
被害届が提出されていなくても、第三者からの通報などでも、捜査が開始されるケースがあります。
被害届は、捜査開始のきっかけにはなるものの、捜査開始が義務になるわけではありません。
被害届は、捜査の端緒の一端です。
したがって、被害届が受理されても捜査がすぐには始まらない場合もあります。
つまり、被害届が出されないからといって、刑事事件にならないとは限らないということです。
被害届なしでも刑事事件化する?逮捕される?
被害届なしの場合でも、刑事事件化して逮捕されることはあります。
被害者が被害届を提出していなくても、告訴状がだされていると捜査が開始されます。
告訴状の意味は以下の通りです。
告訴の意思を表示した書面。ただし、告訴は書面又は口頭でするものとされている(刑訴二四一)から、告訴をするのに告訴状が欠かせないというわけではない。
引用元:有斐閣 法律用語辞典 第4版
「告訴」とは犯罪の被害者その他の告訴権者から、捜査機関に対し、犯罪事実を申告して犯人の処罰を求める意思表示のことです。
告訴状は、被害届と同様、犯罪事実の申告といった意味を持っています。
その事件について告訴状が提出されると、
- 捜査書類の送検
- 起訴・不起訴といった結論について、告訴人へ通知
が捜査機関に義務付けられます。
犯行現場を目撃した第三者が通報している場合があります。
その場合、被害者自身が被害届をだしていなくても事件化し、逮捕される可能性があります。
被害届が出される流れは?
被害者が警察へ行き、被害届の用紙で被害届を作成し、提出します。
被害者は自分自身で、犯罪の申告をすることが可能です。
実際には、犯罪の成立が認められず不受理の場合もあるようです。
被害届の場合、告訴と異なり、捜査を行うかどうかは警察の裁量となります。
被害届が出されたからといって直ちに捜査が開始されるとは限りません。
捜査開始が難航すると、被害者は告訴を検討します。
告訴を受けた捜査機関には、捜査義務が生じるからです。
被害者からの被害届・告訴状や、被害者や目撃者からの110番通報といった端緒によって、警察に事件が発覚することが多いです。
事件が警察に発覚すると、刑事トラブルは刑事事件として立件されます。
被害届と告訴の違いは?
被害届と告訴を混同している方も多いかもしれません。
被害届と告訴は、捜査のきっかけになる点では共通していますが、大きく異なる点があります。
告訴は、「犯人を処罰してほしい」という意思表示を含んでいます。
告訴を受けた捜査機関には、捜査義務が生じます。
被害届の場合には、捜査義務は生じません。
また、被害届は、被害者以外の人も届出ができるのに対し、告訴の場合には、被害者やその法定代理人などに限られます。
被害届、告訴のどちらも、捜査開始のきっかけになります。
被害者は、被害届、告訴のどちらを選択することもできます。
もっとも、被害届は、処罰を求める意思表示がされるものではありません。
名誉毀損罪などの親告罪(しんこくざい)においては、告訴がなければ検察官が起訴することができません。
名誉毀損罪などの告訴においては、起訴時までに告訴取消を含む示談を成立させることが大切です。
示談が成立すると、不起訴が獲得でき、前科が付くことを阻止することが可能となります。
親告罪以外の犯罪は、示談成立によって、必ず不起訴となる訳ではありませんが、比較的軽微な罪であれば、高確率で不起訴となります。
まとめ
被害届と告訴の違い
被害届 | 告訴 | |
---|---|---|
意味 | 犯罪の被害者その他の告訴権者から、捜査機関に対し、犯罪事実を申告して犯人の処罰を求める意思表示 | 犯罪により被害を受けた者が、被害を受けた事実を捜査機関に申告するため作成する書面 |
捜査義務 | 生じない | 生じる |
処罰を求める意思 | 含まれない | 含まれる |
刑事事件での被害届の取り下げの効果は?取り下げてもらう方法は?傷害・当て逃げの例も
被害届の取り下げの効果は?
被害届が取り下げられると、検察官が不起訴の判断をする可能性が高まります。
ただし、被害届の取り下げ自体には法的効力はありません。
不起訴とは、検察官が受理した刑事事件を起訴しないと判断した処分のことをいいます。
つまり、不起訴処分を獲得すれば、刑事裁判を受けることもなく、前科はつきません。
被害届が取り下げられる際には、
- 当事者間で被害の回復がなされている
- 被害者の処罰感情も解消されている
場合が多いです。
そのような場合は、検察が不起訴の判断をする可能性は十分にあります。
不起訴についてのページ
被害届を取り下げてもらうには?
被害者に被害届の取り下げをしてもらうには示談が有効です。
示談書に「被害者が加害者を許す(宥恕)」という条項を設けると、加害者は有利になります。
示談ができたときに、被害者が同意してくれるのであれば、上記の宥恕条項を示談書に入れます。
これにより、被害者が許したことを書面に残すことができ、加害者にとって有利に働く証拠になります。
示談書に被害届の取り下げの条項が記載してあると、起訴・不起訴の判断に大きな影響を与えます。
被害届が取り下げられることによって、被害者の処罰感情が緩和されたと判断されます。
通常、示談書に被害者が加害者を許すこと(宥恕条項)を書く場合は、あわせて被害者が被害届を取り下げることを書きます。
示談は、その後の刑事手続きに影響するので慎重に行わなくてはなりません。
示談交渉はご自身で行うことも不可能ではありません。
しかし、弁護士に示談を依頼することで、様々なメリットがあります。
- 被害者の連絡先を教えてもらえない場合でも示談交渉できる可能性が高まる
- 示談の成功率があがる
- 示談書の作成がスムーズにできる
- 刑事手続きにスムーズに反映される
といったメリットが受けられます。
示談についてさらにくわしく知りたい方は以下のページもご覧ください。
示談についてのページ
傷害事件は被害届が出されると逮捕される?
傷害事件で被害届が出されても必ずしも逮捕されるわけではありません。
「被害届」とは、犯罪により被害を受けた者が、被害を受けた事実を捜査機関に申告するため作成する書面です。
被害届が提出されると、警察が「犯罪がある」と疑うきっかけになります。
被害届は、捜査開始の足掛かりとしての役割を果たします。
傷害容疑で、事件が立件される場合は、被害者のケガの有無が重要です。
- 傷害の種類や程度
- 被疑者の行為によってのケガなのか
などの点について証明の見通しが付かなければ、立件が困難です。
被疑者のケガが目視で確認できる場合もあります。
基本的に、傷害容疑で被害届が提出される場合、通常、診断書も一緒に提出されることになります。
傷害事件の被害届については以下の記事にも記載しています。
参考にご覧ください。
傷害事件の被害届についてのページ
当て逃げは被害届が出されると逮捕される?
被害届が出されて、後日逮捕されるケースもあります。
当て逃げとは、物損事故を起こしたにもかかわらず、警察への報告や道路の危険防止措置を行わずにその場を去る行為です。
当て逃げとされるのは、
- 駐車場で横に止まっていた車にぶつかりミラーを壊したが、逃走した
- 路上駐車している車にぶつかり、逃走した
などの場合です。
当て逃げ事故では、道路交通法上の「報告義務違反」の罪に問われます。
交通事故を起こして逃走した当て逃げやひき逃げのケースでは、捜査の必要性から、後日逮捕される可能性が高いです。
後日逮捕される場合、基本的に被害届が受理されていることが前提です。
被害者が当て逃げの被害にあったことを自覚し、被害届を提出して事件化することがほとんどです。
証拠としては、駐車場の監視カメラなどに事件現場が記録されていることなどが挙げられます。
当て逃げをしてしまい、動揺してその場を立ち去っても逮捕される可能性はあります。
後日逮捕については以下のページをご覧ください。
後日逮捕についてのページ
【弁護士無料相談】刑事事件で被害届を取り下げてもらうには…
刑事事件の被害届について相談できる窓口は?
被害届が出されたからといって必ずしも事件化するとは限りません。
しかし、被害届が出されていなくても、目撃証言がある場合や、証拠収集の便宜から、捜査が開始されることもあります。
被害届が出されることが予想できる場合、弁護士に相談することをお勧めします。
被害者が、加害者の氏名や居住地を知っている場合、被害届を出された時点で逮捕される可能性もあります。
「被害届の取り下げ」や「示談交渉」の準備を迅速にする必要があります。
弁護士にご依頼頂ければ被害者対応や示談交渉について、適切な判断ができます。
ご自身やご家族が刑事事件の加害者になってしまったら、まずは弁護士へご相談ください。
弁護士への早めの相談が事件解決に直結します。
下記に弁護士へ気軽に相談できる弁護士無料相談窓口をご用意しました。
弁護士と対面でじっくり相談したいという方には対面相談予約電話窓口をお勧めします。
おひとりで悩まずにまずは弁護士へご相談ください。
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捜査の端緒には、
捜査機関自ら犯罪を感知する場合
捜査機関以外の者が犯罪を感知して捜査機関に申告する場合
があります。