第二東京弁護士会所属。刑事事件で逮捕されてしまっても前科をつけずに解決できる方法があります。
「刑事事件 法律Know」では、逮捕や前科を回避する方法、逮捕後すぐに釈放されるためにできることを詳しく解説しています。
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トイレで盗撮|職場やコンビニにカメラを設置したら逮捕?
2023年7月13日以降の事件は「撮影罪」に問われます。
- 職場のトイレにカメラを設置していたのがバレて通報されたらしい…
- コンビニのトイレで盗撮をしていたら警察から連絡がきた…
- 駅のトイレで盗撮しようとしたが、撮れないうちに発覚してしまった…
- ショッピングモールのトイレで盗撮したが、何の罪になるのだろう…
盗撮事件の検挙件数は年々増加しています。
この記事では、とくに「トイレの盗撮」に焦点をあてて、どのような罪・刑罰になるのか、逮捕はされるのか、盗撮がバレたらその後どうすればいいのかなどの疑問にお答えしていきます。
- トイレでの盗撮は何罪になる?
- 普通の盗撮とトイレでの盗撮は何が違う?
- 盗撮で前科をつけないためにはどうしたらいい?
トイレで盗撮したら|盗撮のリスクを確認
トイレ個室での盗撮は逮捕されやすい?
トイレでの盗撮は、主に設置されたカメラが見つかることで発覚します。
さらにカメラが見つかることで、そのデータが確認され、犯人特定に繋がる可能性は極めて高いです。
通常、盗撮は現行犯逮捕でないと逮捕が難しいと言われていますが、トイレでの盗撮は後日逮捕(通常逮捕)が多く行われるのが特徴と言えます。
トイレ内盗撮で使われる隠しカメラにはどんなものがある?
法務省の統計によると、「検挙された盗撮に使われたカメラ」のデータはこのようになっています。
カメラの種類 | 検挙件数(件) |
---|---|
デジタルカメラ | 110 |
カメラ付き携帯電話 | 182 |
スマートフォン | 2,871 |
タブレット端末 | 34 |
ビデオカメラ | 98 |
小型(秘匿型)カメラ | 610 |
その他 | 48 |
トイレの場合は、他の盗撮と比べて「小型(秘匿型)カメラ」の割合が多くなっています。
店側や被害者側にもそのようなカメラの存在は知られつつありますが、対策はまだ追いついていないのが現状です。
実際の報道からも、トイレでの盗撮には様々な手段が使われているのがわかります。
- トイレ内にある幼児用シートのカバーを、スマートフォン付きに細工したものに取り換えた(兵庫県)
- ペン型カメラを個室奥の清掃用ブラシの中に隠した(徳島県)
- スマートフォンを隣で用を足す男性に向けて撮影(静岡県)
- スマートフォンを女子トイレの天井換気扇部分に設置(兵庫県)
- スマートフォンを仕切り板の上から差し入れて撮影(徳島県)
- 小型カメラを個室内のごみ箱に設置(埼玉県)
トイレで盗撮したことは家族にバレる?
トイレでの盗撮が発覚すると、早いうちに対策をとらなければ高確率でご家族にバレてしまいます。
いずれも早期に弁護士に連絡・相談することで、これらのリスクを軽減することが可能です。
警察からの連絡で発覚
盗撮を行っていたその場で見つかり、現行犯逮捕された場合には、身元引受人への連絡により、家族にバレてしまうことがあります。
身元引受人とは
逮捕や勾留から容疑者が解放されたときに、その管理監督を引き受ける存在
盗撮で逮捕されたとき、解放してもらうには「身元引受人」が必要です。
そのときに身元引受人として家族の名前をあげてしまうと、警察から「ご家族が盗撮で逮捕された」という連絡がいってしまうため、家族にバレてしまうことがあります。
もしも家族などにバレてしまうのを防ぎたい場合は、「弁護士に身元引受人を依頼したい」と言うのがよいでしょう。
家族や会社にバレたくないため、ご友人に身元引受人になってほしいと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、難しいのが現状です。
一般的に、友人は被疑者の生活を広く管理・監督することは難しいと考えられるためです。
警察の家宅捜査で発覚
盗撮が発覚した場合、盗撮データが入っているスマートフォンやパソコンを捜査・押収するため、警察が家にやってくる場合があります。
家宅捜査に事前の告知は無いため、警察が家にやってくることで家族にバレてしまうことも十分考えられます。
長期間の逮捕・勾留で発覚
もしも盗撮で逮捕された場合は最大3日間、その後勾留までされた場合は最大23日間、身柄が拘束されることになります。
そのように長期間連絡が取れない状況が続くことで、家族や周囲に盗撮事件がバレてしまうことがあります。
盗撮事件の報道で発覚
事件によっては、盗撮で逮捕されたことが本名で相談され、それがきっかけで家族にバレてしまうことがあります。
一般に、被疑者の方が公務員であると、そのニュース性から報道されやすくなる傾向があります。
職場のトイレで盗撮したら懲戒解雇される?
盗撮行為により会社に(懲戒)解雇されるかは、会社の就業規則の定めによります。
一般に日常生活の非違行為は懲戒解雇になりにくいと言われていますが、実際に逮捕・起訴されているような場合、実名報道がされてしまった場合、行為態様が悪質であった場合などには、懲戒解雇となる可能性は十分にあります。
特に職場のトイレで盗撮を行っていたような場合は、職場の風紀や秩序を乱すとして、懲戒解雇になる可能性は高いです。
なお公務員の場合、盗撮で禁固刑・懲役刑の判決がくだされると、国家公務員法などにより懲戒免職となることが定められています。
トイレで盗撮がバレたその後の流れは?
トイレの盗撮で逮捕される条件とは?
盗撮容疑が発覚しても、常に逮捕されるというわけではありません。
警察が逮捕をするには、①盗撮をした疑いが十分にあることと(嫌疑の相当性)、②逃亡、証拠隠滅のおそれがあると認められること(逮捕の必要性) の2つの条件が必要です。
盗撮では、多くの場合盗撮データが本人の手元に残っているため①嫌疑の相当性は認められやすいです。
また、そのデータを消すような素振りを見せた場合②証拠隠滅のおそれも認められやすく、逮捕に繋がりやすいと言えます。
逆に、データの入っているスマホやパソコンなどの押収に素直に応じた場合は、逮捕の必要性がない、と判断されやすくなる傾向があります。
もしもトイレの盗撮で逮捕されたらその後どうなる?
トイレの盗撮が発覚した後は、最大23日間の逮捕勾留→起訴不起訴の決定→起訴の場合は裁判、の流れを辿ることになります。
逮捕後の流れ | 期間 |
---|---|
逮捕 警察署で取り調べられる | 逮捕後48時間 |
送致・勾留請求 検察庁に身柄が移り、引き続き勾留するかが決まる | 送致後24時間 |
勾留 警察の留置場で取り調べを受ける | 最大20日間 |
起訴・不起訴の決定 刑事裁判にかけるかの決定 | 勾留中に決定 |
刑事裁判 有罪・無罪の決定 | 起訴決定から約1か月後 |
もっとも全ての事件でこの流れになるわけではなく、「勾留の必要はない」「勾留を延長する必要はない」と判断された場合は釈放されます。
また、「不起訴」が決まった場合も、そのまま釈放されます。
トイレ盗撮がバレたらまずすべきことは?
トイレの盗撮が発覚した場合や逮捕されてしまった場合、まずは弁護士に連絡するべきです。
弁護士のアドバイスを受け、警察の取り調べに正しい対応をすることで、身柄拘束や裁判を避けられる可能性は大きく上がります。
できるだけ早いうちから、適切な対応ができるよう専門家に相談することがもっとも重要です。
家族がトイレ盗撮で逮捕されたらすべきことは?
もしもご家族ご本人や警察から「盗撮で逮捕された」という連絡があった場合も、いち早く弁護士に相談してください。
ご本人が既に逮捕されている場合、本人の対応によってはその後20日以上身柄拘束されてしまう可能性もあります。
弁護士に相談することにより、以下の対応が可能です。
- 警察にいる被疑者に、すぐに接見(面会)することができる
- 接見の際、警察の取り調べへの対応方法を伝えられる
- 接見の際、ご家族からの伝言を伝えることができる
- 今後、ご家族がとるべき対応方法がわかる
- 逮捕、勾留による身柄拘束からの早期釈放に向けた活動ができる
トイレで盗撮したらなんの罪が成立する?
トイレでの盗撮行為は【迷惑防止条例違反】になる
トイレで盗撮を行うと、多くは各都道府県の迷惑防止条例に違反します。
次のいずれかに掲げる場所又は乗物における人の通常衣服で隠されている下着又は身体を、写真機その他の機器を用いて撮影し、又は撮影する目的で写真機その他の機器を差し向け、若しくは設置すること。
イ 住居、便所、浴場、更衣室その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所
東京都迷惑防止条例5条1項2号
例えば東京のトイレで盗撮を行った場合、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科せられます。
なお、迷惑防止条例は各都道府県で定められているため、処罰範囲は犯行現場によって異なります。
例えば、青森、岩手、埼玉(なお令和3年4月1日より改正)、長野、広島の迷惑防止条例では「公共の場所または乗物」としか書かれていないため、私的な住居や職場のトイレでの盗撮が成立するかで争いが生ずる可能性があります。
新設された【撮影罪】とは?
盗撮を取り締まる法律は元々存在せず、各都道府県の迷惑防止条例が適用されてきましたが、2023年7月に全国一律の処罰規定である撮影罪が導入されました。
撮影罪で取り締まられる盗撮は以下のような行為です。
第二条 次の各号のいずれかに掲げる行為をした者は、三年以下の拘禁刑又は三百万円以下の罰金に処する。
一 正当な理由がないのに、ひそかに、次に掲げる姿態等(略)を撮影する行為
イ 人の性的な部位(性器若しくは肛門若しくはこれらの周辺部、臀部又は胸部をいう。(略))又は人が身に着けている下着(通常衣服で覆われており、かつ、性的な部位を覆うのに用いられるものに限る。)のうち現に性的な部位を直接若しくは間接に覆っている部分
ロ イに掲げるもののほか、わいせつな行為又は性交等(略)がされている間における人の姿態(性的な姿態を撮影する行為等の処罰(略)関する法律2条)
胸やでん部、スカートの中などを盗撮する行為や、性交中の様子などを同意なく撮影する行為が撮影罪で処罰される主なケースとなります。トイレでの盗撮行為は撮影罪に該当する可能性があります。
撮影罪の刑罰は「3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金」です。
盗撮目的でトイレに入れば【建造物侵入罪】になる
盗撮するためにトイレや施設内に入った場合、建造物侵入罪が成立する可能性があります。
正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。
刑法130条
建造物侵入罪が成立するのは、「盗撮目的での施設/トイレへ入ること」が管理権上許されていないと考えられるためです。
実際にトイレの盗撮で逮捕される場合は、建造物侵入と迷惑防止条例違反の両方の容疑で逮捕されていることが多いです。
トイレの盗撮をネットに載せれば【リベンジポルノ防止法違反】になる
近年ではトイレでの盗撮画像をネットにアップロードしたことで、リベンジポルノ防止法違反が成立する場合もあります。
第三者が撮影対象者を特定することができる方法で、電気通信回線を通じて私事性的画像記録を不特定又は多数の者に提供した者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律3条
なおこの法律が適用されるには、顔が映っているなど「撮影対象者を特定」できることが条件となっています。
このほかにも、インターネット上に盗撮写真や動画をアップロードすることについてはわいせつ物頒布罪(刑法175条)が成立する可能性があります。
また、民事でも肖像権侵害に基づく損害賠償請求や慰謝料請求が認められる可能性があります。
18歳未満を盗撮したら【児童ポルノ製造罪】になる
設置型カメラでトイレに来る相手を無差別に盗撮しており、18歳未満の者を盗撮してしまった場合、児童ポルノ製造罪が成立します。
ひそかに~児童の姿態を写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写することにより、当該児童に係る児童ポルノを製造した者も、第二項と同様とする。
児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律7条5項
つまり児童を盗撮することにより、性器などが露出された児童ポルノを製造した者は、3年以下の懲役又は300万円以下の罰金が科されます。
児童を撮影する気が無かったとしても、児童ポルノ製造罪は成立します。
何故なら多くのトイレは当然児童も利用するものであり、そこにカメラを設置した時点で「児童を撮影する可能性も許容している」と考えられるためです。
トイレでの盗撮は初犯でも刑罰が重くなる?
トイレでの盗撮は、他の盗撮に比べて比較的刑罰が重くなりやすいと言えます。
トイレでの盗撮が重い罪になりやすい理由
- 被害者が多数になりやすい
- そのため、罪名が複数件になりやすい
- 被害者一人一人との示談や謝罪、賠償が難しい
- 犯行態様が悪質だと評価されやすい
通常の盗撮は罰金刑や1年未満の懲役となる事案が多いですが、トイレでの盗撮では1年、1年6ヶ月といった重めの懲役刑が下されることも多くなっています。
そのため、トイレでの盗撮事案では被害者や店舗への謝罪や示談のほか、被疑者の治療の約束など社会復帰の可能性があることを、弁護活動を通じて示していきます。
女子トイレにカメラを設置するだけでも盗撮になる?
実際に写真や動画が撮れていなくとも、カメラを設置するだけで迷惑防止条例違反となる可能性があります。
各都道府県の条例によっては、カメラを設置する行為・差し向ける行為も禁止されているためです。
撮影したのが男性相手でも盗撮になる?
迷惑防止条例やリベンジポルノ防止法に性別による制限はありませんので、被写体が男性でも盗撮は成立します。
実際に、男性用トイレでの盗撮で逮捕された事案も多くあります。
トイレで盗撮の疑いをかけられたら弁護士にご相談を
もしも実際にトイレでの盗撮で逮捕されてしまった、盗撮の疑いをかけられている場合は、できるだけ速やかに弁護士に相談してください。
アトム法律事務所は24時間365日、刑事事件のご相談予約を受け付けています。
既に逮捕されている場合・警察から連絡が来ている場合はご相談料無料、そうでない場合は30分あたり5000円で法律相談を承っています。
ご本人やご家族の盗撮で少しでもご不安な場合は、いつでもご相談ください。
また、トイレでの盗撮には
などが伴うため、防犯カメラの映像が強力な証拠となり、逮捕されやすいという側面もあります。