
第二東京弁護士会所属。刑事事件で逮捕されてしまっても前科をつけずに解決できる方法があります。
「刑事事件 法律Know」では、逮捕や前科を回避する方法、逮捕後すぐに釈放されるためにできることを詳しく解説しています。
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国選弁護士は費用負担なし?国選弁護人制度の対象事件・依頼の条件は?

- 「国選弁護士に依頼しても大丈夫?」
- 「国選弁護士は弁護士費用の負担なしって本当?」
このような疑問をお持ちの方もいますよね。
「国選弁護人」は、国(裁判所)が選任する弁護人のことです。
経済的理由で、自分で弁護士に依頼できないとき、国選弁護人制度が利用できます。
- 国選弁護人制度とは?
- 国選弁護士の選任・解任
- 国選弁護士と私選弁護士との違い
今回は、このような「国選弁護士」の疑問にお答えしていきます。
国選弁護士に刑事弁護を依頼するときでも、私選弁護士に法律相談することは可能です。
アトム法律事務所では、法律相談受付中です。
刑事事件でお困りの方へ
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目次
国選弁護士依頼すると費用負担は0円?
国選弁護士とは?国選弁護人制度とは?
国選弁護士・国選弁護人とは・・・
裁判所または裁判官(国)によって選任された弁護人
のことです。
その名のとおり、国が選んだ弁護士です。
「資力がない」等の事情があるため、自分で弁護士に依頼できないとき、「国選弁護人」を利用できる制度があります。
国選弁護人制度の種類としては・・・
- 被疑者段階で利用できる「被疑者国選」
- 被告人段階で利用できる「被告人国選」
があります。
Point
- 「国選弁護人制度」とは、刑事事件の弁護人を国(裁判所)が選ぶ制度
- 「被疑者国選」と「被告人国選」がある
条文;弁護人選任権について
刑事被告人は、いかなる場合にも、資格を有する弁護人を依頼することができる。被告人が自らこれを依頼することができないときは、国でこれを附する。
引用元:憲法第37条第3項

民事(離婚・相続etc)では国選弁護士に依頼できない?
ちなみに、この国選弁護人制度は、民事事件では利用できません。
離婚や相続など民事事件の弁護士費用でお困りの方は・・・
- 法テラスの民事法律扶助を利用する
- 分割払いができる私選弁護士に依頼
といった方法があります。
Point
刑事事件 | 民事事件 | |
---|---|---|
国選弁護人 制度の利用 | 〇 | ✕ |
具体例 | 刑事弁護 (勾留) (起訴) | 離婚裁判 遺産分割 etc |

費用負担の可能性あり?免除のケースは?
無罪の場合は、訴訟費用の負担はありません。
国選弁護人の報酬等も、訴訟費用に含まれます。
「訴訟費用」とは、次のような費用をいいます。
訴訟費用の範囲とは?
- 裁判の証人の旅費・日当・宿泊料
- 裁判の鑑定の鑑定料など
- 国選弁護人の旅費・日当・宿泊料・報酬
一方で、 有罪の場合には、原則して「訴訟費用」を負担しなければなりません。
ただし、例外として・・・
貧困のために納付できないことが明らかなとき
訴訟費用の負担は、免除されます。
国選弁護士 | 私選弁護士 | |
---|---|---|
無罪のとき | 訴訟費用の負担なし | 訴訟費用の負担あり |
有罪のとき | 訴訟費用の負担あり ※免除の可能性あり | 訴訟費用の負担あり |
2018年12月1日現在の情報です。
ただ、経済的理由で国選弁護人を依頼した場合でも、訴訟費用の負担が必ず免除されるとは限りません。
執行猶予で釈放されたときのように、
収入が期待ができるような場合
免除されない可能性があります。
訴訟費用が免除される可能性 | |
---|---|
実刑 | ★★★ |
執行猶予 | ★ |
在宅起訴 | ★ |
あくまで目安です。お悩みの方は弁護士にご相談ください。
Point
- 無罪の場合、私選弁護も訴訟費用の負担なし
- 有罪の場合、国選弁護だと免除の可能性あり
- 収入源があるときは、免除の可能性は低い
条文;訴訟費用の負担について
刑の言渡をしたときは、被告人に訴訟費用の全部又は一部を負担させなければならない。但し、被告人が貧困のため訴訟費用を納付することのできないことが明らかであるときは、この限りでない。
引用元:刑事訴訟法第181条第1項
(訴訟費用の範囲)
第二条 刑事の手続における訴訟費用は、次に掲げるものとする。
一 公判期日若しくは公判準備につき出頭させ、又は公判期日若しくは公判準備において取り調べた証人等に支給すべき旅費、日当及び宿泊料
二 公判期日又は公判準備において鑑定、通訳又は翻訳をさせた鑑定人、通訳人又は翻訳人に支給すべき鑑定料、通訳料又は翻訳料及び支払い、又は償還すべき費用
三 刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第三十八条第二項の規定により弁護人に支給すべき旅費、日当、宿泊料及び報酬
引用元:刑事訴訟費用等に関する法律2条

国選弁護人のお給料は誰が払う?
「国選弁護人のお給料は、どこから支払われるの?」
このような疑問をお持ちの方もいますよね。
国選弁護人の報酬等は、法テラスから支給されます。
法テラスでは、国選弁護人になろうとする弁護士との契約、国選弁護人候補の指名及び裁判所への通知、国選弁護人に対する報酬・費用の支払いなどの業務を行います(総合法律支援法第30条第1項6号)。
引用元:日本司法支援センター法テラス「国選弁護人・国選付添人」(https://www.houterasu.or.jp/housenmonka/kokusen/index.html)
給与体系にもとづき、報酬が支給されます。
税金によってまかなわれています。
そのため、一般的な私選弁護よりも給与水準は低いといわれています。

国選弁護士に依頼できる事件・条件は?
被疑者国選の条件|対象事件・資力要件
「被疑者」とは・・・
犯人として捜査対象になっているが、起訴されていない人
をいいます。
まずは、このような被疑者の段階で選任できる「被疑者国選」について説明します。

被疑者国選は、勾留されたときに利用できます。
被疑者国選の対象事件・資力要件について確認しましょう。
被疑者国選の対象事件は、勾留状が請求された事件、勾留状が発せられた事件すべてです。
ただし、私選弁護人がいる場合や被疑者が釈放された場合は、国選弁護人を選任してもらえません。
資力要件は、預貯金を含めて50万円です。
原則として、被疑者国選が利用できるのは、資産の合計額(資力)が50万円未満の場合です。
被疑者国選の対象事件・資力要件は?
被疑者国選の条件
対象事件:勾留された事件
資力要件:50万円未満(預貯金含む)
その他:私選弁護人がいない、釈放されていない
2018年12月1日現在の情報です。
刑事訴訟法37条の2第1項参照。
ちなみに、「私選弁護人を選任したいけれど、見つからない」というようなケースもあるかもしれません。
このようなケースでは、預貯金含め50万円以上の資産があり、資力基準をこえていても、国選弁護人を利用できる可能性があります。
条文・被疑者国選について
被疑者に対して勾留状が発せられている場合において、被疑者が貧困その他の事由により弁護人を選任することができないときは、裁判官は、その請求により、被疑者のため弁護人を付さなければならない。ただし、被疑者以外の者が選任した弁護人がある場合又は被疑者が釈放された場合は、この限りでない。
引用元:刑事訴訟法第37条の2第1項

被告人国選の条件|対象事件・資力要件
「被告人」とは・・・
犯人として起訴された人
をいいます。
次に、このような被告人の段階で選任できる「被告人国選」について説明します。

被告人国選は、起訴されたときに利用できます。
被告人国選の対象事件・資力要件について確認しましょう。
被告人国選の対象事件は、起訴された事件すべてです。
被告人国選においても、被疑者国選と同様に、
- 私選弁護人がいないこと
- 資力基準50万円
という条件がつきます。
被告人国選の対象事件・資力要件は?
被告人国選の条件
対象事件:起訴された事件
資力要件:50万円未満
その他:私選弁護人がいない
2018年12月1日現在の情報です。
刑事訴訟法36条参照。
条文・被告人国選について
被告人が貧困その他の事由により弁護人を選任することができないときは、裁判所は、その請求により、被告人のため弁護人を附しなければならない。但し、被告人以外の者が選任した弁護人がある場合は、この限りでない。
引用元:刑事訴訟法第36条

国選弁護士の依頼方法は?いつ連絡?
依頼方法|いつ、どこに連絡?選任手続きは?
被疑者国選の選任
被疑者国選は、勾留された事件が対象です。
勾留されるかどうかは、裁判で決定されます。
被疑者国選を利用したい場合、勾留の裁判の際、裁判所に対して「国選弁護人を選任してほしい」と申し入れる必要があります。
より実務的にいえば・・・
逮捕された後、接見にきた弁護士から、国選弁護人の選任について提案される
ということが多いでしょう。
逮捕後すぐに弁護士に相談したいとき、被疑者国選は利用できません。
逮捕された後すぐに相談できる弁護士は・・・
- 当番弁護士(初回の面会1回に限り無料)
- 自分で選んだ私選弁護士
のどちらかです。
その際、資力や今後の流れをよく相談して、国選弁護を利用するかどうかを考えることになります。
Point
- 逮捕後から勾留までは、当番弁護士か私選弁護士
- 勾留後は、被疑者国選
- 勾留の裁判で、被疑者国選を利用する旨申し出る
当番弁護士とは?逮捕後すぐに私選弁護士に相談したいときは?
当番弁護士の概要や、私選弁護士に接見にきてほしいときは、アトム法律事務所の弁護士相談をご利用ください。
警察に逮捕された事件など、一定条件のもと
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をおこなっています。
刑事事件でお困りの方へ
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当番弁護士については、この記事もあわせてご覧ください。
次に、被告人国選の選任について見ていきましょう。

被告人国選の選任
被疑者国選を利用していなくても、起訴されてから被告人国選を利用することはできます。
国選弁護人選任を請求する旨、裁判所に申し出ることになります。
被疑者国選で国選弁護人を選任していた場合、その弁護人が、そのまま刑事裁判の第一審の被告人国選の弁護人となります。
あらためて選任手続きは必要ありません。
第一審の国選弁護人の任務終了は、その裁判の判決が確定するとき、または不服申し立てをするときです。
第一審が終了して、不服申し立てをした場合、あらためて国選弁護人を選任する旨申し出ます。
第一審と異なる弁護士が選任されることも多いようです。
Point
- 被疑者国選を利用していた場合、その弁護人が引き続き被告人国選を担当する
- 被告人国選の終了は、判決の確定時または不服申立の終了時
- 次の審級については、国選弁護人を選任しなおす

解任方法|解任事由は?
国選弁護人の解任事由は、法律で規定されています。
私選弁護士を個人で選任したことも、解任事由のひとつです(刑事訴訟法38条の3第1項1号)。
解任事由
- 私選弁護士の選任
- 弁護人と利益相反
- 弁護人の心身故障
- 弁護人の任務違背
- 弁護人に対する暴行・脅迫など
私選弁護人に事件解決を依頼したいと思ったときは、私選弁護士を選任すれば、国選弁護士から切り替えることが可能です。

国選弁護士の依頼と私選弁護士の違いは?
国選弁護士と私選弁護士の違いは?
今までの内容を踏まえて、国選弁護士と私選弁護士の違いを整理します。
国選弁護士のデメリットは、相性の合う弁護士を自由に選べない点です。
弁護士によっては、「連絡がない」など不都合もあるようです。
私選弁護士は、刑事弁護を依頼する本人や家族が、自由に弁護士を選べます。
国選 | 私選 | |
---|---|---|
選任 | 裁判所 | 本人・家族 etc |
ただ、私選弁護士の場合、有罪でも無罪でも、必ず弁護士費用を自費で支払うことになります。
無罪のとき
国選 | 私選 | |
---|---|---|
弁護士費用 | なし | 負担あり |
その他 | なし | なし |
無罪になった場合、国選ならば全く訴訟費用はかかりません。
ただ、自分で選んだ弁護士に刑事弁護を依頼できる安心感は、国選弁護では得られません。
そう考えると、弁護士費用の負担は、一種の保険と考えることもできます。
有罪のとき
国選 | 私選 | |
---|---|---|
実刑 | 訴訟費用の負担あり 免除の可能性小さい | 訴訟費用の負担あり |
執行猶予 | 訴訟費用の負担あり 免除の可能性大きい | 訴訟費用の負担あり |
また、国選弁護であっても、執行猶予つきの判決をうけたときは、訴訟費用を負担する可能性があります。
このことを考えると、親戚・知人からお金を集めるなどして、私選弁護を依頼することも選択肢のひとつとして、考えてみてもよいかもしれません。

私選の法律相談をうまく利用する?
「国選弁護士から私選弁護士に切り替えたい」
このように思っても、資産がなくて、どうしても難しい場合もあるでしょう。
その場合、私選弁護士を選任するのではなく、私選弁護士に法律相談をするという方法があります。
弁護方針にお悩みの際は・・・
ほかの弁護士への「法律相談」
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セカンドオピニオンを求めることで、疑問が解決するかもしれません。
法律相談の料金は・・・
- 初回は無料
- 1時間1万円
など、比較的負担は重くないと思います。
法律相談は、弁護人の選任には当たりません。
そのため、国選弁護を継続したままでも、法律相談は可能です。
疑問点については、法律相談をすることで解消していきましょう。
Point
- 国選弁護に関するお悩みは、「法律相談」で解決
- 「法律相談」と「弁護士選任」とは異なる。
- 国選弁護を継続したまま、法律相談は可能。

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まとめ
- 国選弁護人制度の概要を詳しく知りたい
- 刑事事件解決の方向性に悩んでいる
このようなお悩みを是非ご相談ください。
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国選弁護人制度というのは・・・
貧困等により弁護人を選任できないとき、裁判所に対して、弁護人の選任を請求できる制度
のことです。