第二東京弁護士会所属。刑事事件で逮捕されてしまっても前科をつけずに解決できる方法があります。
「刑事事件 法律Know」では、逮捕や前科を回避する方法、逮捕後すぐに釈放されるためにできることを詳しく解説しています。
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迷惑防止条例違反は逮捕される?|迷惑防止条例違反の示談金相場も紹介
2023年7月13日以降の事件は「撮影罪」に問われます。
- 迷惑防止条例違反で逮捕される可能性はあるのか知りたい!
- 迷惑防止条例違反の示談金の相場や示談の効果を知りたい
ご覧のページでは迷惑防止条例違反について徹底解説します。
目次
迷惑防止条例違反で逮捕される可能性
2023年7月12日以前におこした盗撮事件で公訴時効が完成していない場合など、迷惑防止条例違反に問われることがあるでしょう。
迷惑防止条例は、各都道府県が制定している条例です。
条例と言っても罰則規定があり、違反すれば刑事事件として取り上げられる可能性もあります。
今回は、迷惑防止条例の中でも問い合わせの多い
- 痴漢行為
- つきまとい行為
について解説していきます。
迷惑防止条例違反で逮捕される可能性はある?
逮捕には、
- 現行犯逮捕
- 通常逮捕(後日逮捕)
- 緊急逮捕
の三種類があります。
このうち緊急逮捕は特殊な事例であり、かつ迷惑防止条例違反で適用されるケースはほぼないので、今回は割愛します。
現行犯逮捕は、犯行の最中や直後に限り、逮捕状なしで逮捕するという形式
通常逮捕(後日逮捕)は犯行から時間が経った事案につき、逮捕状を示して逮捕するという形式
です。
痴漢で現行犯逮捕される可能性
逮捕が行われた痴漢事案について、その多くは、
- ① 被害者、もしくは目撃者などによって現場で身柄を確保され
- ② 駅員が駅員室に連行し、また警察への通報も行われ
- ③ 現場に到着した警察官によって警察署に連行される
といった流れをたどっています。
現行犯逮捕の要件
現行犯逮捕は、あくまで事件発生の最中や直後にのみ行われる逮捕の形態です。
駅員室に連行されるよりも前に、現場から穏便に立ち去ることができた場合、現行犯逮捕されることはないでしょう。
ただ現実的には、駅員や一般人が周囲を取り囲むなど、立ち去ることが困難となるケースも多いようです。
被害者、目撃者が犯行を見とがめた段階で、現行犯逮捕され警察署に連行される可能性はそうとう高くなると言えそうです。
痴漢で後日逮捕される可能性
結論から言ってしまうと、痴漢の事案で後日逮捕が行われる事例は、無いわけではないのですが可能性としては低いです。
捜査が行われるか
警察は、被害者から提出される被害届や、現場からの通報などにより事件発生を把握します。
しかし、把握した事件について捜査を行うのかどうかは、あくまで担当警察官の裁量によって決められます。
証拠が集まる見込みがないなど、被疑者特定にいたる可能性が低い事件
民事的な側面の強い事件
などでは捜査が行われないことも多いです。
捜査の結果、特定に至るか
被疑者が特定できていない態様の痴漢事案では、警察は
- 防犯カメラの映像解析
- ICカードの情報解析
- 被害者、目撃者からの聞き込み
などといった捜査を行います。
そもそも防犯カメラがない、被疑者特定に結び付く映像が記録されていない
被疑者がICカードを使っていない、ラッシュにつきICカードの情報を絞り込めない
聞き込みした情報が被疑者特定に結び付かない
などにより、被疑者特定に至らない可能性も否定できません。
逮捕の要件を満たすか
通常逮捕(後日逮捕)では、被疑者の逮捕にあたり逮捕状が必要となります。
逮捕状は、裁判官が事件ごとにその内容を検証、審査し、「逮捕の要件」に適っていると判断された場合に限り発付されます。
逮捕の要件は以下の通りです。
痴漢事案の被疑者の多くは、電車で通勤している一般的な会社員です。
定職についている、家庭を持っているといった事情がある場合、「逃亡のおそれ」について否定される根拠となり得ます。
また痴漢の事案において、証拠隠滅の手段は限定的です。
逮捕の要件が満たされると判断される痴漢の事案は、そう多いものではないと考えられます。
結論
- そもそも警察が捜査を開始するのか
- 捜査を開始したとして被疑者特定にいたるのか
- 被疑者を特定したとして逮捕の要件を満たすと判断されるのか
これらを考慮すると、痴漢の事案で後日逮捕が行われる可能性は低いと言わざるを得ない。
注意|逮捕されない=無罪ではない
誤解されがちなことですが、逮捕はあくまで、
被疑者が逃亡、証拠隠滅したら困るので身柄を拘束しておく
といった処分に過ぎません。
刑事事件の多くは在宅事件として手続きが進みます。
つまり、
「一度も逮捕されることなく在宅のまま警察や検察の捜査を受け続け、そのまま起訴されたり不起訴になったりする」
といったケースも多いわけです。
「逮捕される=有罪」
「逮捕されない=無罪」
では無いという点については、十分に注意してください。
つきまとい行為で逮捕される可能性
暴行や傷害、脅迫などを伴う場合はともかく、迷惑防止条例に定められたつきまとい行為について、いきなり逮捕が行われるケースは稀でしょう。
つきまとい行為について被害者が警察に相談したとき、警察は必要に応じて被害者への支援を開始します。
条例で定められている支援の内容は以下の通りです。
つきまとい被害者への支援内容
- ① 再発防止交渉を円滑に行うための必要な事項の連絡
- ② つきまとい行為等をした者の氏名及び住所その他の連絡先の教示
- ③ 再発防止交渉に関する事項についての助言
- ④ 被害の防止に関する活動を行っている組織の紹介
- ⑤ 再発防止交渉を行う場所としての警察施設の利用
⑥再発防止に資する物品の教示又は貸出し
⑦その他警視総監等がつきまとい行為等の再発を防止するために必要と認める援助
氏名や住所、連絡先を聴取されたり
警察署内などに呼び出され、つきまとい行為をやめるよう要求されたり
する可能性があるわけです。
こういった警察および被害者からの要求に従わず、なおもつきまとい行為を繰り返した場合には、逮捕される可能性は高まります。
迷惑防止条例違反で逮捕後に勾留される可能性はある?
勾留とは、
犯罪の被疑者を身体拘束し続ける処分
のことです。
日本の刑事手続きにおいては、逮捕後に勾留までされてしまうケースは非常に多いです。
逮捕された人数 | 114,489人 |
---|---|
勾留請求された人数 | 105,669人 |
勾留が認容された人数 | 102,089人 |
*平成29年版犯罪白書 第2編 第2章 第2節 2-2-2-1表より
*逮捕後釈放された者を除く
統計データを紐解くと、逮捕後、送致された事件のおよそ89%は勾留までされているということがわかります。
痴漢事案の場合
ただし痴漢の事案では、勾留までされるケースは非常に稀です。
たとえば東京地裁では、痴漢の事案で発せられる勾留請求は原則認めない方針がとられています。
捜査段階で容疑者の拘束を解く裁判所の判断が急増していることが明らかになった。
行き過ぎた拘束を見直す意識の高まりが背景にあり、東京地裁では痴漢事件の勾留請求を原則認めない運用が定着している。
(略)
引用元:毎日新聞 2015/12/24 <痴漢>勾留、原則認めず 「解雇の恐れ」考慮 東京地裁
被疑者段階での長期身体拘束が問題視されはじめ、司法もそれに対応するようになってきたわけです。
逮捕後に釈放された場合には、通常の在宅事件と同じように、日常生活を送りながら警察の捜査に協力し、起訴、不起訴の判断を待つことになります。
迷惑防止条例違反の示談金相場、示談の効果
迷惑防止条例違反で警察から捜査、訴追をうけている方は、犯行事実に争いが無いのであれば被害者と示談を締結するのが良いでしょう。
被害者と示談を締結したという事実は、その後の刑事手続きにおいて被疑者に有利な証拠として扱われます。
示談を締結すれば、とくに不起訴処分の獲得について、可能性が大きく高まります。
不起訴処分とは、検察官の判断により、捜査が終わった段階で刑事手続きも終了となる処分のことです。
不起訴となれば
- 裁判が開かれることは無く、
- 刑事罰が科されることもなく、
- 前科がつくこともありません。
不起訴となるのは冤罪が疑われるときだけではありません。
被疑者の境遇や犯罪後の情況などにより訴追の必要なしと判断されれば、起訴猶予で不起訴となります。
平成28年の統計を見てみると、検察に送致された事件のうち、過失運転や道交法関連を除いた犯罪の起訴率は33.4%でした。
不起訴となった犯罪のうち、約7割は起訴猶予を理由として不起訴になっています。
つまり、たとえ犯罪を犯していたとしても、起訴猶予で不起訴になる可能性は決して低いわけではないということです。
迷惑防止条例違反の示談金の相場はいくらくらい?
迷惑防止条例違反に問われた痴漢事案の、示談金の相場を見ていくことにしましょう。
当事務所が蓄積している過去の事例から、何件かピックアップしてみます。
事例の内容 | 支払われた示談金 |
---|---|
スーパーマーケットの雑誌コーナーで、立ち読みしていた9歳の女児に対し、背後からその臀部を撫でるなどした事例 | 10万円 |
走行中の電車で、乗車中の女性の後ろから、服の上から臀部を触るなどした事例 | 20万円 |
走行中の電車で、被害者である女子高校生の背後に立ち、その右太ももを右手で触るなどした事例 | 30万円 |
駅のホームで、通りすがりざまに女性の臀部を服の上から触るなどした事例 | 40万円 |
走行中の電車で、通学途中の女子高校生に対し、右肘で女性の左胸を数回突き、その後左手で左胸を数回揉むなどの行為をした事例 | 40万円 |
駅のエスカレーター付近で、酒に酔った状態で、被害者の臀部を手で触るなどした事例 | 40万円 |
マンションの階段で、酒に酔った状態で、すれ違いざまに女性の胸を触るなどした事例 | 70万円 |
走行中の電車で、被害者女性の前方から右手で女性の左手を握り、さらに左手で女性の陰部付近を触るなどした事例 | 80万円 |
走行中の電車で、19歳の被害者女性に対し、服の上から自分の股間をズボン越しに押し付けるなどした事例 | 90万円 |
走行中の電車で、被害者女性の臀部や脚を触るなどした事例 | 100万円 |
示談金の金額は、事件ごとに被害者との交渉の中で決められるものですから、一概に
「こういった行為は○○万円になる!」
などとは言えません。
ただ、一般的には迷惑防止条例違反に問われる痴漢行為の場合、示談金の金額は10万円~50万円に収まることが多いです。
迷惑防止条例違反になる行為や刑罰の内容について知りたい方はコチラ
- そもそも迷惑防止条例違反に問われる痴漢行為、つきまとい行為とはどんな行為なのか
- 迷惑防止条例犯違反として有罪判決を受けたら、どんな刑罰を科せられるのか
こういったことについても疑問をお持ちの方は、こちらのページをご覧ください。
迷惑防止条例違反について、さらに理解を深める一助となるはずです。
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- 逮捕の阻止
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(*相談が混みあっている場合、お時間をいただく場合があります。)
迷惑防止条例は、もともとは「ぐれん隊」の粗暴行為を取り締まることに重点を置いて制定された条例でした。
現在では、痴漢や盗撮、ダフ屋行為、つきまとい、押し売り、不当な客引きやピンクビラの配布などを取り締まっています。