第二東京弁護士会所属。刑事事件で逮捕されてしまっても前科をつけずに解決できる方法があります。
「刑事事件 法律Know」では、逮捕や前科を回避する方法、逮捕後すぐに釈放されるためにできることを詳しく解説しています。
被害者との示談で刑事処分を軽くしたい、前科をつけずに事件を解決したいという相談は、アトム法律事務所にお電話ください。
アトムは夜間土日も受け付けの相談窓口で刑事事件のお悩みにスピーディーに対応いたします。
国選弁護人制度とは?費用負担の内実・私選弁護人・当番弁護士のメリットは?
- 「国選弁護人は、弁護士費用がかからない?」
- 「国選と私選弁護士、当番弁護士の違いは?」
このようなお悩みをお持ちの方へ。
- 国選弁護人制度とは何か
- 国選弁護人の対象事件・選任・解任
- 私選弁護人との違い
- 当番弁護士との違い
今回は、このような内容について特集します。
目次
国選弁護人制度とは?国が費用を負担?
国選弁護人制度とは?費用がかかる?
国選弁護人制度とは、刑事事件で勾留・起訴された人が、経済的理由などで弁護人を選任できないときに、国が代わりに選任し弁護人に刑事弁護を依頼する制度です。
有罪判決や不起訴の場合、支払い能力があるとされれば、費用負担が命じられることもあります。
貧困のため訴訟費用を納付できないことが明らかなときは、費用負担が免除されます。
費用負担が免除されるか否かは、とても関心が強い点だと思います。
身体拘束されていないときは、働こうと思えば働ける環境にあるので、支払い能力があると判断されることもあります。
たとえば、執行猶予つきの有罪判決がだされたような場合です。
国選弁護人だからといって、必ず費用負担が免除されるとは限らない点に注意が必要です。
Point
国選弁護士の費用負担の有無 | |
---|---|
無罪 | 負担なし |
有罪 | 負担あり ※免除の場合あり |
不起訴 | 負担あり ※免除の場合あり |
弁護士報酬の相場は?(国選vs私選)
国選弁護士の弁護士費用(負担アリの場合)
では、かりに国選弁護士の弁護士費用を負担するとしたら、どのくらいの費用がかかるのでしょうか。
愛知弁護士会のホームページ上では、次のような記載がありました。
報酬額
弁護人1人について40万円。但し、記録謄写費用16万1425円のみは別途支給。
引用元:愛知弁護士会ホームページ「【特集】どうなってるの?国選報酬『ある国選無罪事件の報酬例』」より(https://www.aiben.jp/page/library/kaihou/1805kokusen.html)
国選弁護士の弁護士費用については、報酬規程が定められています。
たとえば、地方裁判所で公判前整理手続がない裁判官1人で審理されるような簡単な事件であれば、通常報酬は77,000円です。
保釈や示談の成功、裁判の審理時間の長さなどの要因で、費用が加算されていきます。
国選弁護人の弁護士費用
- 弁護活動の内容に応じて加算される
- 裁判の審理時間の長さに応じて加算される
裁判の結果によっては、特別成果が加算されます。
【特別成果】(地裁・単独事件・公判善整理手続きなし)
- 全部無罪の場合、通常報酬の100%
- 一部無罪の場合、通常報酬の50%
- 縮小認定の場合、通常報酬の30%
日本司法支援センター法テラス(https://www.houterasu.or.jp/housenmonka/kokusen/index.files/100862925.pdf)
審理期間の長さも報酬に関係するので、不起訴で事件が終了するときよりも、裁判になったほうが費用が増加するケースもあります。
ですが、裁判になっても無罪になる保証はありません。
弁護士のやる気や力量によっては・・・
結果的に有罪、しかも弁護士費用も少なからず負担しなければならない
という状況もありそうです。
私選弁護士の弁護士報酬(アトム法律事務所の場合)
アトム法律事務所の成功報酬については、次のとおりです。
たとえば、前科がつかなかった場合の成功報酬は・・・
不起訴や無罪の区別なく、88万円(税込)
です。
安心して刑事弁護をご依頼いただけると思います。
私選弁護士の成功報酬(目安、税込)
前科がつかなかった場合 | 88万円 |
罰金判決 | 66万円 |
全部執行猶予付き判決 | 44万円 |
実刑判決 (求刑80%以下) | 44万円 |
実刑判決 (求刑の80%超え) | 無料0円 |
2021年5月11日現在の情報です。詳細は、お気軽にお問い合わせください。
さらに、求刑の80%超えの実刑判決の場合、成功報酬は無料0円になります。
単純に審理期間の長さに比例して、弁護士費用が加算されるわけではありません。
「弁護士費用」の詳細については、下記ページをご欄ください。
「刑事事件の弁護士費用」に関するページ
ご不明点がおありの場合、お気軽にお問い合わせください。
刑事事件でお困りの方へ
ご希望される方はこちら
国選弁護人の対象事件・資力等の要件は?
刑事事件だけ?離婚裁判(民事)は対象外
国選弁護人制度は、離婚裁判や相続などの民事事件は対象外です。
離婚や相続など民事事件の弁護士費用でお困りの方は・・・
- 法テラスの民事法律扶助を利用する
- 分割払いができる弁護士に依頼する
するなど、ほかの方法をとることになります。
整理すると、次のとおりです。
Point
刑事事件 | 民事事件 | |
---|---|---|
国選弁護人制度 | ある | ない |
具体例 | 刑事弁護 (勾留) (起訴) | 離婚裁判 遺産分割 etc |
国選弁護人は、勾留段階、起訴段階の2つのタイミングで選任してもらうことができます。
国選弁護人制度の種類としては・・・
- 被疑者段階で利用できる「被疑者国選」
- 被告人段階で利用できる「被告人国選」
があります。
Point
- 「国選弁護人制度」は、刑事事件の制度
- 「被疑者国選」と「被告人国選」がある
被疑者国選弁護とは?(資力要件など)
被疑者国選制度は、勾留段階から利用できます。
被疑者国選の対象事件は・・・
- 勾留状が請求された事件
- 勾留状が発せられた事件
のすべてです。
被疑者国選を利用できる条件は・・・
- 私選弁護人がいないこと
- 被疑者が釈放されていないこと
などです。
資力(資産の合計額)についての要件は、預貯金を含めて50万円未満というものです。
資力50万円未満の被疑者が、国選弁護を利用するときの条件は、次のとおりです。
被疑者国選(資力50万円未満のとき)
条件
- 被疑者が勾留中(釈放されていない)
- 私選弁護人がいない
- 資力が50万円未満(預貯金含む)
2018年12月1日現在の情報です。
刑事訴訟法37条の2第1項参照。
資力基準の例外として、資産50万円以上であっても、弁護人になってくれる弁護士がいないときは、国選弁護を利用できることがあります。
この場合、管轄区域内の弁護士会に弁護人選任の申し出が必要です。
被疑者国選(資力50万円以上のとき)
条件
- 被疑者が勾留中(釈放されていない)
- 私選弁護人がいない
- 弁護士会に弁護士選任の申出
- 弁護士になろうとする者がいない等の通知をうける
2018年12月1日現在の情報です。
刑事訴訟法37条の2第1項参照。
被告人国選弁護とは?
被告人国選とは、起訴段階で利用できる国選弁護人制度です。
被告人国選の場合も、①被疑者国選と同様に資力がないときに利用できます。
これに加えて、②必要的弁護事件のときも利用できます。
①任意的弁護事件(資力要件50万円未満)
資力が50万円未満の場合、国選弁護の対象事件は起訴された事件すべてです。
この場合も、私選弁護人がいないことが必要です。
被告人国選(資力50万円未満のとき)
条件
- 事件が起訴されている
- 私選弁護人がいない
- 資力が50万円未満(預貯金含む)
2018年12月1日現在の情報です。
刑事訴訟法36条参照。
被告人国選
被告人が貧困その他の事由により弁護人を選任することができないときは、裁判所は、その請求により、被告人のため弁護人を附しなければならない。但し、被告人以外の者が選任した弁護人がある場合は、この限りでない。
引用元:刑事訴訟法第36条
②必要的弁護事件(資力不問・対象事件に限定あり)
必要的弁護事件については、必ず弁護人が付されます。
必要的弁護事件とは・・・
弁護人がいなければ裁判を始められない刑事事件のこと
です。
具体的に、必要的弁護事件とされるのは・・・
- 死刑
- 無期懲役
- 長期3年を超える懲役・禁錮
といった刑罰が規定されている事件です。
弁護人が出頭しないときや、そもそも弁護人がついていないときは、裁判長によって弁護人が選任されます。
被告人国選(必要的弁護事件)
条件
- 私選弁護人がいない
対象事件
- 死刑
- 無期懲役
- 長期3年を超える懲役
- 長期3年を超える禁錮
2018年12月1日現在の情報です。
刑事訴訟法289条参照。
必要的弁護事件
死刑又は無期若しくは長期三年を超える懲役若しくは禁錮にあたる事件を審理する場合には、弁護人がなければ開廷することはできない。
引用元:刑事訴訟法第289条
◆弁護士へのお礼は必要ない?
弁護士にお礼を渡したほうがいいのか・・・
このようにお悩みの方もおられるでしょう。
国選弁護人は、被告人その他の関係者から報酬その他対価を受領してはいけないというルールがあります(弁護士職務基本規程49条1項)。
お礼として、お金を包む必要はありません。
菓子折りについても、受け取ってもらえる場合もあれば、ルールを厳格に解釈して受け取らない弁護士もいます。
Point
国選弁護士へのお礼は必要ない
国選弁護人と私選弁護人の違いは?
私選弁護人とは?メリット・デメリット
私選弁護人とは、本人やご家族が選任する弁護人です。
私選弁護人のデメリットは、必ず弁護士費用がかかってしまうことです。
私選弁護人のメリットは、自分で納得のいく弁護士を選べることです。
国選弁護の場合は、裁判所によって、弁護人が指定されてしまいます。
国選弁護は、弁護士を自分で選べないリスクもあるので、「弁護士費用を節約するために国選弁護士を選ぶ」ということは、あまりおすすめできません。
Point
私選 | 国選 | |
---|---|---|
弁護人の選任 | 本人・家族など | 裁判所が指定 |
弁護士費用 | 必須 | △(場合による) |
どうにかしてお金を準備できる状況だったら、自分で選べる私選弁護人の選任も視野にいれて検討したほうが良いでしょう。
国選報酬基準は低条件?
国選弁護人の報酬は、私選弁護人に比べると低額です。
そのため、充実した弁護活動をするために、恵まれた環境とはいいがたい側面があります。
「弁護士と相性が良くない」、「弁護士から連絡がない」といったケースもなかにはあるようです。
国選から私選への切り替えは可能?
国選弁護士の交替はむずかしい
国選弁護人との相性に不安があったとします。
ですが、基本的には、国選弁護人の交替は認められていません。
国選弁護人が交替する場面があるとしても、第一審終了後など審級ごとです。
国選から私選への切り替えは可能
国選弁護士の交替はむずかしくても、国選弁護士から私選弁護士に切り替えることは可能です。
私選弁護士を選任すれば、国選弁護士を解任させることができます。
私選弁護士の選任は、いつでも可能です。
Point
- 国選弁護から私選弁護への切り替えは、いつでも可能
- 私選弁護人を選任すればよい
私選に切り替えたほうがよい事案
実際には、どのような事案で、国選から私選に切り替えているのでしょうか。
国選弁護人が保釈請求や示談交渉に積極的ではない事案は、私選弁護人への切り替えを考えてもよいかもしれません。
過去の事例で、このような事情から国選から私選に切り替えを希望されるご依頼者様もおられました。
保釈請求は、身体拘束から解放されるために、重要な弁護活動です。
示談交渉も、不起訴の可能性や、刑罰を軽くする可能性を高める弁護活動です。
私選弁護士に弁護方針の迷いを相談する
私選弁護人に事件解決をする金銭的余裕が本当にない場合は、法律相談をおすすめします。
国選弁護人は選任されているけれども、「今後の見込み」について、現在の弁護士以外の意見も聞きたいという方もおられます。
事件の依頼ではなく、「法律相談」というかたちで、疑問点を解消できることもあります。
一般の弁護士事務所がおこなう法律相談とは・・・
- 今後の刑事事件の流れを聞く
- 不起訴の見込みを聞く
- 示談金の相場を聞く
など、法律問題を弁護士に相談するものです。
無料相談に関するページ
国選弁護人と当番弁護士の違いは?
当番弁護士は「1回限り」無料の弁護士?
当番弁護士は、逮捕段階で利用できます。
これに対して、国選弁護人は、勾留段階でなければ選任できません。
当番弁護士の活動内容としては・・・
- 逮捕後すぐに留置場に面会に行く
- 取調べや今後の流れについてアドバイスをする
といったものです。
留置場で面会することを「接見」といいます。
弁護士との接見は、逮捕された被疑者にとって重要な権利です。
そのため、弁護士会のなかで当番を決めて、弁護士を派遣して接見をおこなっています。
当番弁護士による接見は、初回1回に限り無料です。
誰でも利用できますが、2回目以降は、個別に弁護士と契約する必要があります。
経済的にきびしいという方は、被疑者弁護援助制度の利用も考えられます。
制度の概要を整理しました。
当番弁護士制度まとめ
- 当番弁護士とは、弁護士会から派遣される弁護士で、逮捕後すぐに接見(面会)をしてくれる。
- 呼べるタイミングは逮捕された直後から。
- 料金は初回1回のみ無料。
- 2回目以降は個別契約が必要。被疑者弁護援助制度で弁護士費用の立替を検討。
当番弁護士を希望する際は、弁護士会への連絡が必要です。
日弁連のホームページで連絡先が公開されています。
詳しくは、こちらをご覧ください。
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- 逮捕後の流れについて知りたい
- 国選弁護士のセカンドオピニオンを求めたい
このようなお悩みをお持ちの方へ。
アトム法律事務所では、刑事事件の弁護士相談窓口を設置しています。
お問い合わせ・相談ご予約の受付時間は・・・
- 24時間365日
- 深夜・早朝・土日・祝日
問いません。
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まとめ
勾留段階にないため、国選弁護人からアドバイスをもらえないという方も、ぜひお悩みをご相談ください。
弁護士相談の詳細は、こちらです。
弁護士費用については、無罪判決の場合、国が負担してくれます。