第二東京弁護士会所属。刑事事件で逮捕されてしまっても前科をつけずに解決できる方法があります。
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デリヘルや風俗での盗撮がバレたら逮捕?証拠の動画は消すべき?
2023年7月13日以降の事件は「撮影罪」に問われます。
- デリヘル嬢をホテル/自宅で盗撮してしまった…
- デリヘルでの盗撮がバレて、男性スタッフを呼ばれてしまった…
- デリヘルでの盗撮で罰金100万円を支払わなければ会社にバラすと言われている…
風俗嬢が自宅やホテルに来てくれるデリヘルは、盗撮トラブルが起こりやすいと言われています。
出来心でしてしまった盗撮が、風俗嬢(デリ嬢)やスタッフにバレてしまった場合、警察に通報されてしまうのでしょうか?
- デリヘルでの盗撮はなぜバレる?
- デリヘルで盗撮がバレたときの対処法は?
- デリヘルの盗撮は何罪になる?
デリヘルでの盗撮するリスクは?
デリヘルでの盗撮がバレる理由
派遣型のデリヘルでは店舗型の風俗店よりも盗撮トラブルが多く、店側でもマニュアルなどを用意し、盗撮を警戒しています。
デリヘルでの盗撮がバレる理由
- 開始前にカメラが見つかり盗撮しようとしていたことがバレる
- 名前や年齢をカメラの前で言わせようとして発覚する
- デリヘル嬢を一定の方向に向かせようとすることで発覚する
- ベッドサイドに不自然な小物を置いていることで発覚する
- カメラを隠したバッグが不自然な位置にあることで発覚する
盗撮に気づいた相手方が店のスタッフにその場で連絡することで、店側にも盗撮がバレてしまうことになります。
デリヘルで盗撮したら警察に逮捕される?
一般に、デリヘルでの盗撮が発覚しても警察に逮捕されることは少ないと言えます。
ただし、以下のような場合は逮捕される可能性が十分にあります。
- 風俗嬢が直接警察に通報した場合
- 風俗嬢の処罰感情が強固な場合
- 盗撮を否認する、電話に出ないなど、示談に応じる様子がまったく無い場合
実際に報道された盗撮トラブルの逮捕事案として、「風俗嬢が警察に通報した」「店員が警察に通報した」というものがあります。
直接警察に通報されると、警察も必要に応じて逮捕せざるをえない、という傾向があります。
デリヘルでの盗撮の証拠となるものは何?
一般に警察による逮捕が行われるには、嫌疑の相当性、すなわち盗撮をしていたという証拠が必要となります。
盗撮の証拠品とは、以下のようなものがあります。
- 端末に保存されている写真、動画
- ウェブサーバーに残った写真、動画
- 盗撮に用いられたカメラ、端末
- 被害者の証言
これらの証拠がなければ逮捕されない、という風にもとれますが、撮影した動画や画像を消そうとするのはおすすめできません。
証拠を隠滅しようとすると逮捕の可能性が高まるほか、デリヘルとの示談においても不利にはたらくことがあります。
また、クラウド上に自動保存される設定になっていて結局データが見つかってしまうこともあるためです。
デリヘルで盗撮したら店やデリ嬢に慰謝料・罰金を支払う?
デリヘルでの盗撮が発覚した場合、基本的には示談金を支払って解決を目指すことになり、個別に慰謝料や罰金を払う必要はありません。
一方でデリヘルや風俗嬢からは「盗撮した罰金を支払え」「盗撮されて傷ついたので慰謝料を支払え」と言われることもありますので、これらの用語について簡単にまとめておきましょう。
示談金 | 示談の際に支払う金銭をまとめて言う言葉 |
罰金 | デリヘルが独自に定めている、禁止行為をしたことへの罰としての金銭 |
慰謝料 | 精神的苦痛に対する賠償金として支払う金銭 |
示談の際に支払う「示談金」は罰金や慰謝料を内包しているため、先に罰金を支払ってしまうと、二重払いすることになってしまう可能性があります。
もしも店舗や風俗嬢に対して「罰金」や「慰謝料」を先に支払ってしまった場合は、その金額を示談の際に考慮してもらうのがよいでしょう。
デリヘルでの盗撮がバレたらどうする?
デリ嬢やスタッフ、ボーイとすぐに示談するべき?
盗撮がバレた場合、デリ嬢やスタッフに対しその場で示談するべきではありません。
盗撮トラブルの示談とは
盗撮したことによる民事上の争いを、当事者間の話し合いと合意で解決すること
盗撮したその場や、電話口での示談はなるべく避けるべきです。
何故なら相手方の提示してくる示談金や示談条件が、あなたにとって不利に設定されていることがあるためです。
もしも示談を持ち掛けられた場合、合意はせずに相手方の示談条件を確認し、持ち帰りとしてください。
特に示談書は、弁護士の手を借りて作成するのが最もリスクが小さくなります。
盗撮で100万円支払えと言われたけど支払うべき?
もしも盗撮をしたことで、デリヘル側から「100万円支払え」など、高額な金銭を要求されたとしても、基本的には支払う必要はありません。
店側に支払う示談金(損害賠償金)の金額は、実際の損害を考慮したうえで決定されます。
店側が独自に「盗撮の場合は100万円」と決めていても、その金額に法的拘束力があるとまでは必ずしも認められません。
盗撮により店側に生じうる損害としては、
- 盗撮されたデリヘル嬢の精神的苦痛
- 規約を破られたデリヘル店側の精神的苦痛
- デリヘル嬢やスタッフが盗撮されたことにより勤務できなかったぶんの売上
- 盗撮の調査にかかった費用
などが考えられます。
いずれにせよ、損害が100万円を超えることはまれです。
弁護士に示談させれば示談金が減るって本当?
弁護士に示談交渉を任せることで、示談金を大幅に下げられる可能性があります。
理由としては、弁護士が出てくることで適正な損害額を計算できること、デリヘル店も相場金額での示談を受け入れるようになることが挙げられます。
ただし示談金の金額は、事案によって大きく左右されます。
例えば盗撮した動画をインターネット上で広めたような場合、デリヘル嬢が盗撮を苦に店をやめてしまったような場合などは、示談金が相場より高額になることも十分考えられます。
デリヘルで盗撮するとどんな刑罰がある?
デリヘルの盗撮は迷惑防止条例違反になる?撮影罪になる?
デリヘルでの盗撮の多くは、各都道府県の迷惑防止条例違反を問われることが多くなっています。
次のいずれかに掲げる場所又は乗物における人の通常衣服で隠されている下着又は身体を、写真機その他の機器を用いて撮影し、又は撮影する目的で写真機その他の機器を差し向け、若しくは設置すること。
イ 住居、便所、浴場、更衣室その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所
ロ 公共の場所、公共の乗物、学校、事務所、タクシーその他不特定又は多数の者が利用し、又は出入りする場所又は乗物(イに該当するものを除く。)
東京都迷惑防止条例5条1項2号
デリヘルを呼ぶ自室やホテルの部屋はそれぞれ「住居」「不特定又は多数の者が利用し、又は出入りする場所」に該当するため、迷惑防止条例違反となります。
違反した場合、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科せられることになります(東京都の場合)。
注意しなければいけないのは、ホテルなどの私的な部屋での盗撮を処罰対象としていない県もあることです。
よって実際に盗撮した場所の所在地によっては、迷惑防止条例違反が成立しない場合もあります。
ただしそのような場合でも、刑法やその他の法律に違反することは多くありますので、盗撮が罪にならないというわけではありません。
警察庁によると、現在少なくとも40以上の都道府県で、「公共の場所」以外での盗撮が成立するようになっているそうです。
2023年7月以降の盗撮は撮影罪で処罰される可能性がある
盗撮を取り締まる法律は元々存在せず、各都道府県の迷惑防止条例が適用されてきましたが、2023年7月に全国一律の処罰規定である撮影罪が導入されました。
撮影罪で取り締まられる盗撮は以下のような行為です。
第二条 次の各号のいずれかに掲げる行為をした者は、三年以下の拘禁刑又は三百万円以下の罰金に処する。
一 正当な理由がないのに、ひそかに、次に掲げる姿態等(略)を撮影する行為
イ 人の性的な部位(性器若しくは肛門若しくはこれらの周辺部、臀部又は胸部をいう。(略))又は人が身に着けている下着(通常衣服で覆われており、かつ、性的な部位を覆うのに用いられるものに限る。)のうち現に性的な部位を直接若しくは間接に覆っている部分
ロ イに掲げるもののほか、わいせつな行為又は性交等(略)がされている間における人の姿態
(性的な姿態を撮影する行為等の処罰(略)関する法律2条)
デリヘルでの盗撮は刑法に違反する?
デリヘル嬢を盗撮するためにホテルやレンタルルームに入った場合、建造物侵入罪(刑法130条)などが成立する可能性があります。
建造物侵入罪が成立した場合、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金が科せられることになります。
料金などを適正に支払っていても、建造物侵入罪は成立します。
一般にホテルやレンタルルームの管理者は、「盗撮するためにホテル/レンタルルームに入る」ことを認めていないと考えられるためです。
デリヘルの盗撮で裁判になったらどうする?
デリヘル店や警察署からの連絡を無視し続けていると、起訴されて裁判となる可能性もあります。
盗撮の刑事裁判 | 盗撮行為を犯罪として処罰するかを決める |
盗撮の民事裁判 | 被害者に損害賠償金をいくら支払うかを決める |
一般人相手の盗撮と比べると、風俗店利用での盗撮事案で、刑事裁判になるのはまれです。
なぜなら、風俗店側は裁判ではなくお金の受け取れる示談で解決しようとする店舗が多いためです。
ここでは、デリヘルでの盗撮が民事裁判になった事例を見てみましょう。
デリヘルでの盗撮で民事裁判になった事案
デリヘルでの盗撮が民事裁判にまでもつれ込むことはまれですが、実際に裁判になり、慰謝料50万円の請求が認められた事例があります。
本件盗撮は,原告に対し,上記のような恐怖,不安を与えるものであり,この点を十分に斟酌する必要がある。このほか,本件盗撮の場所・時間・行為態様,撮影された動画内容,これが発覚した後の経緯,原告が本件風俗店を退職するに至るまでの経過など,本件において現れた一切の事情を併せて考慮すると,その精神的苦痛に対する慰謝料は,50万円と認めるのが相当である。
(東京地裁R2.1.29)
この事案では、盗撮が2時間に及ぶこと、撮影されている被害者が全裸であったこと、盗撮発覚後にSDカードを抜き取って店側に渡すなど不誠実な行動があったため、多額の慰謝料が認められることになりました。
さらに裁判となると、慰謝料だけではなく弁護士費用なども高額になる場合が多くあります。
裁判にもつれ込む前に、弁護士に相談して示談などで解決できるようにしましょう。
本番の撮影じゃなくても盗撮になる?
撮影しているシーンが本番でなくとも、盗撮は成立します。
例えば多くの県の迷惑防止条例では、「人の通常衣服で隠されている下着又は身体」の盗撮を禁止しています。
すなわち本番行為中でなくとも、相手方が裸・下着姿・着替えている姿などであれば盗撮となることになります。
カメラを置いただけでも盗撮になる?
多くの都道府県の迷惑防止条例は、「撮影する目的で写真機その他の機器を差し向け、若しくは設置」することでも盗撮が成立するとしています。
よって盗撮目的をもってカメラを設置し、撮影前にカメラが見つかって盗撮できなかった場合でも盗撮となります。
うっかり撮影してしまった場合でも盗撮になる?
撮影する気はなかったのに端末のカメラがつきっぱなしでつい盗撮してしまったような場合は、盗撮は成立しません。
なぜなら、都道府県の迷惑防止条例では、盗撮する故意がない過失犯を処罰する規定が無いためです。
もっとも、実務としては「撮影するつもりはなかった」ということを証明するのは非常に困難です。
ビジネス用のカメラなどであっても、デリヘル利用の際は近くに置かないようにしましょう。
盗撮動画をインターネットにアップするとどうなる?
デリヘルで盗撮した動画をインターネットにアップすると、わいせつ物頒布罪が成立します(刑法175条)。
わいせつ物頒布罪とは
デリヘルで盗撮した写真や動画をインターネットで販売、アップロードした者は、2年以下の懲役もしくは250万円以下の罰金もしくは科料に処し、場合によっては懲役と罰金両方が科せられる。
また実際に販売やアップロードまでしていなくとも、いずれ有償で販売する目的で動画を所持・保管していた場合も同じ罪になります。
さらに盗撮動画をアップロードしていた場合、相手方の精神的苦痛は一層大きくなるため、より多額の慰謝料を請求される可能性があります。
デリヘルでの盗撮トラブルは弁護士に相談を
デリヘルでの盗撮トラブルの多くは、弁護士に示談をさせることで解決できます。
特にデリヘルでは盗撮の相手方が店舗にいないため、個人で解決しようとしても、示談のために必要な住所などを教えてもらうことはほぼ不可能です。
ですが弁護士を間に挟むことでデリヘル側の態度も軟化し、相場額での示談や、家族・会社に知られる前に早く解決することができます。
デリヘルでの盗撮トラブルを起こしてしまったときは、ぜひ弁護士にご相談ください。
盗撮トラブルで警察沙汰になりにくいと言われるのには、以下のような事案があります。