岡野武志

第二東京弁護士会所属。刑事事件で逮捕されてしまっても前科をつけずに解決できる方法があります。

「刑事事件 法律Know」では、逮捕や前科を回避する方法、逮捕後すぐに釈放されるためにできることを詳しく解説しています。

被害者との示談で刑事処分を軽くしたい、前科をつけずに事件を解決したいという相談は、アトム法律事務所にお電話ください。

アトムは夜間土日も受け付けの相談窓口で刑事事件のお悩みにスピーディーに対応いたします。

【場所と行為でわかる】痴漢は強制わいせつ?迷惑防止条例違反?

  • 電車のなかで痴漢をして「迷惑防止条例違反」と言われてしまった…
  • 路上で痴漢をして「強制わいせつ罪」と言われてしまった…
  • 痴漢で起訴されないためにはどうしたらいいのだろう…

痴漢をしてしまった場合、「強制わいせつ罪」と「迷惑防止条例違反」のどちらかが成立します。

どちらの罪が成立するかで、刑罰の相場や逮捕のされやすさ、その後の対応が違ってきます。

この記事では、「強制わいせつ罪になる痴漢」と「迷惑防止条例違反になる痴漢」について解説していきます。

  • 強制わいせつ罪と迷惑防止条例違反の判断基準は何?
  • より罪が重いのはどっち?
  • どちらの罪でも弁護士には相談するべき?

痴漢が強制わいせつ罪・迷惑防止条例違反になる判断基準

痴漢行為が強制わいせつ罪・迷惑防止条例違反のどちらになるかは、痴漢行為の場所・触れる場所・行為態様によって変わります。

電車での痴漢が【強制わいせつ】になるケース

電車内の痴漢では、被害者の下着の下から触った場合には強制わいせつ罪が成立するのが一般的です。

  • 下着内に手を差し入れて乳房に直接触れる
  • 下着内に指を差し入れて臀部、陰部に触れる
  • 加害者の性器に触れさせる

電車内の痴漢では「下着の中に手を入れたかどうか」で、強制わいせつとなるか迷惑防止条例違反となるかが判断される傾向にあります。

また、被害者が13歳未満ですと「暴行または脅迫」の要件が不要となるため、強制わいせつ罪が成立しやすくなります。

電車での痴漢が【迷惑防止条例違反】になるケース

電車内の痴漢では、服や下着の上から触った場合には迷惑防止条例違反が成立します。

実際には、以下のようなケースで迷惑防止条例違反が成立しています。

  • 着衣の上から乳房に触れる
  • 着衣、下着の上から臀部、陰部付近に触れる
  • 太腿や足に触れる
  • 服越しに陰茎を押し付ける

着衣の上から触れる形態であっても、触れ方が執拗であったり、被害者の年齢などによって強制わいせつ罪と評価されたケースもあります。

路上での痴漢が【強制わいせつ】になるケース

路上での痴漢については実務上明確な基準はありませんが、以下のようなケースでは強制わいせつ罪と判断されやすくなっています。

  • 痴漢の際に腕や肩を掴む、抱きつく、押し倒す、服を脱がせようとする、言葉で脅すなどの行為があった
  • 着衣や下着の下から触れる
  • 胸、陰部、口内などに触れる
  • 揉む、弄ぶ、長時間触るなど痴漢態様が悪質
  • 被害者が13歳未満

路上での痴漢行為には、強制わいせつ罪と迷惑防止条例違反どちらになるかについて明確な基準はなく、比較的悪質な痴漢が強制わいせつ罪と評価されます。

自転車で追い越しざまに触れるようなケースでは、触れた時間は短いことが多い一方で、被害者の抵抗が難しい態様でもあるため、強制わいせつ罪・迷惑防止条例どちらで立件される可能性もあります。

路上での痴漢が【迷惑防止条例違反】になるケース

路上での痴漢については、以下のようなケースでは迷惑防止条例違反と判断されやすくなっています。

  • 痴漢の際に暴行、脅迫にあたる行為がない
  • 着衣の上から触れている
  • 臀部、太腿などに触れる
  • 触れただけ、触れた時間が短いなど痴漢態様が悪質とまではいけない

痴漢が強制わいせつの場合

強制わいせつ罪の痴漢|刑罰は最大懲役何年?

強制わいせつが成立した場合、6月以上10年以下の懲役が科されます。

13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。

13歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。

刑法176条

強制わいせつ罪の痴漢|実際の刑罰は2年?

強制わいせつの法定刑は6月以上10年以下の懲役刑ですが、実際は懲役1年6ヶ月~2年6ヶ月が言い渡されることが多いです。

さらに初犯であったり、相手方と示談している場合には執行猶予3~4年がつくことが多くなっています。

強制わいせつ罪の痴漢|被害者が怪我をしたら?

もしも強制わいせつにあたる痴漢行為の際に、相手を転倒させてしまうなど怪我をさせてしまった場合、強制わいせつ致傷罪が成立する可能性があります。

第176条~の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯し、よって人を死傷させた者は、無期又は3年以上の懲役に処する。

刑法181条

痴漢で強制わいせつ未遂罪が成立するケース

路上痴漢などで、痴漢をしようしたものの被害者が抵抗したため触ることが無かったような場合には、強制わいせつ未遂罪が成立する可能性があります。

強制わいせつ未遂罪となった場合は、情状に応じて刑が減免されたり、執行猶予がつく可能性もあります。

強制わいせつ未遂罪は、一般的にわいせつ行為をするための暴行・脅迫をしたものの、わいせつ行為自体は遂げられなかった場合に成立します。

主に路上痴漢で、腕を引っ張ったり抱きしめたりしたりといった「暴行」はあったものの、胸や臀部には触れなかった場合が該当します。

痴漢が迷惑防止条例違反の場合

迷惑防止条例違反の痴漢|刑罰は最大懲役何年?

痴漢で迷惑防止条例違反が成立した場合、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金が科せられる都道府県が多くなっています。

何人も、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行 為であつて、次に掲げるものをしてはならない。公共の場所又は公共の乗物において、衣服その他の身に着ける物の上から又は直接に人 の身体に触れること。

東京都迷惑防止条例5条1項1号

また、一部都道府県は常習痴漢について、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金など、さらに重い刑罰を科しています。

迷惑防止条例は都道府県により少しずつ内容や刑罰が異なります。

例えば神奈川県では、通常の痴漢は1年以下の懲役又は100万円以下の罰金、常習痴漢は2年以下の懲役又は 100万円以下の罰金と定められています。

迷惑防止条例違反の痴漢|実際の刑罰は?罰金刑になる?

迷惑防止条例違反の痴漢の場合、罰金であれば30万円前後懲役刑であれば懲役6ヶ月程度が言い渡されることが多くなっています。

初犯であれば、多くの場合は3年程度の執行猶予がつきます。

常習痴漢の場合、懲役1年~1年6ヶ月が言い渡されることが多くなっています。

痴漢で略式起訴(略式命令起訴)された場合は、必ず100万円以下の罰金刑が言い渡されます。

略式起訴とは本人の同意を得て、裁判手続きを簡略化し、14日以内に略式命令を言い渡す手続きのことです。

痴漢事件での弁護活動

痴漢での逮捕・勾留を回避することはできる?

弁護士が警察や検察に意見書を提出することなどで、逮捕・勾留を避けられることがあります。

逮捕・勾留が認められるには①嫌疑の相当性と②逃亡・証拠隠滅のおそれが認められることが必要です。

  • 家族がいる、定職についており逃亡の恐れがない
  • 被害者と面識がなく、証拠隠滅のおそれがない
  • 家族や上司が監督することを約束している

このような主張が認められれば、早期釈放される可能性があります。

【強制わいせつ・迷惑防止条例違反】示談金相場はいくら?

強制わいせつと迷惑防止条例それぞれで、示談金の相場は以下のようになっています。

罪名示談金の相場
強制わいせつ罪50万円以上
迷惑防止条例違反(痴漢)30万円~50万円

より悪質な痴漢にあたる強制わいせつの方が、示談金相場は高くなっています。

これらの金額はあくまでも判例などから導き出される相場であり、実際の示談金は被害者側の提示額と弁護士の交渉により決定します。

また、被害者の方の処罰感情が強い場合は示談金を受け取ってもらえないこともあります。

そのようなときは、被害弁償という形でお金をお渡ししたり、贖罪寄附という形で反省を表していきます。

【強制わいせつ・迷惑防止条例違反】示談の特徴

被害者と示談することができれば、不起訴になり刑事処分を科されない可能性が大きくあがります。

一方で、性犯罪は特に被害者と加害者が直接話し合うことが不可能なので、示談するには弁護士に依頼する必要があります。

また、示談を結ぶ条件として痴漢行為を行った場所への接近禁止が条件として盛り込まれることもあります。

強制わいせつから迷惑防止条例違反への変更も可能

加害者の行ってしまった痴漢が警察や検察の間で強制わいせつ罪として取り扱われていても、弁護士が意見書を提出することで迷惑防止条例違反として扱われるようになることもあります。

迷惑防止条例違反扱いとなれば、刑罰が比較的軽くなり、また逮捕や勾留の可能性も小さくなります。

ただし迷惑防止条例違反扱いとなると、むしろ罰金刑が成立しやすくなる、というケースもあります。

ご本人が望むものが早期解決なのか、前科がつかないことなのか、徹底的に事実を争うことなのか、弁護士に共有していくことが重要です。

強制わいせつ・迷惑防止条例違反の痴漢は弁護士に相談

痴漢で強制わいせつ、または迷惑防止条例違反として警察から連絡が来た場合は、すぐに弁護士に相談しましょう。

もしもご家族が現行犯逮捕されていた場合は、初動ですぐ弁護士に相談することで、早期釈放となる可能性が高まります。

現在逮捕されていないとしても、弁護士に仲介させて被害者と示談することで、その後起訴されて前科がつくリスクを大きく減らすことができます。

特に強制わいせつの場合は、刑罰も重く、初犯でも実刑となり、お仕事やご家庭に大きな影響が出る恐れがあります。

まずはお気軽に、LINEやお電話でご相談ください。