第二東京弁護士会所属。刑事事件で逮捕されてしまっても前科をつけずに解決できる方法があります。
「刑事事件 法律Know」では、逮捕や前科を回避する方法、逮捕後すぐに釈放されるためにできることを詳しく解説しています。
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【弁護士監修】薬物事件(覚醒剤・大麻)で家族が逮捕後の流れを解説
- 息子が大麻所持で逮捕されたと連絡がきた…
- 急に警察が家にきて、覚醒剤が見つかってしまった…
- 薬物で逮捕されてしまったら、必ず刑務所に入ることになるんだろうか…
近年、若者を中心に大麻で逮捕される人が増えています。
さらに、大麻から入って覚醒剤やMDMAを買うようになり、その所持や使用で逮捕されてしまうケースもあります。
大麻、覚醒剤、MDMAなどの薬物で逮捕された場合、その後の流れや刑罰はどのようになるのでしょうか。
また、もしも家族が薬物で逮捕されたとき、家族はどうすればよいのでしょうか?
この記事では、そのような疑問にお答えしていきます。
- 大麻や覚醒剤など薬物で逮捕されたあとの流れは?
- 大麻や覚醒剤の所持で懲役何年になる?
- 家族や知り合いが薬物で逮捕されたら、家族はどうすればいい?
目次
薬物で逮捕されたあとの流れは?
薬物で逮捕~裁判までの流れ
もしも薬物で逮捕された場合、その後最大23日間身柄拘束され、裁判を起こすか(起訴・不起訴)が決定されます。
嫌疑なし、起訴猶予などの理由で不起訴となった場合は、そこで釈放されます。
起訴が決定した場合は、引き続き勾留が必要であれば裁判まで身柄拘束が続くことになります。
逮捕や勾留、起訴後の勾留には、①罪を犯したことが疑われ、②証拠隠滅や逃亡のおそれがあること が必要です。
もしもこれらの条件が満たされていないような場合には、弁護士から意見書の提出や準抗告を行い、早期の釈放が叶うように活動していきます。
薬物で逮捕された人に会えるのはいつ?
逮捕された方に面会できる・逮捕された方が帰宅できるタイミングは、以下のようになっています。
タイミング | 面会・帰宅の可能性 |
---|---|
逮捕直後から約3日間 | 弁護士であれば面会可能 |
勾留請求(逮捕から約3日後) | 勾留請求されず、帰宅できる可能性 |
勾留期間中(逮捕から約3日後~23日後) | 接見禁止でなければ、家族も面会可能 また、取り調べが終了すれば帰宅できる |
起訴・不起訴決定時(逮捕から23日間以内) | 不起訴となれば帰宅できる 起訴でも、勾留の必要がなければ帰宅できる |
起訴後勾留 | 接見禁止でなければ、家族も面会可能 また、保釈請求が許可されれば帰宅できる |
刑事裁判の判決 | 執行猶予となれば、刑務所に入らず帰宅できる |
薬物で裁判となる割合はどのくらい?
警察庁のデータなどから、薬物事件で実際に起訴される割合は、それぞれ以下のようになっています。
薬物の種類 | 起訴される割合・人数 |
---|---|
覚醒剤 | 75.7%(9,942人) |
大麻 | 50.6%(2,863人) |
麻薬(コカイン・ヘロインなど*) | 59.9%(576人) |
*大麻製品の一部も麻薬として処理される場合もある
より違法性の強い覚醒剤での起訴率・起訴人数が大きくなっていることがわかります。
【覚醒剤の場合】薬物事件の刑罰と実際の相場
それでは警察庁のデータから、法律上の刑の上限と、実際に逮捕された方に科される刑罰の相場について見ていきましょう。
【覚醒剤】所持・使用の法定刑は?
覚醒剤に関する違法行為の刑罰は、覚醒剤取締法に以下のように定められています。
禁止行為 | 法定刑 |
---|---|
覚醒剤の使用・所持・譲渡・譲受 | 10年以下の懲役 |
営利目的での覚醒剤の所持・譲渡・譲受 | 1年以上20年以下の懲役 または 情状により1年以上20年以下の懲役+500万円以下の罰金 |
覚醒剤の輸入・輸出・製造 | 1年以上の20年以下の懲役 |
営利目的での覚醒剤の輸入・輸出・製造 | 無期もしくは3年以上20年以下の懲役 または 情状により無期もしくは3年以上の懲役+1000万円以下の罰金 |
【覚醒剤】実際の逮捕後の刑罰の相場は?
実際に裁判となった覚醒剤事件における刑罰は、以下のように懲役1年6ヶ月~2年程度が相場ということがわかります。
刑罰の期間 | 割合 |
---|---|
全部執行猶予 | 37.0% |
一部執行猶予 | 18.0% |
実刑:懲役1年以上2年未満 | 15.4% |
実刑:懲役2年以上3年以下 | 20.8% |
実刑:懲役3年を超え5年以下 | 6.6% |
実刑:懲役5年を超える | 2.1% |
覚醒剤にかぎらず、薬物で逮捕されても初犯であれば執行猶予がつく可能性は高いです。
初犯・覚醒剤使用または所持の場合、懲役1年6ヶ月に執行猶予3年とする判決が多いように思えます。
刑の一部執行猶予とは、3年以下の懲役刑について、実刑とする部分と執行猶予をつける部分を分ける制度のことです。
例えば「懲役2年6ヶ月に処する。その刑の一部である懲役6ヶ月の執行を2年間猶予する」と言われた場合、まず2年間刑務所に入り、出所後2年間罪を犯さずにいれば、6ヶ月ぶんの懲役刑は実行されない、という意味です。
【大麻の場合】薬物事件の刑罰と実際の相場
【大麻】所持・栽培の法定刑は?
大麻に関する違法行為の刑罰は、大麻取締法に以下のように定められています。
禁止行為 | 法定刑 |
---|---|
大麻の所持・譲渡・譲受 | 5年以下の懲役 |
営利目的での大麻の所持・譲渡・譲受 | 7年以下の懲役 または 情状により7年以下の懲役+200万円以下の罰金 |
大麻の栽培・輸入・輸出 | 7年以下の懲役 |
営利目的での大麻の栽培・輸入・輸出 | 10年以下の懲役 または 情状により10年以上の懲役+300万円以下の罰金 |
大麻は、その他薬物と違って「使用」についての刑罰はありません。
これは麻の種など合法な部分にもわずかながら大麻のTHC成分が含まれているので、それらまで処罰してしまうことを防ぐためと言われています。
【大麻】実際の刑罰の相場は?
実際に裁判となった大麻事件における刑罰は、以下のように懲役6ヶ月~1年、執行猶予3年程度が相場ということがわかります。
刑罰の期間 | 割合 |
---|---|
全部執行猶予 | 85.9% |
一部執行猶予 | 2.1% |
実刑:1年未満 | 6.7% |
実刑:懲役1年以上2年未満 | 2.3% |
実刑:懲役2年以上3年以下 | 1.5% |
実刑:懲役3年を超え5年以下 | 1.3% |
実刑:懲役5年を超える | 0.2% |
大麻事件では、覚醒剤などと比べより多くの者が執行猶予を獲得しています。
大麻は執行猶予がつく割合が高いですが、所持が大量であった場合・再犯の場合・営利目的で栽培・所持していた場合には実刑が十分ありえるため、注意が必要です。
【ヘロイン・コカイン・MDMAなどの場合】薬物事件の刑罰と実際の相場
【ヘロイン】所持・譲渡・譲受の刑罰は?
ヘロインに関する違法行為の刑罰は、麻薬及び向精神薬取締法に以下のように定められています。
禁止行為 | 法定刑 |
---|---|
ヘロインの所持・製剤・小分け・譲渡・譲受・交付 | 10年以下の懲役 |
営利目的でのヘロインの所持など | 1年以上20年以下の懲役 または 情状により1年以上20年以下の懲役+500万円以下の罰金 |
ヘロインの製造・輸入・輸出 | 1年以上20年以下の懲役 |
営利目的でのヘロインの製造・輸入・輸出 | 無期もしくは3年以上の懲役 または 情状により無期もしくは3年以上の懲役+1000万円以下の罰金 |
【コカイン・MDMA】所持・譲渡・譲受の刑罰は?
コカインやMDMA、LSDに関する違法行為の刑罰は、麻薬及び向精神薬取締法に以下のように定められています。
禁止行為 | 法定刑 |
---|---|
コカイン等の所持・製剤・小分け・譲渡・譲受・交付 | 7年以下の懲役 |
営利目的でのコカイン等の所持ほか | 1年以上10年以下の懲役 または 情状により1年以上10年以下の懲役+300万円以下の罰金 |
コカイン等の製造・輸入・輸出 | 1年以上10年以下の懲役 |
営利目的でのコカイン等の栽培・輸入・輸出 | 1年以上20年以下の懲役 または 情状により無期もしくは1年以上20年以下の懲役+500万円以下の罰金 |
【ヘロイン・コカイン・MDMA】実際の刑罰の相場は?
実際に裁判となった麻薬事件における刑罰は、以下のように懲役1~2年、執行猶予3年程度が相場ということがわかります。
刑罰の期間 | 割合 |
---|---|
全部執行猶予 | 78.7% |
一部執行猶予 | 4.1% |
実刑:1年未満 | 0.6% |
実刑:懲役1年以上2年未満 | 6.4% |
実刑:懲役2年以上3年以下 | 1.5% |
実刑:懲役3年を超え5年以下 | 1.3% |
実刑:懲役5年を超える | 0.2% |
【危険ドラッグ】所持・購入の刑罰は?
危険ドラッグには様々な種類がありますが、現在その多くは薬機法によって取り締まられています。
禁止行為 | 法定刑 |
---|---|
危険ドラッグの所持など | 3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金 または 併科 |
営利目的での危険ドラッグ所持など | 5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金 または 併科 |
薬物事件の弁護活動|逮捕後にすべきことは?
薬物で逮捕中に面会(接見)するには?
薬物での逮捕直後からおよそ3日間、勾留が決定するまでの間は家族は面会することができません。
ただし弁護士であれば、逮捕直後の期間であっても問題なく面会(接見)することができます。
もしも逮捕後にすぐ事情を知りたい場合、何かしら伝言をしたい場合、警察の取り調べへの対応を知らせたい場合には、弁護士に依頼するのがよいでしょう。
薬物で逮捕後の勾留中に面会するには?
原則として勾留期間中は、ご家族の方は逮捕された被疑者に面会することができます。
ですが薬物事件の場合、接見禁止命令が出ており、実際は面会できないことが多くなっています。
接見禁止命令が出るのは、逃亡や証拠隠滅のおそれを防ぐためです。
薬物は「薬をトイレに流しておいて」と暗に伝えるだけで証拠隠滅ができてしまうので、このような接見禁止命令が出ることが多くなっています。
ですが、接見禁止命令が出ていても弁護士であれば面会が可能です。
また、弁護士により接見禁止命令の一部解除の申し立てを行うことで、ご家族に限り面会が許可されることもあります。
薬物で不起訴を目指すには?
薬物ではおよそ半数以上が起訴されますが、不起訴となるケースには以下のようなものがあります。
- (主に大麻)所持量がきわめて微量
- 違法薬物を所持していたという認識がなかった
- 同居人が薬物を所持しており、一緒に逮捕されたものの自身は所持・使用していなかった
- 譲渡、譲受などを裏付ける証拠が見つからなかった
起訴・不起訴は検察の判断事項であり、その基準は明確ではありません。
もしもご本人が強く反省していたり、今後薬物を使用しないようご家族がお約束してくださっている状況であれば、弁護士がその旨を伝えることで、不起訴の可能性が上がる場合もあります。
薬物で起訴決定後に保釈してもらうには?
薬物事件で起訴が決定し、その後勾留が続いていても保釈請求をすることで、裁判までの間家に帰ることが可能です。
保釈されると、身辺整理や裁判の準備ができるだけではなく、執行猶予に繋がりやすくもなります。
保釈期間中に薬物の治療プログラムに通ったり、しっかり仕事をしていたことを証言してもらえれば、情状が有利になります。
薬物で執行猶予を獲得するには?
薬物事件で執行猶予を獲得できるケースとしては、以下のようなものがあります。
薬物事件で執行猶予になりやすいケース
- 前科、前歴がない
- 前回の懲役刑終了から長期間経過している
- 保釈されている
- 情状証人がいる
- 本人が反省を示し、薬物治療プログラムを受けている
薬物事件の弁護活動として、保釈や情状証人の確保、本人の反省を検察に効果的に伝えるためのお手伝いも弁護士がいたします。
ご家族やご友人が薬物で逮捕されたと知ったら、なるべく早くに弁護士にご連絡ください。
ただし、以下の場合には執行猶予がつかない・つきにくいため注意が必要です。
薬物事件で執行猶予にならない・なりにくいケース
- 同種の薬物の前科がある
- 前の刑の執行猶予期間中に再度逮捕された
- 営利目的の所持、譲渡、譲受など
- 所持量が多量
ご家族が薬物で逮捕されたら弁護士に相談を
ご家族が薬物事件で逮捕されたと知ったときは、すぐに弁護士にご相談ください。
薬物事件は起訴されるケースが多く、また相場通りの求刑がなされるため、刑罰をより軽くできるか・執行猶予をつけられるかというのは、早いうちから効果的な弁護活動ができるかにかかっています。
アトム法律事務所では、24時間365日ご相談の受付をおこなっております。
まずは目の前の事件を乗り越え、そして二度と薬物事件に巻き込まれないよう、再犯防止のため、共に協力していきましょう。
薬物事件の場合は、起訴後も90%以上の者が勾留されたままとなっています。
薬物はトイレに流すことで簡単に証拠隠滅できるので、それを阻止するため、他の事件より起訴後勾留率が高くなっています。