第二東京弁護士会所属。刑事事件で逮捕されてしまっても前科をつけずに解決できる方法があります。
「刑事事件 法律Know」では、逮捕や前科を回避する方法、逮捕後すぐに釈放されるためにできることを詳しく解説しています。
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痴漢事件、被害者と示談するべき?示談金相場と示談のメリットを解説
- 家族が痴漢で逮捕されてしまった、早く家に戻ってきてほしい…
- 痴漢被害者と示談したいが、連絡先を教えてもらえない…
- 本当に高額なお金を支払ってまで示談するべきなのだろうか…
ご自身やご家族が痴漢をしてしまった場合、被害者と示談はするべきなのでしょうか?
この記事では刑事事件の加害者弁護を多く取り扱っている弁護士監修のもと、痴漢で示談する方法やそのメリット、デメリットなどについて解説していきます。
- 痴漢被害者とは示談するべき?
- 痴漢で示談成立するまでの流れは?
- 痴漢の示談金の相場はいくら?
痴漢がバレた・逮捕された…示談するべき?
痴漢をしてしまったとき、ほとんどの場合は示談すべきと言えます。
痴漢事件における被害者との示談とは?
痴漢事件の示談とは?
痴漢事件の被害者と加害者で話し合い、損害賠償請求などの争いを当事者間解決すること
痴漢事件で示談するということは、裁判などの法的手続きの外で、双方の話し合いによって痴漢トラブルを解決することを指します。
示談ができれば、「既に争いは解決した」と警察や検察にアピールすることができ、逮捕や勾留、裁判といった刑事手続きを回避できる可能性が上がります。
痴漢での示談は誰が・誰と行う?
痴漢の示談のほとんどは、「痴漢被害者」と「痴漢加害者の弁護士」によって行われます。
痴漢被害者が未成年の場合は、親などの法定代理人が相手となることがあります。
痴漢での示談はいつまでに行う?
痴漢の示談を行う期限はありませんが、なるべく早く・逮捕されたのであれば23日以内に示談するのが最も効果的です。
逮捕された場合、起訴するかどうかは逮捕されて最大23日以内に決定されるため、その決定の前に示談したことを示す必要があるためです。
また、より早期に示談することで、逮捕や勾留などの身柄拘束を回避することもできます。
痴漢の示談交渉は、早ければ1週間程度で完了します。
痴漢行為が発覚した場合は、なるべく早くに弁護士に連絡してください。
既に起訴、裁判が決まっている場合であっても、示談が締結されたことで刑罰が軽くなる可能性があります。
痴漢の示談はどうやって行う?
痴漢の示談は、一般に弁護士に依頼し、「被害者と示談したい」と頼めば、あとは弁護士が示談手続きを行ってくれます。
弁護士・相手方・本人で「このような条件で示談したい」という示談交渉を重ね、双方の条件が合致したところで示談成立となります。
もしも痴漢被害者に示談を断られたら?
痴漢被害者に示談を断られても、被害弁済・贖罪寄付という形で、被害者に謝罪の意を示すことが可能です。
被害弁済(被害弁償) | 被害者と示談が結べない場合、 被害を弁償するための金銭だけ受け取ってもらうこと |
金銭の供託 | 被害者が金銭を受け取ってくれない場合、 被害者の住所を管轄する法務局に、金銭を保管しておいてもらうこと |
贖罪寄附 | 被害者が金銭を受け取ってくれず、氏名もわからないような場合、 被害者への謝罪の気持ちを示すため、公的な団体に寄附を行うこと 寄附先としては弁護士会、法テラス、各種慈善団体などがある。 |
示談と異なり、被害者と和解しているわけではないので、被害弁済や贖罪寄付がただちに不起訴に繋がるわけではありません。
ですが反省の意が示されていることや、一定程度被害が回復していると認められれば、刑罰が軽くなる可能性もあります。
痴漢事件で被害者と示談するメリット
①痴漢で不起訴になる可能性が上がる
痴漢で被害者と示談すると、不起訴となる確率が大幅に上がります。
被害者と既に示談(和解)しているのなら、わざわざ刑事処分をくださなくてもよい、と判断されやすくなるためです。
不起訴となると前科もつきませんから、釈放されれば元通りの生活を送ることができます。
一方で示談できず起訴されると、99%の割合で有罪となり前科がつくことになります。
痴漢であれば半年程度の懲役刑が科せられることもあり、また前科があることで就職など不利な場面も出てきます。
②痴漢での逮捕勾留から早期釈放される可能性があがる
痴漢容疑により逮捕、勾留されている状況で示談できれば、すぐに釈放してもらえる可能性があがります。
逮捕や勾留は起訴・不起訴を決めるための身柄拘束ですので、示談により不起訴となる見通しが立てば、それ以上身柄拘束をする必要がなくなるためです。
③痴漢で裁判になっても執行猶予がつく可能性があがる
示談のタイミングが遅く、結局裁判となってしまっても、示談していれば刑罰が軽くなる可能性があがります。
被害者と和解し、示談金を支払っていることが「反省しており更生の可能性がある」「被害が弁償されている」と評価されるためです。
より具体的には、罰金の金額が減る・懲役刑の期間が短くなる・懲役刑に執行猶予がつく、などの効果が期待できます。
④痴漢で民事訴訟を起こされる可能性が減る
痴漢で正しく示談ができれば、その後被害者から新たに慰謝料請求される可能性を大きく減らすことができます。
実は痴漢をしてしまった場合、刑事裁判で訴えられるリスクと、民事裁判で慰謝料を請求されるリスク両方が存在するのです。
ですが示談の際、「すべて解決したこととする」「この後一切の金銭を請求しない」という旨の一文を入れてもらうことで、民事裁判で更にお金を請求される事態を回避できます。
痴漢事件で被害者と示談するデメリット
①痴漢の示談には示談金がかかる
痴漢で示談をするときは、加害者側は示談金を支払うことになるのが一般的です。
よって一切金銭を支払いたくない、支払うお金が無いという場合には、示談が成立しないこともあります。
なお受け入れてくれるかは相手方によりますが、示談金の分割払いが行われることもあります。
②痴漢した現場に近寄れなくなることも
痴漢で示談を結ぶ条件として、「痴漢をした現場に近づかない」という条項がよく盛り込まれます。
そのため、痴漢をした電車の路線や商業施設を利用できなくなる可能性があります。
路線や施設の利用禁止は、被害者の方に安心して示談を結んでいただくために必要な条項です。
利用禁止の定めを破ると、示談の効果が無くなってしまう場合もあります。
③示談書の形式を間違えると効果がない?
示談書の書き方が悪いと、不起訴や民事訴訟の回避などが叶わないことがあります。
示談書に入れるべき条項
宥恕条項 | 加害者を許し、処罰を求めないという条項 |
清算条項 | 当事者間で示談書に定める以外の請求をしないという条項 |
守秘義務条項 | 事件について口外しないという条項 |
なお弁護士に依頼しておけば、適切な形式での示談書をすぐに用意できますので、上記のような条項を書き漏らすことはありません。
痴漢の示談交渉|実際の流れや手続きは?
痴漢発覚~示談成立までの流れ
実際の痴漢事件における示談の流れは、以下のようになっています。
①痴漢加害者が弁護士に依頼をする
まず、痴漢加害者が被害者と直接示談をするのは困難なので、弁護士に依頼することになります。
仮に加害者自身で示談の申し出をしても、被害者側が応じてくれることはほとんどありません。
②弁護士が被害者の連絡先を獲得する
依頼を受けた弁護士は警察や検察を通し、被害者に示談の申し出をし、示談の際に必要な連絡先を獲得します。
被害者の方も、相手が弁護士ならばと受け入れてくださる方が多いです。
③示談金などの示談交渉を行う
被害者の方の連絡先を手に入れた後は、通話や実際の面談を通じて、示談交渉をしていきます。
双方の示談条件が一致したところで、示談締結となり示談交渉は終了します。
④示談締結・示談書の作成
示談の内容は示談書にまとめられ、弁護士と被害者双方の署名・捺印がなされます。
完成した示談書の写しは警察や検察に送り、釈放や不起訴処分を求めるための根拠とします。
一般的には、示談書を作成してから被害者の方に示談金を振り込みます。
加害者の方には、一旦弁護士の預り金口座に示談金を送金してもらい、そこから被害者の方の口座に振り込む、という手続きをとることが多いです。
痴漢事件の示談金・慰謝料相場はいくら?
一般に痴漢事件の示談金は30万円前後と言われていますが、事案によって金額は大きく変わってきます。
具体的には、以下のような事情などで金額が左右される傾向があります。
痴漢の罪名 | 「強制わいせつ罪」の場合、「迷惑防止条例違反」より示談金は高くなりやすい |
痴漢行為の態様 | 痴漢行為が悪質であると、示談金は高くなりやすい |
被害者の精神的苦痛 | 痴漢により被害者が通院、休職などをしていると、示談金が高くなりやすい |
被害者の処罰感情 | 痴漢被害者の処罰感情が強いと、示談を結んでもらえないか、示談金が高くなりやすい |
ちなみに、「慰謝料」は被害者の精神的苦痛を和らげるために支払われるお金で、「示談金」に内包されています。
示談書に清算条項を盛り込んでおけば、「示談金を支払ったのに慰謝料も請求される」という事態を避けることができます。
痴漢事件の示談は弁護士にお任せください
痴漢事件は、いかに被害者と早く示談できるかが、その後の流れを大きく左右します。
示談までの第一歩として、まずは弁護士にご相談ください。
本当に示談するべきなのか、示談金はいくらになりそうかなど、痴漢の示談に関するご不安にお答えすることができます。
ご相談を、心よりお待ちしております。
加害者ご本人が示談をすることは難しいのが現状です。
痴漢が性犯罪である以上、加害者と連絡を取り合ってはくれない被害者の方がほとんどであるためです。
お一人でなんとかしようと思わず、まずは弁護士にご相談ください。