第二東京弁護士会所属。刑事事件で逮捕されてしまっても前科をつけずに解決できる方法があります。
「刑事事件 法律Know」では、逮捕や前科を回避する方法、逮捕後すぐに釈放されるためにできることを詳しく解説しています。
被害者との示談で刑事処分を軽くしたい、前科をつけずに事件を解決したいという相談は、アトム法律事務所にお電話ください。
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エスカレーターでの盗撮で逮捕|被害者との示談は弁護士に相談を
- 駅のエスカレーターで盗撮してしまった…
- ショッピングモールのエスカレーターで盗撮してたのが見つかった…
- 家族がエスカレーターで盗撮して逮捕されたと警察から連絡がきた…
エスカレーターはローアングルからの撮影がしやすく、盗撮の現場になりやすい場所です。
もしもエスカレーターでの盗撮が見つかってしまったら、あるいはご家族がエスカレーターでの盗撮で逮捕された、という連絡が来たらどうしたらよいのでしょう。
この記事では、エスカレーターでの盗撮に注目して、弁護士が解説していきます。
- エスカレーターでの盗撮で逮捕されたらどうなる?
- エスカレーターの盗撮で刑罰はどのくらいになる?
- エスカレーターの盗撮で前科をつけないためには?
目次
エスカレーターでの盗撮…逮捕される?
エスカレーターの盗撮で現行犯逮捕される?
エスカレーターにおける盗撮での逮捕は、ほとんどが被害者本人や周囲の目撃者による現行犯逮捕です。
現行犯逮捕とは
犯行をしている最中、またはその直後に逮捕されること
逮捕令状が不要で、警察以外の一般人でも逮捕できるのが特徴
その場で捕まった場合、近くの警察署で取り調べを受け、映像などを確認されます。
その後は、家族が身元引受人になってくれる場合は釈放、否認をしていたり余罪があったりするとそのまま引き続き身柄拘束が続く場合が多いようです。
防犯カメラの映像で後日逮捕されることはある?
盗撮の現場で気づかれたものの逃走したため捕まらなかった、という場合には、後日逮捕(通常逮捕)される可能性があります。
すでに容疑者が特定できているため、犯行現場が防犯カメラに映っていたり、被害者が積極的に警察にはたらきかけたときには、後日逮捕されることがありえます。
一方で、その場で盗撮に気づかれていなかった場合に後日逮捕されることは比較的少ないです。
通常逮捕には逮捕状発付などの手続きが必要なうえ、被害者が特定できないこともあるためです。
もっとも盗撮常習犯の場合、施設の管理者側が警戒し、防犯カメラの画像などから本人を特定し後日逮捕に至る場合もあります。
もしもご不安である場合は、弁護士が自首に同行し、できる限り不当な扱いを受けないようお手伝いすることも可能です。
盗撮が見つかっても逮捕されないことがある?
盗撮が見つかり、警察で取り調べを受けても逮捕されず家に帰される場合もあります(在宅捜査)。
罪を素直に認めていたり、余罪がなかったり、画像の入った媒体を警察に提出していたりすると、在宅捜査となりやすい傾向があります。
その場合は、随時警察の呼び出しなどに応じて取り調べを受けていく必要があります。
エスカレーターで盗撮し逮捕された後の流れ
それでは、エスカレーターでの盗撮が見つかり、逮捕されてしまった後の流れを見ていきましょう。
①警察署で警察による盗撮の取り調べ
場所 | 時間 | すること |
---|---|---|
警察署(留置場) | 逮捕後最大48時間 | 取り調べなど |
まず逮捕後最大48時間、警察署で動画や写真の確認、犯行現場の再現などの取り調べが行われます。
取り調べが行われていないときは、留置場で生活します。
②検察庁で検察官による勾留の決定
場所 | 時間 | すること |
---|---|---|
検察庁 | 送検後最大24時間 | 検察からの質問 勾留・釈放の決定 |
警察から検察に身柄が移され(送検)、その後24時間以内に引き続き勾留して身柄拘束するかが決定されます。
③裁判官による起訴・不起訴の決定
場所 | 時間 | すること |
---|---|---|
拘置所 留置場 | 最大20日間 (原則10日+延長10日) | 取り調べ 起訴・不起訴の決定 |
勾留期間中は引き続き取り調べが進められつつ、検察により盗撮事件について起訴するかが決定されます。
不起訴となる主な理由としては、被疑者の反省や犯行内容を鑑みて起訴を裁量的に見送る起訴猶予が最も多くなっています。
④エスカレーターでの盗撮事件で刑事裁判
場所 | 時間 | すること |
---|---|---|
地方裁判所 簡易裁判所 | 事案による・数カ月程度 | 有罪・無罪の決定 刑罰の決定 |
通常の起訴が決定した場合は、決定からおよそ1か月後以降に刑事裁判が開始され、被疑者の有罪・無罪、有罪の場合は刑罰を決めるために証拠調べや弁論などが順次行われていきます。
なお略式起訴となった場合はその直後から手続きが開始され、罰金刑が下されることになります。
エスカレーターで盗撮したらスマホやカメラは取られる?
盗撮に用いたスマートフォンなどのカメラは、警察に任意提出するか強制的に差し押さえられるかの形で取られてしまいます。
盗撮したカメラは重要な証拠品ですので、たとえ任意提出を拒んでも、差し押さえの形で没収されてしまうことになります。
没収されたスマートフォンは、不起訴決定後・または裁判が終了した時点で返してもらえることが多いです。
しかし不起訴決定までは1ヶ月弱、裁判終了までは半年程度かかることも多いため、新規に購入される方が多いです。
ただし「設置」「差し向ける行為」のみでその他盗撮データも一切残っていない場合は、早い段階から返却してもらえる場合もあります。
エスカレーターでの盗撮で早期に釈放してもらうには?
逮捕や勾留から早期に釈放してもらうには、弁護士に依頼することが重要です。
例えば家族がいて逃走の心配が無いことや既にスマホやパソコンが没収されていて証拠隠滅の恐れが無いことを意見書として提出し、逮捕や勾留の必要性が無いことを示す活動などができます。
さらに被害者が特定できている場合は早期に示談することで、不起訴(起訴猶予)の可能性を高めて起訴後勾留を避けることもできます。
また起訴が決定してしまった場合も、複雑な保釈手続きなどを行い、ご本人が早期に社会復帰できるようお手伝いいたします。
エスカレーターでの盗撮行為は何の罪が成立する?
今まで「盗撮罪」のような罪状はなく、各都道府県の迷惑防止条例が盗撮を規制しているのが現状でした。
しかし、2023年7月に全国一律の処罰規定である撮影罪が導入されました。2023年7月以降の盗撮は撮影罪として処罰される可能性があります。
エスカレーターでの盗撮は【迷惑防止条例違反】
エスカレータ―で盗撮してしまった場合、各都道府県の迷惑防止条例に違反することになります。
次のいずれかに掲げる場所又は乗物における人の通常衣服で隠されている下着又は身体を、写真機その他の機器を用いて撮影し、又は撮影する目的で写真機その他の機器を差し向け、若しくは設置すること。
ロ 公共の場所、公共の乗物、学校、事務所、タクシーその他不特定又は多数の者が利用し、又は出入りする場所又は乗物(イに該当するものを除く。)
東京都迷惑防止条例5条1項2号
駅や商業施設などのエスカレーターは、「公共の場所」または「不特定又は多数の者が利用し、出入りする場所」にあたります。
盗撮した場合の刑罰は、多くの都道府県で1年以下の懲役又は100万円以下の罰金と定められています。
公共の場所にないエスカレーターでは盗撮にならない?
迷惑防止条例は各都道府県ごとの決め事であるため、駅など以外の商業施設にあるエスカレーターでの盗撮について、処罰の規定が無い場合もあります。
都道府県によっては、「不特定又は多数の者が利用し、出入りする場所」を盗撮で処罰する範囲外としているところもあります。
もしもご不安な場合は、弁護士に相談して実際の条例を確かめてみてください。
新設された「撮影罪」とは
盗撮を取り締まる法律は元々存在せず、各都道府県の迷惑防止条例が適用されてきましたが、2023年7月に全国一律の処罰規定である撮影罪が導入されました。
撮影罪で取り締まられる盗撮は以下のような行為です。
第二条 次の各号のいずれかに掲げる行為をした者は、三年以下の拘禁刑又は三百万円以下の罰金に処する。
一 正当な理由がないのに、ひそかに、次に掲げる姿態等(略)を撮影する行為
イ 人の性的な部位(性器若しくは肛門若しくはこれらの周辺部、臀部又は胸部をいう。(略))又は人が身に着けている下着(通常衣服で覆われており、かつ、性的な部位を覆うのに用いられるものに限る。)のうち現に性的な部位を直接若しくは間接に覆っている部分
ロ イに掲げるもののほか、わいせつな行為又は性交等(略)がされている間における人の姿態
(性的な姿態を撮影する行為等の処罰(略)関する法律2条)
胸やでん部、スカートの中などを盗撮する行為や、性交中の様子などを同意なく撮影する行為が撮影罪で処罰される主なケースとなります。エスカレーターでの盗撮行為は撮影罪に該当する可能性があります。
撮影罪の刑罰は「3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金」です。
エスカレーターの場所によっては【建造物(住居)侵入罪】
エスカレーターが屋内施設にあるような場合には、盗撮のため施設に入ったことで建造物侵入罪(刑法130条)が成立する可能性があります。
正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。
刑法130条
迷惑防止条例違反と建造物侵入罪が両方成り立つとき、二つは牽連犯(盗撮の手段として建造物侵入罪が行われていること)となります。
このとき懲役刑であれば3年以下、罰金刑であれば100万円以下となります(最高裁判令和2年10月1日判決。
実際にエスカレーターで盗撮した処罰は罰金?懲役?
それでは、実際にエスカレーターの盗撮事件の裁判でどのような判決が下されたか見てみましょう。
事案 | エスカレーターでスマートフォンを用いて、被害者の下着を撮影する ※前科5犯 |
判決 | 罰金30万円 |
事案 | エスカレーターでデジタルカメラを使用して、被害者の太ももを撮影 ※前科1犯 ※被害者と示談・宥恕成立 |
判決 | 懲役6ヶ月執行猶予3年 |
罰金刑と懲役刑、どちらも判決として下されていることがわかります。
ですが被害者と示談をすることで執行猶予がつき、刑務所に行かなくて済む可能性も残されています。
写真が撮影できてなくても盗撮になる?
実際に動画や写真が撮影されていなくとも、迷惑防止条例で「カメラを差し向けること」「カメラの設置」が処罰対象とされている場合は、盗撮になります。
また実際にスマホを向けたとまで証明できなくとも、明らかに盗撮するような動きをしていたことが「卑わいな言動」とされ、逮捕された事案もあります。
なお実際に撮影がされておらず、他の盗撮データも認められないような場合は、逮捕や勾留をされる可能性は低くなります。
また、比較的早くスマホ等も戻ってくる傾向があります。
エスカレーターでの盗撮で前科を免れる弁護活動とは
盗撮被害者と示談するメリット|不起訴を目指す
盗撮事件における最も有効な弁護活動は、盗撮被害者と示談をすることです。
示談とは
盗撮被害者と加害者との間で、盗撮によって起こる損害賠償の争いを裁判外の話し合いで解決すること
実際に被害者と示談することができれば、以下のようなメリットがあります。
示談のメリット
- 盗撮被害者と和解したことを示すことで、逮捕勾留からの早期釈放が期待できる
- 同様の理由で、盗撮で不起訴となる可能性が高まる
- 身柄拘束が早期に終わり、会社や周囲にバレるリスクが低くなる
- 適正価格の示談金で示談することが可能
- 後から追加で慰謝料などを請求されずに済む可能性が高くなる
示談で被害者に盗撮被害届を取り下げてもらうことは可能?
相手方が盗撮の被害届を出している場合、「被害届の取下げ」を条件とすることができます。
被害届の取下げがなされれば、不起訴となる可能性は非常に高まります。
なお、実際にその条件を受け入れるかどうかは相手方次第であるため、取り下げを強制することはできません。
盗撮被害者との示談は弁護士に任せる
実際には、盗撮した本人が被害者と示談交渉することは難しいため、弁護士に任せるのが一般的です。
個人で示談を行おうとしても、そもそも相手方の住所や氏名がわからないことがほとんどです。
ですが弁護士に依頼してしまえば、示談条件や示談金の確認だけで、手間暇をかけず被害者と示談することができます。
エスカレーターで盗撮してしまったら弁護士に相談を
エスカレーターでの盗撮は現行犯逮捕が多く、パニックでどうしようもなくご不安になってしまう方がほとんどです。
ですがそんな切羽詰まった状態だからこそ、被害者の方にしっかり謝罪の意を示し、警察の取り調べにも適切な対応をしていくことが重要です。
盗撮が発覚し逮捕されてしまったら、またはご家族が逮捕されたと連絡があったら、ぜひ弁護士にご相談ください。
現行犯逮捕は、警察以外でもすることができます。
具体的には盗撮の被害者のほか、警戒中の私服警官、目撃者、商業施設の警備員などにつかまり、現行犯逮捕されるケースが多いです。