岡野武志

第二東京弁護士会所属。刑事事件で逮捕されてしまっても前科をつけずに解決できる方法があります。

「刑事事件 法律Know」では、逮捕や前科を回避する方法、逮捕後すぐに釈放されるためにできることを詳しく解説しています。

被害者との示談で刑事処分を軽くしたい、前科をつけずに事件を解決したいという相談は、アトム法律事務所にお電話ください。

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刑事事件と執行猶予|裁判で執行猶予になる方法は?執行猶予中に刑事事件を起こすと…

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刑事事件における「執行猶予」の意味をご存知でしょうか。

ご自身やご家族が刑事裁判で懲役刑が言い渡されたとき、執行猶予の有無は非常に重要です。

  • 刑事事件における執行猶予とは?
  • 裁判で執行猶予を獲得するには?
  • 執行猶予中に刑事事件を起こすとどうなる?

など、「刑事事件執行猶予」について弁護士の解説を交えながらお伝えしていきます。

刑事事件と執行猶予|執行猶予とは?裁判で執行猶予になるには?

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執行猶予の意味とは?要件や期間は?

執行猶予」の意味をご存知でしょうか。

ニュースなどでもよく耳にする制度ですよね。

執行猶予の意味を改めて確認しておきましょう。

刑の言渡しをした場合に、情状によりその執行を一定期間猶予し、その期間を無事経過するときは刑を受けることがなくなる制度(刑一編四章)。(略)

引用元:有斐閣 法律用語辞典 第4版

つまり、執行猶予とは、有罪の場合に、一定の期間にわたって、刑を執行しないということです。

懲役刑を言い渡された際でも、執行猶予がつけば、直ちには刑務所に行かなくて済みます。

よって、有罪判決を受けても執行猶予がつけば社会の中で生活することが可能です。

懲役実刑と執行猶予ありの違いを分かりやすく説明すると以下のようになります。

実刑と執行猶予の違い

刑事裁判の判決において、執行猶予ありかなしでは大きな差があるということです。

執行猶予の要件は?

執行猶予はすべての判決においてつけられるわけではありません。

執行猶予がつけられる要件が定められています。

  1. ① 言い渡される刑が3年以下の懲役・禁錮、または50万円以下の罰金であること
  2. ② 酌むべき情状があること
  3. ③ 前に禁錮・懲役刑になったことがないか、あるとしてもその刑の執行終了(執行の免除も含む)から5年間をあらたに禁錮・懲役刑に処せられることなく過ごしたこと

以上のように、要件がくわしく決められています。

執行猶予を獲得するには、言い渡される刑が3年以下である必要があります。

つまり、執行猶予判決の上限は「懲役3年執行猶予〇年」というものです。

執行猶予になるためには、刑務所に入ったことがない、または、あるとしても刑務所から出所して5年以上経過している必要があります。

以上のように、執行猶予がもともと無理な場合も存在します。

執行猶予がつかないケースをまとめると以下の通りです。

  1. ① 言い渡される刑が3年を超える懲役・禁錮である場合
  2. ② 酌むべき情状がない場合
  3. ③ 過去5年の間に、禁錮・懲役刑に処せられたことがある場合

執行猶予を獲得するには様々な条件があることがわかりました。

ご自身やご家族の事件に執行猶予がつくかどうかは以下の図を参考にしてください。

執行猶予がつく条件①

執行猶予の期間は?

執行猶予の期間は刑法25条により「執行猶予期間の最短は1年、最長は5年」と定められています。

何年でも自由に執行猶予を付けられるわけではありません。

(略)裁判が確定した日から一年以上五年以下の期間、その執行を猶予することができる。(略)

引用元:刑法25条

実務上は3年から5年の範囲内で、執行猶予期間が定められることが多いです。

短期の懲役刑が言い渡される場合は、執行猶予期間が2年の場合もあります。

執行猶予がつくとどうなる?

懲役刑が言い渡されても執行猶予がつけば、直ちに刑務所に行かなくて済みます。

懲役刑や禁錮刑の判決で、執行猶予が付かなかった実刑判決の場合は、そのまま刑務所に入らなければなりません。

勾留がない状態で実刑判決を受けた場合は、後日、当局から呼び出され、これに応じなければなりません。

判決まで保釈されていた場合でも、新たに保釈が認められない限り、拘置所に収容されます。

執行猶予の期間中、執行猶予を取り消されることがないまま無事に過ごすと、刑の言い渡しは効力を失います。

つまり、前の刑は受けなくていいということです。

執行猶予が付与されれば、日常生活を送ることが可能ということです。

また、執行猶予の期間を無事終え、その後に新たに犯罪を行っても、前の有罪判決による刑は加算されません。

執行猶予が過ぎれば、前に有罪判決を受けたことによる資格制限も受けなくなります。

刑事事件の裁判で執行猶予になる方法は?

刑事裁判で執行猶予を獲得するには、弁護士に相談することが重要です。

事件が起訴(公判請求)され、刑事裁判になった場合は、罰金刑ではなく、懲役刑が求刑されるのが一般的です。

懲役刑が言い渡されると、直ちに刑務所に収容されてしまいます。

もっとも、執行猶予がつけばその場では刑務所に収容されることはありません。

裁判官に「被告人を直ちに刑務所にいれる必要はない」という心証を抱いてもらうことが重要です。

まず弁護士は、事件自体に有利な点があるかを検討し、裁判官にその点を主張します。

被告人がすぐに刑務所に服役する必要はなく執行猶予を付けるに足りる人であることを証明することが執行猶予獲得につながります。

  • 被害が軽微である
  • 計画的でない
  • 犯行の動機に酌むべき事情がある

などの被告人に有利な事件の事情を検討し弁護人が裁判官に主張します。

執行猶予付きの判決は、法律上の要件が備わっているだけで得られるものではありません。

被告人が社会の中で更生できるということを、裁判官に対して十分に主張する必要があります。

被告人と真摯に向き合う姿勢をもった弁護士を見つけることが、執行猶予獲得への第一歩です。

被告人自身の有利な事情が執行猶予獲得には重要です。

  • 示談が成立し反省している
  • 被告人は既に社会的制裁を受けている
  • 同種の前科もなく刑事裁判も初めて

など、被告人自身の有利な事情も裁判官へ主張します。

執行猶予獲得のための弁護活動
  • 事件自体に有利な点があるか検討し、裁判官に主張する
  • 依頼者自身に有利な点があるか検討し、裁判官に主張する

執行猶予中に制限されることは?海外旅行には行ける?

執行猶予中だからといって、何もかもが制限されるわけではありません。

海外旅行へ行くことも不可能ではありません。

ただし、実際に海外旅行に行けるかどうかは、渡航先の国との問題になりますので、一概には言えません。

また、パスポートの入手自体も制限されることがあります。

第13条

外務大臣又は領事官は、一般旅券の発給又は渡航先の追加を受けようとする者が次の各号のいずれかに該当する場合には、一般旅券の発給又は渡航先の追加をしないことができる。

一  渡航先に施行されている法規によりその国に入ることを認められない者

(略)

三  禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又は執行を受けることがなくなるまでの者(略)

引用元:旅券法第13条

ご覧の通り、禁錮以上の刑に処せられた際にはパスポートの入手が制限されることがあります。

また、渡航先の国のビザの発行は難しい場合もあります。

海外渡航をする予定がある場合は、渡航先の国の大使館等に問い合わせを入れ、ビザの発行などに関して質問してみましょう。

さらに、保護観察が付いている場合は、関係者への事前連絡が必要になります。

海外旅行の他に引っ越し、転居、転職も自由です。

捜査当局から監視もされていません。

日常生活の過ごし方で注意を要するのは、車の運転です。

運転免許の取得や車の運転はできますが、交通事故を起こすと執行猶予が取り消される可能性があります。

車の運転は、できるだけ行わない方が無難です。

他にも就職活動、アルバイトの就活・面接も自由に応募することができます。

国家資格の勉強を進め、これを受験することも可能です。

執行猶予中に刑事事件を起こすとどうなる?執行猶予は取消し?

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執行猶予中に再び刑事事件を起こすとどうなる?

執行猶予中に再び刑事事件を起こした場合は、「再度の執行猶予」がつかない限り前の執行猶予は取り消されます。

再度の執行猶予とは、執行猶予中に犯罪を犯し、有罪判決を言い渡された際に、新たに言い渡される刑について、もう一度その執行を猶予することをいいます。

執行猶予が取り消されると前に受けるはずだった禁錮・懲役刑と今回の禁錮・懲役刑の刑期が合計された分、刑務所へ収容されます。

執行猶予中の犯罪は、厳しく処罰されます。

特に、同種の犯罪を繰り返した場合は、古い懲役刑の刑期と新しい懲役刑の刑期を合わせた期間、刑務所に収監されるのが通常です。

新たな犯罪について罰金になる場合でも、前の執行猶予が取り消される可能性があります。

ただ、執行猶予が取り消されなかった場合は、新たな罪について罰金刑を支払うだけで大丈夫です。

直ちに刑務所に行く必要はありません。

「再度の執行猶予」が認められるためには、以下の①から③の厳しい要件をすべて満たす必要があります。

  1. ① 今回言い渡される刑が1年以下の懲役・禁錮であること
  2. ② 情状に特に酌量すべきものがあること
  3. ③ 前回の執行猶予判決に保護観察が付され、その期間内に今回の罪を犯した場合でないこと

再度の執行猶予を獲得するためには厳しい条件があることがわかりました。

弊所では、窃盗や万引きにおいて、再度の執行猶予判決を獲得した実績もあります。

再度の執行猶予を獲得すると、引き続き社会の中で生活することができます。

執行猶予が取り消しになる条件は?

執行猶予中に再度、犯罪を犯すと執行猶予が取り消される場合があります。

執行猶予の取消しには2種類あります。

  • 裁量的取消
  • 必要的取消

先ほどの章で説明した執行猶予が再度付けられる条件

  1. ① 今回言い渡される刑が1年以下の懲役・禁錮であること
  2. ② 情状に特に酌量すべきものがあること
  3. ③ 前回の執行猶予判決に保護観察が付され、その期間内に今回の罪を犯した場合でないこと

をクリアしていなければ執行猶予は取り消されます。

今回の刑が罰金刑であるときは、前回の執行猶予が裁量的取消となります。

他方、今回の刑が禁錮または懲役であるときは、再度の執行猶予がつかない限り、前回の執行猶予が必要的取消となります。

そうして執行猶予が取り消された場合には、今回言い渡される刑に加えて、前回の刑についても、併せて刑の執行を受けることになります。

また、交通事故でも執行猶予が取り消される危険があると言えます。

その交通違反が反則手続の対象とならない場合には、罰金または懲役となります。

懲役のときは再度の執行猶予がつかない限り必ず、罰金のときは場合により、前の執行猶予が取り消されます。

そして、今回の刑と併せて前の刑の執行も受けることになります。

執行猶予中の再犯は懲役実刑?罰金刑?

執行猶予の期間を何事もなく終えれば刑務所に入らずに済みます。

もっとも、執行猶予中の再犯で犯した罪が「禁錮・懲役刑」の場合は、再度の執行猶予がつかない限り、前の執行猶予は必ず取り消されます。

前に受けるはずだった禁錮・懲役刑と今回の禁錮・懲役刑の刑期が合計された分、刑務所に行かなければなりません。

一方、執行猶予中に犯した罪が罰金刑になる場合は、前の執行猶予が取り消される場合と取り消されない場合とがあります。

執行猶予が取り消されなかった場合は、新たな罪について罰金を支払う必要がありますが、刑務所に収容されることはありません。

再犯で起訴された場合、裁判官に悪い心証を与えるので、実刑の可能性が高いといえます。

特に執行猶予中の再犯は実刑の可能性が高いです。

実刑判決が出た場合は前の刑と合わせた期間、刑務所に入ることになります。

執行猶予中の再犯についてくわしく知りたい方は以下のページもご覧ください。

【弁護士無料相談】刑事事件の裁判で執行猶予になるには?

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執行猶予になるには弁護士が必要?

刑事事件の裁判において弁護士は非常に重要な役割を果たします。

被告人は、どんな罪を犯したとしても弁護人による弁護活動を受ける権利が保障されています。

依頼された弁護士は最後まで被告人の心強い味方です。

弁護士は、依頼者である被告人のために執行猶予獲得に全力で取り組みます。

また、弁護士であれば裁判官に被告人に執行猶予を付けるように充分主張できます。

被告人自身の有利な事情が執行猶予獲得には重要です。

また、示談が成立し反省しているなどの事実も非常に有効です。

示談は弁護士に依頼することでスムーズに締結することが考えられます。

当事者の間で示談ができないのであれば、最終的には民事裁判で賠償金額が決められます。

そのため、民事裁判の見込みを踏まえて、弁護士が交渉すると示談でまとまりやすくなります。

弁護士が、示談金額の根拠をキチンと説明することで、被害者が納得して応じてくれることも多くあります。

被害者は加害者への怒りや恐怖から、加害者と話すこと自体を拒絶することがあります。

そのような場合には、弁護士であれば示談交渉の場に出てくれることもあり、弁護士限りで捜査機関から被害者の住所を教えてくれることもあります。

刑事手続きにおいて、弁護士は重要な役割を果たします。

また、示談交渉においても弁護士に依頼するとスムーズに締結することが予想されます。

弁護士に刑事事件を無料相談する方法は?

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執行猶予を獲得するには、弁護士の力添えが必須です。

また、法律の専門家である弁護士に相談し、事件を依頼すると安心ですよね。

事件が起訴され、刑事裁判が開かれることになっても弁護士に依頼すれば、執行猶予の獲得に向けて尽力します。

刑事裁判では、検察官から懲役刑を求刑されることが通常です。

しかし、執行猶予が獲得できれば刑務所に入らず社会の中で生活することができます。

ご自身やご家族が刑事事件の加害者になってしまった場合は弁護士への相談をご検討ください。

弊所では、弁護士無料相談を行っています。

  • 無料対面相談(初回30分)

など、お気軽にご相談いただける窓口をご用意しております。

元の日常を取り戻すためにも、将来のためにもまずは早めに以下の窓口から弁護士にご相談ください。

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