岡野武志

第二東京弁護士会所属。刑事事件で逮捕されてしまっても前科をつけずに解決できる方法があります。

「刑事事件 法律Know」では、逮捕や前科を回避する方法、逮捕後すぐに釈放されるためにできることを詳しく解説しています。

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「のぞき」は弁護士に相談|のぞきは何罪?罰則や判例、不起訴の可能性を解説

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  • のぞきって何罪になるの?罰則は?時効は?
  • のぞきについて弁護士に相談するべき?

ご覧のページでは、のぞきの罪や弁護士に依頼するべき理由などについて解説していきます。

のぞきの罪を弁護士が解説|軽犯罪法違反

のぞき行為は

  • 軽犯罪法違反
  • 住居(建造物)侵入罪

のどちらかに問われる可能性があります。

まずは軽犯罪法違反について解説していきましょう。

軽犯罪法ってなに?|トイレや風呂以外は罪に問われない?

軽犯罪法とは、軽微な秩序違反を取り締まる法律です。

とくに軽犯罪法1条23号では、のぞき行為について禁じられています。

左の各号の一に該当する者は、これを拘留又は科料に処する。

(略)

二十三 正当な理由がなくて人の住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服をつけないでいるような場所をひそかにのぞき見た者

(略)

引用元:軽犯罪法1条

問題となるのは、

  • 人が通常衣服をつけないでいるような場所」とは何を指すのか
  • ひそかにのぞき見る」とは何なのか

です。

「人が通常衣服をつけないでいるような場所」とは?

条文内で例示されているのは

  • 住居
  • 浴場
  • 更衣場
  • 便所

ですが、これらの場所以外にも「人が通常衣服をつけないでいるような場所」はあります。

  • 宿泊施設、客船、寝台列車などの、各個人の部屋
  • 商業施設などの試着室
  • 病院などの診察室

上記の場所も衣服を脱ぐ機会が想定されるので、「人が通常衣服をつけないでいるような場所」と解されることでしょう。

「ひそかにのぞき見る」とは?

「ひそかにのぞき見る」というのは、「見られる側の人に気づかれないようにこっそり見る」という意味です。

判例上、軽犯罪法ののぞき見の罪は「プライバシーと私生活の平穏を保護するための条文である」と解釈されています。

(略)

(軽犯罪法1条23号の趣旨は)プライバシーないし私生活の平穏を視覚的な侵害から保護することにあると解される。

(略)

引用元:福岡高等裁判所 平成27年4月15日判決 事件番号『平成27年(う)第1号』

この判示から考えると、

  • のぞき見た場所に人がいなかった
  • のぞき見た場所にいた人が服を着ていた

といった場合でも、本罪の既遂罪が適用される可能性が高いでしょう。

罰則は?時効は?

軽犯罪法ののぞき見の罪の罰則は、

拘留または科料

です。

刑罰の種類

実務上、拘留が科されるケースはほぼないので、多くは科料が科されることになると思われます

時効は?

時効と一口に言っても色々な種類があるのですが、一般に刑事事件における時効といったときには、

公訴時効

を指すことが多いでしょう。

公訴時効とは

犯罪発生後、一定の期間を過ぎると起訴できなくなるという時効

つまり、一定の年数が過ぎたら罪に問えなくなる時効、ということです。

軽犯罪法ののぞき見の罪の公訴時効は、

1年

です。

まとめ

軽犯罪法(のぞき見の罪)

行為ひそかにのぞき見る
場所人が通常衣服をつけないでいるような場所
住居、トイレ風呂、更衣所ほかホテル等の部屋、試着室、診察室など
罰則拘留または科料
公訴時効1

のぞきの罪を弁護士が解説|住居侵入罪と建造物侵入罪

軽犯罪法のほか、のぞき見行為の態様によっては

  • 住居侵入罪
  • 建造物侵入罪

に問われる可能性もあります。

住居侵入罪、建造物侵入罪ってなに?|判例上、学校や会社は建造物?

住居侵入罪、建造物侵入罪は刑法130条に規定されています。

正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。

引用元:刑法130条

たとえば、

  • 人の家の敷地内に入ってのぞき
  • 商業施設などでのぞき

などをするとこの罪に問われる可能性があります。

住居(建造物)侵入罪は、「正当な理由がないのに住居、建造物に侵入した者」を処罰します。

のぞき行為は当然、正当な理由にはなり得ないので、本罪が成立し得るというわけです

住居侵入罪と建造物侵入罪の違い

正当な理由なく、他人の住居やマンションの部屋などに進入すると住居侵入罪
正当な理由なく、商業施設や公共の建造物など、住居以外の管理者のいる建物に侵入すると建造物侵入罪

となります。

住居
  • 人の住宅
  • マンションやアパートの部屋
  • 社員寮の部屋

など、人が食べたり寝たりをするために日常的に使用する場所

建造物
  • 学校、会社
  • 商業施設
  • 病院

など、人が看守する住居以外の場所

ただ、住居侵入罪、建造物侵入罪どちらも刑法130条によって等しく罪に問われます

住居侵入罪と建造物侵入罪の名目の違いが法定刑の上限や下限に影響を及ぼす、などといったこともありません。

罰則は?時効は?

住居(建造物)侵入罪の罰則は、

3年以下の懲役または10万円以下の罰金

です。

公訴時効は

3年

です。

まとめ

住居侵入罪、建造物侵入罪

行為正当な理由なく敷地内に侵入
場所住居や人が看守する建造物など
罰則3年以下の懲役または10万円以下の罰金
公訴時効3

軽犯罪法と住居(建造物)侵入罪、どっちで検挙される?

軽犯罪法違反と住居(建造物)侵入罪を比較すると、後者の方が罪としては圧倒的に重いです

軽犯罪法の罰則

拘留または科料

住居(建造物)侵入罪

3年以下の懲役または10万円以下の罰金

いま一度刑罰の軽重を確認してみましょう。

刑罰の種類

軽犯罪法と住居(建造物)侵入罪両方に問えるケースでは、より重く処罰できる方で立件するのが通常の運用です

つまり住居(建造物)侵入罪として立件できる場合には、住居(建造物)侵入罪で立件します

住居(建造物)侵入罪として立件できないケース

住居侵入罪として立件できないケースとしては

敷地外からののぞき見

が挙げられます。

「敷地外ののぞき見」の一例
  • 建物の塀越しに風呂場などをのぞき見た
  • 自宅内から向かいの住居をのぞき見た

建造物侵入罪として立件できないケースとしては、

その建造物に入る際、当初は正当な目的を持っていた場合

が挙げられます。

「正当な目的がある場合」の一例
  • 買い物目的で商業施設に立ち入り、その途上で犯意を催してトイレ等をのぞき見した
  • ビルメンテナンスなどの目的で会社敷地内に入り、その途上で犯意を催して更衣室等をのぞき見した

とくに建造物侵入罪として立件することを考えたときには、

のぞき見目的でその建造物に侵入した

ということを立証する必要が出てきます。

自白が得られている場合はともかく、「のぞき見目的でその建造物に侵入した」ということを立証するのは困難な作業となります

検察官などが、住居(建造物)侵入罪で立件することはできないと判断したときには、通常、軽犯罪法違反として立件をすることになるでしょう。

住居(建造物)侵入罪や軽犯罪法以外に該当し得る罪は?

のぞき見行為においてさらに「盗撮」までしていた場合、上記の罪の他、

迷惑防止条例違反

となる可能性もあります。

くわしく知りたい方はコチラの記事をご覧ください。

また、厳密にいえば、単なるのぞき行為であっても迷惑防止条例違反に問われる可能性は否定できません

多くの迷惑防止条例には

卑わいな言動

を禁じる項目があります。

何人も、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為であつて、次に掲げるものをしてはならない。

(略)

(3)前2号に掲げるもののほか、人に対し、公共の場所又は公共の乗物において、卑わいな言動をすること。

(略)

引用元:公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例5条1項(東京都)

ここで言う卑わいな言動とは、判例上、以下のような意味となります。

卑わいな言動とは

社会通念上、性的道義観念に反する下品でみだらな言語または動作

のぞき見行為も「社会通念上、下品でみだらな動作」だと認められる可能性はあるわけです。

仮に迷惑防止条例の卑わいな言動にあたるとして検挙された場合は、

6か月以下の懲役または50万円以下の罰金

を科される可能性があります。

次の各号のいずれかに該当する者は、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

(略)

(2) 第5条第1項又は第2項の規定に違反した者

(略)

引用元:公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例8条(東京都)

ただ実務上、軽犯罪法違反や住居(建造物)侵入罪と比較すると、のぞき見行為について迷惑防止条例違反で検挙されるケースは稀なようです

まとめ

のぞきで問われ得る罪

 住居(建造物)侵入罪軽犯罪法迷惑防止条例(卑わいな言動)
内容正当な理由なく敷地内に侵入通常衣服をつけないでいるような場所をひそかに見る卑わいな言動をする
罰則3年以下の懲役
or
10万円以下の罰金
・拘留
or
・科料
6か月以下の懲役
or
50万円以下の罰金
適用の可能性原則こちらを適用左法が適用できない場合に適用適用されるケースは少ない

のぞきについて弁護士に相談して不起訴処分を獲得

のぞきは立派な犯罪行為であり、検挙された場合は刑事罰を科される可能性もあります。

ただし、のぞき行為で検挙された人全員が裁判にかけられるわけではありません

日本の刑事手続では、まず検察官によって

  • 裁判を開くよう要請し、刑事責任をさらに追及する事件(起訴する事件
  • 裁判を開く必要はなく、そのまま刑事手続きを終了させるべき事件(不起訴とする事件

が仕分けされます。

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のぞきで刑事罰が科される可能性
のぞきで検挙されてしまったとき、不起訴獲得のためにやるべきこと

について解説しましょう。

のぞきで罰金や懲役になる可能性は?|初犯ならセーフ?

のぞきで検挙されたからと言って、すぐ罰金や懲役刑が科されるかと言えばそんなことはありません。

のぞき見行為は、他の重大犯罪に比べれば不起訴となる可能性の高い類型の犯罪です

とくに、

  • 犯行態様が悪質でない
  • 初犯
  • 計画的犯行ではなく突発的な犯行
  • 被害者に賠償している

などといった要素が認められれば、起訴猶予で不起訴となる可能性も高まります。

執行猶予とは

たとえ犯行事実を認めている場合であっても、起訴猶予で不起訴となれば、

  • 刑事手続は終了し
  • 身体拘束を受けている場合はすぐに釈放され
  • その後刑事罰に問われることもない

のです。

不起訴処分獲得のためには弁護士に頼るべき?

起訴猶予で不起訴となることを目指すときには、

被害者に賠償を尽くす

のが重要です。

被害者へ賠償を尽くしたという事実は、犯罪後の情況という面で被疑者に有利な証拠となる。

あくまで一般論となりますが、被害者に賠償を尽くしさえすれば、

  • 犯行態様がよほど悪質である
  • 過去何回も似たような犯罪を犯している

といった特別な事情がない限り不起訴になる可能性は高いといえるでしょう

被害者と示談締結

被害者に賠償を尽くす際には、被害者との間で示談を締結するのが通常です。

示談とは

示談を締結するには、弁護士に依頼するのがほぼ必須となってしまうでしょう。

というのも、のぞき見などの性犯罪の場合、被害者の多くは加害者本人と連絡をとることを拒否します

弁護士ならば、捜査機関に問い合わせて被害者の連絡先を入手できる可能性があります

示談の流れ

加害者本人には連絡先は教えない
加害者本人を示談交渉の場に同席させない

といった条件付きでなら、示談交渉に応じてくれる被害者も多いのです。

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