第二東京弁護士会所属。刑事事件で逮捕されてしまっても前科をつけずに解決できる方法があります。
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速度違反で前科はつく?前科がつくケース4選と裁判例・対策を解説
軽度な速度違反(スピード違反)や、その他交通違反をしたことのあるという方は少なくないです。しかし、その違反の程度により、刑事事件に発展し、刑罰がつくのかどうか不安になったことのある方も一定数いるのではないでしょうか?
結論、速度違反で前科がつくことはあります。
ただし、速度違反には反則金制度があることや、反則金制度の対象外であっても、速度違反したときの状況を捜査機関や裁判所に訴えることで前科を回避できるケースもあります。
前科が回避されるということは、刑罰が免除されるということです。
当記事では、速度違反あるいは速度違反を伴う犯罪について、どのような場合に前科がついてしまうのかについて解説します。
- そもそも、どこからが速度超過(違反)になるのかわからない
- 最近速度違反をして切符を切られたが、前科がつくことはある?
- 反則金を支払ったら前科はつかない?
- 速度違反を起こしたが、自分は前歴がつくのか前科がつくのかがわからない
- 速度違反で人身事故を起こしたが、前科がつくとしたらどのような理由でつく?
上記のような疑問を抱えている方は、ぜひ最後までお読みください。
- 速度違反とは何か・前科とは何かがわかる
- 青切符・赤切符の違いがわかる
- 速度違反で前科がつくケースがわかる
- 速度違反で前科回避するための対策・刑を減軽するための対策がわかる
目次
速度違反と前科
そもそも速度違反とは何か、前科とは何かについて解説します。前科と前歴の違いについても言及します。
速度違反とは
速度違反とは、法定速度を超過して運転することをいいます。このことについては法律上で定められています。
(最高速度)第二十二条
車両は、道路標識等によりその最高速度が指定されている道路においてはその最高速度を、その他の道路においては政令で定める最高速度をこえる速度で進行してはならない。
道路交通法第22条
道路標識の指定速度がある場合には、表示の速度が最高速度となり、それ以外は政令で定める速度を超えて運転してはいけいないということです。上記政令で定める最高速度は、以下に規定されています。
(最高速度)第十一条
法第二十二条第一項の政令で定める最高速度(以下この条、次条及び第二十七条において「最高速度」という。)のうち、自動車及び原動機付自転車が高速自動車国道の本線車道(第二十七条の二に規定する本線車道を除く。次条第三項及び第二十七条において同じ。)並びにこれに接する加速車線及び減速車線以外の道路を通行する場合の最高速度は、自動車にあつては六十キロメートル毎時、原動機付自転車にあつては三十キロメートル毎時とする。
道路交通法施行令第11条
上記違反した場合を前提に、前科や前歴がつく可能性があるということです。上記罰則については以下の通りです。
第百十八条
次の各号のいずれかに該当する者は、六月以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。一 第二十二条(最高速度)の規定の違反となるような行為をした者
道路交通法第118条1項
前科とは
前科とは、有罪の確定判決を受けた履歴をいいます。有罪判決が下るには、検察官に起訴され、裁判で刑罰が確定することが前提です。
対して前歴とは、起訴前の段階の捜査履歴をいいます。警察に逮捕されたが検察官に起訴されずに事件が終了した場合などは、前歴(犯罪歴)のみにとどまります。
青切符・赤切符とは
交通違反をした際に、青切符を切られたことのある方は多いのではないでしょうか。
青切符とは、軽車両(道路交通法第2条11項)を除く自動車の違反行為の内、比較的軽微なものに交付される「交通反則告知書」です。
通常交通違反は刑事事件となるところ、軽微な交通違反に限っては、交通反則通告制度が適用されるのです。書面が青色のため、青切符と呼ばれています。
なお、比較的軽微な違反の中に、30km/h未満の速度違反や信号無視、駐停車違反があります。
青切符が交付されたら、支払期限までに納付書で反則金を納めます。納付完了すれば、その後刑事事件に発展することはありません。
赤切符は、青切符とは違い、反則金の対象ではなく、比較的重大な交通違反に適用されます。飲酒運転や無免許運転なども代表例でしょう。
速度違反の場合、高速道路での法定速度40km/h超過は赤切符対象です。違反点数も6点~12点となり、この場合は最低でも免許停止処分(免停)になってしまいます。一般道路の場合は、30km/h超過から6点以上点数が加算されます。
赤切符が交付されると、罰金刑(刑罰)の対象になります。
警察や検察の取り調べを受け、その後起訴される可能性があります。
なお、免許停止や免許取消の処分は行政処分であり刑事処分ではありません。
なお、罰金刑の場合は略式手続といって、略式裁判に付されることがほとんどです。管轄は、簡易裁判所です。
速度違反で前科がつくケース4選
前章を踏まえて、速度違反で前科がつくケースについていくつかお話しします。速度違反をしたからといってただちに前科がつくわけではありませんが、場合によって刑事罰が科せられる可能性について見ていきましょう。
青切符で反則金を納付しなかった場合
青切符の反則金は、納付しなくても問題にならないと認識している人がいますが、正しい認識ではありません。一定期間支払わないでいると、刑事事件もしくは少年事件に発展することもあります。
反則金を納付しないでいると、自宅に「反則金未納通知書最終通知」が送付されてきます。その通知後もなお支払わない場合、警察への出頭が求められます。さらに出頭を拒否した場合には、事件が検察庁に送られてしまうのです。
逮捕されていない場合は、書類のみ事件が検察庁に送致されます。その後検察官の判断により、起訴されるか不起訴になるかが確定します。起訴されてしまうと、今後は反則金ではなく「罰金」となり、刑罰が科せられてしまいます。
初犯であれば軽微な事件として扱われ、反則金を納付すれば不起訴処分となる可能性が高いです。
そもそも赤切符を交付された場合
先述の通り、赤切符の場合は反則金対象でないため、検察官に起訴され同じく罰金刑が科せられる可能性があります。
詳しい説明については、前章で述べた通りのため割愛します。
人身事故を起こした場合
速度超過に加え人身事故を起こした場合、前科がつく可能性は大いにあり得ます。
人身事故を起こした場合、それが故意でなくても「過失運転致死傷罪」という罪名がつくことがあります。
(過失運転致死傷)第五条
自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、七年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。
自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第5条
速度超過については道路交通法違反、交通事故によって人を負傷もしくは死亡に至らせたことについては、上記過失運転致死傷罪の罪に問われることになります。危険運転とは違い、故意性がないため情状が酌量される余地はありますが、被害者の状態によっては禁錮以上の刑も考えられるでしょう。
無免許運転だった場合
運転者が無免許運転で速度超過違反で捕まった場合も、処分が重くなることが想定されます。現行犯逮捕され、その後有罪判決を受けることは珍しくありません。
無免許運転の罰則は以下の通りです。
第百十七条の二の二 次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
道路交通法第117条2の2
一 法令の規定による運転の免許を受けている者(第百七条の二の規定により国際運転免許証等で自動車等を運転することができることとされている者を含む。)でなければ運転し、又は操縦することができないこととされている車両等を当該免許を受けないで(法令の規定により当該免許の効力が停止されている場合を含む。)又は国際運転免許証等を所持しないで(第八十八条第一項第二号から第四号までのいずれかに該当している場合又は本邦に上陸をした日から起算して滞在期間が一年を超えている場合を含む。)運転した者
無免許運転は、免許を取得していないだけでなく、免停中の運転や免許取消し後の運転も含まれます。そもそも無免許運転で不起訴処分になる可能性は低く、罰金刑は覚悟する必要があるでしょう。その上での速度超過ですので、実刑判決も十分考えられます。
速度違反で前科を回避したい方は弁護士へ
前述の通り、以下の場合には刑事罰に科せられる可能性があります。
- 一般道路の場合・・・法定もしくは指定速度より30キロオーバー
- 高速道路の場合・・・法定もしくは指定速度より40キロオーバー
ここでまず、速度超過で有罪判決を受け、前科がついた裁判例を紹介します。
道路標識の指定速度60キロの一般道路において46キロ超過の速度違反をし、罰金8万円
本件速度違反に至るまで、他の車両に乗車していた男から脅迫行為をされるなどの経緯があったが、検察官の求刑通りの判決が下された。
平成17年10月14日神戸地裁判決
法定速度(60キロ)を一般道路において35キロ超過の速度違反をし罰金5万円
本件の争点は、オービスに写った運転手が被告人か別人かということであったが、最終的に被告人であることが合理的な疑いを容れない程度に証明されているとして、求刑通りの判決が下された。
平成31年3月26日福岡地裁判決
このように他の交通違反がなくても、超過した速度によっては事実、罰金刑が付されることが珍しくありません。
速度違反で前科持ちになりたくない・刑を軽くしたい、あるいは無罪主張したい場合は、弁護士に法律相談することがおすすめです。
まずは、自身が違反した速度が何キロであるのか、その他の犯罪行為に該当していないかなど、過去の違反歴も含めて個別に相談するところから始めましょう。相談のみであっても、今後予想される処分や流れなどを聞くことができます。
その後の弁護活動を依頼したい場合には、個人の違反内容により、内容が変わってきます。例えば、不起訴処分を目指すのか、罰金刑もしくは執行猶予付き判決を目指し、刑務所に入らなくていいような活動をするのか、などです。
速度違反などで情状弁護をする際は、捜査機関や裁判所に対し、反省の意を示すことも重要です。
二度と同じ過ちを繰り返さないよう、具体的な再犯防止策などを伝えることで、情状酌量の余地があると判断されることがあります。
また、逮捕されている事件においては速やかに相談するようにしましょう。逮捕後の手続きは厳格な時間制限が設けられ、逮捕・勾留期間を経過すれば処分決定の時期がきてしまいます。
アトム法律事務所においては、捜査機関が介入している段階での刑事事件のご相談は無料0円です。
お気軽にお問い合わせください。
刑罰には、重い順に死刑・懲役刑・禁錮刑・罰金刑・拘留・科料の6種類あります。
これら全てが確定判決によって決定した場合には、前科がつくことになります。
なお、執行猶予付き判決も前科です。