岡野武志

第二東京弁護士会所属。刑事事件で逮捕されてしまっても前科をつけずに解決できる方法があります。

「刑事事件 法律Know」では、逮捕や前科を回避する方法、逮捕後すぐに釈放されるためにできることを詳しく解説しています。

被害者との示談で刑事処分を軽くしたい、前科をつけずに事件を解決したいという相談は、アトム法律事務所にお電話ください。

アトムは夜間土日も受け付けの相談窓口で刑事事件のお悩みにスピーディーに対応いたします。

彼氏が大麻で逮捕|勾留はされる?面会や処分・弁護活動について解説

ac1122 hope 1

彼氏や恋人が大麻を所持していると知り、困っていませんか?
当記事にたどり着いた方は、ある日突然彼氏が逮捕されてしまった、あるいは彼氏に大麻所持・大麻使用をやめてもらいたいなど、様々な心配事や不安を抱えていることでしょう。

大麻は、海外では一部合法とされており、その影響で日本でも合法であると誤った認識をしている人が少なからずいます。そこで当記事では、実際に彼氏などの親しい人物が大麻で逮捕されてしまった事件において、逮捕された理由や今後予想される刑事事件の流れについて解説します。
また、大麻で執行猶予がつくための対策についてもお話ししましょう。

  • 彼氏が大麻で逮捕された後の流れ・面会ルールがわかる
  • 彼氏が大麻で逮捕されそうな段階での対策がわかる
  • 彼氏が大麻で逮捕された後、執行猶予になるための方法がわかる
  • 彼氏の身柄を解放するための方法がわかる

彼氏が大麻で逮捕されたら?

ac1122 think 1

大麻取締法違反とは

大麻取締法違反とは、大麻取締法規定の、以下に該当することをいいます。

  • 大麻をみだりに栽培した
  • 大麻をみだりに日本もしくは外国に輸出入した
  • 大麻をみだりに所持した
  • 大麻をみだりに譲り受けまたは譲り渡した

大麻取締法においては、使用行為について規制がありません。そこで、大麻を使用しているだけだと所持に該当しないからと、問題ないと考える人もいるでしょう。

しかし実際に、大麻の所持なくして使用することは考えにくいです。よって、使用している時点で所持も疑われ、逮捕に至る可能性が大いに考えられます。

逮捕のきっかけについては、大麻所持しているとの通報を受けた警察官が本人に職務質問するケースや現行犯逮捕、家宅捜索により発覚するなどのケースが考えられるでしょう。

大麻所持や栽培などは、営利目的だった場合罰則が厳しくなります。

大麻取締法違反の罰則

所持・譲り受け・譲渡の場合
5年以下の懲役
(営利目的だった場合は7年以下の懲役または7年以下の懲役及び200万円の罰金)

栽培・輸出入
7年以下の懲役
(営利目的だった場合は10年以下の懲役または10年以下の懲役及び300万円の罰金刑)

営利目的だった場合は、懲役刑に加えて罰金刑が併科される可能性があります。

彼氏が大麻で逮捕されたら

逮捕の流れ

では実際に、彼氏や彼女が大麻で逮捕されてしまった後の流れについて見ていきましょう。

刑事事件の流れ

大麻取締法違反で逮捕されると、まずは警察官による取り調べが行われます。その後原則検察庁に事件が送られますが、釈放されているケースを除いては、被疑者の身柄ごと送致されます。

被疑者の身柄を受け取った検察官は、その後24時間以内に勾留請求するかしないかの判断を行います。勾留請求された場合、被疑者の身柄は解放されることなく警察署の留置場に置かれることになるのです。

大麻取締法違反は、勾留請求されやすい事件です。

勾留は、検察官が勾留要件を満たしていると判断した際に、裁判官に対し請求します。

勾留の要件

実は2020年検察統計調査のデータによると、大麻で逮捕され検察官に身柄送致された事件のうち、98%が勾留決定されています。

被疑者勾留の流れ

勾留は、検察官の請求後、裁判所が勾留要件を欠くことがないと認めたときに決定されます。

大麻所持は、証拠隠しのおそれや逃亡の可能性が高いと判断されやすい傾向にあります。

勾留期間は、検察官の起訴・不起訴の判断が下るまで最大20日間(10日+10日)です。

逮捕時点から数えると最大23日間になるため、家族に知られたり会社に知られたりするリスクが発生します。

大麻取締法違反での逮捕は、原則勾留されると思っておいた方がいいでしょう。

勾留請求された際には、私生活上や職場に様々な影響を及ぼします。そのため、早期に弁護士に身柄解放活動を依頼することがお勧めです。
なお、勾留請求前であっても身柄解放活動は可能です。

検察官の起訴・不起訴の判断

続いて、勾留満期後の検察官判断について解説します。

刑事事件の流れ

大麻取締法違反は薬物犯罪であるがゆえ、再犯率が高いことや、社会的な影響が大きいため処分が重くなる傾向にあります。

令和2年犯罪白書によれば、令和元年の大麻取締法違反により起訴された人員は、約半数もいます。
初犯だからといって、必ずしも不起訴になるとは限りません。

大麻取締法違反には単なる罰金刑が存在しないため、起訴されると正式裁判(公判)が確定します。

公判確定後は基本的に有罪判決となり、前科がつきます。
起訴された場合は、執行猶予判決を得ることが目標となってくるでしょう。

不起訴とは、検察官に起訴されず事件が終了することです。

前科もつきません。

不起訴の内、約半数が起訴猶予です。起訴猶予とは、起訴事実は存在するものの、犯人の性格や年齢・犯罪軽重や犯行状況などを考慮して不起訴処分とするものです。

大麻で逮捕された彼氏・恋人との面会は可能?

一般面会ができるタイミングは以下の通りです。一般面会とは、弁護士による面会以外のことを言います。

一般面会の時期

図をご覧の通り、逮捕直後は面会ができません。また、面会できる時期になっても、厳しい時間制限があります。
各留置場にもよりますが、一般的に1回15分程度です。

また、大麻取締法違反の罪証隠滅可能性などを踏まえ、接見禁止がつくこともあります。接見禁止がつくと、弁護士以外の一般面会はもちろん、被疑者に手紙を送ることもできません。

接見禁止とは

逮捕直後や接見禁止がついた場合は特に、弁護士接見を依頼しましょう。弁護士であれば、被疑者本人に対し事件の詳細を聞いたり直接今後のアドバイスをしたりすることが可能です。

彼氏が大麻で逮捕されそう

tel 4

逮捕されそうなら弁護士へ相談

次に、実際に逮捕には至っていないケースについて解説します。逮捕前に、彼氏や彼女がしてあげられることは何なのでしょうか。

逮捕前にできることとして、まずは弁護士相談を勧めることが考えられます。弁護士相談によるメリットは以下の通りです。

  • 今後逮捕される可能性がわかる
  • 逮捕された後の流れがわかる
  • 逮捕された際の取り調べによるアドバイスが受けられる

弁護士相談は、彼氏・彼女のご家族にも相談してみましょう。他人よりも家族である方が、より身近なアドバイスを聞くことができる場合もあります。また、被疑者段階で弁護士依頼をしておくことで、早期の釈放や有利な処分が期待できます。以下に「刑事弁護」のメリットをまとめておきましょう。

大麻で弁護士依頼することのメリット
  • 逮捕回避できる場合がある
  • 逮捕されても早期に釈放される可能性がある
  • 弁護士接見により被疑者に直接アドバイスできる
  • 不起訴処分が期待できる
  • 起訴されても執行猶予が期待できる

刑事弁護の詳細については、最終章「彼氏が大麻で逮捕|弁護士ができること」で解説します。

逮捕回避には自首

そもそも逮捕自体を回避できる可能性もあります。その代表的な1つが「自首」です。
逮捕されそうな彼氏がいる場合には、まずは自首について説得してみるのも1つの手です。

自首とは
  • 犯罪事実が捜査機関に発覚する前に、
  • 犯人が自分で捜査機関に対し、
  • 犯罪事実を申告すること。

自首することにより、逮捕を回避できたり、仮に逮捕されても処分の減軽が期待できます。根拠条文は以下の通りです。

(自首等)第四十二条 

罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減軽することができる。

刑法第42条1項

彼氏・彼女が大麻を所持していた場合、弁護士を通じて大麻をやめるよう説得したり、自首を促したりすることができます。

そもそも逮捕の要件は、下図の通りです。自首はつまり、逮捕の要件である罪証隠滅や逃亡の可能性がないと判断されやすくなるため、逮捕回避の期待が高まるのです。

逮捕の要件

自首は弁護士同行により、本人により有利な方法で行うことが可能です。

彼氏が大麻で逮捕|弁護士ができること

atom bengoshi 11

彼氏の身柄を解放してほしい

まずは身柄解放についてです。

警察の捜査には、留置場に置いておき取り調べを受けるものと、留置場にいなくても捜査が可能なものとがあります。

刑事事件の流れ

被疑者が逮捕されずに自宅から捜査に赴いたり、逮捕されても釈放されたりした場合は、「在宅捜査」と呼ばれる捜査に協力することになります。また、釈放が認められた際も、直ちに身柄が解放され在宅捜査に切り替わります。

在宅捜査は身柄事件のように、厳格な時間制限がありません。

先述の通り、被疑者にとって身体的苦痛を伴う身柄拘束は、各々要件を満たさない限りなされるべきものではありません。逮捕であれば逮捕要件を、勾留であれば勾留要件を具備する必要があるのです。

弁護士による身柄解放活動では、上記の要件を満たさない旨、検察官や裁判所に訴えていきます。

具体的には、刑事事件の段階に応じ、検察官や裁判所に対して上申書や意見書を提出します。

勾留請求されないための意見書の他、勾留決定が出てしまった場合には「準抗告」という救済手続きなどがあります。
なお、被疑者が自白している事案簡明な事件の場合、勾留請求されない可能性も高まります。

身柄拘束における活動には、捜査段階のものの他、起訴後の保釈請求もあります。

保釈の流れ

保釈請求は、弁護士を通じて保釈請求書を提出します。提出先は裁判所です。保釈が認められたら、保釈金を納付することにより釈放されます。
ただし薬物事件は常習性があることから、保釈請求が通りにくいことも考えられます。その場合、治療や自助グループへの参加などを検討し、再犯防止に努めることで、保釈が通りやすくなることもあるでしょう。

彼氏が刑務所に入ってほしくない

続いて、刑事処分について説明します。

大麻取締法違反や覚せい剤使用などの薬物犯罪の場合、再犯であれば実刑になる可能性は高くなります。対して、初犯であれば起訴されたとしても執行猶予の可能性が期待できる場合があります。この章では主に、起訴後の執行猶予獲得の方法などについて解説しましょう。

執行猶予付き判決とは?

公判において有罪判決が下されたとしても、一定期間(執行猶予期間)刑罰の執行がされない制度のことです。よって、被告人は判決後、直ちに刑務所に収監されなくてよくなります。
なお他の犯罪を犯さないなどの条件を満たせなかった場合は、執行猶予の効力が取り消されてしまいます。

大麻事件といっても、その態様は人それぞれです。執行猶予付き判決を得るには、以下の事情を考慮し、刑事弁護に役立てることが重要です。

  • 再犯への取り組みや現在の状況
  • 情状証人がいる
  • 今回の罪の重さ
  • 再犯の場合は前回からどの程度期間が空いているか

事件により、弁護活動は異なります。
まずは無料の法律相談などを利用し、弁護士に大麻に関する全ての情報共有をするところから始めましょう。その上で、今後の展開を見据えた事件の概要を把握することが重要です。

弁護士は、これまでの解決事例や判例をもとに、親身に対応してくれるでしょう。