第二東京弁護士会所属。刑事事件で逮捕されてしまっても前科をつけずに解決できる方法があります。
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つきまといが迷惑防止条例違反となるケース|ストーカー規制法との違いも解説
2023年7月13日以降の事件は「撮影罪」に問われます。
ストーカー・ストーカー行為と聞けば、ストーカー規制法が適用されるイメージを持っている方は少なくありません。
また、ストーカーと聞くと、おもに恋愛感情のもつれを連想する方も多いのではないでしょうか。
実は、ストーカー規制法の規制対象となっている「つきまとい等」の行為は、迷惑防止条例にも規定されています。
ただし後述するように、両者にはつきまとい等の目的などに違いがあり、法律であるストーカー規制法か、条例である迷惑防止条例が適用されるかが変わってきます。どちらが適用されたとしても、刑罰を受ける可能性は回避できません。
当記事では、迷惑防止条例についての基本的な内容について解説し、ストーカー規制法との違いや罰則、具体例について解説します。
また、最悪の場合に備え、逮捕後の流れや逮捕後の対策についても言及しましょう。
- つきまとい等が迷惑防止条例違反となるケースや具体例がわかる
- 迷惑防止条例違反とストーカー規制法違反との違いがわかる
- つきまとい等で迷惑防止条例違反となり逮捕された場合の流れがわかる
- つきまとい等・迷惑防止条例違反で弁護士相談するメリットがわかる
目次
迷惑防止条例とは
迷惑防止条例とは、各都道府県によって定められている条例です。
都道府県によって規制内容や罰則規定も異なり、また、迷惑防止条例違反をした場所によって、その都道府県の条例が適用されます。
迷惑防止条例の目的は、「公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等を防止し、都道府県民の平穏を保持すること」にあります。
迷惑防止条例で禁止されている代表的な行為は、以下のとおりです。
- ダフ屋行為の禁止
- つきまとい等
- 粗暴行為
- 不当な客引き行為等
- 痴漢
- 盗撮(※盗撮については2023年7月13日以後、新設された「撮影罪」に問われる機会が多くなると想定されます。)
- 卑わいな行為
「卑わいな言動」の具体例としては、スカートめくりをしたり、下品な言葉を投げかけたりする行為があります。
迷惑防止条例とつきまとい等の行為について、次章で詳しく解説していきましょう。
つきまといが迷惑防止条例違反となるケース
迷惑防止条例で規制されるつきまとい等とは
まずは、迷惑防止条例において規制対象となる、つきまとい等について解説します。
迷惑防止条例の「つきまとい等」とは
- つきまとい、待ち伏せ
- 進路に立ちふさがる行為
- 住居の付近において見張りをし、住居等に押しかけ、または住居等の付近をみだりにうろつく
- 行動を監視していると思わせるような事項を告げるか知りうる状態に置く
- 著しく粗野または乱暴な言動をする
- 無言電話をする、または拒まれたにもかかわらず、何度も連絡したりメール送信したりする
- 汚物や動物の死体、その他著しく不快または嫌悪の情をもよおさせるような物を送る
- 名誉を害する事項を告げる
( 東京都公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例 第5条の2)
次章において、「ストーカー規制法」に規定されている「つきまとい等」との違いについて説明します。
迷惑防止条例違反とストーカー規制法の違い
迷惑防止条例とストーカー規制法のどちらであっても、つきまとい等の行為に大きな違いはありません。
どちらが適用されるかは、おもにつきまとい等の「目的」が何であったかによります。
迷惑防止条例 | 恨みその他の悪意の感情を充足することを目的とする |
ストーカー規制法 | 特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情またはそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的 |
また、つきまとい等が違法になるには「反復して」おこなわれることが必要です。
1度きりのつきまとい等では、ただちに違法とはならないことがあります。
迷惑防止条例・ストーカー規制法で規定するつきまとい等の対象は、特定の者またはその配偶者、直径もしくは同居の親族その他当該特定の者と社会生活において密接な関係を有する者とされています。
具体例を挙げてみましょう。
(迷惑防止条例違反の具体例)
会社で上司からたびたび叱責を受け、そのことに腹を立てて恨みを持つようになった。
退勤後、その上司のあとを尾行し、自宅付近をうろついたり無言電話をかけたりした。
(ストーカー規制法違反の具体例)
会社の好きな異性に、何度か交際を申し込んだが断られ続けた。
そのうち自分を認めてもらえないことに不満や恨みを持つようになり、何度か相手を尾行した。
たびたび自宅付近をうろつき、無言電話や執拗にメールを送りつけるなどした。
ストーカー規制法上、ストーカー行為をした者は1年以下の懲役または100万円以下の罰金と定められています。
迷惑防止条例違反の場合は、2年以下の懲役または100万円以下の罰金です。
また、ストーカー規制法上2年以下の懲役または100万円以下の罰金となるのは、禁止命令等に違反してストーカー行為をした場合です。
迷惑防止条例やストーカー規制法のつきまとい等は、常習性が認められる事案も多く、最悪の場合は起訴され有罪になる可能性もあります。
なお態様にもよりますが、初犯で前科などない場合、ただちに刑罰が科せられることはあまりありません。
仮に起訴され有罪になっても、罰金刑で済む可能性が考えられるでしょう。
罰金刑が科せられた場合は、刑務所に入る必要はありません。
つきまとい・迷惑防止条例で逮捕されたら?
逮捕の種類と逮捕例
逮捕の種類には、おもに現行犯逮捕と通常逮捕(後日逮捕)とがあります。
現行犯逮捕とは、犯行の最中に、警察や被害者などに逮捕されることです。
別名私人逮捕とも言われ、被害者だけでなく目撃者であっても逮捕が可能です。
現行犯逮捕の場合、まさに犯行中もしくは犯行直後に逮捕されるため、犯人である可能性がきわめて高いと考えられます。
後日逮捕(通常逮捕)とは、捜査機関の証拠がかたまり次第、裁判所に逮捕状を発付してもらったのちに逮捕する手続きです。
逮捕状請求・発付に時間を要するため、当日に逮捕することが難しく、後日逮捕と呼ばれています。
つきまとい等の場合、たとえば被害届や、それに伴う防犯カメラなどの証拠により、逮捕にいたる可能性が考えられるでしょう。
つきまといで逮捕されたあとの流れとは
逮捕後の流れについて、大きく3つにわけて解説します。
- 逮捕から勾留請求まで
- 勾留請求から勾留決定、勾留満期まで
- 起訴から判決まで
1の逮捕から検察官による勾留請求までは、72時間です。
まず、逮捕した警察は48時間以内に被疑者を取り調べ、その後検察官に送致しなければりません(刑事訴訟法第203条)。
被疑者の身柄を受け取った検察官は、その後24時間以内に勾留請求するかどうかを判断します。
勾留請求しない場合は、ただちに身柄を解放しなくてはなりません(刑事訴訟法第205条)。
2の勾留請求は検察官がおこないますが、勾留決定を出すのは裁判所です。
勾留が決定されると、その後の起訴もしくは不起訴の判断が下るまで、最大20日間身体拘束されます。
3について、1回のみ公判がおこなわれる場合、起訴から判決までにかかる期間はおよそ2か月くらいです。
捜査段階では、一罪一逮捕の原則がとられています。
仮に、迷惑防止条例違反以外の犯罪にも該当する場合、別件で再逮捕・勾留される可能性があります
つきまとい等をした際、住居侵入罪など別の犯罪に別途問われることがあります。
そのようなケースにおいて、身体拘束は事件単位で扱われます。
たとえば最初の72時間の逮捕期間は、条例違反と他の犯罪の2回分、別々にされることになるのです。
つきまとい・迷惑防止条例違反を相談したい方は弁護士へ
つきまとい・迷惑防止条例違反で相談した方がいいケース
以下に該当する方は、刑事事件を取り扱う弁護士に相談しましょう。
- つきまとい・迷惑防止条例違反に該当するかどうか知りたい
- つきまとい・迷惑防止条例違反で逮捕されるかもしれない
- つきまとい・迷惑防止条例違反で逮捕されてしまった
どのような段階であっても、まずは弁護士に相談しましょう。
逮捕前であれば、以下についてアドバイスがもらえます。
- 逮捕される可能性
- 逮捕後想定される流れ・対策
逮捕後であれば、以下についてアドバイスがもらえます。
- 取り調べにおける有利なアドバイス
- 警察に出頭する際のアドバイス
- 逮捕後の流れと対策
もちろん、どの段階であっても、その状況に必要な相談が可能です。
逮捕されると、そのまま何十日も身柄拘束されることもあれば、勾留請求されずに釈放されることもあります。
また、勾留満期後にようやく釈放されるケースや、そもそも逮捕されない事件もあります。
また、釈放されるには弁護活動が有利です。
さらに逮捕後、最初の段階である取り調べにおいては、その最中警察官と本人のみしか中に入ることができません。
あらかじめ取り調べが不利にならないよう、事前知識を補充しておくことは重要です。
つきまとい・迷惑防止条例違反には示談が重要
迷惑防止条例違反やストーカー規制法など、被害者のいる犯罪において、示談はもっとも重要です。
示談が成立したことにより、釈放されるケースや不起訴処分になるケース、起訴されても罰金刑や執行猶予付き判決となり、刑務所へ行かなくてよくなることがあります。
弁護士による示談の手順は以下のとおりです。
- 捜査機関を通じ、被害者の連絡先を入手する
- 被害者に、加害者の弁護についたことなどを含め挨拶をする
- 被害者と示談交渉のためアポイントを取る
- 被害者と実際に会い、話し合いをする
- 示談締結・示談金の支払いをする
- 示談成立
つきまとい等の示談金の相場は、30万円から100万円程度です。
つきまとい等の内容や程度により、その金額に幅があります。
交渉次第で相場を下回ることも考えられますが、逆に被害者の被害感情が大きい場合など、示談金すら受け取ってもらえないケースも想定されます。
また、示談は起訴前におこないましょう。
前科がつかないよう、早めに示談締結することが重要です。
刑事事件でお困りの方へ
ご希望される方はこちら
迷惑防止条例違反の罰則は、痴漢の場合で6か月以下の懲役または50万円以上の罰金、盗撮で常習でない場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金と規定されていることが多いでしょう。
つきまといや待ち伏せ行為の場合も、1年以下の懲役または100万円以下の罰金です。
(東京都の場合)