岡野武志

第二東京弁護士会所属。刑事事件で逮捕されてしまっても前科をつけずに解決できる方法があります。

「刑事事件 法律Know」では、逮捕や前科を回避する方法、逮捕後すぐに釈放されるためにできることを詳しく解説しています。

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風俗店との示談・刑事事件については弁護士相談と依頼が正解

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風俗店とのトラブルには、お店を利用するお客さんと 女性キャストとのトラブル、お店側とのトラブルがあります。

トラブルの内容によって、加害者側(おもにお客さん)のとる責任・示談金などの金額は変わってくるでしょう。

しかし風俗トラブルのなかには、店側に本来支払うべき金額以上の示談金を要求されたり、脅迫まがいなことをされたりする店側の違法行為も見受けられます。

また、それとは別に、加害者側のした行為が脅迫・盗撮などの犯罪に該当し、刑事事件に発展するケースもあるでしょう。

風俗トラブルと責任を大別すると、以下の2つに分類されます。

  • 風俗トラブルで民事責任を負うケース
  • 風俗トラブルで刑事責任を負うケース

当記事においては、風俗店との示談でお客さんが注意すべき点・民事責任・刑事責任に分けて解説していきましょう。

なお、現時点で風俗店との緊迫したやり取りに困っている・刑事事件に発展し警察が介入しているなどの状況下におかれている方は、弁護士相談を優先されることをおすすめします。

  • 風俗店との示談での基本的な注意事項がわかる
  • 風俗店でのトラブルが刑事事件になるケースがわかる
  • 風俗店との金銭的トラブルと解決法がわかる
  • 風俗店との示談を弁護士に依頼するメリットがわかる

風俗店との示談で注意すべきこと

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まずは、風俗店やデリバリーヘルス(デリヘル)を利用した方が、店内で示談に応じるケースを想定し、解説いたします。

注意点としては、大きく以下のとおりです。

  • 飛び交う法律用語に注意
  • 示談金は原則支払わないこと
  • 示談書に原則サインしないこと

ありがちなトラブルの前提には、店側がお客さんの心理・弱みにつけこんでいることも考えられます。

そのため、店側が法外な示談金を要求してきたり、法律的な解決だと言って脅しにかかってきたりすることがあるのです。

法律用語が飛び交ったり、示談書などで示談金の確定的な金額が示されたりした場合は、安易に応じないようにしましょう。

しかし現実には、お客さんである加害者側にもトラブルの原因があること・実際に脅迫などを受けた現場では冷静に対応できないことなどから、示談金や示談書に応じてしまうこともあるでしょう。
そのようなケースにおいては、「できる限りで」店側の要求に応じないことが望ましいです。

示談書は、サインしてしまうと原則取り消しができません。

ただし、示談書の内容が公序良俗に反する場合や、脅迫などの行為によって無理やりサインさせられた場合においては、取り消すことができる可能性があります。

(公序良俗)第九十条 

公の秩序又は善良の風俗に反する法律行為は、無効とする。

民法第90条

(詐欺又は強迫)第九十六条 

詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる。

民法第96条

もちろん、店側だけに違法性があるわけではなく、お客さんである加害者が女性キャストに迷惑をかけた部分もあるでしょう。

次章以降においては、加害者側の刑事責任・民事責任別に解説していきます。

風俗店との示談|刑事責任と弁護士介入

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風俗店との刑事的トラブルで考えられるケース、および該当しうる罪名について解説します。
ただし本番行為について、女性キャストの同意があると認められた場合は罪にはなりません。

本番行為で成立しうる犯罪

以下の犯罪について解説します。

  • 強制性交等罪(旧強姦罪)

強制性交等罪は、刑法に規定されている犯罪です。

以下の要件を満たせば、最終的に強制性交等罪で罰せられる可能性があります。
なお、風俗店での本番行為とは、性器を挿入した時点での「性交」をいいます。
店のサービスで認められている行為は、許容範囲でしょう。

強制性交等罪の構成要件
  • 暴行又は脅迫をもちいて、
  • 性交等(性交・肛門性交・口腔性交)したこと

(強制性交等)第百七十七条 

十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、こう門性交又は口くう性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。十三歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。

刑法第177条

強制性交等罪は、旧強姦罪として規定されていたものです。
法定刑は5年以上の有期懲役と重く、ひとたび逮捕されてしまうと、起訴され有罪判決となることも珍しくありません。

盗撮で成立しうる犯罪

サービス中などに店の女性キャストを盗撮した場合、以下の犯罪に該当する可能性があります。

  • 迷惑防止条例違反

迷惑防止条例とは、各都道府県ごとに定められた条例です。
なお、違反をした土地での条例が適用されます。
東京都の風俗店・デリヘルを利用した場合には、東京都の迷惑防止条例が適用されるというわけです。

第5条

何人も、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行

為であつて、次に掲げるものをしてはならない。

(2) 次のいずれかに掲げる場所又は乗物における人の通常衣服で隠されている下着又は身体

を、写真機その他の機器を用いて撮影し、又は撮影する目的で写真機その他の機器を差し向け、若しくは設置すること。

(東京都)公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例第5条

盗撮の法定刑は、同法第8条において1年以下の懲役又は100万円以下の罰金と定められています。

盗撮ではなく、女性キャストの入浴などをのぞき見した場合には、軽犯罪法違反に該当することもあります。

その場合の刑罰は、拘留又は科料です。

上記のような刑事事件の対象になった場合、弁護活動によって以下が可能になります。

風俗での刑事トラブル対処法
  • 示談交渉で女性キャスト(被害者)から許しを得る交渉をする
  • 弁護士を介して示談金を支払う
  • 被害届を出されないよう交渉する

強制性交等罪など犯行態様が悪質なケースをのぞき、初犯かつ犯行が比較的軽いケースですと、弁護活動によって不起訴処分を獲得できることがあります。

刑事事件の示談書作成・示談交渉は、かならず弁護士を介して早期解決しておきましょう。

被害者との示談は、最終的に以下のメリットに繋がります。

  • 不起訴処分など前科のつかない処分
  • 逮捕の危険性がある場合には回避

ではつぎに、民事的トラブル・民事責任について言及していきましょう。

風俗店との示談|民事責任と弁護士介入

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先述の本番行為や盗撮行為が発覚した場合、店側や女性キャストから慰謝料などの示談金を請求されることがあります。

そこで当の加害者側が困惑するケースでは、以下が考えられます。

  • 不当な慰謝料を請求された
  • 損害が発生していないはずのものに対し、損害賠償請求された
  • 被害届を出す・警察に通報すると脅された
  • 免許証などの身分証コピーを控えられ、悪用されるおそれがある
  • 示談書の内容があやしい

これら民事的なトラブルに対し、お客さんである加害者がとるべき対策について、順番に解説していきます。

まずは風俗店との示談を弁護士に相談

何はともあれ、まずは弁護士に相談しましょう。
あらかじめ、弁護士費用についても相談・把握できます。

風俗トラブルでは、民事責任と同時に刑事責任が発生するケースもあるため、刑事事件にも詳しい弁護士を選ぶことがポイントです。

トラブル内容・風俗店の言い分などわかることはすべて弁護士に伝えましょう。

示談金を一部でも支払ったのであれば、領収書などの証拠も持参しましょう。

風俗店とのやり取りを録音している場合は、そのデータも弁護士と共有します。

弁護士による風俗店との示談交渉とは

依頼者から相談内容をヒアリングした弁護士は、まずは風俗店に連絡をします。

弁護士による風俗店との示談交渉手順
  1. 該当の風俗店などに連絡
  2. 当時の状況・加害者からのヒアリング内容をもとに話し合い
  3. その後、話し合いにより示談交渉
  4. 示談金が発生する場合は加害者から示談金支払い
  5. 示談金をすでに支払っている場合は、調整して支払いもしくは返還させる

弁護士は依頼者の味方です。

示談交渉の際は、なるべく依頼者の有利な方向にもっていけるよう尽力するでしょう。

すでに風俗店作成の違法な示談書にサインしてしまったという場合、その内容が無効であることを主張します。
最初の章で触れたような、公序良俗に反する内容・真正な示談とはいえないような手法を用いたケースの場合、合法なもので作成しなおします。
よって、サイン済みの示談書であっても、取り消しの効力を主張していくことになるでしょう。

風俗店作成の規約のなかには、違約金や損害賠償の金額まで定められている場合があります。

しかし、現に発生していない損害を補てんする義務は誰にもありません。

すでに損害賠償を支払ってしまったのであれば、本来支払うべき額に訂正します。

風俗店やデリヘル勤務の女性キャストに違法な行為をした場合、警察に通報するなどと脅されるケースもあるでしょう。
ケースバイケースですが、実際にはお客さんから金銭を取り上げることを常習としている店もすくなからずあります。
そのようなケースでは、弁護士介入のうえ、店側の落ち度についても指摘します。

また、本番行為を強要したものではない、本当に同意があった場合ですと、実際に罰せられる可能性があるのは風俗店側です。
同意があったとの正しい主張をおこなえば、店側もすんなり受け入れ、示談交渉がまとまることも考えられます。

示談金の金額については、とくに法律上決まっているわけではありません。

実際の女性キャストの被害程度依頼者の落ち度などを天秤にかけ、弁護士と店側の話し合いで着地点を決めます。

示談金の相場としては、おおよそ以下の金額の範囲内におさまる可能性があります。
ただし、店側が示談金を不要と言った場合や、加害者側に落ち度がない場合、示談金は発生しません。

風俗トラブルの示談金相場

女性キャストの反応や加害者の強要程度により、幅広くなることが予想されます。
1万円程度のものもあれば、100万円くらいになることもあるでしょう。
また、本番行為の強要で、被害者を傷つけたなど悪質なケースでは、100万円を超えることもありえます。
比較的軽いものから悪質なものまで含めると、1万円から200万円までの範囲内であると考えられるでしょう。

上記はあくまで目安です。

風俗店との示談後|家族や会社(職場)にはばれない?

風俗店トラブルの相談内容聴取から事件解決まで、一貫して弁護士は守秘義務を負います。

また、弁護士が作成する示談書で示談締結できた際は、清算条項を盛り込むことが可能です。

よほど大きな刑事事件に発展しないかぎり、風俗トラブルの内容が、家族や会社(職場)に漏れることはないでしょう。

清算条項とは、示談書で取り決めた和解内容以外に、双方に債権債務が何もないことを確認する条項です。

たとえば示談金を10万円と取り決め、合意したのであれば、今後損害が発生したとしても原則上乗せ請求ができないということです。

風俗店との示談と弁護士介入まとめ

これまでお話しした内容をまとめたものは、以下のとおりです。

  • 風俗店とのトラブル・責任には民事責任(民事トラブル)と刑事責任がある
  • 刑事責任を負う場合でも被害者(店側)との示談交渉は必須
  • 民事責任を負う場合の示談交渉は慎重に
  • 原則、弁護士介入前の示談書・示談金には応じない
  • 風俗トラブルに弁護士が介入することにより、刑事責任においては刑が軽くなる可能性がある
  • 風俗トラブルに弁護士が介入することにより、民事責任においては示談金(損害賠償金)が正当な金額に訂正される
  • 風俗トラブルを弁護士に相談・依頼することで家族や職場にばれることはない