岡野武志

第二東京弁護士会所属。刑事事件で逮捕されてしまっても前科をつけずに解決できる方法があります。

「刑事事件 法律Know」では、逮捕や前科を回避する方法、逮捕後すぐに釈放されるためにできることを詳しく解説しています。

被害者との示談で刑事処分を軽くしたい、前科をつけずに事件を解決したいという相談は、アトム法律事務所にお電話ください。

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大麻リキッドで逮捕|逮捕後の流れや刑罰・逮捕回避について解説

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わが国の薬物使用経験者は、諸外国に比較して少ないものの、薬物検挙人員は若者を中心に急増しています。

2019年、有名女優が合成麻薬MDMAを所持していたとして逮捕された事件は、記憶に新しいかと思います。
今年も、ヒップホップグループのメンバーや、成人を迎えたばかりの男女3人が、大麻リキッド所持の疑いで逮捕される事件が相次いで報道されました。

薬物犯罪のなかでも、大麻取締法違反においてはとくに、平成25年以降検挙率は増え続ける一方です。
厚生労働省によれば、大麻は世界で最も乱用されている薬物だといわれており、日本においては覚醒剤に次ぐ乱用者数だということです。

大麻リキッドと呼ばれる液状大麻は、電子タバコのように吸引できる手軽さから、若者を中心にまん延していると危惧されています。

当記事においては、逮捕の流れについても言及していますが、どの麻薬や覚醒剤であっても基本的な流れは同じです。
薬物犯罪全体において参考にしてください。

  • 大麻リキッドってどんなもの?
  • 大麻リキッドで逮捕される理由・きっかけとは?
  • 大麻リキッドで逮捕されたらその後どうなる?未成年だった場合は?
  • 大麻リキッドで逮捕されても、逮捕回避や処分を軽くする方法はある?

大麻リキッドとは?

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大麻リキッドとは、液状の大麻のことをいいます。

大麻リキッドには、大麻草から抽出したTHC(テトラヒドロカンナビノール)という有害成分が含まれており、大麻幻覚や記憶障害・学習力の低下などをもたらすといわれています。

また、大麻リキッドには、乾燥大麻よりも多くのTHCが含まれていることが特徴です。

THCの濃度は、乾燥大麻が5~10%前後なのに対し、大麻リキッドは70〜80%とかなりの差があります。
よって乾燥大麻よりも毒性が強く、依存症となるリスクも高くなるという点で、特に問題視されているのです。

使用方法としては、電子タバコのカートリッジに大麻リキッドを注入し、そのまま吸引する方法が主流だとされています。
電子タバコは、一般の「タバコ」とは違い無害性のものが多いです。
よって、喫煙具であるにもかかわらず、未成年者でも入手できることがある点も問題といえるでしょう。

大麻リキッドそのものにおいても、インターネットなどで隠語で売買されていることがあり、入手規制がいまだ整備されていないのが現状です。

大麻リキッドと逮捕の流れ

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大麻リキッドで逮捕されるケース・逮捕後の流れについて順番に解説していきましょう。

大麻リキッドで逮捕されるまでの流れ・規制行為・逮捕要件

大麻リキッドで逮捕されるきっかけには、以下のようなものが考えられます。

  • 巡回中の警察官に職務質問され、大麻所持が判明した
  • 大麻リキッドの密売に関するSNS投稿が摘発され、もしくは購入履歴が露呈し逮捕に至った
  • 大麻リキッドを吸引中に警察官に見つかり、鑑定後に通常逮捕(後日逮捕)された
  • 大麻リキッドの所持疑いがかけられ、家宅捜索で所持・使用が判明した
  • 大麻リキッド所持のグループのうち1人が逮捕されたことをきっかけに、組織的犯罪が疑われ自分も逮捕された

大麻リキッドは、大麻草からTHCなど幻覚作用のある成分を抽出して作られています。
乾燥大麻も大麻リキッドも大麻であることに変わりなく、大麻取締法が適用されます。

大麻リキッドの規制行為について解説しましょう。

大麻取締法では、以下の行為を規制しています。

  1. 大麻をみだりに栽培すること
  2. 大麻を日本もしくは海外に輸入・輸出すること
  3. 大麻をみだりに所持すること
  4. 大麻をみだりに譲り受け・譲り渡すこと

日本においては、都道府県知事の免許を受けた大麻取扱者のみが、栽培・所持・譲受・譲渡・研究のための使用ができるとされています。

大麻は、使用について直接的に規制していません。

たとえば、他人の大麻を遊び半分で吸引(使用)したが自分自身では所持していなかったという場合、逮捕に至らない可能性もあります。

大麻取締法の刑罰は、以下表のとおりです。

所持・譲受・譲渡 5年以下の懲役
栽培・輸出入 7年以下の懲役
営利目的の 所持・譲受・譲渡 7年以下の懲役または7年以下の懲役及び
200万円以下の罰金
営利目的の 栽培・輸出入 10年以下の懲役または7年以下の懲役及び
300万円以下の罰金
大麻取締法24条同法24条の2

大麻リキッドで逮捕されるには、以下の逮捕要件を具備することが必要です。

逮捕の要件

大麻を所持しているという嫌疑があり、逃亡や証拠隠しの疑いがあれば、逮捕要件を満たします。

大麻リキッドで逮捕されたあとの流れ

大麻リキッドは、後日逮捕されることが多いです。
というのも、通常薬物所持の疑いで逮捕される際、予試験といって警察官が簡易的な鑑定をします。
覚醒剤であれば予試験ですぐに反応が出るのですが、大麻は正確に出ないことがあります。

そのため、誤認逮捕を防ぐためいったん鑑定を持ち帰り、後日証拠が固まったところで逮捕されることが多いのです。

逮捕後48時間は、警察の取り調べを受けます。

身柄事件の場合、警察は48時間以内に被疑者を検察に送致しなければなりません。

刑事事件の流れ

検察送致後は、検察官の取り調べを受けます。
その後検察官の判断により、勾留請求するか釈放するかが決まるのです。

勾留請求された場合、さらに最大20日間の身柄拘束が続きます。

釈放されますと、その後は「在宅捜査」となり自宅へ帰ることができます。

検察官が起訴するとした場合、身柄事件であれば勾留満期後に、在宅捜査になった場合は時期未定により正式裁判となります。

先述のとおり、大麻リキッド所持などの大麻取締法違反では、罰金刑のみという刑罰が用意されていません。
よって、非公開の簡易裁判になる可能性がなく、すべて公開の正式裁判で処罰されることになっています。

大麻取締法違反は、吸引した量が多かったり、営利目的だったりした場合は、初犯でも起訴される可能性があります。

大麻リキッドで逮捕されたのが未成年だったら?

大麻リキッドを使用する若者が多いことについてはお話ししました。

報道では未成年逮捕も多く取り上げられており、今後の処罰について気になる方もいるのではないでしょうか。

結論、未成年には殺人などの一部犯罪を除き、基本的に刑罰は科せられません。

刑法第41条では、14歳未満を罰しない旨規定されています。

また、14歳以上でも、20歳未満の未成年者には刑法・刑罰を適用せず、更生を目的とした少年法が適用されるのです。

ただし、少年であっても逮捕されたあと、勾留までの流れは基本的に成人と同じです。

未成年の逮捕の流れ

上図のように、少年事件の場合、大麻リキッドの疑いがあれば全件家庭裁判所に事件が送致されます。
その後家庭裁判所の「調査」を経て、審判が開始されれば審判にて処分が決定するという流れです。

審判開始の決定の前に、少年鑑別所での観護措置がとられることもあります。

少年事件の審判で言い渡される決定の種類は、以下に分類されます。

  • 不処分
  • 保護処分
  • 児童福祉手続
  • 刑事手続き
  • 試験観察

大麻リキッドで逮捕されても初犯である場合、グラム数などが多くなければ保護処分となるケースが多いようです。
しかし、家庭裁判所の調査によっては、厳しい処分が下されることも考えられます。

また、大麻は依存性が強いため、違反を繰り返していた場合には少年院送致の可能性も十分ありえるでしょう。

大麻リキッドと逮捕回避は弁護士へ

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つづいて、大麻リキッドでの逮捕回避や、その後の処分軽減対策についてご説明します。

大麻リキッドで逮捕回避するには?

先述のとおり、大麻取締法違反で逮捕される場合は、後日逮捕(通常逮捕)であることが多いです。

よって、現行犯逮捕のようにその場で警察署に連行されるわけではなく、一定の時間をおいて連行・収容されることになるでしょう。

逮捕を回避するには、逮捕前、すみやかに弁護士相談することが鉄則です。
最寄りの刑事事件を扱う弁護士事務所などに連絡しましょう。

職務質問を受けたケースですと、その直後が望ましいです。
弁護士に大麻所持の全容を打ち明け、逮捕回避の可能性や、対処法などについて相談しましょう。

逮捕回避は、警察署に対する意見書をもっておこないます。

具体的には、逮捕の必要性がない旨、文書で訴えていくことになります。

逮捕の必要性がない要素というのは、逃亡・罪証隠滅のおそれがないことです。

逃亡しない旨については、たとえばご家族がいることや定職に就いていることを主張します。
罪証隠滅については、罪について真摯に認めている態度や、証拠となる物品をすべて捜査機関や弁護士に隠さずに打ち明けている点などについて主張します。

大麻リキッドで逮捕されても罪が軽くなる?

大麻リキッドは、依存性が高いことについてはすでにお話ししました。

残念なことに、反省して服役しても、再度同じ罪を犯してしまうことが珍しくありません。

しかし、すべての事件で実刑判決になるわけではありませんし、大麻の使用がわずかであった場合には不起訴処分を得られることもあります。

不起訴処分とは、検察官が、起訴しないで事件を終了させる手続きです。
検察官にしかできない手続きであり、不起訴処分を狙うには検察官にかけ合う必要があります。

また、執行猶予判決を得られるかどうかは、公判での主張内容や、被疑者の犯罪状況により左右されます。

わずかでも処分軽減を望む場合には、弁護士依頼を検討しましょう。
刑事弁護は、逮捕前から依頼可能です。
それどころか、逮捕後時間が経過してしまうと手遅れになることも考えられます。

以下、アトム法律事務所の大麻事件解決実績例を1つご紹介します。

友人と共同・営利目的という状況で身柄解放と実刑回避を実現

逮捕後の受任。
友人と共同で大麻を栽培しており、複数人が関与している事件であったが、起訴後の保釈請求が認められた。
また、営利目的ということもあり、重い刑罰が予想されるところ、実刑を回避し執行猶予付き判決を獲得。
本人は大麻栽培のほか、大麻・MDMAやLSDの所持の容疑でも逮捕されていた。

アトム法律事務所は、刑事事件において長年の実績を誇る法律事務所です。

大麻リキッド、その他麻薬犯罪などでお困りの方はご相談ください。