岡野武志

第二東京弁護士会所属。刑事事件で逮捕されてしまっても前科をつけずに解決できる方法があります。

「刑事事件 法律Know」では、逮捕や前科を回避する方法、逮捕後すぐに釈放されるためにできることを詳しく解説しています。

被害者との示談で刑事処分を軽くしたい、前科をつけずに事件を解決したいという相談は、アトム法律事務所にお電話ください。

アトムは夜間土日も受け付けの相談窓口で刑事事件のお悩みにスピーディーに対応いたします。

lineで強要罪は成立する?lineの強要罪事例と関連犯罪を解説

think 0902 6

当記事は、LINE(line)やメール・インターネットやSNS上の書き込みで強要罪が成立する例について解説しています。

強要罪の周辺に成立しやすい犯罪としては、脅迫罪や暴行罪などがあります。
それら関連犯罪についても言及していきましょう。

強要罪それ自体で起訴される件数はあまり多くはありませんが、LINEの文面などの証拠が揃っており、内容が悪質な場合は起訴される事件もあります。

記事の最後では、強要罪など被害者のいる犯罪でできる対策についてもお話ししましょう。

強要罪成立のポイントは、暴行や脅迫の手段を用いたことです。
そのうえで、強要があった場合に成立するのであり、強要がなければ脅迫罪などが成立することになります。

  • 強要罪って何?暴行罪や脅迫罪と何が違うの?
  • LINEやLINE以外のメールで脅迫したら強要罪になる?
  • 本当に強要罪で逮捕されたらどうすればいい?逮捕される前にできることもある?

lineで強要罪・脅迫罪は成立するのか

phonecame unsp 3

強要罪とは

強要罪とは、暴行脅迫を用いて、相手に義務のないことをおこなわせる犯罪です。

相手の権利行使を妨げた場合にも成立します。

強要罪は、LINEやメールなど、本人と対面しない方法でも成立することがあります。

そのため、LINEやメールなどの文面で脅迫し、相手に不必要な行為をさせることは危険です。

加害行為をした本人にとっては冗談のつもりでも、送信したLINEやメールの文面をきっかけに強要罪が成立する可能性があります。
もちろん、文面などからして明らかに冗談である場合は、脅迫などの手段に該当しないでしょう。

刑法223条で規定されている強要罪の内容は以下のとおりです。

(強要)第二百二十三条 

生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者は、三年以下の懲役に処する。

 親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者も、前項と同様とする。

 前二項の罪の未遂は、罰する。

刑法223条

上記手段の内容としましては、本人またはその親族の生命・身体・自由・名誉または財産に害を加える旨を告知してなされる脅迫のほか、本人に対する暴行などがあります。

相手を強要させる「権利」「義務」とは?

強要罪にいう「権利」や「義務」は、かならずしも法律上承認されているものに限りません。
慣習上の権利義務・条文に載っていない権利義務など、幅広いものが該当します。
たとえば憲法上の「幸福追求権」や、「行動の自由」なども権利といえます。

また、LINEやメールが当たり前の時代において、それらをきっかけに起きる犯罪は強要罪に限りません。
様々な事例・罪名で逮捕されることがあります。
顔の見えないLINEやメール・SNSのやり取りでも、取り返しのつかない事態になりうるケースが存在するのです。

強要罪の法定刑は、3年以下の懲役と規定されています。

罰金刑の規定はなく、起訴され有罪となった場合は懲役刑のみということです。

なお、懲役刑には一定期間罪を犯さなければ刑務所に収監されない執行猶予がつくこともあります。

条文のとおり、強要罪は未遂罪も罰せられます。

本罪の未遂は、暴行または脅迫の開始時点で成立するとされており、相手方が畏怖(いふ)せず任意に義務のないことをおこなったときに成立しえます。

強要罪に関連する犯罪

強要罪と脅迫罪について

つづいて、強要罪の手段として用いられる「脅迫」についてご説明します。

脅迫罪が成立する事例と、強要罪との境界線についても解説していきましょう。

脅迫罪の条文は以下のとおりです。

(脅迫)第二百二十二条 

生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、二年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。

 親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者も、前項と同様とする。

刑法222条
LINEで脅迫罪が成立する事例文言

ポイントは、 生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知したことです。

  • 「ぶっ殺すぞ」「ぶん殴るぞ」などと送信(生命・身体に害を加える告知)
  • 「閉じ込めるぞ」などと送信(自由に害を加える告知)
  • 「不倫の事実を会社中にばらすぞ」などと送信(名誉を害する告知)
  • 「家を放火してやる」などと送信(財産に害を加える告知)

脅迫罪は、強要罪のように「相手方の権利義務を妨害する行為」は要件となっていません。
先述のとおり、あくまで脅迫は、強要罪を軸におくと「手段」にすぎないのです。

また脅迫罪も強要罪と同様、加害をした相手(被害者)が、相手の親族であっても成立します。

脅迫罪の法定刑は、2年以下の懲役または30万円以下の罰金刑です。

法定刑(罰則)は、逮捕後、起訴され有罪になった場合に適用されます。

強要罪と暴行罪について

暴行罪は、刑法208条に規定されています。

脅迫罪同様、下記要件を満たしたうえで、相手の権利義務を妨害する行為に及んだ場合は強要罪に該当します。

(暴行)第二百八条 

暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、二年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

刑法208条

暴行とは、不法な有形力の行使です。

たとえば殴る蹴るなどの加害行為です。

暴行罪は、強要罪のように「相手方の権利義務を妨害する行為」は要件となっていません。
あくまで暴行は、強要罪を軸におくと「手段」にすぎないのです。

そのほか、暴行や脅迫と似ている犯罪に、「恐喝罪」があります。

恐喝罪とは、脅迫や暴行を用いて相手を畏怖させ、お金(金銭)などの財物を要求・交付させる犯罪です。

line以外でも強要罪・脅迫罪は成立する

tel 19

SNSの書き込みがきっかけとなった強要事件

こんな事件があります。

あるショッピングセンターにて、商品に穴が開いていたとクレームをつけた主婦がいました。
その主婦は、店員2名に土下座させたうえ写真を撮り、Twitterに投稿・書き込みをしたとのことです。

Twitterに書き込んだテキスト内容は、「従業員の商品管理の悪さの為に損害を与えたとして謝罪する○○店舗△△店の店長代理☓☓と平社員☓☓」といったものです。

その後加害者の主婦は「強要罪」で逮捕されるに至っています。

この事件では、加害者が従業員に土下座をさせたうえ、自宅に来て謝罪するよう約束させていることから、強要罪の要件を満たしたものと考えられます。

脅迫罪や暴行罪などで逮捕される事件はよく耳にしても、強要罪で逮捕されたというニュースあまり聞いたことがなかったという方もいたのではないでしょうか?

メールを送信し脅迫事件となった事例

ゲームに勝てないことにイライラが募り、ゲーム会社に直接脅迫メールを送ったとして逮捕された事例があります。

「関係者を殺す」や、「どうしたらゲームに勝てる」などと執拗に送信したとのことです。

メールでもLINEでも同様のことがいえますが、それらは証拠として残ります。
被害者に被害届を出された場合、言い逃れられないケースが多いでしょう。

このような「殺害予告メール」は、生命などに加害をする旨示唆しており、脅迫罪の要件を満たします。

lineの強要罪で逮捕されたら弁護士へ

atom bengoshi 14

事件化の予防と逮捕回避のためにできること

まず、強要罪や脅迫罪で被害届を出されてしまった場合に、すぐにできることについて言及します。

弁護士依頼によって、事件化と逮捕を回避するという方法です。

すべての事件に当てはまるわけではありませんが、具体的な方法は以下のとおりです。

  1. 自首する
  2. 弁護士を介し、逮捕回避について捜査機関に訴える

自首とは、犯人が自発的に自分の犯罪について捜査機関に申告することです。

罪が発覚する前におこなうことがポイントです。

捜査機関に発覚してから申告することは、法律上の「自首」に該当しません。

つまり、自首するなら早めにおこなう必要があるということです。

なお、自首は弁護士同行でも可能です。

自首した場合、逮捕自体を回避できる場合があります。

「逮捕回避のための弁護活動」とは、早期に被害者からの許しを得るなど、逮捕の必要性がないことを訴えていくことになるでしょう。

不起訴処分の獲得に向けて

LINEやメール、SNSの書き込みで逮捕されたら弁護士に相談しましょう。

刑事弁護を依頼した結果、強要罪や脅迫罪では不起訴処分を獲得できる可能性が高いです。

不起訴処分とは、検察官が起訴せず事件が終了することです。

前科もつきません。

不起訴処分を獲得するには、以下のような刑事弁護が必要です。

  • 被害者との接触
  • 被害者と示談交渉・示談締結

具体的には、弁護士が捜査機関を通して被害者と接触、その後、被害者本人と加害者の代わりに示談をすることが有効です。

さらに示談では、被害者が加害者を許すという「宥恕」文言を得ることで、検察官が不起訴処分を決定する可能性が高まります。

示談とは
被害者との示談で必要なこと・ものとは?
  • 弁護士依頼
  • 弁護士費用
  • 示談金
  • 謝意

事件により、対策や処分見込みは様々です。
まずは個別に弁護士相談を利用しましょう。

強要罪で起訴された場合

先述のとおり、強要罪が悪質であった場合は起訴される可能性があります。

強要罪の起訴後は懲役刑のみですが、すべてにおいて刑務所に収監されるわけではありません。

執行猶予付き判決を獲得すれば、刑務所にいかなくてもよくなります。
また、判決後は元の生活に戻ることが可能です。

執行猶予付き判決とは?

有罪判決後、刑の執行が猶予されることです。
「懲役1年執行猶予3年」の場合、3年間は刑の執行がされず、ただちに実刑になるわけではありません。
また、執行猶予期間中の3年間罪を犯すことがなければ、刑の言い渡しは失効します。

刑事弁護の依頼により、執行猶予を目指す活動が可能です。
弁護士相談は無料でできるケースもありますので、早めに電話などで問い合わせてみましょう。