岡野武志

第二東京弁護士会所属。刑事事件で逮捕されてしまっても前科をつけずに解決できる方法があります。

「刑事事件 法律Know」では、逮捕や前科を回避する方法、逮捕後すぐに釈放されるためにできることを詳しく解説しています。

被害者との示談で刑事処分を軽くしたい、前科をつけずに事件を解決したいという相談は、アトム法律事務所にお電話ください。

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ストーカーで逮捕されたら弁護士へ|ストーカー行為と弁護士依頼のメリット

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いくら相手に好意を抱いていても、行き過ぎた行為は「ストーカー行為」にあたることがあります。

そこで当記事では、どこからがストーカー行為として法律違反になるのか、いざ逮捕されてしまったらどうすればいいのかについて解説していきましょう。

ストーカー行為は客観的に見れば迷惑行為ですが、当の本人には恋愛感情や怨恨からくる憎悪などが備わっており、犯罪を顧みずに犯行に及んでしまったケースも存在します。

また、実際に、犯罪に該当するストーカー行為そのものを見極めることは難しく、しかもストーカー行為と同時に他の罪にも該当してしまう可能性もあるのです。

ストーカー行為からくる様々な心配事について、以下の疑問に沿って解説していきましょう。

  • そもそも逮捕・事件となるストーカー行為とは?
  • ストーカーで逮捕されたあとの流れとは?
  • ストーカー逮捕と同時に罪に問われやすい犯罪とは?
  • ストーカーで逮捕されたときの刑事弁護とは?メリットは?

ストーカーとは

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ストーカー規制法違反とは

ストーカー行為を規制する目的について確認してみましょう。

(目的)第一条 
この法律は、ストーカー行為を処罰する等ストーカー行為等について必要な規制を行うとともに、その相手方に対する援助の措置等を定めることにより、個人の身体、自由及び名誉に対する危害の発生を防止し、あわせて国民の生活の安全と平穏に資することを目的とする。

ストーカー行為等の規制等に関する法律1条

ストーカー規制法で規制している行為は、以下の2つです。

  1. ストーカー行為
  2. つきまとい等

ストーカー規制法では、「ストーカー行為」にあたる詳細な行為として、「つきまとい等」の行為を規制しています。

ストーカー規制法規定の罰則は、1年以下の懲役または100万円以下の罰金です

ストーカー行為はどこからが違法?

ストーカー規制法2条では、「つきまとい等」について8つの行為を規制しています。
また、そのいずれかの行為を同一人に対し、反復しておこなった場合に、「ストーカー行為」をしたものとされるのです。

ストーカー行為とは
  • 同一人に対し
  • つきまとい等の行為を
  • くり返しおこなったこと

2条に規定されているつきまとい等行為は、以下のとおりです。

  1. つきまとい、待ち伏せし、進路に立ちふさがり、住居、勤務先、学校その他その通常所在する場所(以下「住居等」という。)の付近において見張りをし、住居等に押し掛け、又は住居等の付近をみだりにうろつくこと。
  2. その行動を監視していると思わせるような事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと。
  3. 面会、交際その他の義務のないことを行うことを要求すること。
  4. 著しく粗野又は乱暴な言動をすること。
  5. 電話をかけて何も告げず、又は拒まれたにもかかわらず、連続して、電話をかけ、ファクシミリ装置を用いて送信し、若しくは電子メールの送信等をすること。
  6. 汚物、動物の死体その他の著しく不快又は嫌悪の情を催させるような物を送付し、又はその知り得る状態に置くこと。
  7. その名誉を害する事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと。
  8. その性的羞恥心を害する事項を告げ若しくはその知り得る状態に置き、その性的羞恥心を害する文書、図画、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下この号において同じ。)に係る記録媒体その他の物を送付し若しくはその知り得る状態に置き、又はその性的羞恥心を害する電磁的記録その他の記録を送信し若しくはその知り得る状態に置くこと。
実際にあったストーカー行為の例
  • 面識のない相手の行為を監視するような行動を、くり返しおこなった
  • 元交際相手に何度も電話し、住居にまで侵入した
  • 行為を抱いている相手に対し、執拗に「大好き」などのメールを何百通も送り付けた

なおメール送信には、SNSを通じてのダイレクトメールのやり取りも該当します。

ストーカーで逮捕されたらどうなる?

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ストーカーで逮捕された後の流れ

ストーカー規制法違反で逮捕されてしまったあとの流れについて解説します。

一般的な逮捕の流れは、以下の図のとおりです。

逮捕の流れ

逮捕後はまず、警察署の留置場などに収監されます。

逮捕後2~3日は警察の取り調べがおこなわれるため、被疑者はご家族と面会できません。
その間、ご家族には逮捕の事実のみ連絡がいくことになるでしょう。

検察官に勾留請求され、勾留が決定しますと、さらに最大20日間身柄が拘束されます。

またそのまま起訴された場合は、99.9%の確率で有罪となり、前科がついてしまいます。

以下は、逮捕後釈放される可能性のあるタイミングを図にしたものです。

逮捕・釈放の流れ

図のように、起訴前であっても起訴後であっても、釈放される可能性はあります。

釈放されるためのポイントとしては、弁護士に依頼することです。
何の根拠もなく、自動で釈放されることはありません。
捜査機関が身柄拘束してくる間、弁護士を介し、釈放されるような根拠を捜査機関に訴える必要があるのです。

身柄解放の詳細については、目次「 ストーカーで逮捕されそう・逮捕されたら弁護士へ 」で後述することにしましょう。

ストーカー規制法と同時に問われやすい罪

ストーカー行為をした際、ストーカー規制法違反と同時に、別の法律違反で逮捕されることがあります。

具体例を挙げてみましょう。

ストーカー行為以外の法律でも逮捕される例
  • ストーカー行為をした際に、被害者の住宅または住宅の敷地内にも侵入し、住居侵入罪でも逮捕された
  • ストーカー行為をした被害者に、「殺す」など脅迫メールを送信し、脅迫罪でも逮捕された
  • ストーカー行為をした被害者に対して乱暴な行為をし、暴行罪でも逮捕された
  • ストーカー行為をした被害者を盗撮し、迷惑防止条例違反で逮捕された

上記の例で挙げた犯罪は、刑法や条例に規定されている犯罪です。
ストーカー規制法違反と同時に問われることも珍しくなく、実際にニュースなどでも目にすることが多いのではないでしょうか。

以下に、上記の刑法や条例上罰せられる犯罪と罰則を列挙してみましょう。

住居侵入罪

住居侵入罪は、正当な理由がないにもかかわらず、不法に住居などに侵入した場合に成立します。
ストーカー被害者の意に反して、住居に侵入した場合は罪に問われるでしょう。

住居侵入罪の法定刑は、3年以下の懲役または10万円以下の罰金刑とされています。

脅迫罪

脅迫罪は、相手または親族の生命、身体、自由、名誉、財産のいずれかに対し害を加える旨を告知した場合に成立します。
相手への恋愛感情や怨恨から、「殺す」や「死ね」などのメールや手紙を送った場合脅迫罪に問われるでしょう。

脅迫罪の法定刑は、2年以下の懲役または30万円以下の罰金刑です。

暴行罪

暴行罪は刑法上、「人の身体に対し不法に有形力を行使」した場合に成立するとされています。
有形の反対定義として無形がありますが、無形の例は臭気や病菌などです。
つまり暴行罪の有形力とは、直接被害者に接したような行為であり、被害者を殴ったり蹴ったりした場合は暴行罪が成立します。

暴行罪の法定刑は、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料です。
また、被害者が怪我を負った場合には、暴行罪にとどまらず傷害罪が成立することもあります。

盗撮(迷惑防止条例違反)

故意に相手を盗撮する行為をした場合、迷惑防止条例違反に問われることがあります。
迷惑防止条例違反は各都道府県で制定されているため、法定刑は各地域で異なります。

盗撮の罰則は罰金刑が多いです。しかし懲役刑になった場合、各都道府県によって「6か月以下の懲役」または「1年以下の懲役」になることもあります。

その他わいせつ行為に及んだ場合には、「強制わいせつ罪」などの罪に問われることも考えられます。

ストーカーで複数回逮捕されたら?

ストーカー行為の加害者には、常習性があることも多いです。

ストーカー規制法違反で一度逮捕された人が、警察からの禁止命令を受けているにもかかわらず、再度ストーカー行為をしてしまった場合について解説します。

ストーカー規制法では、つきまとい等を反復するおそれのある加害者に対し、警察が禁止命令を出せる旨規定しています。

(禁止命令等)第五条 
都道府県公安委員会(以下「公安委員会」という。)は、第三条の規定に違反する行為があった場合において、当該行為をした者が更に反復して当該行為をするおそれがあると認めるときは、その相手方の申出により、又は職権で、当該行為をした者に対し、国家公安委員会規則で定めるところにより、次に掲げる事項を命ずることができる。

ストーカー行為等の規制等に関する法律5条

禁止命令が出されているにもかかわらず、再度ストーカー行為で逮捕された場合は、禁止命令等違反罪の規定が適用されます。

禁止命令に違反してストーカー行為をした場合の罰則は、もともとの罰則よりも重くなり、2年以下の懲役または200万円以下の罰金となっています。

禁止命令は、ストーカー被害者の申し出または警察(公安委員会)の職権により命じられます。

ストーカーで逮捕されそう・逮捕されたら弁護士へ

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ストーカー規制法違反の刑事弁護

ストーカー規制法違反で逮捕されたら、弁護士依頼で以下のことが可能となる場合があります。

ストーカー規制法違反の弁護活動で期待できること
  • 逮捕後身柄拘束から解放される
  • 処分・量刑が軽くなる

順番に解説しましょう。

まずは身柄解放についてです。

逮捕後の釈放例として、検察官に勾留請求される前に釈放されることがあります。

刑事弁護を通し、弁護士から検察官に訴えることによって釈放される可能性があるのです。

長期の身柄拘束は、被疑者の職場復帰や日常復帰に支障をきたします。
そのため、刑事事件を弁護士に相談・依頼することにより、まずは身柄解放活動を優先するという方も多いです。

そのほか、起訴後は保釈請求をし、保釈が通れば釈放がかなうケースもあります。
保釈金を支払い保釈されますと、被告人は自宅にいながら裁判を受けに行くことになります。

つぎに、処分や量刑が軽くなる可能性についてです。

刑事事件の弁護を依頼された弁護士が優先することのひとつに、被害者との示談交渉があります。
示談が成立すれば、被害者からの許しをえたことにつながりやすく、処分が軽くなる傾向にあります。

また、ストーカーの加害者が直接、被害者との示談交渉をすることは非常に困難です。
そもそも面識のない場合は被害者と連絡がとれない可能性も高いですし、面識があったからといって、逮捕後ストーカー被害者に接することはできません。

ストーカー規制法違反で前科をつけないためには?

刑事事件で逮捕された加害者や、そのご家族にとって心配なのは、逮捕後前科がついてしまうことではないでしょうか。

前科は、起訴後有罪判決を得た後についてしまいます。
不起訴処分となれば前科はつきません。

先述のとおり被害者との示談が成立すれば、処分が軽くなり、起訴されない(不起訴になる)可能性も高まります。

つまり前科をつけないためには、起訴前に被害者との示談を成立させる必要があるのです。

示談のタイミングとメリット

刑事事件は、特に逮捕された身柄事件の場合、刑事訴訟法という法律にのっとりスピーディーに進行します。
刑事弁護は早期依頼にこしたことはなく、起訴後に示談が成立しても起訴を取り消すことはできません。

起訴後の示談成立は、実刑にならず執行猶予がつく可能性がありますが、できれば起訴前に対策しておき、前科を回避することの方が重要ではないでしょうか。

ストーカー規制法違反で逮捕されそう、もしくは逮捕されてしまった場合は、早期に弁護士相談されることをおすすめします。