第二東京弁護士会所属。刑事事件で逮捕されてしまっても前科をつけずに解決できる方法があります。
「刑事事件 法律Know」では、逮捕や前科を回避する方法、逮捕後すぐに釈放されるためにできることを詳しく解説しています。
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誹謗中傷で訴えられたら?訴えられるケースや流れ・対応方法を解説
現代問題の1つである、インターネット上での誹謗中傷で訴えられた場合について解説しています。
TwitterなどのSNSで他人の誹謗中傷を書き込み・ツイートした場合、悪気がなかったとしてもトラブルや事件に発展することがあります。
また、誹謗中傷で訴えられたというケースは大きく以下の2つに分かれます。
- 民事上の誹謗中傷(名誉毀損)で訴えられた
- 刑事上の誹謗中傷(名誉毀損罪・侮辱罪)で訴えられた
どちらも訴えられたことに変わりはありませんが、その対処法などが根本的に異なります。
よって、それぞれについて対策していかなくてはなりません。
当記事では、誹謗中傷で訴えられた場合について、以下の疑問に添って解決していきます。
- 誹謗中傷で訴えられた!どのようなケース・流れがある?
- 誹謗中傷で訴えられたらどのような責任を負う?
- 名誉毀損罪・侮辱罪で訴えられたらどうすればいい?対応方法は?
目次
誹謗中傷でなぜ訴えられた?投稿から事件まで
誹謗中傷で民事請求されてしまったケース・発信者情報開示請求とは?
まずは民事上の請求をされてしまったケースです。
悪気がなくともつい他人の誹謗中傷を書き込んでしまい、大きなトラブルに発展することがあります。
特に芸能人など有名な方ですと、フォロワー数も多く、気がつけばニュースとして取り上げられてしまった・・・なんてことも珍しくありません。
TwitterなどのSNS機能に、「通報」機能があることをご存知の方は多いかと思います。
もしくは、「投稿を報告する」という文言を見たこともあるかもしれません。
また、ブログなどで誹謗中傷されたケースですと、管理人に削除依頼などができることもあります。
SNS上に誹謗中傷を書き込みされた被害者は、第一にそれらの機能を利用することが考えられます。
その後SNSなどの運営者側によって、悪質な投稿であれば削除等されることになるでしょう。
しかし、誹謗中傷された被害者の被害感情が大きい場合は、次のステップに移行することがあります。
そのステップに踏み込んだ場合、いよいよ民事請求事件に発展する可能性があります。
(不法行為による損害賠償)
第七百九条故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
民法709条
誹謗中傷をされた被害者は、「発信者情報開示請求」により加害者の特定をおこなうことが検討されます。
発信者情報開示請求とは、加害者のIPアドレスや住所の開示を求める手続です。
つまりは個人情報を特定することですが、SNSなどの機能上で、運営者側が加害者の個人情報を即座に提供することはありません。
個人情報保護とプライバシー権保護の観点から難しいからです。
加害者が知人であれば特定するまでもなく訴えることができるでしょうが、加害者が匿名の場合は、そう簡単にはいきません。
そこで被害者側は、裁判所の手続きを経て加害者特定をしていくことになるでしょう。
誹謗中傷を受けた被害者が加害者を訴える場合、裁判所に「仮処分の申し立て」をおこなうことにより、加害者の特定ができる場合があります。
仮処分が認められることで、プロバイダはIPアドレスの開示をしなくてはならなくなります。
仮処分とは、金銭以外の保全処分をいいます。
本訴訟に移行する前に、訴える側の不利益にならないよう裁判所の簡易的な手続きによって権利を保全しておくというものです。
また、最終的に加害者の負う責任には、以下の内容が考えられます。
- 誹謗中傷の表現の削除
- 誹謗中傷したことによる謝罪広告
- 慰謝料の支払い(損害賠償請求される)
慰謝料の金額相場は、事案によって異なり一概にはいえませんが、およそ100万円以内でおさまる可能性が高いでしょう。
なお、名誉毀損で訴えられた場合、加害者は刑事責任をも負うケースがあります。
次章でみていきましょう。
誹謗中傷で刑事告訴されてしまったケース
誹謗中傷の書き込みが、刑事事件に発展したケースについて解説していきましょう。
SNSやインターネット上に誹謗中傷を書き込んだ場合、刑法230条「名誉毀損罪」が適用されることがあります。
(名誉毀損)
刑法230条
第二百三十条 公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。
刑法上の名誉毀損罪に該当した場合、先述の民事責任とはまったく別方向での責任を負う必要があります。
刑事責任ですので、警察などの国家が介入する事件となり、責任の内容は刑罰ということになります。
また、名誉毀損で訴えられるケースとは、誹謗中傷を受けた被害者が、告訴した場合です。
刑事告訴とは、被害者はじめ告訴権者が捜査機関に犯罪事実を申告して処罰を求めることですが、名誉毀損罪の成立には告訴を必要としています。
つまり、被害者の告訴がなければ、加害者は刑事責任を負うことはありません。
名誉毀損罪のように告訴を必要とする犯罪を「親告罪」といいます。
「名誉毀損・逮捕」については、「名誉毀損は逮捕される?逮捕される場合とされない場合・侮辱罪との違いとは?」でも詳しく解説しています。
あわせてお読みください。
以下、名誉毀損罪の条文について解釈していきます。
刑事事件の「名誉毀損」とは
公然と、事実を摘示し、人の名誉を毀損したこと
「公然と」というのは、不特定多数の人間に知れ渡る状態にされたということです。
TwitterなどのSNS上の誹謗中傷は、公然性が認められやすくなるでしょう。
なお、2~3人程度の少人数であっても話が広がる可能性があれば公然性は認められます。
「事実の摘示」とは、具体的な事実を摘示したことをいいます。
摘示された「事実」の内容が、「真実」であるかどうかは問題になりません。
嘘のデマであっても、何かしらの事実で人の名誉を傷つければ、名誉毀損罪は成立しえます。
「人の名誉を毀損したこと」とは、「社会的名誉」が傷つけられ、社会的評価が下がったことをいいます。
被害者の個人的な感情で決まるものではありません。
誹謗中傷の内容によって、客観的に判断されるでしょう。
名誉毀損罪とよく間違われる犯罪に、「侮辱罪」があります。
侮辱罪は「単なる悪口」を書き込んだ場合に該当し、具体的な事実を書き込んだ名誉毀損罪とは異なります。
侮辱罪に該当した場合の刑罰は1年以下の懲役もしくは禁錮もしくは30万円以下の罰金または拘留もしくは科料です。
名誉毀損罪は、民事上の名誉毀損と違い「犯罪」に該当するものです。
よって、逮捕や、最悪の場合起訴されるなどして、加害者の今後の人生が変わってしまう可能性もあります。
次章では、名誉毀損罪に該当しそう・該当してしまった場合の対応方法について解説していきましょう。
アトム法律事務所では、誹謗中傷で訴えられた・刑事告訴をされた場合について法律相談をおこなっています。
警察がすでに関与している場合(警察から呼び出しを受けた・逮捕された)の弁護士費用(相談料のみ)は0円無料です。
誹謗中傷で訴えられた場合の時効は何年?
誹謗中傷で訴えられた際の時効については、以下のとおりです。
なお、刑事事件の時効は「公訴時効」といい、検察官が起訴できる期限のことをいいます。
損害・犯罪 | 時効 |
---|---|
民法の不法行為に基づく損害賠償請求 | 損害および加害者を知った時から3年間 |
名誉毀損罪 | 犯罪行為の終了時点から3年 |
侮辱罪 | 犯罪行為の終了時点から3年 |
誹謗中傷で訴えられたら弁護士へ
刑事告訴に対する対応・対処法
名誉毀損や侮辱罪で刑事告訴されてしまった場合について、対応方法を解説いたします。
刑事告訴されてしまったら、以下について検討しましょう。
- まずは事件の概要を弁護士に相談し、今後の見通しを立てる
- 不起訴処分になるよう活動する
刑事告訴された場合、流れとしては、警察の捜査が開始するところから始まります。
その後警察は、逮捕の必要性に応じ、逮捕の手続きをおこないます。
ただ、弁護士相談を検討するころには、被疑者は留置場にいるといったこともあるかもしれません。
そのような場合であっても、ご家族からの弁護士相談が可能ですので、なるべく専門家の意見は取り入れるようにしましょう。
名誉毀損罪や侮辱罪は要件も複雑であり、逮捕前ですと、そもそも罪に該当するのかどうかといったことで悩んでいるケースもあるかと思います。
今後の見通しを聞いておくことは、加害者の不安を拭う面でも安心材料になります。
続いて重要なのが、不起訴処分に向けた活動をすることです。
名誉毀損罪や侮辱罪で刑事告訴されたら、真っ先に被害者との示談を検討しましょう。
被害者との示談については、次章で詳しく解説します。
誹謗中傷の被害者と示談するには?罪を軽くする方法
被害者との示談交渉について、加害者側が直接おこなうのは困難です。
通常は、弁護士を介して交渉していくことになります。
また、不起訴処分を獲得するためには、被害者との交渉や被害者の意思表示が欠かせません。
具体的には以下のとおりです。
不起訴処分を獲得するためには?
- 示談が成立していること
- 被害者が告訴を取り消すこと
すでにお伝えしたように、刑事告訴がなければ被疑者が逮捕されることはありません。
よって、逮捕後であれば、告訴取り消しができた場合、検察官は被疑者を起訴できなくなります。
また、示談が成立し、示談書を捜査機関に提出することで、不起訴処分になる可能性が高まります。
示談交渉の中には、加害者が被害者に対して支払う「示談金」の交渉も含まれます。
おもに、金額と処罰意思について交渉していくことになるでしょう。
無罪を主張する場合は別ですが、示談交渉を弁護士が代理でおこなう場合でも、誠意ある謝罪意思は必要です。
被害者には、謝罪文を添えるなどして対応していくこともあります。
また、起訴後であっても、示談の成否は刑事罰の決定に影響を及ぼしますが、起訴が取り消されることはありません。
そのため、刑事告訴をされたら、早めの弁護士相談・被害者対応を優先させましょう。
誹謗中傷で訴える側が請求できる根拠は、おもに民法709条の不法行為に基づきます。
また、訴えられたという場合、被害者側が加害者(投稿者)を特定していることが前提になります。