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大麻で未成年が逮捕されたら?大麻取締法の解説と未成年逮捕の流れ

令和6年12月12日、大麻取締法は改正されました。改正の内容については『大麻取締法改正を解説』の記事をご覧ください。 |
警視庁の発表によれば、大麻取締法違反で摘発された未成年者は、2021年時点で過去最多だということです。
大麻クッキー、大麻キャンディなどの菓子類や、液体大麻など、違法な大麻は、未成年の手が届く所に出回っています。
この記事では2024年12月11日の法改正前の「大麻取締法違反」について解説しています。
- 大麻取締法違反の刑罰は?
- 未成年は大麻で逮捕される?前科はつく?
- 親ができることは?
- 未成年の大麻事件の弁護活動とは?
このような疑問にお答えしているので、是非さいごまでご覧ください。
目次
大麻事件とは
まずは大麻を取り締まる法律、「大麻取締法」についてみていきましょう。
大麻取締法違法となる行為
大麻取締法では、以下の行為を禁止しています。
なお、規制される行為は成人でも未成年でも同様です。
- 大麻をみだりに栽培すること
- 大麻を日本もしくは海外に輸入・輸出すること
- 大麻をみだりに所持すること
- 大麻をみだりに譲り受け・譲り渡すこと
(大麻取締法第24条・24条の2参照)
なお上記の行為に加え、営利目的だったのかそうでなかったのかによって、罰則内容が変わってきます。
大麻使用と処罰
大麻取締法には、嗜好品としての大麻の「使用」について、直接的な処罰規定は存在しません。
ただ、使用する人は、たいてい所持・譲受・栽培しているので、所持や譲受、栽培の罪で罰せられることも少なくありません。
2024年12圧11日まで大麻使用罪がなかった理由
従来、個人の不正使用が規制の対象になってこなかったのは、産業として許可された上で大麻を栽培する人たちから、大麻の陽性反応がでることが懸念されたことが理由のひとつとしてあげられます。
しかし、大麻を吸っていいと正面から認められているわけではありません。
大麻は、有害な薬物であることに変わりはありません。
コラム:「大麻取扱者」は合法
大麻取扱者になろうとする者は、厚生労働省令の定めるところにより、都道府県知事の免許を受けなければならない。
大麻取締法 第5条
大麻取扱者とは、大麻の繊維や種子を栽培する目的で大麻草を栽培する者および、大麻を研究する目的で栽培・使用する者をいいます。
いずれも知事の免許が必要です。
大麻事件で科せられる刑罰
刑罰は、基本的に成人に適用されます。
未成年の大麻事件の流れについては後述することにいたします。
大麻事件が営利目的でなかった場合の刑罰
栽培・輸出入は7年以下の懲役です。
個人間でのやり取りを想定している、所持・譲り受け・譲渡は、5年以下の懲役となっています。
栽培や輸出入は、より大麻を流通させる可能性が高いため、比較的刑罰が重くなっているのです。
大麻を、みだりに、栽培し、本邦若しくは外国に輸入し、又は本邦若しくは外国から輸出した者は、七年以下の懲役に処する。
大麻取締法 刑罰
大麻を、みだりに、所持し、譲り受け、又は譲り渡した者は、五年以下の懲役に処する。
大麻事件が営利目的だった場合の刑罰
営利目的だった場合は、所持・譲り受け・譲渡は、7年、栽培や輸出入は10年以下の懲役です。
また、営利目的である場合は、上記懲役刑に加え、罰金も併科される可能性があります。
罰金は、所持・譲り受け・譲渡の場合で200万円以下、栽培・輸出入であれば300万円以下と規定されています。
未成年の大麻事件の流れ

14歳以上の未成年の逮捕
14歳以上の未成年者が大麻事件を起こした場合、逮捕される可能性があります。
逮捕後は、検察官から家庭裁判所に事件が送られます。
家庭裁判所では調査がおこなわれ、その未成年者にどのような処分をだすかが検討されます。
14歳以上の未成年で、あまりに悪質な大麻事件をおこしてしまった場合は、検察官に事件が戻され、検察官によって起訴される可能性もあります。
起訴されれば、成人の手続きと同じように、通常の裁判を受けて、有罪判決が出されてしまうかもしれません。
14歳未満の未成年の逮捕
14歳未満の場合、刑事責任を問うことができないので、逮捕はされません。
しかし、補導等された上で、家庭裁判所の審判を受ける可能性はあります。
未成年の大麻事件、つまり少年事件は、一定の嫌疑がない場合を除き、全件家庭裁判所に事件が送られる決まりとなっています。
このことを、「全件送致主義」といいます。
未成年が仮に勾留された場合であっても、その後はよほどの重罪事件でない限り、検察官によって起訴されることはありません。
さきほどの図にあるように、事件が家庭裁判所に送られたあとは、調査に付されることになるのです。
少年事件の流れ・少年法について補足
少年法とは?
少年法は、少年の健全育成・更生を目的としています。
よって、成人のように起訴して裁判にするのではなく、家庭裁判所に送致し、少年法特有の所定の手続きがとられることになります。
少年の場合、成人のように不起訴処分となり釈放されることはありませんが、家庭裁判所に送致されても、この段階では前科はつきません。
- 家庭裁判所の調査・審判
→前科はつかない - 起訴され刑事裁判で有罪確定
→前科がつく
少年事件の留意点は?
未成年であっても、捜査の途中で誕生日を迎え成人した場合は、成人と同じ手続きがとられることもあります。
家庭裁判所の調査とは?
「調査」とは、家庭裁判所にて調査官がおこなうものです。
調査官との面接は複数回おこなわれ、通常自宅から呼び出しを受ける形でおこなわれます。
調査では、事件内容や家庭のこと、友人などの取り巻く環境や生活歴についてなどが聴かれます。
調査官との面接内容は、今後の未成年の処遇に関する重要な材料になります。
調査の後は、審判に付されるか審判不開始になるかが判断されます。
審判の流れは?
未成年の大麻事件が審判に付されることになった場合は、少年審判が開始されることになります。
なお、審判不開始となった場合は釈放です。
また、裁判所による教育的な働きかけにより、今後再非行のおそれがないと判断された場合は、「不処分」といって処分に付さないという判断もあり得ます。
大麻事件を起こした未成年にできること・対処編
まずは弁護士に相談する
大麻事件を起こした未成年の子どもやそのご家族に対し、弁護士ができることはおもに以下のことです。
- 逮捕後の身柄解放活動
- 捜査やその後の処分に対してアドバイスをしたり裁判所に意見したりする
- 再犯防止のための活動
大麻事件は、他の刑事事件と異なり、被害者が居ないので、示談で早期解決を目指すことはできません。
代わりに、未成年者ご本人が、どれだけ更生できる可能性があるかが試されます。
未成年者の大麻事件に強い弁護士は、ご本人との対話を重ねつつ、有効な弁護活動を実施していきます。
できるだけ早く弁護士に依頼することにより、環境や処遇が変わる可能性が期待できます。
以下、対処法の内容について具体的ににみていきましょう。
弁護士に逮捕後の身柄解放活動を依頼する
未成年の逮捕後、身柄解放の可能性があるタイミングは以下の図のとおりです。
初犯であれば、釈放なども認められやすくなるでしょう。

勾留・観護措置に対する身柄解放
観護措置とは、家庭裁判所送致後、少年審判の円滑な進行や未成年の処分に向けて、一定期間少年鑑別所にて収監することをいいます。
勾留と観護措置の違いは、勾留は逮捕後、成人と同じように留置場などに収容されますが、観護措置はあくまで少年(未成年)の心身の鑑別が目的です。
未熟な少年(未成年)の特徴に沿った手続きであり、勾留が最大20日間なのに対し、観護措置は原則2週間とされています。
ただし、更新された場合は4週間になることもあります。
勾留は検察官の請求によってされますが、観護措置は家庭裁判所の送致後決定されるものです。
勾留であっても観護措置であっても、身柄拘束であることに変わりはありません。
そこで弁護士が介入し、身柄拘束の必要性について検討していくことになるのです。
なお、観護措置の必要性とは具体的に以下の3つです。
1.逃亡・罪証隠滅の可能性・住所不定
2.自殺や自傷行為のおそれがある
3.心身鑑別をおこなう必要性がある
これらの必要性が満たされないと思料するときは、家庭裁判所に訴えていくことになります。
勾留請求の阻止に対する意見は、検察官に申し出ます。
審判不開始や不処分・保護観察で釈放
つづいて、終局処分に関する身柄解放についてご説明します。
大麻事件で考えられる、少年(未成年)の終局決定の種類は以下のとおりです。
- 不処分
- 保護処分
- 児童福祉手続き
審判を開始するほどでもない事案である場合は、弁護士が調査官に意見書を提出します。
大麻事件を起こした未成年の反省の度合いもかねて、慎重に判断していくことになるでしょう。
あくまでも目的は、大麻事件を起こした少年の更生です。
弁護士と少年、保護者とも十分に話し合い、意見をまとめることで調査官に訴えます。
また、保護処分の中でも、保護観察に付されて釈放されるということもあります。
弁護士に捜査アドバイスや再犯防止のための活動を依頼する
捜査機関による不当な捜査を防止すべく、弁護士がアドバイスします。
大麻事件を起こした未成年本人に面会(接見)し、事件の詳細を聴いたり、具体的なアドバイスをしたりすることが可能です。
未成年のご家族からの依頼により弁護士面会が可能となり、一般面会と違って時間制限もありません。
また、逮捕直後であっても弁護士であれば面会可能です。
未成年の大麻事件は、早期に依存から抜け出すことが重要です。
刑事事件を扱う弁護士事務所では、依存症を克服するための医療機関などとも連携を取っています。
事件の途中であっても、在宅捜査であれば早期に治療に専念することも可能です。
未成年の大麻事件に関係のある保護者などご家族は、早めの弁護士相談を利用し、早期に手を打っておきましょう。
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