第二東京弁護士会所属。刑事事件で逮捕されてしまっても前科をつけずに解決できる方法があります。
「刑事事件 法律Know」では、逮捕や前科を回避する方法、逮捕後すぐに釈放されるためにできることを詳しく解説しています。
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交通事故の加害者は弁護士に依頼を|加害者に発生する刑事責任と民事責任とは
交通事故の加害者が、弁護士を依頼する理由や目的は何でしょうか。
実は交通事故加害者は、刑事責任と民事責任、行政責任のいずれもとらなければならない可能性があります。
これら複数にわたる分野で責任を取るに際し、加害者1人では中々太刀打ちできないのが現状です。
それでは具体的に、加害者の負う刑事責任・民事責任をピンポイントにあげてみましょう。
(なお、当記事では行政上の責任については割愛しています。)
- 刑事責任→刑罰(懲役刑・罰金刑など)
- 民事責任→交通事故被害者に対する損害賠償責任(慰謝料などの支払い)
交通事故の加害者になってしまった場合、誰にも頼ることなくすべての責任を負うことはおすすめしません。
刑事・民事を問わず、専門家である弁護士を介すことで、今後の結果が有利に働く可能性が高いです。
それでは本章にて、詳しく解説していきましょう。
- 交通事故の加害者が問われる刑事責任(刑罰)にはどのようなものがある?
- 交通事故加害者が弁護士に依頼したときの刑事事件におけるメリットとは?
- 交通事故加害者が負う損害賠償責任はどのように解決できる?
- 交通事故加害者でも弁護士費用特約は使える?
目次
交通事故加害者の刑事責任
加害者側が問われる刑事責任・刑事罰とは
まずは、交通事故加害者が問われる可能性のある罪について確認しましょう。
罪に問われる可能性といっても、刑事責任は交通事故加害者にかならず発生するとは限りません。
交通事故態様が悪質でない場合や、前科のない加害者の場合、任意保険を利用し被害者に責任を果たした場合などは、罪に問われない可能性が高いです。
過失運転致傷罪・過失運転致死罪
- 運転中の過失により、被害者に怪我を負わせてしまった
- 運転中の過失により、被害者を死なせてしまった
前者は過失運転致傷罪に、後者は過失運転致死罪に問われる可能性があります。
これらの犯罪については、「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律」に規定されています。
- 居眠り運転での交通事故
- 前方不注意で被害者を轢いてしまった
- 信号無視をして被害者を轢いてしまった
- 携帯電話を操作しながら運転中、被害者を轢いてしまった
なお、過失運転致死傷罪の刑罰は、以下のとおり規定されています。
(過失運転致死傷)第五条
自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律5条
自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、七年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。
禁錮刑とは、懲役刑と違い労働作業を伴わない身柄拘束刑です。
また、過失運転致死傷罪は、傷害の程度や情状により刑の免除を規定していますが、すべての事件で減免されるわけではありません。
刑事事件の弁護活動などによっても、結果は変わってくるでしょう。
危険運転致死傷罪
危険運転とは、自動車を制御できないほどの危険な運転を意味します。
たとえば以下のようなケースです。
- 酒を飲んだ状態で運転し、被害者を負傷もしくは死にいたらせた
- 無免許で運転中、被害者を負傷もしくは死にいたらせた
- 前を走る車を煽ったり、前方に進入したりしてその運転を妨害し、被害者を負傷もしくは死にいたらせた
危険運転致死傷罪に該当するケースとは、先にあげた過失運転致死罪よりも態様が悪質なものです。
第二条 次に掲げる行為を行い、よって、人を負傷させた者は十五年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は一年以上の有期懲役に処する。
自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律2条
一 アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させる行為
二 その進行を制御することが困難な高速度で自動車を走行させる行為
三 その進行を制御する技能を有しないで自動車を走行させる行為
四 人又は車の通行を妨害する目的で、走行中の自動車の直前に進入し、その他通行中の人又は車に著しく接近し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
(以下略)
1号は飲酒運転、2号はスピード違反、3号は無免許運転です。
また、4号では近年社会問題にもなった「煽り(あおり)運転」について規定されています。
危険運転致死傷罪は、あくまで酒を飲んで被害者を怪我させたり死亡させたりした場合に成立する犯罪です。
単に、ご自身が酒気帯び運転や飲酒運転をした場合であれば、道路交通法違反が成立し得ることになるでしょう。
危険運転致死傷罪の刑罰は、上記条文記載のとおり、15年以下の懲役刑もしくは1年以上の有期懲役刑です。
前者が負傷、後者が死亡させた場合の刑罰です。
交通事故の加害者になってしまったら、まずは弁護士相談を検討されることをおすすめします。
詳しい理由は、次章にて解説いたします。
交通事故・刑事事件を弁護士に依頼するメリット
交通事故加害者は、弁護士に相談されることでスムーズな手続きが期待できます。
刑事事件は何も対策しないでいると、捜査機関や裁判所に、情状を酌量される余地も生まれません。
捜査機関の厳粛な手続きにおいて、弁護士の力を借りることは非常におおきな意味を持ちます。
メリット1 身柄解放活動や取り調べのアドバイスが可能
交通事故加害者すべてが刑事事件の被疑者となるわけではありませんが、さきほどの事故ケースにあてはまるような場合は、逮捕に至る可能性があります。
なお、逮捕されずに捜査が進む「在宅捜査」となった場合は、自宅にいながら取り調べなどに出頭することになります。
逮捕・在宅いずれの場合であっても、弁護士に相談し、刑事事件の流れを知ることは非常に重要です。
逮捕前、逮捕中に弁護士に依頼しておくことで、警察の取り調べのアドバイスを受けることが可能です。
取り調べにおいては、被疑者の権利行使ができる場面も複数あります。
よって、事前に弁護士からアドバイスを受けることで、不当な捜査を避けることができるのです。
捜査の流れは以下のとおりです。
交通事故加害者や、その他刑事事件の被疑者が逮捕されると、警察の捜査・取り調べの後、逮捕から48時間以内に事件が検察に送致されます。
検察官は被疑者の身柄を受け取ったあと、24時間以内に勾留請求をします。
勾留が認められると、最大20日間の身柄拘束が続く可能性があります。
そうなると、身柄拘束期間はトータル最大23日間続くこととなり、会社や学校を休んだり、家族に迷惑をかけたりすることになるでしょう。
そのため、逮捕や勾留を避けることができれば大きなメリットとなります。
ただし、身柄解放活動は基本的に弁護士にしかできません。
そこで、弁護士に依頼することが必要となります。
交通事故加害者であっても行為が悪質でない場合、身柄解放もされやすくなる傾向にあるようです。
メリット2 交通事故被害者との示談交渉に向け活動してくれる
被害者がいる交通事故・刑事事件の場合、被害者への謝罪は刑事処分に影響するため非常に重要です。
もっとも、交通事故の加害者からの謝罪は、タイミングや被害者感情に配慮する必要があり難しい面があります。
たとえば、事故の現場では被害者の救済に力を尽くすべきです。
そのため、事故現場での謝罪はタイミングとして不適切といえます。
被害者感情が悪化している場合、直接の謝罪は受け入れてもらえないこともあります。
そこで、加害者に代わって、弁護士が適切なタイミングで被害者に謝罪の意を伝え、示談交渉をするということが考えられます。
示談が無事に成立したら、捜査機関や裁判所に示談成立の報告をします。
示談成立した事実をもとに、交通事故加害者の処分が軽くなることがあるのです。
交通事故加害者の民事責任
交通事故加害者でも弁護士費用特約は使える?
弁護士費用特約は、自動車保険などの任意保険に付帯されたオプションです。
交通事故案件を弁護士に依頼した際に発生する、弁護士費用や相談料を保険でまなかうものですが、交通事故の加害者でも使えるのかが気になります。
弁護士費用特約は、相手方に請求する損害賠償が発生しているのであれば加害者でも使用できます。
つまり、加害者の過失が100%である場合は、請求する損害賠償がないため使えません。
つまり、完全な加害者でない場合は使えるということになります。
しかし注意したいのが、一般的な弁護士費用特約は、刑事事件の弁護においては使えないということです。
よって、交通事故加害者が刑事事件の被疑者になってしまった場合、刑事責任に関する弁護士費用は加害者自ら捻出する必要があるでしょう。
交通事故加害者が、弁護士費用特約を使えるケースをまとめると以下のとおりです。
- 自分は加害者ではあるが相手方の被害者にも過失がある
- 被害者に対する損害賠償請求権が発生しており示談交渉をする必要がある
示談金はどのように決まる?保険から出る?
交通事故加害者が被害者側に責任を取る際、基本的に示談金を支払います。
示談金のなかには、怪我に対する治療費をはじめ、慰謝料や逸失利益、休業損害も含まれており、加害者はそのうちご自分の過失分だけ負担することになります。
加害者が任意保険に加入しており、対人賠償を付帯していれば、人身事故の示談金は保険会社から支払われるでしょう。
対人賠償は基本的に付帯されている方がほとんどですが、詳細については保険会社に確認しましょう。
任意保険に加入のない場合は、自賠責保険から被害者の怪我分が支払われます。
物損に対しては、自賠責保険は使えません。
示談金は、被害者側と加害者側が示談交渉し、合意の末確定します。
また、示談金確定にいたるまでの交渉は、弁護士が代理人となってすることが可能です。
示談交渉の相手は、被害者加入の任意保険会社であることがほとんどでしょう。
交通事故加害者の弁護活動について相談されたい方へ
- 交通事故の加害者は、弁護士依頼によって刑事事件の弁護活動をしてもらえる
- 交通事故の加害者は別途、被害者本人への民事上の責任も負う
交通事故加害者が上記責任を負っていくなかで、責任内容・責任の範囲は個人により千差万別です。
ご自分はどのような弁護活動をしてもらえるのか・どのような弁護活動が最適なのかについて、まずはご相談ください。
交通事故の加害者がすでに警察から呼び出しを受けていたり、逮捕されたりしている場合は無料相談を受けることが可能です。
全国の刑事事件についてのご相談は、お電話もしくはメールで承っています。
アトム法律事務所のフリーダイヤルは、24時間365日受け付けておりますので、まずはお気軽にお問い合わせください。
過失運転致死傷罪が成立するには、なんらかの「過失」があったことが必要です。
過失とはいわゆる「不注意」ですが、たとえば以下のようなケースが考えられるでしょう。