岡野武志

第二東京弁護士会所属。刑事事件で逮捕されてしまっても前科をつけずに解決できる方法があります。

「刑事事件 法律Know」では、逮捕や前科を回避する方法、逮捕後すぐに釈放されるためにできることを詳しく解説しています。

被害者との示談で刑事処分を軽くしたい、前科をつけずに事件を解決したいという相談は、アトム法律事務所にお電話ください。

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受け子でも実刑になる?示談ができた場合は?実刑回避についても解説

振り込め詐欺やオレオレ詐欺などの特殊詐欺には、被害者に電話をかけてだます役割の「掛け子」、被害者から現金などを受け取りに行く「受け子」、被害者のキャッシュカードから現金を引き出すなどの行為をする「出し子」とがあります。

特に受け子や出し子については、高額な報酬をうたって加害者を募集しているケースも存在します。
若者であれば、そういった闇のアルバイトに手を出してしまった方もいるのではないでしょうか。

当記事では、振り込め詐欺の役割の中でも受け子が実刑になるケース・受け子の実刑判決回避について解説しています。

この記事にたどり着いたあなたは、以下でお困りではないでしょうか?

  • 受け子はなぜ詐欺罪になるの?刑罰は?
  • 受け子で逮捕後はどのようになる?
  • 受け子で実刑になることはある?
  • 受け子が実刑にならないようにするためには?
  • 受け子で実刑になった場合と執行猶予の違いは?

罪と知らずに受け子に手を出してしまった方、何度も詐欺罪を犯してしまった方など、詐欺罪の実刑回避の必要性がある方はぜひお読みください。

受け子は詐欺罪にあたる

振り込め詐欺の受け子や掛け子は、「詐欺罪」にあたります。
詐欺罪は刑法第246条に規定されており、刑法学上においては比較的罪の重い部類です。
これからご説明する「詐欺」の要件に当てはまれば、加害者の逮捕につながるでしょう。

詐欺罪とは

(詐欺)第二百四十六条 

1 人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

刑法246条

詐欺罪は大きく3つありますが、振り込め詐欺などの受け子であれば「財物詐欺罪」に該当します。
財物とは、動産だけでなく不動産も含まれます。

加害者による欺く行為があること

詐欺罪に該当するには、まず受け子である犯人が被害者を騙したことが必要です。

この騙す行為を「欺罔行為 ぎもうこうい」といいますが、受け子であっても被害者に対し、警察官や役所の人間に扮して対面することがあるでしょう。
そのような装いや言動が被害者を騙したとして、受け子にも欺罔行為があったとされることがあります。

詐欺罪の客体は「人」です。

人以外、たとえば機械などから財物を窃取しても機会を騙すことはできませんので、その場合は窃盗罪に該当します。
振り込め詐欺の場合、出し子については基本的に人に対する欺罔行為がありませんので、窃盗罪で逮捕されることが多いでしょう。

被害者が錯誤に陥り財物を交付させたこと

錯誤とは、思い違いや勘違いのことです。
犯人である加害者の騙す行為によって、被害者がそれを信じてしまったら錯誤があったといえます。

財物を交付させたとは、錯誤に陥った被害者の財産的処分行為にもとづいて、行為者または第三者が財物の占有を取得することをいいます。

詐欺罪となるには、人を騙す行為によって財物が交付されたという因果関係が必要です。
この流れに因果関係がない場合は、未遂罪にとどまります。

なお、未遂罪であっても処罰対象となります。

未遂罪の例としては、加害者による欺罔行為はあったけれど、被害者がそれを見抜いた場合です。
被害者が真実を見抜いたうえで財物の交付をしてしまった場合でもあっても、未遂罪にとどまります。

また、未遂罪の実行着手時期(処罰されるタイミング)は、欺く行為を開始したときです。

財産的処分行為の結果、加害者や第三者に利益が生じること

欺罔行為の流れで財物の交付を受け、または財産上の利益を得たことをいいます。

詐欺罪の刑罰

詐欺罪の条文のとおり、詐欺罪には罰金刑がありません。
つまり刑罰に科せられるとすれば、10年以下の懲役刑のみということです。
このことからも、詐欺罪は重い刑罰であることがわかります。

裁判で懲役刑が確定すれば、実刑もしくは執行猶予付き判決という結果となります。

受け子(詐欺罪)で逮捕後の流れ

詐欺罪の受け子で逮捕された場合の流れをみていきましょう。

逮捕の流れ

振り込め詐欺の役割の中では、先に受け子が逮捕されるケースが多いです。
逮捕には大きく通常逮捕(後日逮捕)と現行犯逮捕とがあり、被害者や目撃者に取り押さえられなければ通常逮捕の流れになるでしょう。
通常逮捕とは、逮捕状を先に裁判官に請求する手続きです。

被害者が詐欺に気づいて警察に通報した場合、その後受け子の元に警察官が令状を持ってやってくるイメージです。

逮捕後の流れ
  1. 警察の持ち時間は48時間。取り調べはその時間内にされる。
  2. 取り調べ後釈放されない限り、被疑者の身柄ごと検察官に送致される。
  3. 被疑者を受け取った検察官は、24時間以内に勾留請求するかどうかを決定する。
  4. 勾留が決定されれば、最大20日間身柄が拘束されその間も取り調べがなされる。
    ※最大20日間は勾留請求の日から起算

受け子(詐欺罪)の場合、勾留後または勾留延長後、起訴されれば正式裁判となり有罪となる可能性が高いです。
裁判にならず不起訴となれば、事件は終了です。

逮捕後早い段階で弁護士に相談・依頼すれば、被疑者面会(接見)や勾留請求阻止・不起訴に向けた活動が可能になります。
受け子が関与する振り込め詐欺は複数人の共犯がいることも多く、接見禁止がつきやすいです。
接見禁止がつけば、被疑者の家族であっても面会できません。

では次章、起訴されてしまった場合について解説していきましょう。

受け子で実刑になる可能性はある?

実刑・執行猶予

受け子で実刑となる可能性は、十分にあり得ます。

判決は、加害者の行為態様や被害者との状況・背景などにより総合的に判断されるものですが、以下実刑判決になりやすいケースを検討してみましょう。

受け子で実刑になるケース

加害者が特に若いケースですと、初犯であるケースも考えられるでしょう。
初犯であれば実刑判決を免れられるかといえば、そうとも限らないのが詐欺罪です。

詐欺罪は、財産犯である以上金銭的な被害が絡みますので、その被害金額が大きい場合は実刑になりやすいでしょう。
また、そもそも振り込め詐欺自体悪質性が高いことが、実刑判決の要因としてあげられます。

そのほか、実刑判決になりやすい要因は以下のとおりです。

実刑判決になりやすい要因
  • 加害者に前科前歴がある
  • ほかの詐欺事件にも絡んでいるなど、複数裁判を受けている
  • 詐欺の組織が大きく、共犯者が多数いる
  • 複数詐欺に絡んでいるなどで被害者が多数いる
  • 被害者と示談が成立していない
  • 被害者の処罰感情が大きい

詐欺罪の実刑は懲役最大10年とされていますが、例外もあります。
1つの詐欺事件では懲役10年が最大ですが、複数詐欺に絡んでおり、他の裁判を受けている場合は刑が加重されることもあるのです。

実刑判決になるかならないかのポイントは絞れるものの、明確な規定があるわけではありません。
判決はあくまで、裁判官が総合的な考慮のうえ判断を下すものです。

ただ、刑事事件に詳しい弁護士であれば、実刑判決になる可能性について判断できるケースもあります。
受け子などの詐欺事件については実刑回避も含め、早い段階で弁護士に相談することが重要です。

受け子で実刑を回避するには

受け子で実刑を回避できる可能性について、2つの重要ポイントをご紹介します。

被害者と示談をする

先述の「実刑になるケース」と対になりますが、実刑回避のために重要な手段は、被害者との示談です。
刑事事件の手続きなどを弁護士に委任していれば、被害者との示談交渉を代理しておこなってくれます。

受け子の実刑を回避するための示談書には通常、以下の文言を記載します。
以下はあくまで、被害弁償についての重要部分のみピックアップしたものです。

  • 被害金額
  • 被害弁償をおこなったこと
  • 被害者が加害者を許すということ
  • 当事者が示談を締結したという事実

受け子などの詐欺事件で実刑判決を回避したい場合は、まずは何よりも示談を優先させましょう。
弁護士であれば、捜査機関から被害者の連絡先を入手できる場合があります。
なかには弁護士からの連絡を拒否される被害者もいますが、それら交渉を含めた点についても弁護士に相談してみましょう。

受け子(加害者)が反省している

詐欺の受け子で逮捕されると数々の取り調べを受けることになります。
黙秘権はすべての加害者に認められますが、罪を犯したにもかかわらず否認し続けていると、有罪になったり実刑になったりする可能性が高まります。

取り調べの際は、ご自分の罪と誠実に向き合いましょう。

また、被害者と示談ができている場合は、被害者に対する謝罪文を作成するといいでしょう。
謝罪文は、被害者本人へはもちろん、捜査機関に提出することが可能です。
謝罪文の中には、被害者を慰謝する気持ちをしっかりと記載することが重要です。

自白事件(認め事件)である場合、捜査機関・裁判官からも反省の色が見られると判断されることがあります。
しかし自白といっても多種多様ですので、やっていないことまでを取り調べで認める必要はありません。

実刑判決と執行猶予の違い

実刑判決も執行猶予も、法廷で判決文を読まれる瞬間までは共通です。

実刑判決の場合、「懲役2年に処する」などと判決文に記載されますが、執行猶予が付く場合それに加えて「この裁判が確定した日から3年間この刑の執行を猶予する」などと記載されます。

懲役2年執行猶予3年である場合、直ちに刑務所には収監されず、刑の執行まで(刑務所収監まで)3年猶予されるのです。
ただしその猶予期間に再度犯罪をすれば、執行猶予は取り消されてしまいます。

執行猶予期間を何事もなく経過すれば、加害者は社会復帰が可能になります。

受け子で実刑にならないためには弁護士相談

くり返しになりますが、受け子は詐欺罪である以上、自身が初犯であっても若者であっても、ただちに刑が軽くなるほど甘いものではありません。

少なくとも懲役刑という重い刑罰がある以上、逮捕後そのまま身柄解放されず、刑務所収監という可能性もあるのです。

加害者やそのご家族が弁護士に相談すれば、弁護士は、以下のような流れで実刑回避や執行猶予に向けて活動します。

  • 事実関係を把握する
  • 事件の見立てをおこない、今後の処分を予想する
  • 事件の見立てにもとづいて、実刑回避や不起訴など目標を設定する
  • 取り調べのアドバイスを都度おこなう
  • 被害者と接点を持ち、示談交渉などの活動をおこなう