岡野武志

第二東京弁護士会所属。刑事事件で逮捕されてしまっても前科をつけずに解決できる方法があります。

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お金を払わないと罪になる?無銭飲食や家賃滞納は犯罪?

お金を払わないと必ず犯罪になるわけではありませんが、無銭飲食やタクシーの乗り逃げなどで詐欺罪が成立する場合があります。

一方で、返済能力がないために借金を返済できない場合や、お金を払う意思があったが支払いが遅れた場合などは、犯罪にはならず、民事上の責任を負うにとどまります。

この記事では、お金を払わない意図や場面によって成立しうる犯罪について解説しています。

お金を払わないと必ず犯罪になるわけではない

お金を払わないと必ず犯罪になるわけではありません。

例えば、お金を払う意思があったが支払いが遅れた場合や、返済能力がないために借金を返済できない場合などは、犯罪には当たりません。

一方で、初めから代金を払う意思がないのに無銭飲食をした場合やタクシーを乗り逃げした場合など、相手を欺いて財物や財産上の利益を得たならば詐欺罪が成立する可能性があります。

無銭飲食は詐欺罪に該当する可能性がある

無銭飲食は、詐欺罪に該当する可能性があります。無銭飲食で詐欺罪が成立するかどうかは、個々の事情によって異なりますが、一般的には、次の要件を満たす場合に成立すると考えられています。

  • 相手方に財物を交付させる意思があること
  • 相手方を欺く行為をすること
  • 相手方が欺かれて財物を交付すること

例えば、最初から無銭飲食する意思で飲食店で料理や飲み物などを注文して、お金を払わずに逃走した場合は、相手方を欺いて財物を交付させたことになるため、詐欺罪が成立する可能性があります。

このようなケースでは、逃走した時点で現行犯逮捕されることが考えられます。

また、お店から逃げ切れた場合でも、目撃者の証言や防犯カメラの映像によって犯人が特定され後日逮捕されるケースもあるでしょう。

ただし、財布を忘れてしまったことに注文した後で気づいたような場合、詐欺の故意や相手を欺く行為がないため、詐欺罪は成立しません。その場合、財布を忘れたことを素直に申告し、支払いについてお店と相談することが望ましいです。

無銭飲食で詐欺罪に問われた場合、10年以下の懲役が科される可能性があります。

家賃滞納が犯罪になる可能性は非常に低い

家賃を払えないことが詐欺罪に該当する可能性は非常に低いです。詐欺罪が成立するためには、契約時から支払いの意思が無かったことが必要であり、お金を払うつもりはあるのに払えないというケースは詐欺罪には該当しません。

また、無銭飲食の場合のように、家賃を支払わずに逃走するという行為が考えにくいため、家賃を支払わないことが形式的に詐欺罪に該当するとしても、詐欺を立証することは困難といえます。

ただし、借主は貸主に家賃を支払う義務があるため、家賃を支払わなかった場合、民事上の責任は生じます。家賃の滞納が続くと、貸主から債務不履行で契約を解除をされる可能性が否定できません。

お金を払わないとどうなる?

お金を払わないと、次のような責任やペナルティが生じる可能性があります。

  • 損害賠償請求:相手方に損害を与えた場合、その損害を賠償する責任があります。例えば、借金を返済しなかった場合、相手方は利息や遅延損害金を請求することができます。
  • 刑事責任:悪意を持ってお金を払わなかった場合、詐欺罪や窃盗罪などの罪に問われる可能性があります。これらの罪は、懲役刑や罰金刑が科される可能性があります。
  • 信用情報機関への事故情報登録:お金を払わないと、信用情報機関に事故情報が登録される可能性があります。この事故情報は、借金やクレジットカードの審査に影響が出る可能性があり、借り入れやクレジットカードの利用が難しくなる可能性があります。

お金を払わないと、様々なリスクがあります。お金を払えない場合は、早めに弁護士に相談して、最善の解決策を探すことが大切です。

お金を払わないことが犯罪になる?よくある質問5選

借金を返済しなかった場合、犯罪になりますか?

借金を返済しなかった場合、基本的には犯罪になりませんが、最初から返すつもりが無いのに借金していた場合は詐欺罪に該当する可能性があります。

借金を返済する義務があるかどうかと、犯罪になるかどうかは関係がありません。

商品やサービスを購入した代金を支払わなかった場合、犯罪になりますか?

最初から代金を支払うつもりが無いのに、商品やサービスを購入したら詐欺罪が成立する可能性があります。

先述の無銭飲食の場合に加えて、最初から運賃を支払う意思がないのにタクシーに乗車し、運賃を支払わずに逃走する「乗り逃げ」も詐欺罪となる一例です。

一方で、代金を支払うつもりはあったが、支払いの際、うっかり財布を忘れたことに気づいたなどの理由で代金を支払えない場合には、詐欺罪は成立しません。

なお、代金を支払わずに商品を持ち逃げした場合は窃盗罪が成立します。

税金を払わなかった場合、犯罪になりますか?

税金を払わなかった場合、基本的には犯罪にならず、納税義務や差押えリスクを負うだけです。

ただし、財産の隠ぺいなどで滞納処分を妨害すると、滞納処分免脱罪が成立し刑罰を科せられる可能性があります。

養育費を払わなかった場合、犯罪になりますか?

養育費を払わなかった場合、犯罪になることはありません。

ただし、差押えや面会交流制限などのリスクはあります。

家賃を払わなかった場合、犯罪になりますか?

家賃を払わなかった場合、犯罪になる可能性はかなり低いです。

お金を払う意思はあるが払えない、という場合には詐欺罪は成立しないので、民事上の支払い責任を負うにとどまります。