第二東京弁護士会所属。刑事事件で逮捕されてしまっても前科をつけずに解決できる方法があります。
「刑事事件 法律Know」では、逮捕や前科を回避する方法、逮捕後すぐに釈放されるためにできることを詳しく解説しています。
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起訴後勾留の期間は何日?何か月?起訴後の保釈制度についても解説
被疑者は、犯罪の嫌疑があるとして検察官に起訴されると、「被告人」という呼称に変わります。
被告人とはつまり、検察官に「有罪」の可能性が高いと判断された状態であることを意味しています。
日本の刑事事件では、起訴されてしまうとおよそ99%の可能性で有罪になることをご存知でしょうか。
起訴された被告人は、どのくらいの期間身柄を拘束されてしまうのか、また、被疑者段階での勾留とも比較し、かみ砕いて解説していきましょう。
この記事にたどり着いた方は、以下についてお困りではないでしょうか?
- 起訴後勾留とはそもそも何?
- 起訴後に勾留されたら期間はどれくらい?
- 起訴後も取調べを受ける義務はある?
- 起訴後被告人になったら保釈は認められる?また保釈には何が必要?
- 起訴後勾留について弁護士に相談したら何をしてもらえる?
勾留とは
まずは、勾留とは何かについてご説明しましょう。
勾留とは、被疑者・被告人に対する身体拘束です。
捜査の必要性が高い場合や、勾留要件を満たす場合などに決定される手続きです。
勾留された被疑者・被告人は、警察署や拘置所などの刑事施設に収容されます。
勾留については刑事訴訟法第60条に定められており、以下の要件を満たす必要があります。
また、勾留はあくまでも身体拘束です。
人権との均衡上、本来であれば最小限にとどめるべきです。
そのため勾留は、一罪一逮捕の原則に基づき、1つの犯罪に対しては逮捕・勾留も1つであるとされています。
ただし、さらに別の罪で再逮捕された場合は別事件扱いとなり、新たな勾留が認められることになります。
第六十条
裁判所は、被告人が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由がある場合で、左の各号の一にあたるときは、これを勾留することができる。
一 被告人が定まつた住居を有しないとき。
刑事訴訟法第60条
二 被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
三 被告人が逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
(中略)
起訴後勾留の期間はどのくらい?
つづいて、起訴後の勾留期間について言及していきましょう。
起訴後の勾留期間は、原則2か月です。
その後さらに勾留の継続が必要だとされた場合には、1か月ごとに更新(延長)できるようになっています。
第六十条
(中略)
② 勾留の期間は、公訴の提起があつた日から二箇月とする。特に継続の必要がある場合においては、具体的にその理由を附した決定で、一箇月ごとにこれを更新することができる。但し、第八十九条第一号、第三号、第四号又は第六号にあたる場合を除いては、更新は、一回に限るものとする。
刑事訴訟法第60条第2項
条文ただし書きでは、次の場合を除いたものに言及しています。
以下については、更新回数の制限がありません(何度でも更新可能)。
1.被告人が死刑又は無期若しくは短期一年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪を犯したものであるとき。
刑事訴訟法第89条第1号・第3号・第4号・第6号
2.被告人が常習として長期三年以上の懲役又は禁錮に当たる罪を犯したものであるとき。
3.被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
4.被告人の氏名又は住居が分からないとき。
起訴後勾留期間・被疑者勾留期間の取調べとは
取調べは、被疑者段階であれば警察官や検察官、被告人段階であれば検察官がおこないます。
ただし、取調べは原則被疑者段階でおこなうべきものとされており、被告人になってからの起訴後勾留期間での取調べは、制限されることがあります。
被疑者段階の取調べは、逮捕後48時間以内に、まず警察官がおこないます。
その後刑事訴訟法の手続きにのっとり、警察から検察に身柄が引き渡されたあとは、検察官が中心となって取調べをおこないます。
起訴後勾留期間での取調べは、法律上禁止されているわけではありません。
ただ、被告人は立場上裁判に臨むことになりますので、なるべく取調べは差し控えるべきだとされています。
なお、被告人は裁判期日までの間、公判について弁護士と打ち合わせをすることになるでしょう。
起訴後勾留期間と起訴・保釈の関係
この章では、起訴後勾留期間と、起訴・保釈との関係についてお話しします。
検察官が起訴するまでの段階とは、以下図の勾留満期までです。
捜査中に釈放されない限り、最大23日間ほどの被疑者勾留を経ることになります。
保釈は、起訴状に受付印が押された時点から請求可能です。
つまり、すぐに保釈請求が認められれば、起訴後勾留期間は0日になるということです。
保釈の流れを見てみましょう。
保釈の申請は、「保釈請求書」によって通常弁護士がおこないます。
裁判所に保釈請求書を提出後は、検察官の意見・裁判官面接を経て、保釈許可もしくは却下の決定が出ます。
保釈には、以下3つの種類があります。
- 権利保釈
- 裁量的保釈
- 義務的保釈
権利保釈は、一定の事由がある場合を除いて、被告人の「権利」として認められる保釈です。
裁量保釈は、権利保釈が認められない場合でも、裁判所の裁量によって保釈が許可されるというものです。
また、義務的保釈は、不当に勾留が長引いたときに、請求又は職権によって保釈が認められるというものです。
権利保釈が認められないとする「一定の事由」は、以下のとおりです。
第八十九条
保釈の請求があつたときは、次の場合を除いては、これを許さなければならない。
一 被告人が死刑又は無期若しくは短期一年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪を犯したものであるとき。
刑事訴訟法第89条
ニ 被告人が前に死刑又は無期若しくは長期十年を超える懲役若しくは禁錮に当たる罪につき有罪の宣告を受けたことがあるとき。
三 被告人が常習として長期三年以上の懲役又は禁錮に当たる罪を犯したものであるとき。
四 被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
五 被告人が、被害者その他事件の審判に必要な知識を有すると認められる者若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え又はこれらの者を畏怖させる行為をすると疑うに足りる相当な理由があるとき。
六 被告人の氏名又は住居が分からないとき。
保釈に必要なものは、以下2つです。
- 保釈金
- 身元保証人
保釈金の金額は、犯罪の態様や性質、被告人の資産状況なども考慮して確定します。
犯罪の軽重のみで決まるわけではありません。
全体的な相場としては、大体150万円~200万円くらいとされています。
また、保釈金の用意が難しい場合、日本保釈支援協会という保釈金を立て替えてくれる機関も存在します。
もしくは状況により、保釈金の金額交渉を裁判官におこなうことも可能です。
身元保証人は、保釈請求書に記載する事項でもありますので、必ず確保する必要があります。
原則として、被告人をいちばん近い距離で監視できる同居の親族を選任します。
ですが事案によっては、会社の上司や、遠方の親戚などが身元保証人となることもあるでしょう。
保釈金の金額をどうするか、身元保証人を誰にするかといったことについては、起訴前から弁護士に相談しておくとスムーズです。
保釈が認められたら、収容されている刑事施設に親族などのお迎えを要請し、そのまま帰宅できます。
保釈後は、弁護士と個別に打ち合わせなどをおこない、第一回公判期日に向けて活動しましょう。
なお、保釈後別件で再逮捕された場合は、再度身柄を拘束されることになります。
その際、前の罪で保釈が認められたとしても、再び刑事施設に収容されることになります。
起訴後勾留期間・被疑者勾留については弁護士に相談
この章では、被疑者勾留と起訴後勾留とに分けて解説していきます。
勾留に対しては、釈放されるよう弁護活動をすることが可能です。
先述のとおり、被疑者勾留は、最長で逮捕後約23日間続きます。
起訴前の被疑者段階で釈放可能なタイミングは、以下のとおりです。
- 勾留請求前(逮捕直後)
- 勾留請求後、勾留決定前
- 勾留決定後
- 勾留延長請求前
- 勾留請求延長請求後、勾留延長決定前
- 勾留延長決定後
被疑者がどの段階にいるかにより、釈放タイミングや方法は変わってきます。
また、被疑者段階では、はじめは警察に、検察官送致後は検察庁に事件が置かれることとなり、申請先も異なります。
早期に、高い確率で釈放されたい場合、勾留請求前の意見書提出が望ましいです。
勾留決定後の準抗告は、合議体により決定され、釈放される確率が非常に低いのが特徴です。
もちろん、犯罪の状況や前科の有無など、個別背景も関与してきます。
つづいて起訴後勾留です。
起訴後勾留期間について不安な方も、早期に弁護士相談もしくは弁護士依頼を検討しましょう。
これまでのご説明で、被疑者勾留が最大23日間なのに対し、起訴後勾留は長期になりやすい点が特徴でした。
被告人の不利益に値する起訴後勾留に対し、保釈制度の重要性を検討しましょう。
保釈請求の手続きについてはすでにご説明済みであるため、ここでは省略します。
以下、保釈制度の重要性についてお話しします。
保釈は、原則すべての事件に対し、裁判官は認めなけれなばなりません。
しかし実際には、不当に長期に及ぶ起訴後勾留が継続したり、有名事件であれば保釈が認められなかったりするケースも存在するのです。
保釈請求・保釈決定を確実なものとするためには、弁護士による綿密な戦略が必要な場合もあります。
最後に、起訴後勾留期間につき、不当に長期の拘束を受けないためのポイントをお伝えします。
以下をふまえた上で、速やかに弁護士による身柄解放活動を依頼しましょう。
起訴後勾留期間と保釈についての重要まとめ5つ
- 起訴後勾留は、長期に及ぶと人権侵害になりうる
- 起訴後勾留期間は、被疑者勾留期間と違い上限設定がされていない
- 保釈制度は、罪証隠滅や逃亡のおそれがあっても認められる権利である
- 保釈をはじめとする釈放の味方をしてくれるのは、弁護士のみである
- 保釈金は判決確定後、原則返還される
勾留要件は、被疑者であっても被告人(起訴後)であっても基本的に同じですが、被告人は特に裁判に必ず出廷させる必要があることから、勾留が続くケースがあります。
さらに罪証隠滅の可能性が高いと判断された場合、保釈も認められない可能性があります。