岡野武志

第二東京弁護士会所属。刑事事件で逮捕されてしまっても前科をつけずに解決できる方法があります。

「刑事事件 法律Know」では、逮捕や前科を回避する方法、逮捕後すぐに釈放されるためにできることを詳しく解説しています。

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児童ポルノ違反は自首すべき?自首する必要性や児童ポルノの逮捕可能性

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児童ポルノと思われる動画を所持しているが、削除したら罪にならないのか?
児童ポルノをダウンロードしてしまった・・・
自分は逮捕されてしまうのか?

など、そもそも何が児童ポルノに該当してしまうのか?

児童ポルノで自首したら罪は軽くなるのか?自首する必要性はあるのか?
など不安な方は多いのではないでしょうか。

児童ポルノは、単純に所持していただけで罪に該当してしまいます。

そこで当記事では、児童ポルノにまつわる罪で自首を検討中の方に、以下疑問に沿って解説しています。

  • 何が児童ポルノの罪になる?罰則は?
  • 児童ポルノをダウンロードしただけでも罪になる?逮捕の可能性は?
  • 児童ポルノで自首したら罪は軽くなる?
  • 児童ポルノで自首はそもそもした方がいいの?

児童ポルノで自首をお考えの方は、ぜひ最後までお読みください。

児童ポルノの罪とは

児童ポルノの法律は、平成26年に「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」という名称で改名されました。

改正前は、第三者に提供したり公然陳列する目的での所持のみ処罰されていました。
しかし現在では、自身の性的好奇心を満たす目的で所持しているだけでも犯罪となります。

何が児童ポルノにあたるのか

児童ポルノの内容については、児童ポルノ禁止法「定義」に書かれています。

児童(被害者)については18歳未満と定義づけられているため、たとえ被害者が2歳や3歳の乳幼児であっても、自己の性的好奇心を満たす目的であれば処罰対象となります。

児童ポルノとは

写真、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)に係る記録媒体その他の物であって、(中略)児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写したもの

児童ポルノ禁止法2条3項

 児童を相手方とする又は児童による性交又は性交類似行為に係る児童の姿態
 他人が児童の性器等を触る行為又は児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの
 衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位(性器等若しくはその周辺部、でん部又は胸部をいう。)が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの

児童ポルノ禁止法2条3項 1~3号

※当記事では「児童ポルノ禁止法」と略しています。

では、児童ポルノの行為・罰則についても次章で確認していきましょう。

児童ポルノの禁止行為と罰則

児童ポルノ禁止法では、自己の性的好奇心を満たす目的で、児童ポルノを所持した者、あるいは保管、提供、製造、陳列したものを処罰するとしています。

児童ポルノ禁止法では、上記5つの行為においてそれぞれ処罰規定がもうけられています。

(児童ポルノ所持、提供等)第七条 
自己の性的好奇心を満たす目的で、児童ポルノを所持した者(自己の意思に基づいて所持するに至った者であり、かつ、当該者であることが明らかに認められる者に限る。)は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。自己の性的好奇心を満たす目的で、第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録を保管した者(自己の意思に基づいて保管するに至った者であり、かつ、当該者であることが明らかに認められる者に限る。)も、同様とする。

 児童ポルノを提供した者は、三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。
 前項に掲げる行為の目的で、児童ポルノを製造し、所持し、運搬し、本邦に輸入し、又は本邦から輸出した者も、同項と同様とする。同項に掲げる行為の目的で、同項の電磁的記録を保管した者も、同様とする。
 児童ポルノを不特定若しくは多数の者に提供し、又は公然と陳列した者は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

児童ポルノ禁止法7条

所持や保管は同等の罪に問われ、もっとも軽い刑罰が規定されています。
そのほか児童ポルノ提供・児童ポルノ製造に続き、児童ポルノ陳列がもっとも重く処罰されます。

児童ポルノの所持・保管とは、たとえばウェブサイトからダウンロードした動画などを、自身のパソコンやスマートフォンなどに保存していた場合です。

児童ポルノの製造は、たとえば児童(被害者)とウェブサイトなどで知り合ったケースです。
児童にメールやラインなどで裸の写真を送らせたり、直接会って衣服のない状態で児童をビデオ撮影したりすると、該当するでしょう。
またその写真などを、メールやウェブなどで第三者に提供した場合も罪になります。

児童ポルノの不特定多数の者への提供・公然に陳列とは、たとえばウェブ上にアップロードなどしたケースです。
第三者への提供といっていますので、アップロードされた児童ポルノ画像などが、第三者によってダウンロードできる状態になることをいいます。

児童ポルノで逮捕される可能性

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児童ポルノの所持などで逮捕される可能性についてみていきましょう。

児童ポルノの単純所持でも逮捕される?

児童ポルノを軽い気持ちでダウンロードしてしまったという方もいるかと思います。
先ほどの行為・罰則の章でも触れましたが、ダウンロードして所持していた場合(単純所持)でも、逮捕要件を満たせば逮捕される可能性はあるでしょう。

逮捕に至るには、ダウンロードした物証が決定打になりますので、しばしば動画などを削除した場合でも逮捕に至るのか?といった疑問を持たれる方がいらっしゃいます。

結論、削除された場合ですと逮捕に至る可能性はほとんどありません。

もっとも、削除されたもの以外のものが残っていれば、その件で捜査・立件される可能性はあります。
また、児童ポルノは証拠を隠したり削除したりすることが容易なため、家宅捜索が入る可能性も高いです。
家宅捜査で差し押さえられる押収物としては、ダウンロードなどが可能な携帯電話やパソコンなどの情報端末が主でしょう。

児童ポルノで逮捕に至るまでの経緯は?

よくあるケースとして、ダウンロード元のサイトが摘発されるといったことがあります。
サイトの顧客情報を警察が入手することにより、ダウンロードした人物が割り出されることがあるのです。

また、ウェブサイトで出会った児童の画像などを所持・保管(保存)しているケースですと、児童が親に相談して発覚することが多いです。
または心配した親が子供の携帯電話などを見たことにより、警察に通報することもあるでしょう。
このような児童や保護者が被害者のケースですと、示談をする必要性も出てきます。

まったくの第三者の通報ですと、インターネットに詳しい人物が違法なサイトを訪れ通報し、サイトが摘発されることがあります。

児童ポルノで自首したら罪は軽くなる?

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自分は児童ポルノを所持しているが、いまだ逮捕に至っていない・・・
児童ポルノを冗談で第三者に送信してしまったが、逮捕前に自首した方がいいのではないか?
など、逮捕に怯えている方もいるでしょう。

結論的には、児童ポルノの発覚を恐れている方においては、自首することをお勧めします。

自首とは

いざ自首を試みようと思っても、自首の仕方がわからないといった方もいるのではないしょうか。
自首とは、罪が発覚する前に、犯罪事実の全てを捜査機関に話すことです。
犯罪の一部を隠して自白しても「自首」とはいいませんので注意してください。

(自首等)第四十二条 

罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減軽することができる。

 告訴がなければ公訴を提起することができない罪について、告訴をすることができる者に対して自己の犯罪事実を告げ、その措置にゆだねたときも、前項と同様とする。

刑法42条

また自首するには、あくまで自発的に捜査機関に名乗り出ることを必要とします。
ただ、弁護士などの代理人が被疑者に同行することは可能です。

児童ポルノで自首することのメリット

児童ポルノの罪で逮捕されずに済むことがある

自首することにより、まず捜査機関に犯罪の全容が明らかになります。
行為の態様によりもちろん結果は変わりますが、単純所持の場合ですとそもそも逮捕されない可能性もあるでしょう。

その理由は逮捕要件においても説明することができます。
以下をご覧ください。

逮捕の要件

逃亡のおそれや罪証隠滅のおそれがある場合、逮捕要件に該当します。
児童ポルノで自首するということは、自ら罪について捜査機関に打ち明けているということです。
これ以上逃げようがありませんし、証拠を隠す必要性もありません。
よって、逮捕されない可能性が高まるのです。

ただ現代において、児童ポルノは取り締まりが厳格化しており、警察も熱心な捜査をしています。
単純所持の悪質性がどれほどかわからない、そもそも自首する必要性があるのかがわからないといった場合は、弁護士に相談しておくと安心です。

自首はあくまでも自発的におこなうものですので、弁護士であっても強要はしません。

自首することでその後の処分が軽くなる

行為態様が悪ければ、その後逮捕される可能性はぬぐえません。
捜査機関にいわなくてもいいことを話してしまった・・・などと後悔する方もいるでしょうが、その後の罪が軽くなる可能性は残されています。

児童ポルノの刑罰は、懲役刑もしくは罰金です。
つまり、刑務所に収監される可能性も否定できません。

処分が軽くなるということは、懲役刑から不起訴処分に軽減され、身柄解放される可能性もあるということです。

不起訴処分とは終局処分のひとつで、検察官が公訴を提起しないとするものです。
不起訴処分になれば被疑者に前科はつかず、罰金を支払うこともありません。

自首により児童ポルノの罪が家族にばれない・精神的安定につながる

自首を迷っている方は、以下の状況に当てはまるでしょうか?

  • 逮捕により警察から家族に連絡がいくことで、外部に罪が露見することが不安
  • 逮捕されるかどうかがわからず、毎日ネット検索しては悩んでいる
  • 仮に逮捕されても、自首したことで気持ちが楽になるかもしれない

逮捕に怯える日々は、被疑者本人の精神的負担を増長させます。
逮捕される可能性が高いと確信しているのであれば、自首して楽になることも検討しましょう。

児童ポルノの自首について弁護士に聞きたい

自首のメリットについてお話ししましたが、1人ではなかなか決断できないのが現実ではないでしょうか。
かといって、このまま悩み続けるのもナンセンスです。

自首するかどうかは、あくまでご自分で決めることです。
しかし、自首が必要かどうかの判断や助言を望むのであれば、やはり弁護士相談がベストでしょう。

弁護士に相談後は、以下のような流れになることが多いです。

  1. 被疑者の行為内容を聴取し、児童ポルノ違反に該当するかについてや、今後の可能性について検討する
  2. 被疑者の話をもとに、弁護士が自首に同行する
  3. 被疑者が自首を望まないのであれば、あえて自首しない方向性で今後について検討する

児童ポルノなどの刑事事件で自首したいけど勇気がない、刑事事件についてアドバイスだけでも聞きたいという方は、ぜひ弁護士相談を利用しましょう。
犯罪事実を知った弁護士には「守秘義務」があり、犯罪事実を捜査機関に明らかにすることはありません。