強制わいせつにおける不起訴の種類とは？

「嫌疑なし」「嫌疑不十分」というのは、それぞれ
・被疑者について犯人だとする証拠がない
・被疑者を犯人と断定する証拠が不十分
というような理由による不起訴です。

「起訴猶予」とは、被疑者について犯人である可能性は高いだろうと思われるものの
・「犯人の性格、年齢、境遇」
・「犯罪の軽重、情状」
・「犯罪後の情況」
を考慮して裁判を開く必要はないとして不起訴となる処分のことです。

強制わいせつ事案をはじめとして刑事事件においては、事件担当の検察官に広範な裁量が認められています。
事件担当の検察官は
・裁判の開廷を裁判官に対し要請して、被疑者の刑事的な責任を追求するか（起訴）
・裁判について開く必要はないということで刑事手続きを終了させるか（不起訴）
を判断します。

不起訴となった場合、
・身体拘束を受けているケースではすぐに釈放され
・刑罰も科されず
・前科はつかない
のです。

強制わいせつについて2017年次検察統計を分析すると、事件の総数に対しての不起訴件数の割合は約54％でした。

一般に、
・重い犯罪を犯した
・犯行の態様が悪質
・犯罪の規模が大きい
・被害者と示談を締結していない
などというような場合起訴に至る可能性が高まります。

強制わいせつ罪というのは
・13歳以上の者に対し、「暴行または脅迫」を用いた上でわいせつな行為をする
・13歳未満の者に対してわいせつな行為をする
と成立します。

強制わいせつ罪における「暴行または脅迫を用いて」とは、判例上「被害者の意思に反して」という程度の意味となります。
身体に触れたような態様のわいせつ行為であれば、「暴行または脅迫が用いられた」と解釈されるのが通常でしょう。

送致とは検察官に事件を引き継ぐ手続きです。
事件について送致されることにより警察官だけでなく検察官も事件を把握することになります。

勾留とは逮捕に引き続いて身体拘束を継続する手続きです。
勾留は起訴・不起訴の判断がくだされるまで最長20日間にもわたり行われます。

在宅事件についても起訴されてしまう可能性は否定できません。
事件の捜査のあと、起訴するのが相当であるというような判断がされれば起訴され裁判開廷となります。

在宅事件については
・送致の時期
・起訴するか不起訴とするかの判断がくだされる時期
などが一切不明となります。
比較的軽微な罪は後回しにされがちだとも言われています。

実際に犯罪を犯した場合、「起訴猶予処分」による不起訴の獲得を目指すことになります。

起訴猶予処分となるには被害者との示談の締結が有効です。
「犯罪後の情況」という点につき被害者と示談締結したといった事実は被疑者に非常に有利な証拠となります。

弁護士は刑事事件に関して色々な知識・経験があります。
事件の見通しや今後すべきことなどについて正確な知識を伝えることができます。

被害者の方と示談を締結したい場合には一層、刑事事件に強い弁護士に依頼するべきだと言えるでしょう。
被害者の多くは犯罪の加害者との接触を拒否します。
弁護士が間に立つことで円満な示談締結を期待することができます。

依頼をうけた弁護士はまず最初に捜査機関に対し問い合わせを行い被害者の連絡先を教えてもらいます。

その後、示談の交渉を行い、被害者・加害者、両方の希望などについてすり合わせ、双方納得できる条件によって示談を締結します。