岡野武志弁護士

第二東京弁護士会所属。刑事事件で逮捕されてしまっても前科をつけずに解決できる方法があります。

「刑事事件弁護士アトム」では、逮捕や前科を回避する方法、逮捕後すぐに釈放されるためにできることを詳しく解説しています。

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わいせつ物陳列罪とは?刑罰や逮捕の流れは?対策は?弁護士解説

わいせつ物陳列罪
  • わいせつ物陳列罪とは?
  • わいせつ物陳列罪は逮捕される?刑罰は?
  • わいせつ物陳列罪を相談できる弁護士は?

わいせつ物陳列罪とは、わいせつ物を公然と陳列した場合に成立する犯罪です(刑法175条参照)。

昨今、ネット上にわいせつ動画などを投稿して犯罪として逮捕される事件もあるので、ご自身の行為が「わいせつ物陳列罪」に該当するのではないだろうかと不安をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。

この記事では、わいせつ物陳列罪について、どのような犯罪なのか、逮捕される可能性、刑罰の重さ(罰金・懲役など)、弁護士相談の窓口などについて解説しています。

ぜひ最後までご覧ください。

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公然陳列罪とはどんな犯罪?

「わいせつ物陳列罪」の条文は?

わいせつ物陳列罪(わいせつ物公然陳列罪ともいいます。)は、刑法175条に規定されている「わいせつ物頒布等罪」のうちの一つです。

(わいせつ物頒布等)第百七十五条 

1 わいせつな文書、図画、電磁的記録に係る記録媒体その他の物を頒布し、又は公然と陳列した者は、二年以下の懲役若しくは二百五十万円以下の罰金若しくは科料に処し、又は懲役及び罰金を併科する。電気通信の送信によりわいせつな電磁的記録その他の記録を頒布した者も、同様とする。

2 有償で頒布する目的で、前項の物を所持し、又は同項の電磁的記録を保管した者も、同項と同様とする。

刑法175条

補足

刑法175条(わいせつ物頒布等罪の条文)には、以下の犯罪が規定されています。

  1. わいせつ物頒布罪
  2. わいせつ物公然陳列罪
  3. わいせつ物販売目的所持罪

「わいせつ物」とは?

「わいせつ物」とは、わいせつな文書、図画、電磁的記録に係る記録媒体その他の物をいいます。

「わいせつ」の内容は、時代に応じて変化するとも考えられています。ですが、基本的には「陰部の露出」、「性交や性交類似行為を公共の場でおこなう行為」は、「わいせつ」に該当する可能性が高いでしょう。

岡野タケシ弁護士
岡野タケシ
弁護士

判例によると、性欲を興奮・刺激させ、かつ人の性的な羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反する行為である場合、「わいせつ」な行為であるとされています。

補足

「図画」には、絵画、写真、画像データなどが含まれます。

「電磁的記録に係る記録媒体」とは、画像のデータを記憶・蔵置させたコンピュータのハードディスク等が該当するでしょう。

「公然と陳列」とは?

わいせつ物陳列罪は、わいせつ物を公然と陳列した者が罰せられる犯罪です。

岡野タケシ弁護士
岡野タケシ
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わいせつ物を「公然と陳列した」とは、その物のわいせつな内容を不特定または多数の人が認識できる状態に置くことをいいます。

わいせつ物を展示する場合のほか、ウエブサイト上で第三者が閲覧できるような状態である場合は、「公然と陳列した」に該当すると判断されやすいでしょう。

ホームページにアクセスしてきた不特定多数の利用者に閲覧させる場合、「公然と陳列した」に該当します。たとえば、放送会社がネット上で提供している天気予報の画像をわいせつ画像等に書き換え、ホームページにアクセスしてきた不特定多数の人に閲覧させた場合、わいせつ物陳列罪(および電子計算機業務妨害罪)になると判断されました(大阪地方裁判所平成9年(わ)第2305号平成9年10月3日判決)。

ただちに閲覧できない場合であっても、「公然と陳列した」に該当することもあります。たとえば、ホストコンピュータのハードディスクに記憶された画像データについて、会員ならば、自分でパソコンを操作して閲覧ができるような場合は「不特定多数の者が認識できる状態に置く」といえ、「公然と陳列した」に該当すると判断した判例があります(最高裁判所第三小法廷平成11年(あ)第1221号平成13年7月16日決定)。

「頒布罪」もある?「わいせつ物頒布罪」とは?

わいせつ物陳列罪と同じ条文に、「公然わいせつ物頒布罪」も規定されています。ただ、少し行為態様が違います。

わいせつ物頒布罪は、わいせつ物を送信する等の方法で取得させるような行為が処罰対象となります。

岡野タケシ弁護士
岡野タケシ
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わいせつ物頒布罪の「頒布」とは、不特定又は多数の者の記録媒体上に電磁的記録その他の記録を存在するに至らしめることをいいます。

たとえば、わいせつ物頒布にあたる例として、海外サーバに保存されたわいせつ動画のデータファイルを、日本国内の顧客へ送信するような場合が考えられるでしょう。実際に、そのような事案について、わいせつ物(電磁的記録等送信)頒布罪(、およびわいせつ物電磁的記録有償頒布目的保管罪)になると判断した判例があります(最高裁判所第三小法廷平成25年(あ)第510号平成26年11月25日決定)。

わいせつ物陳列罪の「刑罰」は?

刑罰は懲役?罰金?科料?

わいせつ物陳列罪(わいせつ物頒布等罪)の刑罰は、1ヶ月~2年以下の懲役、1万円~250万円以下の罰金、科料(1万円未満のお金を取り上げられる刑罰)のいずれか、または懲役刑と罰金刑の併科(懲役と罰金の両方が科される)というものです。

わいせつ物陳列罪(わいせつ物頒布等罪)
刑罰の種類①懲役(1ヶ月~2年)
②罰金(1万円~250万円)
③科料(1万円未満)
④懲役と罰金の両方

わいせつ物陳列罪と公然わいせつの違いは?

公然わいせつ罪とは?

公然わいせつ罪は、刑法174条に規定される犯罪です。

公然とわいせつな行為をした者は、六月以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

刑法174条

「公然わいせつ」とは、不特定の人・不特定多数の人が認識できる状態で、わいせつな行為をすることをいいます。

岡野タケシ弁護士
岡野タケシ
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実際に、不特定または多数の人が認識する必要はありません。

認識できる可能性がある時点で、「公然」であるとみなされることになります。

たとえば、通行人が全くいないだれでも自由に通行できる路上においてわいせつな行為をしても、公然性には欠けないと解されています。

わいせつ物陳列罪と公然わいせつの違いは?

わいせつ物陳列罪は、不特定または多数の人が認識できる状態に、わいせつ物を「置く」犯罪です。

一方、公然わいせつ罪は、不特定または多数の人が認識できる状態で、「わいせつな行為をする」犯罪です。たとえば、全裸で公園を走り回る、電車で陰部を露出する等の行為は、「公然わいせつ罪」に問われる可能性があるでしょう。

公然わいせつ罪公然陳列罪
意味公然とわいせつな行為を「する」わいせつな文書などを公然と「陳列」(≒置く)
刑罰・6月以下の懲役
・30万円以下の罰金
・拘留
・科料
・2年以下の懲役
・250万円以下の罰金
・科料
(懲役と罰金は併科の可能性がある)

わいせつ物陳列罪は逮捕される?起訴される?

逮捕のきっかけは?可能性は?

昨今、わいせつ電磁的記録媒体陳列罪の逮捕が目立ちます。警察のサイバーパトロールが、逮捕のきっかけになることが多いようです。

サイバーパトロールで発見される逮捕されるかどうかは、その警察の目に触れるかどうかによります。

全体の逮捕率を確認したところで、あまり意味はないでしょう。少しでも不安がある場合は、早めに弁護士に相談し、今後の対応について助言をもらっておきましょう。

逮捕後、起訴される?起訴率は?

検察統計(被疑事件の罪名別起訴人員、不起訴人員及び起訴率の類型比較)などで、起訴率を確認することができるでしょう。

公然わいせつ・わいせつ文書頒布等(わいせつ陳列罪を含む。)の起訴率は、2021年には58.0%でした。

わいせつ物陳列罪の起訴率はやや高いといえます。ただ、見方を変えれば、約4割は不起訴になるということが分かります。

早くから適切な弁護活動を受けることで、起訴を回避できる可能性が高まるのではないでしょうか。

関連項目

検察統計調査 検察統計「被疑事件の罪名別起訴人員、不起訴人員及び起訴率の累年比較 (1993年~)」

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刑事事件で不起訴になるには?

わいせつ物陳列罪の弁護活動とは?

1.逮捕後の早期釈放?

警察に逮捕された後は、48時間以内に検察官のもとに事件が送致されます。

その後、24時間以内に、検察官によって勾留が請求されるかどうかが検討されます。

検察官が勾留を請求した場合、裁判官が勾留の必要があると判断したとき、10日間の勾留となります。

逮捕後に早期釈放をめざすには、まずは、この検察官の勾留請求や、裁判官の勾留決定を阻止する必要があります。

弁護士は、検察官や裁判官に対して、勾留の要件がないことについて弁護してくれます。

Point

弁護士は、検察官や裁判官に対して、以下のようなことを主張します。

  • 住居不定でないこと
  • 逃亡のおそれがないこと
  • 罪証隠滅のおそれがないこと

意見書や面談などの手段によって働きかけをおこない、早期釈放を目指してくれます。

罪を認めている、被害者への賠償(≒示談)、再犯防止策を講じている等の事情があると、逃亡や罪証隠滅のおそれがないと判断されて、釈放につながる可能性があるでしょう。

勾留が決定されなければ、早期釈放が実現します。

2.逮捕や起訴を回避するには示談?贖罪寄付?

示談はできる?

被害者との示談が成立した刑事事件では、逮捕の可能性が下がる、不起訴の可能性が上がる、刑罰が軽くなる可能性が上がる等の影響が見込まれます。

ただし、わいせつ物陳列罪は、社会公共に対する犯罪であるため、被害者の存在を観念できません。つまり、原則としては「わいせつ物陳列罪では示談交渉ができない」と考えておいたほうがよいでしょう。

とはいえ、事実上、示談が可能な場合もあります。たとえば、わいせつ物陳列罪の前提として、児童ポルノを製造した、わいせつ画像を強要した、盗撮をしたというような場合には、それらの被害者の方とは示談できる可能性はあるでしょう。

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贖罪寄付とは?

贖罪寄付と(しょくざいきふ)は、刑事事件の被疑者・被告人になってしまった方が、罪をつぐなう気持ちを示すために行う寄付です。

被害者がいない犯罪は示談ができませんが、代わりに贖罪寄付をすることで反省の意を表すことができ、刑事処分に影響する可能性もあるでしょう。

贖罪寄付ができる団体は、弁護士会や被害者支援団体など様々です。

贖罪寄付をするのか、どの団体に贖罪寄付をするのか等については、弁護士と相談しながら進めていくのがよいでしょう。

3.わいせつ物陳列罪の再犯防止策?

不起訴や刑事罰の軽減を目指すには、真に反省し、再発防止を誓うことが重要です。

わいせつ物頒布罪、公然陳列罪では、事件の関係者との関係性を絶つ、使用したアカウントを処分する等の「再発防止策」を講じる必要があるでしょう。

また、今後の生活を監督してくれる「身元引受人」の存在も重要です。

ご自身について、どのような対策を講じればよいのかについては、弁護士に相談してみましょう。

刑事事件の実務経験豊富な弁護士であれば、再発防止の環境調整についても、親身になって提案してくれるでしょう。

わいせつ物陳列罪を弁護士に相談するには?

アトム法律事務所の弁護士相談の予約受付窓口は?

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