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逮捕からの逃走は罪が重くなる?逮捕前の逃走は逃走罪には当たらない?

- 逮捕から逃走したら犯罪になる?
- 逃走はどんな刑罰になる?
- 逮捕前の逃走は逃走罪にあたる?
逮捕と逃走に関する疑問について、弁護士が回答します。
目次
逮捕、刑務所からの逃走は犯罪

逃走とは?
警察署の留置場に勾留されていた被疑者が逃走したという事件が記憶に新しいと思います。
逃走はどのような犯罪とされているのでしょうか。
拘禁された者とは、刑事施設や留置施設などの刑事収容施設に身柄が拘束されている者をいいます。
逃走罪は、「拘禁された本人が逃げること」と「拘禁された他人を逃がすこと」におおきく分けることができます。
拘禁された本人が逃げること
- 加重逃走罪
- 単純逃走罪
拘禁された他人を逃がすこと
- 被拘禁者奪取罪
- 逃走援助罪
- 看守者等逃走援助罪
それぞれ、詳しくみていきます。

刑務所などからの逃走は単純逃走罪?
刑務所などから逃走することを、「単純逃走罪」といいます。
「単純逃走罪」とは、拘禁された既決の者や未決の者が逃走することです。
根拠となる条文を確認してみます。
裁判の執行により拘禁された既決又は未決の者が逃走したときは、一年以下の懲役に処する。
引用元:刑法第97条
「裁判の執行により拘禁された既決又は未決の者」が逃走することが逃走罪とされています。
もうすこし具体的にいうなら…
既決の者
- 懲役刑や禁錮刑といった実刑判決によって刑務所などにいる受刑者
- 死刑判決の執行を待つ者
- 罰金が払えず労役場に留置されている者
未決の者
- 勾留中の被疑者
- 勾留中の被告人
- 判決の言い渡しが確定するまでの被告人
このような者が逃走することを単純逃走罪といいます。

逮捕からの逃走は加重逃走罪?
一定の手段を用いて拘禁から逃走することを「加重逃走罪」といいます。
「加重逃走罪」とは、拘禁された既決の者や未決の者・勾引状の執行を受けた者が、一定の「手段を用いて」逃走することです。
根拠となる条文を確認してみます。
前条に規定する者又は勾引状の執行を受けた者が拘禁場若しくは拘束のための器具を損壊し、暴行若しくは脅迫をし、又は二人以上通謀して、逃走したときは、三月以上五年以下の懲役に処する。
引用元:刑法第98条
加重逃走罪は、単純逃走罪に該当する者にくわえて「勾引状の執行を受けた者」が一定の手段を用いて逃走することとされています。
勾引状の執行を受けた者
- 既決、未決の者
- 勾引状によって強制的に連れてこられた被告人、証人など
- 逮捕状によって逮捕された者
このような者が一定の手段を用いて逃走することを加重逃走罪といいます。
一定の手段とは、具体的には
- 留置施設のドア、手錠などを物理的に損壊する
- 看守などに暴行や脅迫をくわえる
- 逃亡するために2人以上で連絡を取り合う
このような手段を用いて逃亡をおこなうこととされています。
合鍵を使ってドアを開けたり、手錠を外したりするのは損壊には当たらないとされています。
加重逃走罪に該当する一定の手段を用いた逃走は単純逃走罪より悪質であるとされています。
そのため、法定刑も逃走罪に比べて重いものになっています。

犯人の逃走を援助したら逮捕される?
被拘禁者を逃走させたりする犯罪が3つ規定されています。
被拘禁者の逃走を援助するような犯罪は、
- 被拘禁者奪取罪
- 逃走援助罪
- 看守者等逃走援助罪
以上の3つです。
ほとんどない事例とされていますが、刑法に規定され、逮捕される可能性のある犯罪です。
逃走罪まとめ
誰が? | 何をする? | |
---|---|---|
単純逃走罪 | ・拘禁された既決の者 ・拘禁された未決の者 | 逃走する |
加重逃走罪 | ・拘禁された既決の者 ・拘禁された未決の者 ・勾引状の執行を受けた者 | 一定の手段を用いて逃走する |
被拘禁者奪取罪 | 被拘禁者を奪取した者 | 被拘禁者を逃走させる |
逃走援助罪 | 被拘禁者の逃走を手助けした者 | 被拘禁者を逃走させる |
看守者等逃走援助罪 | 看守や護送する者 | 被拘禁者を逃走させる |
逃走に関する犯罪の刑罰はつぎの表のとおりです。
刑罰まとめ①
本人が逃走する罪
懲役の下限 | 懲役の上限 | |
---|---|---|
単純逃走罪 | 1月以上 | 1年以下 |
加重逃走罪 | 3月以上 | 5年以下 |
※未遂罪も同様の刑罰
刑罰まとめ②
逃走を援助する罪
懲役の下限 | 懲役の上限 | |
---|---|---|
被拘禁者奪取罪 | 3月以上 | 5年以下 |
逃走援助罪 | 1月以上 | 3年以下 |
逃走援助罪 (暴行・脅迫をした) | 3月以上 | 5年以下 |
看守者等逃走援助罪 | 1年以上 | 10年以下 |
※未遂罪も同様の刑罰
保釈中の逃走で逮捕されるか
保釈中の逃走は逮捕?保釈取り消し?

保釈中に逃走したら、逮捕ではなく保釈取り消しによって身柄拘束がおこなわれる可能性があります。
保釈は、被告人が逃亡などをおこなわないように保釈金を担保として支払って釈放されるものです。
保釈中の被告人は、被拘禁者ではありません。
保釈中に逃走しても、逃走罪には当たりません。
保釈中に逃走すると保釈が取り消されて、再度、勾留される可能性があります。
保釈が取り消されると、併せて保釈金が没取される可能性もあります。
保釈中の逃走を助けたら犯罪?

保釈中の被告人の逃走を助けることも犯罪です。
逃走した被告人を助けたりかくまったりすると、「犯人隠匿罪」や「犯人隠避罪」に問われることになります。
〇〇罪+逃走罪の刑罰の考え方
逮捕から逃走した犯人の刑罰は重くなる?

犯人の刑罰は、逮捕後に逃走すると重くなる可能性があります。
別々の犯罪を犯した場合、刑事手続きは併合罪としてすすめられていくことになります。
併合罪の場合、それぞれの刑罰が合計されるという考えがあります。
ただ、単純に刑罰が合算されるのではなく、刑罰の種類によって合計方法が異なります。
懲役刑や禁錮刑が法定刑で定められている犯罪は、それぞれの刑罰を足し算で合計されるわけではありません。
「最も重い罪について定めた刑の長期にその2分の1を加えたもの」が長期とされています。
事例確認|窃盗罪+加重逃走罪の刑罰は?

ここで、逃走罪に関しての事例を確認してみたいと思います。
▼事例
窃盗の疑いで逮捕されて勾留されていたが、接見室のドアをこじ開けて抜け出し、留置場から逃走した
このような場合、どのような刑罰となるのでしょうか。
事例のような事件では、
- 窃盗罪
- 加重逃走罪
2つの罪の刑罰を併合して受けることになります。
加重逃走罪の刑罰は、「3月以上5年以下の懲役」です。
窃盗罪の刑罰は、「10年以下の懲役または50万円以下の罰金」です。
加重逃走罪と窃盗罪は、併合罪としてあつかわれることになります。
併合罪では、最も重い罪について定めた刑の長期にその2分の1を加えたものが長期とされることになります。
加重逃走罪と窃盗罪で重い罪は、窃盗罪の「懲役10年」です。
この懲役の2分の1である「懲役5年」が、刑罰にさらに加えられる可能性があります。
例
窃盗罪+逃走罪の刑罰
罪名 | 最も重い刑罰 |
---|---|
窃盗罪のみ | 懲役10年 |
窃盗罪 + 加重逃走罪 | 懲役15年 |
逮捕前に犯人が逃走

逮捕前の逃走は何罪?
ある犯罪を犯して、逮捕される「前」に逃走しても逃走罪には当たりません。
逮捕前の逃走は、あくまでも逃走前に犯した犯罪で裁かれることになります。
犯行の瞬間がみられていた
犯行をおこない終わった瞬間がみられていた
現行犯人として追呼されていた
このような場合に逃走すると、現行犯逮捕されることになります。
現行犯逮捕について詳しくは、「刑事事件、通常逮捕の要件とは?刑事訴訟法の条文はある?」をご覧ください。
犯行現場から逃げきったとしても、逮捕状によって逮捕される可能性があります。

このような逮捕の要件に該当すると、逮捕状によって後日逮捕される可能性があります。

逃走の前に犯した犯罪の証拠を警察は集め、裁判官に逮捕状を請求します。
逮捕状をもった警察官が犯行の後日、逮捕しにやってきます。
後日逮捕について詳しくは、「刑事事件で後日逮捕される可能性と期間は?」をご覧ください。
事例確認|職務質問から逃走して逮捕?

職務質問を受けている途中で、警察官を無理やり押しのけて逃走したりすると逮捕される可能性があります。
このような場合は、逃走罪ではなく「公務執行妨害罪」にあたる行為になります。
職務質問から逃走することで逮捕されるのではありません。
職務中の公務員に、脅迫や暴行を加えた場合に公務執行妨害罪が成立することになります。
「ご家族が逮捕されてしまった…」
「犯行現場から逃走してきたけど、こらからどうなるのか…」
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逃走に関する犯罪では、「拘禁された者が拘禁状態から離脱すること」を逃走としています。