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「刑事事件 法律Know」では、逮捕や前科を回避する方法、逮捕後すぐに釈放されるためにできることを詳しく解説しています。
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窃盗罪での起訴猶予処分の基準|初犯なら起訴猶予?示談すれば起訴猶予?懲戒処分になる?

「家族が窃盗事件を起こし、起訴猶予処分になった…」
突然、家族が窃盗事件の当事者になれば非常に動揺しますよね。
皆さんは起訴猶予の意味をご存知でしょうか。
- 起訴猶予とは?起訴猶予になる基準は?
- 起訴猶予と不起訴は別?
- 示談すれば起訴猶予になる?
- 起訴猶予になると前科や前歴はつく?
など、起訴猶予処分に関する疑問をたくさんお持ちだと思います。
今回は、「窃盗罪の起訴猶予」を中心に解説していきます。
詳しい部分は弁護士の先生に回答していただきます。
目次
【Q&A】窃盗罪の起訴猶予の基準とは?初犯なら起訴猶予?

窃盗罪の起訴猶予の意味は?基準は?
起訴猶予とは、不起訴処分の一種です。
つまり、起訴猶予を獲得すると刑事裁判をするのに十分な証拠が揃えられているが、起訴されないということです。
起訴猶予などの不起訴処分を獲得すると、事件は終了します。

本来、窃盗罪で逮捕され事件が起訴されると刑事裁判が行われます。
刑事裁判で有罪判決がくだされると以下の範囲から刑罰が言い渡されます。
窃盗罪の刑罰
10年以下の懲役または50万円以下の罰金
起訴猶予処分になると、そもそも刑事裁判を受けずにすみます。
よって、上記の刑罰を受けることはなくなります。
起訴猶予のより詳しい意味を確認しておきましょう。
犯罪捜査の結果、犯罪の嫌疑が十分あり、訴訟条件も備わっているが、犯人の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況を考慮した結果、処罰する必要がないと考えるときに、公訴を提起しないこととする検察官の処分(刑訴二四八)。
引用元:有斐閣 法律用語辞典 第4版
窃盗罪について有罪の証明が可能と思われる場合であっても検察官の判断で不起訴になる場合は「起訴猶予」となります。
起訴猶予の基準は、
犯罪の重さ、犯人の性格・年齢・生いたち、犯行後の事情(被害弁償の状況など)
などが考慮されます。
起訴猶予となるためには、早い段階から弁護士を付けて、被害者への対応を充実させることが大切です。
不起訴処分には、他にも種類があります。
- ① 嫌疑なし:捜査の結果、被疑者に対する犯罪の疑いが晴れた場合
- ② 嫌疑不十分:捜査の結果、裁判において有罪の証明をするのが困難と考えられる場合
- ③ 起訴猶予
窃盗罪の事実がある場合、
- 被害者に対する弁償や謝罪が十分に行われている
- 被害者と示談が成立している
など場合に起訴猶予となるケースが多いです。
初犯なら起訴猶予になる?
初犯の窃盗罪でも必ず起訴猶予になるとは言い切れません。
- 窃盗事件で生じた損害が重大である
- 窃盗事件の行為が極めて悪質である
などの場合は、初犯でも実刑になることがあります。
初犯であっても刑事裁判で有罪になると「10年以下の懲役または50万円以下の罰金」の範囲で刑罰が言い渡されます。
理論的には窃盗罪が成立する場合でも、
- 窃盗罪の結果が軽微
- 窃盗行為に悪質性がない(例:計画的でない)
などのケースでは、不起訴として前科がつかないこともあります。
初犯であれば、略式起訴による罰金刑で終わることも多いです。
窃盗罪の結果が軽微な場合は、略式裁判となり罰金刑になる可能性があります。
略式起訴によって行われる「略式手続き」とは、公開の法廷ではなく、書面審理で行う刑事の裁判手続をいいます。
公判を開かず書面審理で行う刑事の裁判手続。簡易裁判所の管轄に属する事件のうち、一〇〇万円以下の罰金又は科料を科すべき場合で、被疑者に異議のないときに、検察官の請求(略式起訴)によって行われる(刑訴六編)。
引用元:有斐閣 法律用語辞典 第4版
上記の通り、略式起訴は、簡易裁判所の管轄に属する事件のうち「100万円以下の罰金又は科料に相当する事件」に適用されます。
懲役刑、禁錮刑、死刑に相当する犯罪に、略式起訴は適用されません。
窃盗罪で罰金刑が言い渡される場合は、略式裁判で法廷には出ずに終わるケースが多いです。
もっとも、略式起訴で罰金処分を受けると、前科がつくことになります。
自転車窃盗など軽微な窃盗なら起訴猶予になる?
自転車窃盗の初犯なら、最初は微罪処分として処理されることが多いでしょう。
微罪処分とは、「軽微な犯罪で、警察が検察官に送致せずに事件を終了させる処分」です。
2回目、3回目になれば、検事のもとに送致されることになります。
自転車窃盗の初犯で、いきなり刑務所に収監されることはまずありません。
何度も自転車窃盗を繰り返した場合は、罰金刑などになることも考えられます。
また、その後も自転車窃盗を繰り返せば刑事裁判で懲役刑を言い渡されることもあります。
自転車窃盗などの軽微な窃盗なら不起訴(起訴猶予)で事件が終了する可能性も高いです。
起訴猶予になると前科や前歴はつかない?
起訴猶予になると前科はつきませんが、前歴はつきます。
前科がつくのと前歴がつくのとでは大きく意味が異なります。
前科とは、刑事裁判で有罪判決を受けた履歴のことを言います。
窃盗罪で刑事裁判になり、懲役刑や罰金刑を言い渡されると前科が付きます。
略式命令で罰金になった場合も同様です。
前歴は、捜査機関による犯罪捜査を受けたという履歴のことです。
不起訴処分で終了した事件でも前歴はつきます。
逮捕歴なども前歴にあたります。
起訴猶予になれば、刑事裁判を受けることはありません。
よって、有罪判決を言い渡される心配がないので前科はつきません。
逮捕されたとしても、逮捕歴と前科は異なるので不起訴になれば前科はつきません。
有罪判決を受け、前科がついてしまうと今後の生活で不利益を被ることがあります。
- 資格試験の受験に制約を受けることがある
- 現在の勤め先を懲戒解雇されることがある
- 海外旅行で制限を受ける場合がある
- 結婚などの際に事実上の不利益を受ける
前科がついてしまうことで、日常生活にも支障をきたします。
ご自身やご家族が窃盗事件を起こし逮捕されてしまったら不起訴処分の獲得を目指しましょう。
比較
前科と前歴
前科 | 前歴* | |
---|---|---|
意味 | 有罪判決の履歴 | 刑事手続きに関与した履歴 |
実生活への影響 | ある | ほぼない |
前科についてさらにくわしく知りたい方は以下の記事もご覧ください。
起訴猶予でも懲戒処分になる?
窃盗の容疑で逮捕された家族が会社から懲戒処分を受けるのか不安ですよね。
民間企業などは、「有罪判決を受けたこと」を解雇理由とする就業規則を設けている会社が多いです。
よって、起訴猶予になれば、有罪判決を受けた場合に比べ懲戒解雇のリスクは低いと言えます。
窃盗罪に問われているのが、民間企業の会社員の場合、就業規則に基づいて処分が決定されます。
窃盗事件が不起訴で終われば有罪判決を受けたことにはなりません。
就業規則の解雇理由が「有罪判決を受けたこと」であれば懲戒処分を回避できるケースもあります。
事件が不起訴で終わったことは、不起訴処分告知書で証明することができます。
入手した不起訴処分告知書を会社に提出したことで、不起訴が証明でき、解雇を免れたケースもあります。
会社側としても、不起訴処分告知書による裏付けがあれば、懲戒処分しないとの決定を出しやすいです。
ただし、日本には逮捕=犯罪者扱いの風潮があります。
窃盗事件で逮捕されたことが周囲に知られれば居づらくなって、自主退職を迫られる場面も想定できます。
懲戒処分に関するページ
窃盗罪で起訴猶予になる方法は?示談すると起訴猶予になる?

窃盗罪で起訴猶予になる方法は?
被害者への弁償や謝罪が十分に行われ、被害者と示談が成立していることが大切です。
窃盗事件を起訴するか不起訴にするかは、検察官の裁量に委ねられています。
示談が成立していることで、検察官の心証を良い方向へ持って行くことができます。
起訴猶予を獲得するには、被害者との早期の示談成立が効果的です。
示談が成立することで、不起訴処分になる可能性を高めることができ、前科を回避できるケースもあります。
もっとも、ご自身だけで被害者側と示談を成立させるのは場合によっては非常に困難です。
窃盗罪で不起訴処分になりたいとお考えの方は、まずは弁護士に相談してみましょう。
被害者と示談を成立させ、刑事処分を望まないとの一筆をもらい、検察官に提出することは検察官の判断に大きく影響します。
検察官は示談書を無視して起訴するような処分を行うことは、事実上難しいといえます。
本人が示談交渉した場合、被害者側が強い処罰感情を持っており、示談交渉を拒否される場合があります。
法律の専門家で、第三者である弁護士であれば示談交渉に応じてくれる可能性が高くなります。
示談すると必ず起訴猶予になる?
示談が成立したからといって、必ず不起訴処分(起訴猶予)になるわけではありません。
もっとも、示談の成立によって起訴・不起訴の判断に良い影響を与えます。
検察官が起訴・不起訴を判断する要素は、示談の成立だけではありません。
- 加害者の反省の態度
- 前科の有無
- 犯罪の種類
- 態様
などを総合して判断します。
示談成立で、検察官に対して被害者との間で事件が解決していることをアピールすることが可能です。
よって、不起訴処分を獲得できる可能性が大いに高まります。
不起訴処分を獲得した場合には、「前科」が付くことはありません。
万が一、起訴されてしまい刑事裁判になったとしても良い影響があります。
示談が成立していれば裁判官に対して被害者との間で事件が解決していることをアピールできます。
裁判で言い渡される刑罰が軽くなる可能性が高くなることが予想されます。
示談についてのページ
【弁護士無料相談】窃盗罪で起訴猶予になるには?

窃盗罪について相談したい…無料相談窓口はある?
「窃盗罪と起訴猶予」についてくわしくみてきました。
ご自身やご家族が窃盗事件の当事者の場合、弁護士への無料相談窓口があれば安心ですよね。
スマホや対面で弁護士に直接相談できる窓口をご紹介します。
窃盗事件で起訴猶予を獲得するには、被害者との早期の示談成立が大きく影響します。
また、事件発生後、迅速に被害者対応をすることで、不起訴の可能性が高まります。
窃盗事件で不安がある方は、なるべく早い段階で弁護士にご相談ください。
当事務所では、対面相談(初回30分無料)やLINE無料相談を行っています。
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窃盗罪で逮捕や勾留されたとしても、不起訴になれば裁判は行われません。
窃盗罪で逮捕された場合は、不起訴処分を獲得することが重要です。