岡野武志

第二東京弁護士会所属。刑事事件で逮捕されてしまっても前科をつけずに解決できる方法があります。

「刑事事件 法律Know」では、逮捕や前科を回避する方法、逮捕後すぐに釈放されるためにできることを詳しく解説しています。

被害者との示談で刑事処分を軽くしたい、前科をつけずに事件を解決したいという相談は、アトム法律事務所にお電話ください。

アトムは夜間土日も受け付けの相談窓口で刑事事件のお悩みにスピーディーに対応いたします。

未成年の傷害事件|逮捕の流れは?未成年の傷害事件でも慰謝料や示談金は支払う?

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ご自身の未成年の子供が傷害事件の加害者になってしまった…

その後、大切な子供さんがどうなっていくのか心配ですよね。

  • 未成年の傷害事件でも逮捕される?
  • 未成年の傷害事件の流れは?
  • 未成年でも慰謝料や示談金は支払う?

など、たくさんの疑問があると思います。

今回は、「未成年傷害事件」をテーマに皆さんの疑問を解消していきます。

専門的な部分は弁護士の先生に解説していただきます。

未成年の傷害事件の流れは?未成年でも逮捕される?

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未成年が起こした傷害事件は逮捕される?

未成年が起こした傷害事件でも逮捕される場合があります。

未成年の男女が起こした事件は「少年事件」として取り扱われます。

20歳未満の未成年者でも、悪質な刑事事件を起こせば警察に逮捕される可能性はあります。

少年事件には少年法が適用されます。

少年法は、「少年の健全な育成」という保護主義の理念が貫かれています。

逮捕後の手続きも成人の事件とは取り扱いが異なります。

20歳未満の少年が起こした傷害事件は少年事件になります。

成人とは刑事手続きが異なりますが、逮捕されないわけではありません。

逮捕時の流れは成人の事件と同様で、現行犯逮捕後日逮捕によって逮捕されます。

現行犯逮捕と後日逮捕の違い

加害者が未成年の場合の傷害事件の流れは?

逮捕後の流れは、成人と未成年とで大きく異なります。

成人の場合は、勾留が決定されれば、そのまま警察署の留置場に身体拘束されます。

成人の傷害事件の流れは以下の記事をご覧ください。

これに対して、未成年の場合は、留置場での生活の後、少年鑑別所に移送されるケースが多いです。

少年鑑別所では、未成年に対する各種の調査が行われます。

少年鑑別所にいる間に、少年審判を「開始」するか「不開始」にするか検討されます。

殺人などの重大犯罪では、未成年者でも刑事裁判を受けるケースがあります。

しかし、未成年の場合は通常は刑事裁判ではなく少年審判を受けます。

刑事裁判は公開の法廷で行われますが、少年審判は原則的には非公開です。

例外的に、一定の重大事件の被害者等は、一定の要件の下、家族裁判所の許可により、審判を傍聴できることもあります。

刑事裁判とは、最終的に下される処分の内容も大きく異なります。

逮捕後の流れは成人の事件とは大きく異なることがわかりました。

詳しくは以下の図をご覧ください。

未成年の逮捕の流れ

初犯の傷害事件でも逮捕される?鑑別所行き?

成人の傷害事件では初犯であっても、起訴される可能性があります。

検察が、事件を起訴できない、あるいは起訴する必要性が低い、と判断しない限りは起訴される危険は残ります。

未成年の初犯の傷害事件でも、被害が重ければ逮捕され、鑑別所へ行くケースもあります。

未成年の場合も、大人と同じく、10日〜20日間の勾留が決定されるケースがあります。

この場合は、逮捕から勾留の満期日までは警察署の留置場で生活し、その後に少年鑑別所に移ることになります。

このような流れになるのは、強制捜査の必要性が高い、比較的重い事件の場合が多いです。

逮捕された未成年者が少年鑑別所に行くタイミングは、事件によってさまざまです。

未成年者の場合は、逮捕後すぐに、留置場で勾留されることなく少年鑑別所に移るケースがあります。

このような流れになるのは、証拠が明白で捜査の必要性がそれほど高くない、比較的軽微な事件の場合が多いです。

事件によって、鑑別所へ送られるタイミングが異なるのですね。

そもそも、鑑別所はどんな場所かご存知でしょうか。

意味を確認しておきましょう。

家庭裁判所の観護措置決定に基づいて送致された少年を審判があるまで収容するとともに、医学、心理学、教育学、社会学その他の専門知識に基づいて、少年の資質の鑑別を行うための施設(少院一六)。法務大臣の所管に属する。

引用元:有斐閣 法律用語辞典 第4版

家庭裁判所の観護措置の決定による収容の期間は、原則として2週間以内です。

特に必要のあるときは、家庭裁判所の決定によって期間が延長されることがあります。

延長は最大8週間まで可能です。

未成年の傷害事件は少年院に入る?

最終的な処分が少年院送致になれば少年院に入る可能性があります。

警察から捜査を受けた少年事件は、すべて家庭裁判所に送られます。

さらに、家庭裁判所で少年審判を開くか否かの審査を受けることになります。

未成年の傷害事件の最終的な処分は少年審判によって決められます。

少年事件の処分一覧
  1. ① 保護処分:保護観察、児童自立支援施設等送致、少年院送致
  2. ② 検察官送致:家庭裁判所から証拠等とともに事件を検察官に送り届け、刑事裁判になる
  3. ③ 不処分(教育的処置)
  4. ④ 都道府県知事または児童相談所長送致

そもそも少年院はどんな施設なのでしょうか。

家庭裁判所から送致された非行少年を収容して矯正教育をする施設(少院一)。全て国立で、法務大臣の所管に属する。少年の年齢、非行進度等により、初等、中等、特別、医療の四種がある。

引用元:有斐閣 法律用語辞典 第4版

少年院は、非行少年を収容し、矯正教育を行う施設です。

成人が刑事事件を起こし、収容される刑務所とは意味合いが異なります。

ご自身の子供を少年院に入れないためには、

  • 少年審判が開かれないようにする
  • 少年審判が開かれたとしても不処分又は少年院送致以外の保護処分を得る

必要があります。

未成年の傷害事件の示談|未成年でも慰謝料や示談金を支払う?相場は?

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被害者との示談で逮捕を回避できる?

成人が起こした刑事事件において示談はその後の刑事手続きに非常に有効です。

比較的軽微な事件で示談が成立し、被害者の方から

「加害者と示談が成立したので被害届を取り下げたい。」

「加害者に対して寛大な刑事処分を求めたい。」

などの申し入れがあれば、警察から逮捕されないケースも多いです。

ただし、未成年の事件においては、少し示談の効果が異なる場合があります。

未成年が起こした傷害事件において示談すること自体は可能です。

もっとも、処分が軽くなると一概には言えません。

殺人などの重大な刑事事件を除いて、少年事件は少年法に基づいて処分が決定されます。

成人にくだされる刑罰と未成年に下される処分は意味合いが違ってきます。

成人の「刑罰」は「犯罪を行った者に科せられる制裁」を目的とし、

未成年の「処分」は「少年の更生と保護」を目的としています。

成人の刑罰と異なり、示談が成立し、被害者に許して貰えたとしても処分が必ず軽くなるとは限りません。

よって、未成年が起こした傷害事件において示談が成立しても必ずしも逮捕を回避できるとは言えません。

慰謝料・示談金・損害賠償はいくら?未成年も支払う?

未成年であっても、示談金・慰謝料が発生した場合は法律上支払い義務を負います。

慰謝料を支払う義務がないのは民法上「自分の行為の責任を弁識するに足りる知能を備えていない者」です。

一般論では12~13歳未満程度の少年に関しては支払義務を負わないと考えられています。

未成年でも、成人と同様支払い義務を負います。

実際に支払う、示談金や慰謝料の具体的な金額が気になりますよね。

成人した大人に比べると少し安い、などの影響はあるのでしょうか。

未成年の傷害事件の場合も、示談金の相場が成人と変わることはありません。

ただし、未成年の子供の場合、今後のため学校や警察に連絡してほしくないという意向が強い場合があります。

そのような場合には、被害金額を上回る金額で示談する場合もあります。

未成年の子供の傷害事件の示談金は、成人した大人の事件と大きくは変わりません。

傷害事件は、事件ごとに金額が異なります。

具体的な金額をみていきましょう。

傷害事件で示談を行った際に支払う金額の計算式は以下の通りです。

傷害事件の示談金=治療費+慰謝料+(休業損害+後遺症による逸失利益)

ご覧いただいた通り、「慰謝料」や「損害賠償」は示談金の一部です。

傷害罪の被害がそれほど重くない場合の示談金は、10万~30万円になることが多いです。

実際に治療に要した金額に加えて、一定の慰謝料を貰えれば、誠意が伝わったとして満足するケースが多いからです。

傷害罪によって生じた損害が重たい案件に関しては、示談金が100万円を超えることも珍しくありません。

後遺障害が残るようなケースだと、実際に民事裁判になれば数千万円から一億円以上の損害賠償が認められることもあります。

傷害事件は、事件の内容や状況によって示談金相場が大きく変動します。

実際にどのくらいの示談金例があるのか気になると思います。

こちらで、過去の傷害事件における示談金の例をご紹介します。

具体例

傷害事件の示談金

 事件内容示談金
深夜、ナイトクラブで客と揉め、被害者が首に掛けていたネックレスを破壊し、被害者の首に擦り傷を負わせた事件。10万円
ハローワーク内で、被害者夫婦に対し、顔面をこぶしで数回殴るなどの暴行を加え、全治1週間の怪我を負わせた事件。32万円
駅構内で60代男性と体が接触し、立腹のあまりその男性を足で数回蹴り、頭突きするなどの暴行を加え、全治2週間の怪我を負わせた事件。50万円
風俗店の事務所内で、従業員女性の顔面を数回殴り、頭髪を切るなどの暴行を加え、全治2週間程度の怪我を負わせた事件。130万円
新幹線内で前の座席に座っていた被害者に対し、座席を数回蹴るなどの暴行を加え、休業約3週間を要する頚部挫傷、頭部打撲傷などの傷害を負わせた事件。179万円

【弁護士相談】未成年の子供が傷害事件の加害者に…

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未成年の傷害事件を弁護士に無料相談するには?

ご自身の未成年の子供が傷害事件を起こしたとき、すぐに弁護士に相談することが大切です。

その際に、無料相談できる窓口があれば便利ですよね。

未成年が起こす事件は多感な時期の少年が加害者なので非常にデリケートです。

また、傷害事件は被害者対応も重要です。

加えて、未成年の事件の場合には、少年の生活環境の調整などもとても大切です。

早めに弁護士に相談すれば、処分を受ける前に少年の健全な育成に向けた具体策を講じることができます。

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