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傷害事件は懲役〇年?執行猶予はつく?初犯なら執行猶予?執行猶予中の再犯は実刑?

家族が傷害事件を起こし、刑事裁判で懲役刑になるかもしれない…
そのような場合、執行猶予がつくと、今すぐに刑務所に収容されることはありません。
- 傷害事件の執行猶予とは?
- 執行猶予中に再犯するとどうなる?
- 初犯の傷害事件なら執行猶予がつく?
など、疑問に思うことがたくさんありますよね。
今回は、「傷害事件と執行猶予」をテーマにお送りします。
専門的な部分は弁護士の先生に解説をお願いします。
目次
傷害事件と執行猶予|傷害事件は懲役?罰金?初犯なら執行猶予はつく?

傷害事件の刑罰は?懲役何年?罰金いくら?
傷害事件と執行猶予の関係を見ていく前に傷害事件の刑罰を確認しておきましょう。
傷害罪には、罰金刑と懲役刑が定められています。
傷害事件の刑罰
15年以下の懲役又は50万円以下の罰金
正式裁判で有罪になると、以上の範囲から刑罰が言い渡される可能性があります。
もっとも、傷害罪の結果が軽微な場合は、略式裁判で罰金刑になる可能性があります。
懲役刑と罰金刑の意味を確認しておきましょう。
懲役刑:刑務所に収監され、所定の作業(刑務作業)を行うことを強制される刑罰
罰金刑:犯罪に対する罰として、国家から強制的に金銭を取り立てられる刑罰
また、示談が成立しており、初犯で被害者の怪我が重くなければ不起訴になることが多いです。
傷害事件において、示談が成立して、相手方から許してもらっていることは非常に重要です。
傷害事件の執行猶予とは?
執行猶予とは、有罪の際に一定期間にわたって、刑を執行しないという意味です。
刑が直ちに執行されないので、懲役刑になっても執行猶予中は、刑務所にいかなくて済みます。
執行猶予判決が言い渡されると、被告人の勾留が解かれます。
保釈が認められず、判決の日まで勾留されていたとしても、自宅に帰ることができます。
刑務所に服役することになれば、勤務先を辞めることになるかもしれません。
しかし、執行猶予がつくと、これまで通りの日常生活を送ることができます。
懲役実刑判決が見込まれる際には、執行猶予獲得を目指します。
傷害事件で起訴され、刑事裁判になっても執行猶予になる場合があります。
執行猶予後は、再び犯罪をした場合に限り、執行猶予が取り消されて刑務所に収容されることになります。
執行猶予になるためには、
- 傷害事件の被害者に謝罪と賠償が尽くされていること
- 被害者と示談が成立していること
などが大切です。
具体的な要件は以下の通りです。
- ① 言い渡される刑が3年以下の懲役・禁錮か、または50万円以下の罰金であること
- ② 酌むべき情状があること
- ③ 前に禁錮・懲役刑になったことがないか、あるとしてもその刑の執行終了(執行の免除も含む)から5年間をあらたに禁錮・懲役刑に処せられることなく過ごしたこと
初犯だと執行猶予はつく?
初犯の傷害事件の場合も「15年以下の懲役又は50万円以下の罰金」の範囲で刑罰が言い渡されます。
実際に言い渡される刑期は、
- 傷害罪によって生じた結果の重大性
- 傷害罪の行為の悪質性の程度
によって異なってきます。
例え、初犯であっても懲役実刑になる可能性があります。
- 傷害罪の結果が極めて重大
- 危険な凶器を使うなど行為が極めて悪質
- 被害者側と示談が成立していない
などの場合は、初犯でも懲役実刑になるケースもあります。
さらに、傷害罪の加害者と被害者の間で示談が成立していない場合は、初犯でも懲役実刑になる可能性がより高まります。
初犯の事件は前科が複数ある場合と比べて、起訴猶予(不起訴処分)で終わる場合も多いです。
- 被害が軽微である
- 被害者側と示談が成立し、今回の事件を許してもらっている
場合は、不起訴処分になることが多いです。
初犯であっても、
- 傷害事件で生じた損害が重大である
- 傷害事件の行為が極めて悪質である
などの場合は、懲役実刑になることがあります。
理論的には傷害罪が成立する場合でも、傷害罪の結果が軽微で行為の悪質性が低いケースでは、不起訴として前科がつかないこともあります。
初犯であれば、略式裁判による罰金刑で終わることも多いです。
傷害事件の執行猶予の期間は?
執行猶予の期間は「最短は1年、最長は5年」と定められています。
何年でも自由に執行猶予を付けられるわけではありません。
執行猶予の期間は刑法の25条に記載されています。
(略)裁判が確定した日から一年以上五年以下の期間、その執行を猶予することができる。(略)
引用元:刑法25条1項
よって、傷害事件の執行猶予も法律上「1年以上5年以下」の期間で定められます。
執行猶予は、実務上3年~5年の範囲で執行猶予期間が定められることが多いです。
短期の懲役刑が言い渡される場合は、執行猶予期間が2年の場合もあります。
執行猶予期間を、新たに犯罪を犯さず執行猶予を取り消されることのないまま過ごすと、刑の言い渡しは効力を失います。
つまり、言い渡された刑罰を受けなくていいということです。
執行猶予が満了した後に新たに犯罪を犯しても前の有罪判決による刑は加算されません。
また、何事もなく執行猶予期間を終えると前に有罪判決を受けたことによる資格制限も受けなくなります。
執行猶予なしだとどうなる?
悪質性の高い傷害事件や被害者の怪我がひどい場合は懲役実刑が言い渡されます。
執行猶予なしで実刑判決の場合は、そのまま刑務所に収容されることになります。
執行猶予が元々付かない場合は以下のようなケースです。
執行猶予がつかない場合
- ① 言い渡される刑が3年を超える懲役・禁錮である場合
- ② 酌むべき情状がない場合
- ③ 過去5年の間に、禁錮・懲役刑に処せられたことがある場合
判決まで保釈されていた場合でも、新たに保釈が認められなければ刑務所に収容されることになります。
懲役刑
執行猶予あり・なしの比較
執行猶予あり | 執行猶予なし* | |
---|---|---|
刑務所への収容 | なし | あり |
判決後の生活 | 日常生活を送れる | 刑務所で服役する |
*懲役実刑を指します。
傷害事件の執行猶予中の再犯|執行猶予なしで実刑?

傷害事件の再犯とは?
一般的に、再犯とは「同種犯罪を何度も繰り返すこと」と思われています。
法律上の再犯とは「再び(同種とは限らず)犯罪を犯すこと」を言います。
辞書でも意味を確認しておきましょう。
広義には、初犯以後更に罪を犯すことをいうが、狭義には、刑法一編一〇章「累犯」に規定されているものを指す。(略)
引用元:有斐閣 法律用語辞典 第4版
再犯とはいわゆる「累犯」のことを指しています。
累犯の意味を確認しておきましょう。
累犯
懲役に処せられた者が、刑の終了、または免除の日から五年以内に再び罪を犯して、有期懲役に処せられること
再犯(累犯)は、再び傷害事件を起こすことだけを指しません。
傷害事件の執行猶予中に傷害事件や傷害事件以外の事件を犯すことも再犯(累犯)といいます。
執行猶予中に再犯で起訴された場合、裁判官に悪い心証を与えます。
実刑判決を言い渡される可能性が高くなるといえるでしょう。
実刑判決が出た場合は前の刑と合わせた期間、刑務所に入ることになります。
執行猶予中の再犯は執行猶予なしで実刑?
「再度の執行猶予」が付かない限り執行猶予なしで実刑となります。
新たな犯罪について禁錮・懲役刑になる場合は、「再度の執行猶予」がつかない限り、前の執行猶予は必ず取り消されます。
執行猶予中に新たに犯罪を行うと、禁錮・懲役刑と今回の禁錮・懲役刑の刑期が合計された分、刑務所に行かなければなりません。
新たな犯罪について罰金になる場合は、前の執行猶予が取り消される可能性があります。
執行猶予が取り消されなかった場合は、新たな罪について罰金刑を支払うだけで大丈夫です。
直ちに刑務所に行く必要はありません。
この場合、前の刑についての執行猶予は依然として続きます。
そのため、執行猶予の残りの期間を無事に過ごせば、前の刑は受けなくて済むようになります。
「再度の執行猶予」を獲得するには?
執行猶予中に再度、傷害事件などを犯した場合、「再度の執行猶予」を獲得するのは非常に困難です。
「再度の執行猶予」が認められるためには、以下の①から③の厳しい要件をすべて満たす必要があります。
② 情状に特に酌量すべきものがあること
③ 前回の執行猶予判決に保護観察が付され、その期間内に今回の罪を犯した場合でないこと
再度の執行猶予を獲得するのは非常に困難です。
しかし、諦めずにできる限りの弁護活動を尽くすことで、執行猶予を獲得できるケースもあります。
【無料相談】傷害事件で執行猶予を獲得するには…

執行猶予を獲得するには示談が大切?
傷害罪の刑事裁判で執行猶予を得るためには、裁判官によい心証をもってもらう必要があります。
そのためには、弁護士の法廷弁護活動を通じて、
- 罪を素直に認めて反省していること
- 被害者に謝罪や賠償を尽くし、示談が成立していること
- 再犯の可能性がないこと
といった事情を積極的に立証していくことが大切です。
謝罪が尽くされ、示談が成立し、不起訴処分になれば、刑事裁判が開かれることはありません。

傷害事件が起訴され、裁判になると刑罰を受ける可能性があります。
刑事事件はスピーディーに進行します。
よって、速やかに示談を締結させる必要があります。
被害者が加害者へ強い怒りを持っている場合、加害者と話すことを拒絶する場合があります。
そのようなケースでも、弁護士であれば示談交渉に応じてくれることがあります。
また、被害者の連絡先が分からない場合も、弁護士限りで捜査機関から連絡先を入手することができる場合もあります。
スムーズに示談が締結することが直接その後の刑事手続きに影響します。
傷害事件の加害者になってしまった場合は速やかに弁護士に相談することをお勧めします。
傷害事件の示談のページ
傷害事件を弁護士に【無料相談】できる窓口は?
傷害事件をできる限り迅速に解決するカギは
事件後、弁護士に相談して弁護活動を早急に開始する
ことです。
また、刑事裁判においても弁護士の協力は必須です。
ご自身やご家族が傷害事件を起こし、刑罰を受けるかもしれない…
そんな不安をお持ちの方は、今すぐ弁護士に相談することをお勧めします。
弊所では、無料対面相談(30分)や無料LINE相談を行っており、気軽に相談することが可能です。
弁護活動を受けることで、刑事裁判を回避することや刑罰を軽くできる可能性も高くなります。
また、実刑判決が見込まれる際も執行猶予を獲得できる場合があります。
ご自身やご家族が傷害事件の加害者になってしまったらまずは以下の窓口から弁護士にご相談ください。
野尻大輔
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