
第二東京弁護士会所属。刑事事件で逮捕されてしまっても前科をつけずに解決できる方法があります。
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執行猶予でも前科はつく?執行猶予満了で前科は消える?就職・海外旅行で困ること

判決で執行猶予になると前科はつかないのでしょうか。
前科がついてしまうと、今後の日常生活に様々な支障をきたします。
- 執行猶予になっても前科になる?
- 執行猶予満了で前科は消える?
- 前科がつくとどのような弊害がある?
などをくわしく解説していきます。
目次
執行猶予と前科|執行猶予でも前科はつく?前科は消える?

執行猶予でも前科になる?
刑事裁判では、もしも執行猶予を獲得したとしても、前科はつきます。
前科とは、広い意味では刑事裁判で刑罰を言い渡されることです。
刑事裁判の刑罰といえば「懲役」「禁固」「罰金」などが有名ですが、懲役に条件がついた「執行猶予つきの懲役」も刑罰を言い渡されたことには変わりはありません。
執行猶予の期間が無事に満了すれば懲役刑を受けることはありませんが、前科が消えるわけではないため注意が必要です。
そもそも執行猶予とは?
懲役刑には執行猶予がつく場合があります。
執行猶予とは、有罪判決に基づく刑の執行を一定期間猶予するといった制度です。
具体的には、「懲役5年、執行猶予3年」という刑罰を言い渡された場合はすぐ刑務所に送られるのではなく、執行猶予期間である3年間犯罪を犯さずに過ごせば、懲役刑を受けません。
執行猶予が付いたとしても前科がつくことになります。
執行猶予は、単に有罪判決に基づく刑の執行を一定期間猶予するといった制度です。
有罪判決を受けた履歴であることに違いはありません。
ご自身やご家族が事件の加害者になってしまった場合は、不起訴になって裁判を回避することを目指しましょう。
執行猶予満了で前科は消える?
執行猶予が満了した場合でも、前科が消えるわけではありません。
それについては、刑法の27条に記載されています。
刑の執行猶予の言渡しを取り消されることなく猶予の期間を経過したときは、刑の言渡しは、効力を失う。
刑法27条
つまり、執行猶予の期間、何も犯罪をせずにいれば、刑の言い渡しについて効力は失われます。
具体的には、以下の内容の効力が消失します。
- 通常、市区町村の「犯罪名簿」から名前が削除される
- 通常、履歴書の賞罰欄に前科の事実の記載が不必要になる
- 医師や弁護士など、前科が欠格事由になる資格や免許について影響を受けなくなる
などが挙げられます。
刑の言い渡しの効力が失効すれば今後の人生でも選択肢が増えそうですね。
刑の効力が失われても、刑が言い渡されたという事実がなくなるのではありません。
また、執行猶予期間満了の後に再び罪を犯し裁判になった場合、検察官や裁判官は刑の効力が失われた前科についても考慮して量刑を定めていきます。
つまり、執行猶予満了で前科がついた事実が消えるわけではないということですね。
刑の効力は失効しますが、一度ついた前科は取り消すことができません。
刑事事件の被疑者・被告人となった際は、弁護士に相談して前科をつけないことが非常に重要です。
執行猶予中に有罪になると懲役刑になる?
執行猶予中に禁錮・懲役刑に当たる罪を犯した場合、懲役刑になる可能性が高いです。
執行猶予中に犯した罪について、また執行猶予を獲得するには「再度の執行猶予」が付く必要があります。
「再度の執行猶予」がつかない限り、前の執行猶予は必ず取り消されます。
執行猶予が取り消された場合、前に受けるはずだった禁錮・懲役刑と今回の合計の年数、刑務所に行かなければなりません。
執行猶予中に犯した罪が罰金刑になる場合は、前の執行猶予が取り消される場合と取り消されない場合とがあります。
執行猶予が取り消されなかった場合、新たな罪についての罰金刑は執行されますが、前の罪で言い渡されている懲役刑は執行されません。
つまり罰金は支払う必要がありますが、刑務所に収容されることはありません。
執行猶予が取り消されなかった場合は、前の刑についての執行猶予が依然として続きます。
そのため、執行猶予の残りの期間を無事に過ごせば、前に言い渡された刑は受けなくて済むようになります。
「再度の執行猶予」が認められるためには、以下の厳しい要件をすべて満たす必要があります。
- ① 今回言い渡される刑が1年以下の懲役・禁錮であること
- ② 情状に特に酌量すべきものがあること
- ③ 前回の執行猶予判決に保護観察が付されていないこと
以上の要件を全て満たすと再度の執行猶予が付される場合もあります。
ですが、基本的に執行猶予中の犯罪は、厳しく処罰されます。
執行猶予がつかない懲役刑の場合、前回の懲役刑の刑期と新しい刑期を合わせた期間、刑務所に収監されることになります。
執行猶予期間中に再犯を行なった場合、再度の執行猶予は要件が厳しいので、基本的には実刑が見込まれます。
刑事弁護に詳しい弁護士なら、そのような傾向にも簡単に諦めることはありません。
有利な情状を積み上げることで、再度の執行猶予の可能性を高めてゆきます。
執行猶予中の再犯事件については、再度執行猶予を獲得するのは難しい傾向があります。
とはいえ、それでも可能性に賭けたいというときは、刑事弁護に詳しい弁護士に依頼するのが一番です。
前科を避けるには・執行猶予になるにはどうする?
前科を避けるにはどうする?
前科を避ける、つまり刑事裁判を起こされず不起訴となるためには、被害者との示談や反省を示すことが何より重要です。
刑事裁判を起こすかどうかを決めるのは検察です。
このとき、被疑者と被害者が既に事件について和解(示談)していたり、「罪には問わないでほしい」という意思表示(宥恕)がされていたりするとると、裁判を起こす必要性は低くなります。
また被害者がいないような薬物の事案であっても、本人がしっかり反省の意思を示し、家族のサポートを受けられるような状態であれば、不起訴になる可能性は上がります。
弁護士に依頼することにより、被害者の方との示談を手助けしたり、反省文を警察や検察に提出したりといった弁護活動が容易になります。
執行猶予となるにはどうする?
起こした事件で起訴されてしまったが、刑務所には行きたくない、執行猶予となりたいとお考えの場合は、反省・更生する姿勢を見せることが大事です。
ただし実際に執行猶予がつくかは、犯した犯罪やそれぞれの事情によって異なります。
具体的には以下の要素などを考慮して「執行猶予をつけるか」が決まるため、もしも有利になる要素がありそうだったら、きちんとそこを主張していきましょう。
執行猶予になりやすいポイント
- 犯行が偶発的で、悪質ではない
- 初犯であり、前科が無い
- 被害者との間で和解が成立している
- 被害者に処罰感情が無い
- 被害者への弁償がなされている
- 本人が反省している
- 家族などが今後しっかり監視、監督していける
- その他情状に酌量すべき点がある
前科や前歴・逮捕歴があると執行猶予にはならない?
前科とは、以前に有罪の確定判決を受けたことがあることです。
前科がついた事実は消えることがありません。
前歴は逮捕や検挙など、捜査機関から被疑者として犯罪捜査を受けたことをいいます。
逮捕歴とは、その名の通り逮捕されたことを言い、逮捕歴は前歴の一部に含まれるという関係です。
前歴や逮捕歴は捜査機関の資料として残りますが、一般人が照会することはできません。
前科や前歴などがあると、執行猶予にはならない、などの場合はあるのでしょうか。
前科と前歴では扱いが異なります。
前歴があったからといって、法律上必ず執行猶予にならなくなることはありません。
ただし、前歴があることが不利な情状として裁判官の執行猶予の判断に影響を及ぼす可能性はあります。
一方、前科がある場合、その内容や時期によっては、法律上必ず執行猶予にならない場合があります。
また、上記の場合でなくとも、同種前科があると、不利な情状として扱われ、執行猶予がつきにくいといえます。
被害者があなたのことを許している場合などは、それが有利な情状となります。
一方で、前科・前歴があることは不利な情状となります。
そのため、たとえ被害者があなたのことを許していても、前科や前歴などがあると、執行猶予が認められない場合もあります。
執行猶予で前科がつくとどうなる?|就職は?海外旅行は?戸籍に残る?

執行猶予で前科がつくと就職で不利になる?
刑事裁判で、有罪判決を受けるとその後の就職活動に影響するのでしょうか。
裁判で有罪になると、たとえ執行猶予がついても前科がついてしまいます。
前科がつくと、弁護士や医師など法的に制限される就職先があります。
一定の職業上の資格や免許は、前科の内容によっては取得・登録ができません。
現在、就業している場合は勤め先から懲戒解雇される可能性があります。
前科が公になっていれば、再就職が困難なケースもあります。
弁護活動において、前科をつけないことは今後の人生において非常にメリットとなります。
前科がつくと、就職先が制限されたり、不利になる場合が多いです。
ご自身やご家族が刑事事件の加害者になってしまった場合、まずは弁護士への相談を検討しましょう。
弁護活動により、前科を回避できる可能性が高まります。
執行猶予で前科がつくと海外旅行に行けない?
執行猶予期間中や前科が付いた場合も、居住移転について制限はありません。
裁判所等に許可を受ける必要もありません。
ただし、まったく影響がないわけではありません。
- 渡航用のビザが取得できない
- 渡航先の国から入国が拒否される
といったような弊害が生じるケースはあります。
海外渡航のためパスポートを取得する際に手続き上、負担が増える場合があります。
旅券発給申請書類に加えて、「渡航事情説明書」を提出する必要があります。
また、執行猶予判決の謄本なども提出する手続きもあります。
ビザを要する国へ渡航する場合にも影響があります。
ビザ申請の際には有罪判決を受けていることやその内容を申告することが義務づけられる場合もあります。
この申告をすると、国によってはビザが下りなくなったり、ビザ発給までの時間が比較的かかるようになったりします。
前科があることで、必ず海外に渡航できなくなるわけではありません。
しかし、前科の内容によっては一定の影響を及ぼす場合があります。
また、一般の方に比べて提出書類が増えたり、手続きが複雑になることもあります。
前科は執行猶予でも戸籍に残る?
戸籍は人生の重要な場面で必要となる場合がありますよね。
例えば、
- パスポート作成
- 年金の受給
- 婚姻届の提出
などが挙げられます。
人生の大切な場面で必要な戸籍に前科の事実が記載されてしまうのは困ります。
実刑・執行猶予関係なく、前科が戸籍に記載されることはありません。
前科一犯でも、それ以上でも同様です。
【弁護士相談窓口】前科が付かないようにするには…
裁判において、例え執行猶予になったとしても前科が付いてしまうとわかりました。
前科が付いてしまうと、日常生活にも弊害を及ぼす場合があります。
ご家族が刑事事件の被疑者・被告人になってしまった場合はまず弁護士への相談を検討しましょう。
刑事事件はスピーディーに進行します。
裁判で有罪判決を受けると「前科」がついてしまいます。
弁護士に相談することで、そもそも刑事裁判を回避し「不起訴処分」を獲得できる場合があります。
おひとりで悩まずにまずは、当事務所へ無料相談へお越しください。
スマホからの相談も可能なので気軽に弁護士に直接相談することが可能です。
執行猶予がつくと、判決直後には刑は執行されません。
執行猶予は、「社会の中でやり直す機会を与え、反省してもらうこと」を目的としています。
執行猶予で定められた期間、犯罪を犯さなければ刑務所に収容されることはありません。