
第二東京弁護士会所属。刑事事件で逮捕されてしまっても前科をつけずに解決できる方法があります。
「刑事事件 法律Know」では、逮捕や前科を回避する方法、逮捕後すぐに釈放されるためにできることを詳しく解説しています。
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執行猶予も前科になる?5年で消える?就職活動・戸籍・海外旅行・前歴とのちがいも

「執行猶予期間が終わると前科が消えるって本当かな?」
前科がのこるかどうかは、その後の人生を大きく左右しますよね。
そこで、今回は、執行猶予と前科の関係についてまとめます。
- 執行猶予は前科になる?
- 前科は消える?
- 執行猶予は戸籍でバレる?
- 執行猶予は告白するべき?履歴書・面接の対処法は?
- 執行猶予中は海外旅行・海外渡航はムリ?
このような疑問について、刑事事件弁護の経験豊富な弁護士が、あなたのお悩みや疑問を解決する手段をご案内します。
目次
執行猶予でも前科?前科は消える?

前科とは?懲役の有罪判決なら前科はつく
前科の定義は?
まずは、前科の意味から確認していきましょう。
- 「逮捕されてしまった…もう前科がついて取り返しがつかない」
- 「不起訴だけど、前科はつくのかな?」
このように、「犯罪にかかわると前科がつく」というイメージがあると思います。
ここで、「前科」の定義をチェックします。
判決が言い渡されて14日経過すると、判決が確定し、上訴で不服申し立てできなくなります。
このような上訴できなくなった判決を、確定判決といいます。
前科がつくとは、どういう意味?
前科は、裁判で有罪の確定判決がでたかどうかの問題です。
- 逮捕されただけ
- 不起訴になった
といったケースでは、前科はつきません。
刑罰が科せられてはじめて、前科になります。
逮捕は? | ||
---|---|---|
逮捕された | 釈放された | 逮捕なし |
(身柄事件) | (在宅事件) | |
⇓ | ||
不起訴 | 起訴 | |
⇓ | 無罪 | 有罪 |
⇓ | ⇓ | ⇓ |
前科はつかない | 前科がつく |
どんな刑罰があるの?
刑罰の種類については、この図をご覧ください。

前科がつくケースを考えてみると・・・
- 懲役刑が言い渡されて、服役している
- 懲役刑が言い渡されたけれど、執行猶予がついていたので、現在は執行猶予期間中だ
- 罰金刑が言い渡されて、罰金を納付した
といったようなケースは、前科になります。

執行猶予とは?やっぱり前科になる?
執行猶予とは?
執行猶予について、クローズアップして考えてみましょう。
まず、「執行猶予」の意味について、確認しておきましょう。
執行猶予とは、
裁判で有罪になって、刑罰を言い渡された場合に、その刑罰の執行が一定期間猶予されるという制度
です。
この一定期間、執行猶予の取り消しの条件に引っかからずに過ごすことができたら、刑罰を受けることはなくなります。
執行猶予がつく事件の範囲は限定されています。
- 3年以下の懲役・禁錮
- 50万円以下の罰金
という刑罰が科せられた場合に、一定の条件を満たしたとき、情状によって執行猶予が付く可能性があります。
どのようなケースで執行猶予がつくのでしょうか。
たとえば、次のような条件があります。

ただ、この条件のうち、
- 前に禁錮以上の刑に処せられた場合でも
- その前刑の全部について執行を猶予されており
- 今回の刑罰が1年以下の懲役・禁錮である
といったケースでは、情状に特に斟酌すべき事情があるときに、執行猶予がつく可能性があります。

このほか、一部の執行猶予や、執行猶予の取り消しなど、執行猶予には様々なルールがあります。
ご自身に関係する事件で、執行猶予がつく可能性があるか知りたい方は、弁護士にご相談ください。
執行猶予で期間満了だと、前科は消える?
執行猶予が取り消されずに、執行猶予期間の満了をむかえれば、前科が消える
これは、本当なのでしょうか。
答えは、NOです。
前科は、確定された有罪判決があるという事実そのものです。
したがって、前科そのものが消えることはありません。
ただし、「『刑の言渡し』の効力」が消えるということはあるようです。
前科がつくと、一定の職業について資格制限があったり、選挙権が制限されたりします。
しかし、「『刑の言渡し』の効力」が消えると、各種資格制限が解除されます。
「『刑の言渡し』の効力」が消滅する制度は、前科もちの人の更生を応援する制度です。
一定条件のもと一定期間経過すると、資格制限が解除されるなど、メリットがあります。
執行猶予中の人の場合、
執行猶予を取り消されずに、執行猶予期間の満了をむかえる
と、刑の言渡しの効力が消滅します。
さて、次の項目で、「『刑の言渡し』の効力」が消滅する条件をチェックしていきましょう。

「刑が消える条件」とは?
「『刑の言渡し』の効力」が消える条件について整理しました。
執行猶予については、「執行猶予◯年」と言い渡された年数が経過することで、期間満了をむかえます。
執行猶予期間が満了すれば、「『刑の言渡し』の効力」は消えます。
前科が「禁錮以上」の人 |
---|
①罰金以上の刑に処せられずに ②刑罰の終了・免除から10年経過 |
前科が「罰金以下」の人 |
①罰金以上の刑に処せられずに ②刑罰の終了・免除から5年経過 |
執行猶予になった人 |
執行猶予期間が満了するとき |
2018年10月20日現在の情報です。
刑法第34条の2第1項を参照して簡易図式化した。
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「前歴」との違いは?
前科と、よく対比されるものとして、前歴があります。
「前歴」の意味も、確認しておきましょう。
前歴とは、犯人として捜査された履歴のことです。
前歴がつくケースとしては、
- 逮捕
- 検挙
- 起訴猶予処分
といったものです。
前科と前歴を対比してみましょう。
前科 | 前歴 | |
---|---|---|
意味 | 確定した 有罪判決 | 前科以外 の犯罪歴 |
具体例 | 服役 罰金を納付 執行猶予中 etc | 起訴猶予 逮捕歴 検挙歴 etc |
さて、このような前科ですが、バレてしまうことはあるのでしょうか。

執行猶予中の人は戸籍でバレる?前科者リストとは?
「戸籍」に、前科・前歴は記載されない
「市町村役場に前科の記録が保存されている」
こんなことを聞いたことがある人もいるかもしれません。
市町村役場といえば、戸籍ですよね…。
前科は、戸籍に記録されているのでしょうか。
前科が、戸籍に記載されることはありません。
戸籍は、親族関係を証明する記録です。
犯罪歴が記載されることは絶対にありません。
ただ、「前科者リスト」というものは、実際にあるようです。
前科バレが気になりますよね。

「前科者リスト」とは?
前科者リストというのは、別名「犯罪者名簿」です。
これは、市町村役場に保管されています。
「いやいや待って。やっぱり犯罪歴の記録があるの?」
このように不安に思われた方もいるかもしれません。
市町村役場で保管している「犯罪者名簿」は、内部資料です。
選挙権の管理などに使われています。
執行猶予中の場合、犯罪人名簿に記載されます。
しかし、執行猶予期間が満了し、刑の言渡しの効力が消滅すれば、名簿は利用されなくなることが多いようです。
この犯罪者名簿の情報は、以前よりも慎重に取り扱われており、簡単に照会されることはありません。

「調査」はされない?前科照会事件とは?
前科については、「前科照会事件」が有名です(最三小判昭和56・4・14民集35-3-620)。
前科照会事件は、
犯罪人名簿の内容に関する照会に応じて、区長が回答したことの違法性が争われた事件
です。
この前科照会事件があったことで、前科の照会への回答は慎重におこなうという風潮ができました。
前科照会事件で示されたたルールは、次のとおりです。
前科照会事件の判旨
- 前科は人の名誉や信用にかかわる情報。みだりに公開されない権利がある
- 「犯罪名簿の情報」についても、みだりに公開してはいけない
- 犯罪人名簿の照会への回答は、①前科等の有無が訴訟等の重要な争点であり、②その回答がなければ他に立証方法がないような場合に限定して、許される。
最終的には、照会を必要とする事由をちゃんと確認せず、犯罪歴のすべてを回答してしまった点で、違法だと判断されました。
結論
「裁判所に提出するため」などと曖昧な理由にもとづく照会請求に対して、犯罪の種類、軽重を問わず、前科等のすべてを報告することは、公権力の違法な行使にあたる
さて、執行猶予と前科の関係に話を戻しましょう。
執行猶予中の就職活動は、どうすればいいのでしょうか…。

執行猶予中の就職…前科はどうする?~履歴書・応答義務~
履歴書の書き方は?
- 「前科はどう書けばいいのだろう。」
- 「なんで犯罪を起こしてしまったのか理由まで、書いたほうがいいのかな。」
このようなお悩みをお持ちの方もいるかもしれません。
これは、書き方の一例です。
◯◯年✕✕月 傷害罪 執行猶予中 |
ただし、履歴書に「賞罰欄」がない場合には、あえて前科を記載する必要はないというのが、一般的な傾向です。
会社指定の履歴書が特にない場合は、
賞罰欄のない履歴書をつかう
ということも視野にいれてみましょう。

執行猶予期間満了で、前科の記載不要?
ただし、
「『刑の言渡し』の効力」が消えた前科は、記載する必要はない
とする裁判例もあります。
執行猶予つきの有罪判決だと、
執行猶予の期間満了によって、「『刑の言渡し』の効力」が消える
とされています。
執行猶予期間が満了すると、前科は記載しなくてもOK
といったケースも多いでしょう。
ただ、ケースバイケースなので、ご不安な点は弁護士におたずねください。

応答義務はある?面接で聞かれたら?
- 「賞罰欄のない履歴書だったので、前科は書かなかった。」
- 「執行猶予は期間満了をむかえたので、前科は書かなかった。」
こういったケースにおいて、面接で前科を聞かれた場合、どう答えたらよいのでしょうか。
一般的な傾向について、整理してみました。
前科をこたえる?答えない?(目安)
執行猶予期間中
前科を答える義務がある
※あくまで目安です。個別の事案によって異なる可能性があります。詳細は、弁護士にお尋ねください。
執行猶予期間:満了
「労働力の評価」に重大な影響の有無で決まる
- 重大な影響 アリ⇨こたえる
- 重大な影響 ナシ⇨▲
※あくまで目安です。個別の事案によって異なる可能性があります。詳細は、弁護士にお尋ねください。
労働力の評価に「重大な影響があるかどうか」の目安は?
前科が、「労働力の評価」に「重大な影響がある」場合、前科について答えたほうがよいときもあるでしょう。
もっとも、これは個別の事案によって判断が異なる難しい問題です。
目安になるものとして、裁判例では・・・
タクシードライバーの場合は、刑の言渡しの効力が消えた前科については、答える義務がない
と判断された事案があります。

就職支援は?就職先は?警備員に就職できない?
就職支援や資格制限について詳しく知りたい方は、リンク先の記事もあわせてご覧ください。
前科者の就職・資格制限についてのページ
執行猶予中の海外旅行は?前科があると行けない国は?
執行猶予中の人は、海外旅行に行けないのでしょうか。
執行猶予中の方の海外渡航は、法律で制限されています。
執行猶予の期間中は、刑罰の執行が猶予されているだけなので、今後、刑務所に入る可能性が残されています。
そのような状況では、海外旅行は難しそうです。
前科について、もっと詳しく知りたいという方は以下のリンクも読んでみてください。
海外旅行についても、詳しく書いていあります。
執行猶予・前科のお悩みは弁護士に無料相談
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さて、さいごに簡単にスマホ相談できる方法をご紹介します。
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さいごにひとこと
執行猶予期間が満了すれば、就職活動は思いのほか、うまくいきそうですよね。
でも、面接のときの受け答えに戸惑う場面も出てきそうです。
執行猶予期間の満了をむかえた方で、いよいよ就職活動という方もおられると思います。
仕事を見つけることは、今後の人生をおくるうえで、とても大切ですよね。
そんなとき、面接や履歴書の書き方でお悩みの方は是非ご連絡ください。
法的な問題で悩んだときは、法律の専門家に聞くのが一番です。
- 執行猶予も前科になる?
- 執行猶予の期間満了のあとは、前科は消える?
- 履歴書や面接のとき、前科はどうする?
このように刑事事件のお悩みは突然起こるもの。
そんなお悩みにスピーディーに対応するために、アトム法律事務所では電話やLINEを窓口として、24時間無料相談の予約を受け付けています。
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前科とは、
有罪の確定判決が出された事実
のことです。