岡野武志弁護士

第二東京弁護士会所属。刑事事件で逮捕されてしまっても前科をつけずに解決できる方法があります。

「刑事事件弁護士アトム」では、逮捕や前科を回避する方法、逮捕後すぐに釈放されるためにできることを詳しく解説しています。

被害者との示談で刑事処分を軽くしたい、前科をつけずに事件を解決したいという相談は、アトム法律事務所にお電話ください。

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執行猶予の前科はいつ消える?前科のデメリットや対策は?

執行猶予の前科
  • 執行猶予の前科は消える?
  • 執行猶予の期間が終われば、前科は消える?
  • 執行猶予判決の前科による影響は?
  • 消えるまで待てない。そもそも「前科をつけない」方法は?
  • 刑事事件の前科について相談できる弁護士は?

前科は、その後の人生に大きな影響をおよぼすものです。ですが、一定の条件を満たせば「前科」による影響が消えることがあるでしょう。

執行猶予つき判決であっても、前科がつきます。ですが、執行猶予の期間中、犯罪をくり返さずに過ごすことができれば、やがて刑の言渡しの効力が消えることになります。

執行猶予つき判決をうけたとしても、その前科による影響が消えることはあるのです。

懲役の実刑判決の場合は、実刑判決をうけた後、刑務所からでてきてから10年間経過しなければ、前科による影響が消えることはありません。

一方、執行猶予つき判決の場合は、判決をうけてから1~5年間という短い期間で前科による影響が消えることになります。

また、そもそも刑事事件が不起訴になれば、前科がつきません。

そのため、不起訴が見込まれる刑事事件では、不起訴のための弁護活動を尽くしてもらう必要があるでしょう。

この記事では、執行猶予の前科が消える条件、実刑判決ではなく執行猶予判決をうけるための条件、そもそも前科をつけないための弁護活動などについて解説しています。

今後の刑事事件の対応にご不安がある方は、ぜひ最後までお読みください。

執行猶予とは?執行猶予も前科は消える?

前科とは?

前科とは、有罪の確定判決が出された事実のことです。

犯罪の捜査をうけたからといって、なんでもかんでも前科がつくわけではありません。

逮捕されたけれども、刑事裁判を受けずに事件終了になった(≒不起訴になった)というような場合には、前科はつきません。

また、刑事裁判を受けることになったけれども、最終的に無罪判決になったというような場合についても、前科はつきません。

岡野タケシ弁護士
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判決が言い渡されて14日経過すると、判決が確定し、上訴で不服申し立てできなくなります。

このような上訴できなくなった判決を「確定判決」といいます。

そして、有罪の確定判決を受けた事実のことを「前科」といいます。

執行猶予とは?

執行猶予というのは、有罪判決がだされてもすぐには刑罰が実行されないというものです。

岡野タケシ弁護士
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執行猶予とは、裁判で有罪になって、刑罰を言い渡された場合に、その刑罰の執行が一定期間猶予されるという制度です。

一定期間、執行猶予の取り消しの条件に引っかからずに過ごすことができたら、刑罰を受けることはなくなります。

執行猶予も前科になる?

執行猶予つき判決は、有罪判決の一種です。

前科というのは、有罪の確定判決がだされた事実のことです。

したがって、執行猶予つき判決も有罪判決の一種なので、判決が確定すれば、前科になります。

前科になるケース

  • 執行猶予つき判決(執行猶予期間中etc)
  • 罰金刑の判決(罰金を納付したetc)
  • 懲役の実刑判決(刑務所で服役したetc)

など

執行猶予判決になる条件は?

執行猶予つき判決になる条件というのは、一体どのような条件なのでしょうか。

岡野タケシ弁護士
岡野タケシ
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執行猶予がつく事件の範囲や条件は、限定されています。

いちばん単純なパターンをひとつ紹介しておきましょう。

たとえば、禁錮以上の刑罰をうけたことが無い場合は、今回の刑罰が「3年以下の懲役」「3年以下の禁錮」「50万円以下の罰金」のいずれかであるときに、執行猶予がつく可能性があります。

ほかにも執行猶予がつくパターンはあります。

複雑で分かりにくいところもあるかと思うので、気になる場合は弁護士相談で確認してみてもよいでしょう。

執行猶予がつく条件①

執行猶予がつく条件は、何パターンかありますが、以下のようなフローチャートで整理することもできます。

執行猶予がつく条件②

執行猶予がつく条件として、上記に当てはまらない場合もあるでしょう。

そのような場合でも、特に考慮すべき情状があるときは、執行猶予がつく可能性があるでしょう。

執行猶予がつく条件③(補足)

上記のほか、一部の執行猶予や、執行猶予の取り消しなど、執行猶予には様々なルールがあります。

ご自身の事件について執行猶予がつく可能性があるのか、今後の刑事処分の流れはどうなるのかなど、ご本人で予想を立てるのは難しいと思います。

そのような時は弁護士相談をご活用ください。

執行猶予の「前科が消える」のはいつ?

執行猶予が取り消されずに、執行猶予期間の満了を迎えた場合、刑の言渡しの効力が消えます。

前科そのものが消えるわけではありません。

ですが、「刑の言渡しの効力」が消えることで、前科によるデメリットや不利益が消えることもあるでしょう。

「刑の言渡しの効力」が消える制度は、前科のある人の更生をうながすための制度です。

そのため、前科のある人が一定の条件を満たした結果、「刑の言渡しの効力」が消えると、職業の資格制限が解除されるなどのメリットが生じます。

さて、「刑の言渡しの効力」が消える時期はいつになるのでしょうか。

執行猶予つき判決は、執行猶予を取り消されずに、執行猶予期間が満了したとき、刑の言渡しの効力が消えます。

具体的には、「執行猶予〇〇年」と言われた年数が経過することで、執行猶予つき判決による「刑の言渡しの効力」は消えることになるでしょう。

なお、執行猶予になる期間は、基本的に、裁判が確定した日から「1年以上5年以下」の期間になります(刑法25条1項本文)。

そのため、執行猶予つき判決を言い渡された場合は、最長5年間、執行猶予を取り消されずに生活できれば、刑の言渡しの効力が消えることになります。

前科になる刑罰消える条件消える時期
執行猶予つき判決・執行猶予期間(1年~5年)が満了すること執行猶予が満了した時(最大5年)
禁錮以上(禁錮・懲役・死刑)の刑罰①罰金以上の刑にならずに
②刑罰の終了・免除から10年経過すること
10年経過後
罰金以下(罰金・拘留・科料)の刑罰①罰金以上の刑にならずに
②刑罰の終了・免除から5年経過すること
5年経過後
※2018年10月20日現在の情報です。刑法34条の2第1項を参照して簡略化してまとめました。

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執行猶予で前科者リストに?消えるの?

「戸籍」には前科・前歴は記載されない?

「市町村役場に前科の記録が保存されている。」

こんなことを聞いたことがある人もいるかもしれません。

市町村役場といえば、まっさきに頭に思い浮かぶのは「戸籍」ですよね。

前科は、戸籍に記録されているのでしょうか。

岡野タケシ弁護士
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前科が、戸籍に記載されることはありません。

戸籍は、親族関係を証明する記録です。

犯罪歴が記載されることは絶対にありません。

「前科者リスト」とは?

前科が戸籍に記載されることはないとしても、「前科者リスト」というものは実際にあるようです。

「いやいや待って。やっぱり犯罪歴の記録があるの?」

このように不安に思われた方もいるかもしれません。

前科にまつわる情報が思わぬところで流出してしまうのではないかと気になりますよね。

前科者リストというのは、別名「犯罪者名簿」といいます。

前科者リストは、市町村役場に保管されているものです。

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市町村役場で保管している「犯罪者名簿」は、内部資料です。

「犯罪者名簿」は、選挙権の管理などに使われる内部資料です。

執行猶予中の場合、犯罪人名簿に記載されます。

しかし、執行猶予期間が満了し、刑の言渡しの効力が消滅すれば、名簿は利用されなくなることが多いようです。

「調査」される?前科照会事件とは?

犯罪者名簿の情報は、「ある事件」をきっかけに、より慎重に取り扱われることになり、簡単に照会されることはなくなったと言われています。

その「ある事件」とは「前科照会事件」です(最三小判昭和56・4・14民集35-3-620)。

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前科照会事件は、犯罪人名簿の内容に関する照会に応じて、区長が回答したことの違法性が争われた事件です。

「前科照会事件」をもっと詳しく

前科照会事件があったことで、前科の照会への回答は慎重におこなうという風潮ができました。

前科照会事件では、前科の照会をうけた行政側が、照会を必要とする理由をきちんと確認せずに、犯罪歴のすべてを回答してしまいました。

そして、そのような行政の対応は、違法になると判断されました。

前科照会事件で示されたたルールは、次のとおりです。

前科照会事件の内容

  • 「前科」は人の名誉や信用にかかわる情報。
  • 「前科」をみだりに公開されない権利がある。
  • 「犯罪名簿の情報」についても、みだりに公開してはいけない。
  • 「『犯罪人名簿の照会』への回答」は、①前科等の有無が訴訟等の重要な争点であり、②その回答がなければ他に立証方法がないような場合に限定して、許される。

▼ 結論

  • 「裁判所に提出するため」などと曖昧な理由にもとづく照会請求に対して、犯罪の種類、軽重を問わず、前科等のすべてを報告することは、公権力の違法な行使にあたる。

「海外出張・海外旅行」のデメリットとは?

前科がある人や、執行猶予中の人は、海外出張や海外旅行に行けないというのは本当なのでしょうか。

岡野タケシ弁護士
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執行猶予中の方の海外渡航は、法律で制限されています。

前科のある方の海外渡航も、制限されることがあります。

補足

執行猶予の期間中は、刑罰の執行が猶予されているだけなので、今後、刑務所に入る可能性が残されています。

そのような状況では、海外渡航(海外出張・海外渡航)は難しそうです。

前科と海外出張の関係についてもっと詳しく知りたいという方は、関連記事もお読みください。

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「前歴」というのもある?違いは?

「前歴」(ぜんれき)は、前科(ぜんか)と名前が似ていますが、異なるものです。

「前歴」というのは、犯人として捜査された履歴のことです。

「前歴」は、あくまで容疑があるから捜査されているだけの段階なので、その人が真犯人かどうかは関係ありません。

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前歴がつくケースには、以下のようなものがあるでしょう。

  • 逮捕された
  • 検挙された
  • 起訴猶予として不起訴になった

前歴は、有罪の確定判決を受けた履歴である「前科」とは異なり、被る不利益は少ないといえるでしょう。

無実の人であっても前歴がつくことはあるので、不利益を被ることがあってはならないというのは当然です。

前科前歴
意味有罪の確定判決をうけた履歴捜査された履歴
具体例・服役した
・罰金を納付した
・執行猶予期間中
・起訴猶予で不起訴
・逮捕歴がある
・取調べをうけた

履歴書で前科はどうする?

履歴書の書き方は?執行猶予や前科はどう書く?

履歴書に賞罰欄が無ければ、「罰」(前科)を記載する欄がないのですから、あえて前科を記載する必要はないというのが一般的な傾向です。

会社指定の履歴書が特に無い場合は、賞罰欄の無い履歴書を使うということも視野に入れてみてもよいでしょう。

かりに履歴書の賞罰欄に「執行猶予」の最中であることを記載するとしたら、「〇〇年△△月 ▢▢罪 執行猶予中」というような記載になるでしょう。

執行猶予が終了。「消える前科」は記載不要?

裁判例のなかには、「刑の言渡しの効力が消えた場合、その前科は記載する必要がない」と判断するものもあります。

執行猶予つき判決は、執行猶予の期間満了によって、刑の言渡しの効力が消えるものです。

そのため、執行猶予期間が満了すれば、前科を記載する必要性が下がるという傾向はあるでしょう。

ただし、裁判にもなるような問題ですし、ケースバイケースです。慎重を期するには弁護士に相談してみるというのも一つの方法でしょう。

面接で聞かれたらどうする?

「賞罰欄のない履歴書だったので、前科は書かなかった。」

「執行猶予は期間満了をむかえたので、前科は書かなかった。」

このようなケースもあるでしょう。

このようなケースでも、面接で前科を聞かれることはあり得ます。

面接で前科の有無を聞かれた場合、どのように答えたらよいのでしょうか。

執行猶予期間の最中は?

執行猶予期間の最中に、面接で前科を聞かれた場合は、あくまで一般的な傾向ではありますが、前科を答える義務があると考えられます。

個別の事案によって異なる可能性もありますので、ご自身の刑事事件を担当してくれている弁護士に相談してみるのもよいでしょう。

執行猶予期間が満了した後は?

執行猶予期間が満了した後、面接で前科を聞かれた場合は、これまたあくまで一般論ではありますが、「労働力の評価」に「重大な影響」があるかどうかに左右されるでしょう。

「労働力の評価」に「重大な影響」がある場合は、前科を答えたほうがよいという結論になる傾向が強いでしょう。

一方、「労働力の評価」に「重大な影響」がない場合は、前科を答えなくてもよいという結論になじみやすいでしょう。

あくまで目安ですので、個別の事案によって考え方が異なる可能性はあります。弁護士相談などを活用しながら、対応されるのがよいでしょう。

「労働力の評価」に「重大な影響がある」かどうかの目安は?

前科が「労働力の評価」に「重大な影響がある」場合は、前科の有無について答えたほうがよいとされる時もあるでしょう。

もっとも、これは個別の事案によって判断が異なる難しい問題です。

目安になるものとして、裁判例では「タクシードライバーの場合は、刑の言渡しの効力が消えた前科については、答える義務がない」と判断された事案があるようです。

総じてみると、執行猶予期間が満了すれば、就職活動は思いのほか上手くいくという傾向もあるのではないでしょうか。

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執行猶予期間の満了をむかえた方で、新しい職場を探そう、就職活動を始めようと考えている方もおられると思います。

仕事を見つけることは、今後の人生をおくるうえで、とても大切ですよね。

前科がつくかどうかで、現在の職業を続けられるかどうかが決まることもあるでしょう。

どうすれば不起訴を目指せるのか、前科がつく可能性を下げることができるかという対策は、おひとりで考えて、一生懸命ひねり出すものではありません。実務の傾向をつかんだ弁護士からアドバイスをもらって対策をたてるべき問題です。

法的な問題で悩んだときは、法律の専門家に聞いてください。

刑事事件の前科の悩みは弁護士相談で解決?

前科をつけない対策は?不起訴を目指せる?

前科は、刑事裁判で有罪の確定判決をうけたとき、つきます。

ということは、そもそも刑事裁判をうけなければ(≒不起訴になれば)、前科はつきません。

不起訴を目指すには、どのような対策をたてればよいのでしょうか。

岡野タケシ弁護士
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不起訴になるかどうかは、基本的には、検察官によって判断されます。

検察官は、不起訴になる要素があるかどうかを見て判断しています。刑事事件がおきた後の事情については、被害者の方との示談、被害弁償、更生の意欲等の要素があるかが見られます。

具体的な対策としては、弁護士から被害者の方に連絡をいれて「示談交渉」をおこなったり、あなたの更生に協力してくれる人からの「上申書」をとりつけたり等の対策が考えられるでしょう。

そのほか、同じ罪をくり返さないために必要な対策として、種々の「環境調整」をおこなうこともあるでしょう。

まずは、刑事事件のご事情をお聞かせください。弁護士相談は、不起訴をめざすための第一歩です。

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前科がつくタイミングはいつ?前科は不起訴で回避できる?

スピーディーに弁護士に無料相談できる窓口は?

今回は、執行猶予つき判決の前科の効力が消える場面や、執行猶予の条件、そもそも前科をつけないための対策などについてお話してきました。

刑事事件のお悩みは突然に起こるものですし、前科は今後の人生に大きな影響を与えるものです。

そのような刑事事件のお悩みを解決するには、信頼できる弁護士を早く見つけることが大切です。

アトム法律事務所では、スピーディーに対応できる体制を整えています。

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監修者


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代表弁護士岡野武志

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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了