岡野武志

第二東京弁護士会所属。刑事事件で逮捕されてしまっても前科をつけずに解決できる方法があります。

「刑事事件 法律Know」では、逮捕や前科を回避する方法、逮捕後すぐに釈放されるためにできることを詳しく解説しています。

被害者との示談で刑事処分を軽くしたい、前科をつけずに事件を解決したいという相談は、アトム法律事務所にお電話ください。

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公務員の盗撮|公務員の懲戒処分とは?懲戒免職回避の対策についても解説

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盗撮とは、「被写体となる相手方の了解を得ず身体などを撮影すること」です。

盗撮行為の例としては、以下が該当します。

  • 女子(男子)トイレに隠しカメラを設置し撮影した
  • 駅のエスカレーターで女性のスカートの中を勝手に撮影した
  • 職場の女子(男子)更衣室に隠しカメラを設置し撮影した

盗撮は、各都道府県で制定されている迷惑防止条例違反により、逮捕される可能性があります。

また、相手方となる被害者が18歳未満の児童であった場合は、児童ポルノ法違反に該当することもあるでしょう。

当記事では、盗撮行為をした人物が公務員であった場合の、不利益や対策について解説しています。

この記事にたどり着いた方は、以下でお困りではないでしょうか?

  • 公務員は会社員とどう違う?
  • 公務員の盗撮事件が発覚したらどうなる?職場に知られる?
  • 公務員の盗撮事件がすでに会社に発覚・・・考えられる処分は?
  • 公務員の盗撮事件で不起訴になるには?

公務員は一般の会社員と違い、身分保障の観点から職場での処分が異なります。
まずはその点についてご説明したうえ、順番に解説していきましょう。

公務員と会社員の違い

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まずは、民間の会社員と公務員の違いについてご説明します。

会社員と公務員は、身分保障される法律から違いがあります。

会社員に適用される法律労働基準法
公務員の適用される法律国家公務員法・地方公務員法・人事院規則など

労働者である会社員が盗撮行為などをし、解雇問題になった場合は、労働基準法の適用がベースになります。

会社の就業規則には、解雇事由が必ず記載されているはずです。
就業規則に、盗撮行為など犯罪をした場合の懲戒処分についても書かれているでしょう。

一方、労働者でない公務員は、労働基準法の適用が制限されます。
労働基準法で規定されている就業規則については適用を受けません。
労働者の適用を受けない範囲においては、公務員独自の法律が適用されるのです。

また、給与面・減給についても、公務員の場合は人事院規則や条例によって制定されています。

このように、各保障の有無や給与・解雇事由などについても、会社員と公務員とでは根本から異なってきます。

ただし会社員であっても公務員であっても、盗撮事件を起こした場合には、懲戒解雇の問題に直面するでしょう。

公務員が盗撮で逮捕されたらどうなる?

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逮捕の連絡は家族や職場にいく?

以下の図で、公務員が盗撮事件で逮捕された場合の流れから確認していきましょう。

刑事事件の流れ

在宅捜査と違い、逮捕されてしまった場合は身柄の拘束が確定します。

逮捕から通常約3日間は、逮捕された本人は誰とも連絡を取ることができず、その間に警察からご家族などに連絡がいくことが多いです。
ただし、あくまで本人が希望した場合や、事件によって警察が必要であると判断したときです。

また、この時点で職場に連絡がいくことはないでしょう。
こちらも本人が希望した場合は別ですが、逮捕の事実がただちに職場に知られるということはありません。

しかし、逮捕時点で報道陣に公にされてしまった場合は別です。
ニュースなどで、逮捕の事実が職場に知られる可能性がまったくないとは言い切れません。

特に、盗撮事件を起こした被疑者が国家公務員である場合、逮捕時点で実名が公になっているケースもあります。

盗撮事件で逮捕後釈放されるには?

公務員が盗撮事件を起こし逮捕されてしまっても、釈放されるタイミングはあるのでしょうか。

実は、被疑者が逮捕されたあとであっても、弁護士依頼などによりいくつか釈放タイミングはあります。

逮捕・釈放の流れ

もっとも早い釈放のタイミングは、勾留請求前です。

逮捕直後から勾留請求までの期間が約3日間、その後、勾留請求されなければその場で釈放されます。
勾留請求するかしないかは、勾留要件を基準に検察官が判断します。

勾留の要件

上記勾留要件にくわえ、勾留の必要性も検討されます。
また勾留が決定してしまった場合には、起訴・不起訴の判断が下るまでさらに最大20日間の身柄拘束が続いてしまいます。
勾留は、最初の10日間がひとまず確定し、残りの10日間は勾留延長期間です。
そのため、後半の10日間は短縮されることもあります。
勾留延長のみされず、釈放されるケースもあるでしょう。

つづいて、起訴後の釈放タイミングについてです。

盗撮事件で検察官に起訴されてしまった場合、無罪判決を除いて前科がつきます。
前科のつく刑罰のひとつに略式罰金刑がありますが、処分としては指定された金額を支払って終了です。
それ以降、身柄拘束はありません。

また、起訴後保釈請求が通った際は、保釈金を支払い釈放されます。
有名人が多額の保釈金を支払い、拘置所などから出てきたというニュースを目にしたことがあるかと思います。

最後に、執行猶予付き判決がくだった際の釈放タイミングです。

執行猶予期間、なにもなければ刑の執行を免れるというものですが、判決後は自宅などに帰ってもとの生活に戻ることができます。

盗撮事件の場合、特に被害者との示談ができそうであれば、通常勾留請求前の釈放を目指し、不起訴処分を獲得することに注力することが重要です。

後述いたしますが、不起訴処分を獲得できた場合、公務員の資格を維持できる可能性が高いです。

釈放と解雇の関係

逮捕後、在宅捜査にならない限りは身柄拘束され、都度釈放タイミングがあることについてご説明しました。

公務員の解雇には、おおきく懲戒免職と分限免職の2種類があり、分限免職の際は釈放されることによって回避できる可能性があります。

公務員の懲戒免職と分限免職
  1. 分限免職・・・心身の故障で職場復帰が難しい場合・無断欠勤などが続いた場合に解雇となる制度
  2. 懲戒免職・・・国家公務員や地方公務員が法に触れるおこないをした場合に解雇となる制度

逮捕後、長期間勾留されてしまった場合、職場復帰が難しいことがあります。
職種によっても異なりますが、そのような欠勤が続いた場合、分限免職の可能性もあるでしょう。

懲戒免職などその他の懲戒処分については、次章で詳しく解説いたします。

公務員の盗撮が職場に知られてしまったら?

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公務員の懲戒処分について

盗撮行為・盗撮事件が職場に知られてしまった場合、懲戒処分になることがあります。

この章では、国家公務員・地方公務員の懲戒処分の種類などについてみていきましょう。

まずは以下、国家公務員法の場合です。

(懲戒の場合)第八十二条 

職員が、次の各号のいずれかに該当する場合においては、これに対し懲戒処分として、免職、停職、減給又は戒告の処分をすることができる。
 この法律若しくは国家公務員倫理法又はこれらの法律に基づく命令(国家公務員倫理法第五条第三項の規定に基づく訓令及び同条第四項の規定に基づく規則を含む。)に違反した場合

 職務上の義務に違反し、又は職務を怠つた場合

 国民全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあつた場合

国家公務員法82条

以下は、地方公務員に対する懲戒処分の規定です。

(懲戒)第二十九条 
職員が次の各号の一に該当する場合においては、これに対し懲戒処分として戒告、減給、停職又は免職の処分をすることができる。
 この法律若しくは第五十七条に規定する特例を定めた法律又はこれに基く条例、地方公共団体の規則若しくは地方公共団体の機関の定める規程に違反した場合
 職務上の義務に違反し、又は職務を怠つた場合
 全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあつた場合

地方公務員法29条

盗撮行為で懲戒処分がなされる場合、各条文の3号「非行」に該当するでしょう。

また、懲戒処分には種類があります。

公務員の懲戒処分(処分が軽い順)

  1. 戒告
  2. 減給
  3. 停職
  4. 免職

戒告は、公務員が問題を起こした場合最初に検討される懲戒処分です。
戒告で済んだ場合、公務員としての身分に影響はありません。

減給は文字通り、給与(俸給)の減額を意味するものです。
どのような行為が減給に該当するのかについては、国家公務員の場合は人事院が作成する指針により詳細が定められています。
地方公務員については、地方公共団体の条例により決定されます。

(懲戒の効果)第八十三条 

停職の期間は、一年をこえない範囲内において、人事院規則でこれを定める。

 停職者は、職員としての身分を保有するが、その職務に従事しない。停職者は、第九十二条の規定による場合の外、停職の期間中給与を受けることができない。

国家公務員法83条

つづいては、懲戒処分のなかでももっとも重い「免職」についてです。

免職になってしまうと、公務員としての職を失います(失職)。

免職になった場合、以下のリスクが考えられます。

公務員の免職リスク
  • 退職金が出ない可能性
  • 実名・処分内容などがホームページに載る
  • 再就職が難しくなる

また、欠格条項といって、免職から2年経過しない者は国家公務員・地方公務員となる資格を有さないと規定されています(国家公務員法38条2号地方公務員法16条2号)。

公務員の盗撮で考えられる処分

では実際に盗撮事件を起こした場合、自分自身がどの処分に該当するのかが気になるところです。

公務員の盗撮事件の場合、まずは前科がつくかつかないかが処分の分かれ道と考えられるでしょう。
前科には、罰金刑も含まれます。
前科がついてしまった場合、相当重い免職処分になる可能性が浮上します。

不起訴処分を獲得できた場合でも、盗撮行為が公務員の「非行」であることに変わりはないため、懲戒処分を受けること自体は避けられない可能性があるでしょう。

ただし、その処分内容は軽減される可能性があります。

国家公務員法38条1号・地方公務員法16条1号はいずれも、禁錮以上の刑に処せられた者について、公務員の欠格事由としています。

禁錮以上の刑に、罰金刑は含まれません。

不起訴処分を獲得できれば、公務員としての処分も軽くなる可能性がありますし、前科がつきません。

前科がつかないことにより、再就職などで不利になる可能性が少なくなるでしょう。

総合的に、公務員としての立場維持・再就職のためにも、まずは前科をつけない活動を優先すべきです。
前科をつけない活動については、次章で解説していきましょう。

公務員の盗撮事件で懲戒免職を回避するには?

盗撮事件においては、基本的に被害者がいます。
被害者が特定されている場合には、弁護士依頼により、被害者と示談交渉をすることが可能になります。

示談とは

示談とは両者合意による事件の解決です。

刑事事件の示談においては、被害者から許しを得る代わりに、加害者側から示談金を支払います。
被害者の個人情報を加害者本人が知らなくとも、弁護士と捜査機関のやり取りによって判明するケースが大半です。

しかし、被害者が示談を望んでいない場合には、個人情報を入手できず、示談交渉自体もできないことがあります。

示談交渉においては、宥恕を得られるかどうか・被害届を取下げてもらえるかなど、被害者の要望を聴取しながら進めていくことになるでしょう。

示談の成立は、公務員の処分・刑事事件の処分どちらにも有利に働く可能性が高いです。
公務員の盗撮事件については、逮捕前・逮捕後すぐなど、早期の弁護士相談を利用しましょう。
盗撮事件の自首についても、弁護士依頼・弁護士同行が可能です。