
第二東京弁護士会所属。刑事事件で逮捕されてしまっても前科をつけずに解決できる方法があります。
「刑事事件 法律Know」では、逮捕や前科を回避する方法、逮捕後すぐに釈放されるためにできることを詳しく解説しています。
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息子(娘)が逮捕されたらどうすればいい?最初にすべきことと弁護士ができること

大切な息子(娘)が逮捕された・・・
初めてのことなら尚更、どうすればいいのかもわからないうえ、今後についても先が見えなくなるのは当然です。
そして何より、息子(娘)に会って話が聞きたい、顔が見たい・・・
という気持ちが頭をよぎり、とにかく今何をすればいいのかわからずお困りではないでしょうか。
当記事では、息子(娘)が逮捕された直後であるご家族に向け、以下の疑問に沿って解説しています。
また、逮捕後数日が経過しており、いまだ何をすればいいのかわからないというご家族についても、ぜひ参考にしてください。
- 息子(娘)逮捕直後は何をすればいい?誰を頼ればいい?
- 息子(娘)の様子を知るには?
- 逮捕された息子(娘)は今後どうなる?
- 息子(娘)が釈放されるためには?
目次
息子(娘)が逮捕された|連絡を受けたら最初にすべきこと

まずは息子(娘)など大切なご家族が逮捕された際、捜査機関と関わるうえでできることをご紹介しましょう。
逮捕直後は弁護士相談が重要
息子(娘)が逮捕された・・・と動揺している暇はありません。
動揺や不安感が募るのは当然のことですが、まず肝心なことは「刑事事件には時間厳守がある」ということです。
そのために何をしなけば手遅れになるのか、ご家族が最初にできることは何なのかというと、今直面している刑事事件について弁護士に相談し、できれば初回の接見依頼をすることです。
弁護士相談後すぐにできること
- ご家族などから逮捕事実を聴取し、今後の流れ・可能性についてお伝えできます
- 接見依頼がある場合は、息子(娘)などのご家族が留置されている留置場などに確認を取り、すぐに面会に赴くことができます
先述の「刑事事件の時間厳守」についてですが、被疑者が逮捕されると、48時間以内に警察官による捜査がおこなわれます。
その後被疑者の身柄は検察官に送られ、24時間以内に検察官に勾留請求され、勾留が認められれば、被疑者はそのまま最大20日間も留置され続けることになるのです。
弁護士はその間に身柄解放活動をおこなうことができますが、基本的に口頭で警察などに訴えるのではありません。
刑事事件の事実確認・事実背景の把握をおこない、書面をもって活動するため準備をする必要があります。
よって、時間に余裕はなく、早めの弁護士相談が重要になってくるのです。
以下、弁護士接見の重要性や、接見でできることについて詳しく解説しましょう。
弁護士にしかできない逮捕直後の面会を依頼
息子(娘)が逮捕されたと連絡を受けた際、とっさに思うことは息子(娘)は今どうしているのか・息子(娘)は何をしたのか、ということではないでしょうか。
実際その点を警察に問いただしても、詳細は教えてくれません。
捜査前の段階で警察がご家族に報告できることは、逮捕の事実くらいです。
また、もっとも困るのは、いくら血縁関係のあるご家族であっても、逮捕直後の面会はできないということです。
逮捕直後、本人に直接会って事実確認ができるのは、実は弁護士だけの特権なのです。
逮捕の時点で弁護士相談を視野に入れ、この段階で弁護士接見を依頼することは、ご家族が最初にできる有利な手段といえます。
(弁護士の接見交通権)
第三十九条
身体の拘束を受けている被告人又は被疑者は、弁護人又は弁護人を選任することができる者の依頼により弁護人となろうとする者(弁護士でない者にあつては、第三十一条第二項の許可があつた後に限る。)と立会人なくして接見し、又は書類若しくは物の授受をすることができる。
刑事訴訟法39条
条文にある通り、弁護士であれば立会人は不要です。
時間制限もないため、逮捕直後の息子(娘)さんから代理人として事件の詳しい内容を聴きだすことが可能です。
弁護士接見では、事件の内容を聴きだすほか、弁護士から逮捕された息子(娘)さんご本人に、取り調べの際の被疑者の権利などについてアドバイスすることも可能です。
逮捕された被疑者には、黙秘権はじめ、理不尽な供述書に署名押印しないなど一定の権利が認められているのです。
以下は、198条に規定されている「署名押印拒否権」の内容です。
(被疑者の書面押印拒否権)
被疑者が、調書に誤のないことを申し立てたときは、これに署名押印することを求めることができる。但し、これを拒絶した場合は、この限りでない。
刑事訴訟法198条5項
なお、逮捕から数日後、ご家族の面会が可能になった場合、ご家族が直接面会に行くことが可能です。
しかし、ご家族のみの一般面会には時間制限があります。
基本的には15分くらいですが、時間枠などの詳細は留置場などに確認する必要があるでしょう。
なお、留置されている場所が拘置所の場合、留置場とは規則が異なります。

一般面会では、現金や着替えなどの差し入れをすることが可能です。
差し入れは、留置場によって厳しいルールを設けているところもあるため、やはり事前の確認が必要でしょう。
なお、弁護士面会の場合でも、ご家族の依頼や状況に応じて差し入れ可能な場合があります。
事件内容を弁護士と共有・今後について早期に検討
弁護士による早期の面会を終えた後は、弁護士と打ち合わせしましょう。
面会後の弁護士から面会の内容を報告し、今後の方針についてご家族と検討することが可能です。
たとえば、弁護活動の方針を決めるにあたり、以下の要素は重要視されます。
- 自白事件or否認事件?
- 被害者はいるor単独犯?
自白事件で被害者がいる場合、逮捕直後のタイムスケジュールと並行し、示談の検討をすることが重要です。
示談成立の事実は、起訴前であれば検察官の判断において有利にはたらきます。
また、起訴後であっても裁判所から有利な事情として斟酌されます。
未成年の場合は逮捕(勾留)後家庭裁判所に送致されますが、示談が有利な点については成人と変わりありません。
逮捕直後、弁護士依頼によって身柄解放活動をすることも可能です。
身柄解放活動の詳細については、目次「 息子(娘)を釈放してほしい|身体解放活動とは? 」にて解説しています。
息子(娘)が逮捕された後の流れは?

まず逮捕後の流れとしては、息子(娘)などご家族が、成人しているかそうでないかで手続きが異なります。
この章では、逮捕後の流れについて言及していきましょう。
逮捕された息子(娘)が成人している場合
成人の逮捕後の流れは以下のとおりです。

前章でもすこしお話ししましたが、逮捕後勾留決定された場合、最大20日間の勾留が続きます。
その後検察官により、被疑者を起訴するか不起訴処分にするかの検討がおこなわれます。
起訴・不起訴処分とは?
- 起訴とは、検察官が事件を裁判所に審判を求めることです。
起訴後、被疑者の立場は被告人となり、捜査段階から裁判という段階に移行します。 - 不起訴処分とは、検察官が起訴しない処分をいいます。
主に「嫌疑なし」「嫌疑不十分」「起訴猶予」の3種類があり、いずれも被疑者段階で事件は終了・その時点で釈放されます。
成人である被疑者が逮捕された場合、弁護士は不起訴処分を目指して活動することになるでしょう。
起訴された場合は裁判手続きがとられますが、その後無罪判決にならない限り、被告人には前科がついてしまいます。
逮捕された息子(娘)が未成年の場合
逮捕された息子(娘)が未成年だった場合は、成人の手続きと異なります。
なお、逮捕から勾留までの段階においては、基本的に成人と同じです。

成人と大きく異なる点は、勾留満期(最大20日の最終日)を迎えてからになります。
成人の場合は起訴もしくは不起訴処分にするという判断がされますが、未成年は嫌疑がない場合を除き、全件家庭裁判所に送致されることになっています。
その後は家庭裁判所の判断により、事件を審判に付すのか、審判不開始にするのかが決まります。
審判開始となった場合、弁護人は「付添人」となって審判にあたることになります。
少年事件の場合、基本的に前科がつくことはありません。
前科が付く場合とは、殺人などの重大な犯罪である場合や、捜査過程で成人の誕生日を迎えた場合などです。
審判不開始となった場合、もしくは審判開始後「不処分」となった場合は釈放されます。
少年事件は、あくまで「更生」を目的として進行していく仕組みになっています。
そのため現行では、基本的に未成年に対する刑罰を予定していないのです。
息子(娘)を釈放してほしい|身体解放活動とは?

逮捕後の流れをお伝えしたところで、身柄解放活動についてご説明しましょう。
逮捕後、身柄解放されうるタイミングは大きく以下のとおりです。
- 逮捕直後の勾留請求前
- 勾留決定後
- 起訴後すぐ(保釈請求)
逮捕後すぐの身柄解放活動
先述のとおり、逮捕後48時間から72時間経過するまでに、検察官が勾留請求するかどうかの判断があります。
この段階で、検察官によって勾留請求させない旨、弁護士を通じて検察官に訴えることができます。
具体的には「意見書」および検察官との面会になりますが、以下の勾留要件を満たさない旨アピールしていくことになるでしょう。

意見書に加え、被疑者直筆の反省文や、被害者とすでに示談が成立している場合は、示談交渉の経緯や示談書などもあわせて添付することになります。
事件ごとに添付する書類や対策などは異なりますので、担当の弁護士と打ち合わせしていくことになるでしょう。
勾留請求後・勾留決定後の身柄解放活動
勾留請求後も、身柄解放活動をすることは可能です。
担当の弁護士と打ち合わせて方針を決めてください。
また、勾留請求後は、検察官ではなく今度は裁判官に対して訴えていくことになります。
なお、勾留請求前・勾留請求後どちらであっても、勾留阻止された、もしくは勾留決定されなかった際は、被疑者はまもなく釈放されます。
釈放後は、在宅捜査に切り替わります。
自宅にいながら、捜査機関の指示する日程に従い、捜査が続いていくことになります。
指定された警察署や検察庁に出頭することになるでしょう。
起訴後は保釈請求
検察官に起訴された場合は、すぐさま保釈請求が可能です。
保釈請求においても、書面の提出や裁判官との面談が必要になるという部分においては、さきほどまでの流れと同様です。
ただし、保釈が認められるためには「保釈金」を納付する必要があります。
金額については、罪の重さや所得状況なども考慮されるため、一概には決まっていません。
保釈金は、保釈中に逃亡したり罪を犯したりしなければ、最終的に返金されます。
少年事件の身柄解放活動

少年事件の場合、家庭裁判所送致後に「観護措置」という手続きがとられることがあります。
観護措置とは、少年を鑑別所に送致し、必要な調査を進める手続です。
原則2週間身柄拘束されます。
このタイミングで弁護活動をおこなうことにより、身柄解放が期待できる場合があります。
審判不開始に向けて活動する
審判不開始とは、家庭裁判所の調査の結果、審判に付すことができない場合や審判開始が相当でない場合に、開始しない決定が出されることです。
審判開始理由がないことなどを家庭裁判所に訴えるため、弁護士は少年の環境面について報告をまとめます。
たとえば以下の内容について報告をまとめ、審判不開始決定を出してもらえるよう活動します。
- 少年の更生状況・更生に向けての態度など
- 少年の家庭環境や職場環境
- 少年の生活態度
- 少年の交友関係
不処分とは?不処分に向けての活動
不処分には以下2種類があります。
- 家庭裁判所が保護処分に付することができないと認めた場合にされるもの
- 家庭裁判所が保護処分に付する必要がないと認めた場合にされるもの
保護処分に付することができない場合とは、非行そのものがない場合や、少年に心神疾患や疾病などがある場合、あるいは死亡や所在不明の場合などです。
保護処分に付する必要がない場合とは、調査官の教育的指導などにより、少年の問題点が改善され、再非行のおそれがなくなった場合などです。
一般的な非行については、基本的に後者について検討していくことになるでしょう。
「この少年については再非行のおそれがない」ということを書面で訴えていくことになります。
少年釈放のための活動については、少年自身の更生の意思や、ご家族などの協力も欠かせないものになってくるでしょう。
逮捕直後とは、具体的に「逮捕中」といわれる逮捕後72時間の間をいいます。
さらにその後、事件によっては接見禁止の決定が付くこともあります。
その場合、逮捕されたご家族と外部をつなぐ手段は、ますます弁護士接見だけになるでしょう。