岡野武志弁護士

第二東京弁護士会所属。刑事事件で逮捕されてしまっても前科をつけずに解決できる方法があります。

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合意の上でも訴えられると性犯罪に?対応や実例は?合意の上とは?

合意の上でも犯罪?

2023年7月13日、強制性交等罪は「不同意性交等罪」に改正されました。

  • 合意の上だと思っていた性行為で、まさか訴えられるなんて。今後どうなる?
  • 性行為の合意は証明できる?
  • 合意の上の性行為でも、犯罪になることがある?

合意の上で性行為に及んだはずだったのに、後から訴えられるケースは意外とよくあります。

性行為について「合意の上ではなかった」と訴えられるケースでは、刑事事件として捜査や刑罰を受ける、民事上の損害賠償の請求を受ける等のリスクがあります。

とくに合意の上ではなかった性犯罪では、不同意性交等罪(旧 強制性交等罪)などで逮捕・起訴された場合、きわめて重い判決がくだされる可能性がおおいにあります。

ですが、合意の上での性行為で訴えられるケースであっても、警察や被害者への早期の対応で不起訴になる可能性もあるでしょう。

この記事では、「合意の上ではなかった」性行為について、訴えられるとその後どうなるのか、刑罰を受ける可能性、対処法などを解説しています。

ぜひ最後までご覧ください。

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合意の上でも訴えられるケースとは?

「合意がなかった」と言われることがある?

合意の上での性行為だと思っていたのに、後から「合意がなかった」として訴えられるケースとしては、以下のようなパターンが考えられるでしょう。

  • マッチングアプリで知り合った女性とワンナイト。
  • 知人女性と飲んだあと、酔った勢いで性行為をした。
  • SNSで知り合った相手とワンナイト。その後、あとから「同意の上」ではなかったと訴えられるトラブルになり、示談金を要求されることに。
  • 思い違いをしてしまった。

「訴えられる」とは?示談金?逮捕?

そもそも「合意の上」ではないとして「訴えられる」というのは、大きくわけて2通りあります。

性行為が合意の上ではないとして訴えられるのは、①警察に被害届を出されるというパターン(刑事事件)と、②お金を請求されるというパターン(民事事件)があります。

  • いつの間にか、警察に被害届がだされていた。
  • 「慰謝料を払わないと、警察に被害届を出す」と言われた。
  • 「示談金を払わないと、家族や会社にバラす」と言われた。
  • 相手にはパートナー(配偶者・交際相手)がいた。相手やパートナーから訴えられることに。

性犯罪で訴えられたときの対処法は?

相手から「訴える」と言われているときは?まず何をする?

相手から訴えると言われているとき、まずは、法律の専門家に相談されることをお勧めします。

「合意の上」だったのかどうかは、当事者だけでは解決できないことが多いです。

また、お金や被害届が問題になるケースでは、ご自身で冷静に対応することが難しいものです。

性犯罪、性的トラブルをあつかう弁護士に相談して、弁護人をたてるというのが解決の近道です。

警察に訴えられるときの対処法は?

警察にまだ被害届が出されていない場合は、弁護士をたてて、相手の方との話し合いをしてもらう必要があります。

自分と相手の認識がどうだったのか、状況はどうだったのかについて確認して、和解や示談の可能性をさぐります。

すでに被害届が出されている場合も、相手の方との話し合いをする必要があります。

ご自身に非がある場合、つまり「合意の上」でない場合は、相手の方との示談に真摯に取り組む必要があるでしょう。「被害届の取り下げ」「告訴の取り下げ」を含む示談をおこなうことで、逮捕や起訴を回避できる可能性が高まります。

一方、本当に「合意の上」の性行為だった場合、警察に対して「合意の上」だったことを主張します。

今後の逮捕や起訴を回避するためにも、無理やり性行為をしたわけではないことを訴える必要があるでしょう。

Point

  1. 弁護士に事件の概要を相談する
  2. 事件が警察段階である場合、逮捕に至らない根拠・反論を警察に訴える
  3. 逮捕されてしまった場合は警察もしくは検察官に反論などを訴える

性犯罪では示談が重要になる?

性犯罪では、被害者の方との「示談」が非常に重要なものとなります。

そもそも「示談」というのは、加害者が被害者に対して、謝罪を申し入れ、示談金を支払い、民事上の賠償責任の問題を解決する手続きです。

示談において「被害者の許し」を得られれば、副次的な効果として刑事処分への影響も見込まれます。

逮捕前に示談ができれば、逮捕される可能性がさがるでしょう。

起訴前までに示談が成立すれば、不起訴になる可能性が高まるでしょう。

なお、性行為に関する犯罪の場合、被害者との示談については、弁護士をたてることが一般的です。

被害者側が加害者本人との連絡について、抵抗があることが多いためです。

弁護士は、第三者であり、法律の専門家なので、弁護士であれば話し合いに応じてくれるケースが多いです。

示談では、示談金の金額を決めたり、被害届の不提出・取り下げについて約束してもらったり、「加害者の厳罰を求めない」という宥恕文言をもらったりといった対応が考えられます。

不備のない示談書を作成する必要もあるので、法律の専門家である弁護士の手助けは欠かせません。

岡野タケシ弁護士
岡野タケシ
弁護士

示談では、まずは、被害者の方への謝罪が重要となります。

必要であれば、謝罪文を準備していただきます。謝罪文は、ご自身の言葉で書いていただく必要がありますが、サポートもいたします。

その後、示談交渉を進めていくわけですが、示談書の法的なチェックなどもお任せいただけます。

示談書を締結した後は、弁護士から捜査機関に対して提出します。そうすることで、示談が成立した事実や被害者から許しを得た事実を証明でき、刑事処分や不起訴の判断に影響が及ぶことになります。

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強姦(不同意性交等罪・旧 強制性交等罪)の示談書・謝罪文の書き方テンプレート

合意の上ではないときの刑罰は?

合意がなかった場合の犯罪は?

合意がない性行為は、以下の犯罪で逮捕される可能性があります。

  1. 不同意性交等罪
  2. 不同意わいせつ罪

性行為の内容、態様によって、成立する犯罪が変わります。

不同意性交等罪(刑法177条)とは?

1 前条第一項各号に掲げる行為又は事由(略)により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、性交、肛(こう)門性交、口腔(くう)性交又は膣(ちつ)若しくは肛門に身体の一部(陰茎を除く。)若しくは物を挿入する行為であってわいせつなもの(略)をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、五年以上の有期拘禁刑に処する。

2 (略)

3 十六歳未満の者に対し、性交等をした者(当該十六歳未満の者が十三歳以上である場合については、その者が生まれた日より五年以上前の日に生まれた者に限る。)も、第一項と同様とする。

刑法177条

不同意性交等罪は、暴行・脅迫をはじめとする8類型を中心に、性行為について不同意の意思の形成・意思の表明・意思の全うを困難にして、性交等(性交、肛門性交、口腔性交、膣・肛門への陰茎以外の挿入)をするという犯罪です。

不同意の原因になる事由

  1. 暴行または脅迫
  2. 心身の障害
  3. アルコールや薬物
  4. 睡眠や意識不明瞭
  5. 同意しない意思を形成・表明・全うする暇がないこと
  6. 予想と異なる自体に直面して、恐怖・驚愕していること
  7. 虐待などの心理的反応
  8. 経済的または社会的関係上の地位にもとづく影響力を憂慮すること

たとえば「暴行または脅迫」という要件を取り上げてみましょう。

なお、不同意性交等罪(旧 強制性交等罪)の「暴行」「脅迫」については、通常、イメージされるような激しい暴行や脅迫は必要ではありません。

年齢、性別、体格差、凶器の有無、素行、経歴、日時、現場の周囲の環境などの具体的事情から、被害者が抵抗が困難になる程度のものとされています。

「少しくらい強引でも大丈夫だろう」というような感覚だと、暴行や脅迫が認定される可能性もあるでしょう。

Point

  • 被害者:性別不問。「女子を姦淫した男子」に限られない。
  • 性犯罪:性交のほか、肛門性交、口腔性交も対象になる。膣・肛門への陰茎以外の挿入も含まれる。
  • 手段 :暴行・脅迫はゆるやかに認定される。

不同意性交等罪の法定刑(刑罰)は、5年~20年の懲役です。

旧法「強制性交等罪」とは?

2023年7月12日以前の強姦事件については、強制性交等罪が適用されます。強制性交等罪は、暴行や脅迫を手段として、性交等(性交、肛門性交、口腔性交)をしたときに成立する犯罪です。

(強制性交等)第百七十七条

十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛こう門性交又は口腔くう性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。

十三歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。

刑法177条

合意の上でない性交はもちろんのこと、被害者が13歳未満の場合は合意の上かどうかにかかわらず性交等をしたら強制性交等罪が成立します。

強制性交等罪の法定刑(刑罰)は、5年~20年の懲役です。

強制性交等罪→不同意性交等罪への改正について

2023年7月13日から、強制性交等罪で処罰されていた行為は、「不同意性交罪」として処罰されることになります。

不同意性交等罪では、まさに同意の有無が問題になる犯罪です。

今後、性行為が逮捕されるかどうかは、合意の上か、合意の上でないかが益々重要になってくるものと思われます。

たとえば、従来の「強制性交等罪」では有罪認定されなかったケースが、「不同意性交等罪」では有罪認定が可能になるでしょう。

不同意性交等罪で処罰される可能性があるケース

以下のような態様は、従前の強制性交等罪では逮捕されない可能性が高いものですが、新法の不同意性交等罪では逮捕される可能性が高くなるでしょう。

  • 「男性に抱き着かれた女性が、突然のことで恐怖を感じて体が固まってしまい、性行為を明確に拒否できない」という類型
  • 「上司や取引先から執拗に迫られて、性行為を明確に拒否できない」というような類型
岡野タケシ弁護士
岡野タケシ
弁護士

改正前の刑法では、「準強制性交等罪」、「準強制わいせつ罪」といった犯罪もありました。

これらの性犯罪は、暴行や脅迫を手段とせず、そもそも相手が抵抗できない状態のときに、性交等をおこなう犯罪類型です。新法では、このような犯罪類型についても不同意性交等罪として問われる可能性が高いでしょう。

なお令和5年7月12日までに犯した罪については、旧法が適用されます。

新法と旧法の違いについて整理しながら、次の項目で確認しておきましょう。

関連記事

【刑法改正】不同意性交等罪の要件と刑罰は?不同意わいせつ罪についても解説

準強制性交等罪(刑法178条)とは?

2023年7月12日以前のわいせつ事件、強姦事件については、それぞれ「準強制わいせつ罪」「準強制性交等罪」という犯罪が適用される可能性があります。

改正される前の条文を確認しておきましょう。

(準強制わいせつ及び準強制性交等)第百七十八条

1 人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、わいせつな行為をした者は、第百七十六条の例による。

2 人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、性交等をした者は、前条の例による。

刑法178条

準強制性交等罪は、人の心神喪失・抗拒不能、つまり抵抗できない状態であることを利用して性交等をしたときに成立する犯罪です。

準強制わいせつ罪は、抵抗できない状態を利用して、わいせつな行為をしたときに成立する犯罪です。

たとえば、SNSで知り合った相手と居酒屋にいき、泥酔の上、かなり意識が朦朧としている、熟睡しているといった状況で性行為に及んだとしたら、あとから準強制性交等罪、準強制わいせつ罪などで訴えられる可能性があるでしょう。

岡野タケシ弁護士
岡野タケシ
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心神喪失は、相手が眠っている状態、お酒で泥酔して意識朦朧の状態などが該当します。

抗拒不能は、物理的、心理的に抵抗できない状態をいいます。

例えば、物理的な場合の具体例としては、縛られて身動きがとれない状態などがあげられます。

心理的に抵抗ができない場合の具体例としては、被害者が、加害者のことを自分のパートナーだと信じ込んでいたケースがあげられます。また、日頃から虐待やDVなどの支配関係にあったケースなどがあるでしょう。

適用例

具体的にどのような性犯罪で、どのような犯罪が成立するのかケースをあげておきましょう。

ケース令和5年7月12日以前令和4年7月13日以後
縛られて身動きがとれない状態に乗じた行為準強制わいせつ
準強制性交等
不同意わいせつ罪
不同意性交等罪
泥酔させて意識朦朧の状態での行為準強制わいせつ
準強制性交等
不同意わいせつ罪
不同意性交等罪
睡眠に乗じた行為準強制わいせつ
準強制性交等
不同意わいせつ罪
不同意性交等罪
日常的な虐待・DVで抵抗できない状態での行為準強制わいせつ
準強制性交等
不同意わいせつ罪
不同意性交等罪
パートナーを勘違いしていることに乗じた行為準強制わいせつ
準強制性交等
不同意わいせつ罪
不同意性交等罪

刑罰

性交等をおこなう「不同意性交等罪(旧 準強制性交等罪)」の場合、その刑罰は、5~20年の懲役です。

わいせつな行為をする「不同意わいせつ罪(旧 強制わいせつ罪)」の場合、その刑罰は、6ヵ月~10年の懲役です。

不同意わいせつ罪(刑法176条)とは?

(不同意わいせつ)第百七十六条 

1 次に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、わいせつな行為をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、六月以上十年以下の拘禁刑に処する。

 一 (略)

2 行為がわいせつなものではないとの誤信をさせ、若しくは行為をする者について人違いをさせ、又はそれらの誤信若しくは人違いをしていることに乗じて、わいせつな行為をした者も、前項と同様とする。

3 十六歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者(当該十六歳未満の者が十三歳以上である場合については、その者が生まれた日より五年以上前の日に生まれた者に限る。)も、第一項と同様とする。

刑法176条

不同意わいせつ罪は、暴行や脅迫などをはじめとする主に8類型の事由により、相手に「不同意」の意思の形成・表明・全うをさせない状況下(またはそのような状況に乗じて)、わいせつな行為をした場合に成立する犯罪です。

不同意わいせつ罪の刑罰は、6ヵ月~10年の懲役です。

「わいせつな行為」というのは、性交、肛門性交、口腔性交以外の性行為になるでしょう。

「わいせつな行為」の具体例としては、キス、胸をさわる、お尻をさわる、陰部をさわる等の行為があげられます。

「嫌よ嫌よも好きのうちだ」「同意の上だ」という思い違いをして、強引にキスがや胸を触る等の行為をしたら、不同意わいせつ罪(旧 強制わいせつ罪で逮捕されることもあるでしょう。

強制わいせつの疑いで、(略)男(略)を逮捕した。(略)同署によると、男は熊谷市内で知人の女性と待ち合わせ、犯行に及んだという。隙を見て外に逃げ出した女性が「男に無理やり、ホテルに連れ込まれた」と助けを求め、通行人の男性が110番。同署は防犯カメラの映像などから男を特定した。男は「合意の上だった」と容疑を否認しているという。

埼玉新聞 2019年10月17日00:00(https://www.saitama-np.co.jp/articles/2697/postDetail)

旧法「強制わいせつ罪」とは?

(強制わいせつ)第百七十六条 

十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、六月以上十年以下の懲役に処する。

十三歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。

刑法176条

強制わいせつ罪は、暴行や脅迫を手段として、相手にわいせつな行為をした場合に成立する犯罪です。

強制わいせつ罪の刑罰は、6ヵ月~10年の懲役です。

被害者が16歳未満だった場合は合意の上でも不同意性交になる?

性行為の相手が「16歳未満」の場合、暴行や脅迫をしない性行為でも、不同意性交等罪や不同意わいせつ罪は成立します。

たとえ「合意の上」であったとしても、相手が16歳未満だったのであれば、不同意性交等罪、不同意わいせつ罪などの性犯罪は成立します。

相手が16歳以上相手が16歳未満
不同意性交等罪以下①~⑧による「不同意の
性交等」
①暴行・脅迫
②心身の障害
③アルコール・薬物
④睡眠・意識不明瞭
⑤意思形成等のいとま無し
⑥恐怖・驚愕
⑦虐待等
⑧経済的社会的関係



16歳未満は「性交等」のみで犯罪が成立する。
不同意わいせつ罪以下①~⑧による「不同意の
性交等」

①暴行・脅迫
②心身の障害
③アルコール・薬物
④睡眠・意識不明瞭
⑤意思形成等のいとま無し
⑥恐怖・驚愕
⑦虐待等
⑧経済的社会的関係
16歳未満は「性交等」のみで犯罪が成立する。

日本の性的同意年齢は16歳です。

性的同意年齢とは、性行為の同意能力があるとみなされる年齢の下限のことです。

未熟な子どもは同意能力を有しないとされる前提で、このような規定が別途置かれています。

刑罰

16歳未満に対しての「不同意性交等罪」の刑罰は、5年~20年の懲役です。

16歳未満に対しての「不同意わいせつ罪」の刑罰は、6ヵ月~10年の懲役です。

旧法「強制性交等罪」「強制わいせつ罪」の場合は?(13歳)

なお、旧法である「強制性交等罪」「強制わいせつ罪」が適用される場合は、合意の上であるかどうかにかかわらず「13歳未満」に対する性行為は犯罪になります。

不同意性交等罪不同意わいせつ罪
相手が13歳以上・暴行又は脅迫という手段を用いる。
・性交等をする。
・暴行又は脅迫という手段を用いる。
・わいせつな行為をする。
相手が13歳未満・性交等をする。・わいせつな行為をする。

性犯罪で訴えられるとどうなる?

警察に訴えられると必ず逮捕?

性犯罪が警察に発覚するきっかけは、相手の方が警察に訴えるかどうかによるでしょう。

その後、逮捕されるかどうかは、捜査機関の判断しだいです。

「逮捕の必要性」があると判断されれば、逮捕されることになります。

逮捕の実例は?

性犯罪で後日逮捕された実例としては、以下のようなものがあります。

この事案は、被害届や告訴状が警察に提出されて、性被害について訴えられることになり、後日逮捕されたという事案です。

その後、起訴されて、有罪判決がだされています。

2018年1月、女性は美容関係の人気アプリで、(略)口コミの評価も高かったアロママッサージ店を見つけて予約しました。(略)マッサージの終盤。徐々に手が下着の中に入ってきて、胸を触られて(略)翌日、警察に被害届を出しました。警察は女性に事情を聴くなどし、2019年6月、この店の53歳(逮捕時点)の経営者を準強制わいせつの疑いで逮捕しました。(略)2022年9月の判決。京都地方裁判所は被告に懲役2年の実刑を言い渡しました。

NHK事件記者 取材note 2023年2月3日(https://www3.nhk.or.jp/news/special/jiken_kisha/shougen/shougen58-2/)

逮捕されない場合もある?

すべての事件で逮捕されるとは限りません。

逮捕されるのは、犯罪の証拠があって、逮捕の必要性があるような場合です。

被害届がだされただけでは、逮捕されません。

逮捕できるだけの証拠や根拠が必要になります。そういった証拠や根拠については、逮捕の要件として刑事訴訟法に規定されています。

逮捕の要件というのは、嫌疑の相当性、逮捕の必要性といった要件です。

相手との示談が成立しているというような場合だと、逃亡や罪証隠滅のおそれはないから「逮捕の必要性」がないと判断してもらえる可能性はあるでしょう。

また、いったん逮捕されたとしても、その後身体拘束をつづける必要性がなくなれば、釈放されます。

身体拘束をうけない場合、在宅事件となります。

在宅事件になると、普段どおり家で生活できますが、捜査はつづきます(在宅捜査)。

警察の在宅捜査が終了したら、その捜査資料は、検察に引き継がれます。これを「書類送検」といいます。

書類送検された後は、検察官によって、起訴か不起訴かの判断がされます。

起訴されればその後は刑事裁判をうけることになります。

在宅事件の場合は、在宅起訴されて、刑事裁判がある日に、裁判所におもむき、刑事裁判をうけることになります。

在宅事件の実例は?

在宅事件の実例としては、以下のようなものがあります。

この事件は、自衛官の強制わいせつ事件(現 不同意わいせつ事件)が、在宅起訴された事件です。

複数の男性隊員から性被害を受けた問題で、福島地検は17日、関与した元隊員の男3人(いずれも懲戒免職)を強制わいせつ罪で福島地裁に在宅起訴した。3人は強制わいせつ容疑で福島地検郡山支部に書類送検され、一度は不起訴(嫌疑不十分)となったが、郡山検察審査会が昨年9月に不起訴不当と議決し、地検が再捜査した。

讀賣新聞オンライン 2023年3月17日19:22(https://www.yomiuri.co.jp/national/20230317-OYT1T50195/)

検察官に起訴されたら、その後は、刑事裁判を受けることになります。

刑事裁判では、裁判官に対して、訴えられる有利な事情な主張があればすべて訴えていきます。

無罪主張なら合意があったことを裏付ける証拠や主張を訴えかけます。

刑罰の重さについて争うならば、示談が成立などの事情は必須といっても過言ではありません。

できるだけ早くから準備していくことで、冷静に刑事裁判をむかえることができるでしょう。

「合意の上」は証明できる?

性犯罪の「合意の上」とは?

不同意性交等罪は、「暴行」「脅迫」をはじめとする8種類の「不同意」に陥りやすい状況において、被害者が不同意の意思を形成・表明・全うすることが難しい場合に、性交等をしたとき、罰せられます。
まさに、性行為が「合意の上」なのかどうかが問われています。

また、不同意性交等罪の前身である「強制性交等罪」についても、「合意」の有無は、事実上、性犯罪が成立するための要件になっていたといっても過言ではないでしょう。

強制性交等罪の場合、たしかに、条文上は、「合意」の有無を問題にしていないようにも読めます。

しかし、強制性交等罪の保護法益は「性的自由」です。「性的自由」というのは、望まない相手との性行為をしない自由のことです。

したがって、条文には「合意」の文字はなくても、性犯罪の本質は、合意のない性犯罪を罰するというところに主眼があるといえるでしょう。

ただし、不同意性交等罪であっても、強制性交等罪であっても「合意の上」であったかどうかを証明するのは、非常に難しいものです。

性行為の前にわざわざ同意書などを取り交わす人もいないでしょう。「合意」は内心の問題になるので、合意そのものが目に見えるかたちで残ることはありません。

個人の認識のすれ違いが容易に起こりうるものです。

そういうこともあって、条文では「暴行」「強迫」等の分かりやすい要件が規定されたり、不同意になる場面を場合分けをして要件が規定されています。

実務上の運用としては、「暴行」「脅迫」については、比較的ゆるやかに認定される傾向がありました。強度の暴行や脅迫でなくても、性的自由をおびやかすもの、合意が形成されていない状況をあらわす事情などがあれば、「暴行」「脅迫」が認定されることも多いものでした。

総じてみると、性犯罪に及ぶまでの態様、被害者の言動、周囲の状況などの事情の有無が、「合意の上」かどうかを判断するためのポイントになります。

それらの事情から被害者が抵抗している(=同意していない)と判断されれば、不同意性交等罪や成立したり、強制性交等罪の「暴行」「強迫」が認定されたりして、有罪判決になるということもあるでしょう。

実際の裁判は?無罪と有罪の分かれ目は?

実際に、合意の有無が争点になった実例を見てみましょう。

無罪の実例

こちらは、被害女性の明確な拒絶がなく、加害者が誤信する状況であったとして、無罪判決がだされた事例です。

内容
罪名準強姦罪(旧 準強制性交等罪・現 不同意性交等罪)
結論無罪
概要・福岡市の飲食店で、当時22歳の女性が飲酒で深酔いして抵抗できない状況にあるなか、加害者が性的暴行をしたという事件。
・被害者である女性はテキーラなどを数回一気飲みさせられ、嘔吐しても眠り込んでいた。
・被害女性から明確な同意はなかった。
要旨女性が目を開けたり声を発していたことから、加害者側は許容していると誤信する可能性があった。被害者に完全な拒絶反応がなかったなどとして、無罪判決が言渡された。
世論・批判「合意の上だったと誤信すれば罪にならないのか」「加害者が、相手の同意の有無を判断できなかったことに過失はなかったのか」など、波紋を呼んだ判決。
福岡地裁久留米支部平成31年3月12日判決(無罪)

この無罪判決には批判もあるところです。

女性は、飲酒酩酊し、嘔吐してもなお眠り込んでおり、抵抗できない状態でしたが、目を開けたり、何度か声を出したりしている状態でした。被告人は、女性の積極的で明確な同意がないにもかかわらず性交を行い、裁判所は、「女性が許容している、と被告が誤信してしまうような状況にあった」と評価しましたが、私はその評価は一般常識とずれているような気がします。裁判所が被告人の誤信に合理性があると考えるなら、もう少し説得的に納得できるように説明すべきであったのではないかと思います。

Yahoo!ニュース2019年3月20日6:27(https://news.yahoo.co.jp/byline/sonodahisashi/20190320-00118874)

2019年3月、実はほかにもこのような無罪判決が相次ぎました。

一方で、以下でご紹介するのは検察官の控訴により逆転有罪判決となった事件です。

有罪の実例

こちらの裁判は、19歳の実子に性的虐待を繰り返していた父親が、有罪になった事例です。

内容
罪名準強制性交等罪(現 不同意性交等罪)
結論有罪
事情・被害者が、中学生の頃から実の父親に性行為を求められていた事件。
・被害児童は、恐怖心などから父親に抵抗できる状態にはなかった。
・被害児童は、さいしょは陰部を触られたり口腔性交などを求められた。しだいに性交を迫られるようになった。専門学校へ通うようになってからも性被害は続いた。
・被害者は、学費などの経済面からも父親に頼らざるを得ない状況だった。被害者からすれば逃げ場のない状況だった。
地方裁判所(第一審)第一審(地裁判決)では、無罪判決が言い渡された。
・被害者の同意がなかったことは認めつつも、強制性交等罪の要件である「抗拒不能」を満たさないと判断された。
・父親の性的暴行は被害者を完全に支配するまでの程度のものではなかったと判断された。
・性行為の事実についても、抵抗することが著しく困難な状況ではなかったと指摘された。
高等裁判所(第二審)・第二審(高裁判決)では、父親に、懲役10年の有罪判決が言渡された。
・第二審の裁判所は、一審判決の内容について、①証人である精神科医の判断を軽視している、②「抗拒不能」の要件の解釈が間違っている、③「父親が実の子に対し、継続的に行ってきた性的虐待の一環であるということを十分に評価していない」などと批判した。
名古屋高裁令和2年3月12日判決(有罪)

抵抗できない関係、支配関係にあるような場合、性行為は「合意の上」で行われたものはないという認定がされやすいと言えるでしょう。

なお、親子関係の性犯罪については、現在、監護者わいせつ及び監護者性交等罪で逮捕されることになるでしょう。

(監護者わいせつ及び監護者性交等)第百七十九条

1 十八歳未満の者に対し、その者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じてわいせつな行為をした者は、第百七十六条の例による。

2 十八歳未満の者に対し、その者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じて性交等をした者は、第百七十七条の例による。

刑法179条

「合意の上」かどうかの証拠は?

合意の上での性行為なのか、それとも合意の上ではない性行為や支配関係による性行為なのかといった断は、法律の専門家でないと分かりにくいかもしれません。

一番わかりやすい証拠としては、次のようなものでしょう。

  • 被害者の体に暴行をうけた形跡がある
  • 被害者がけがをしている
  • 被害者の衣服が破れている

これらは、被害者が加害者に抵抗していたことを表すひとつの証拠になるでしょう。

合意の有無、暴行・脅迫の有無などが争点になる場合、たんに「合意の上」だと思っていたという主張だけでは無罪をめざすには不十分です。

不同意性交等罪(旧 強制性交等罪)ということになれば、その量刑はとても重い犯罪となります。

すこしでも不安がある場合は、早めの弁護士相談をおすすめします。

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SNSやマッチングアプリで異性やパートナーを見つける機会が多い現在では、「合意の上」であるとの思い違いでトラブルに発展することも多いでしょう。

警察の取調べやその後の刑事裁判では、たんに「合意の上だと思っていた」と主張するだけでは、乗り切ることはできません。

合意の上ではない性行為について訴えられるケースでは、弁護士をとおして、相手に謝罪を申し入れ、示談を成立させる必要があります。

合意の上なのに訴えられるケースでも、弁護士をたてて、相手との話し合いや、取調べの対応をしていかなければなりません。

すでに相手から示談金を請求されたり、被害届の心配がある方もいるでしょう。

時間に余裕はありません。

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アトム法律事務所は、設立当初から刑事事件をあつかう事務所として発足しました。

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