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LINEでわいせつ画像のやり取りをしたら逮捕される?罪になる行為とは

LINEや Twitter などのSNSが普及し、相手と直接連絡先を交換しなくてもやり取りが可能な時代となりました。
Twitter やインスタグラムなどのSNSには、DM(ダイレクトメール)機能も備わっており、相手がブロックをしていない限り容易にメッセージのやり取りも可能です。
これらLINEなどを、連絡を取るツールとして毎日利用している方も多いのではないでしょうか。
LINEなどを使った通常のやり取りで事件になることは考えにくいです。
しかし、わいせつ画像のやり取りは事件に発展する可能性があります。
- SNSなどで知り合った人とLINE交換し、盛り上がってわいせつ画像をやり取りしてしまった
- 未成年の相手とLINEでわいせつ画像のやり取りをしてしまい、相手の親にばれてしまった
- わいせつ画像のやり取り後、怖くなってLINEやSNSのアカウントを削除したが大丈夫か?
- 元恋人に送信を要求したわいせつな画像を第三者に見せてしまった
など、事例は様々であれ、わいせつ画像のやり取りは犯罪に該当してしまうケースがあります。
当記事では、LINE・SNS上でわいせつ画像と思われるものを送信した・送信させたという方に向け、罪になる可能性や、罪の詳しい内容などについて解説していきましょう。
- LINEなどでのわいせつ画像のやり取りは何罪になる?
- LINEなどでのわいせつ画像のやり取りは逮捕される?
- LINEなどの犯罪行為を弁護士に相談するときのポイントとは?
目次
LINEでわいせつ画像をやり取りしたら罪になる?

わいせつ物頒布等罪にあたる可能性
(わいせつ物頒布等)第百七十五条
刑法175条
わいせつな文書、図画、電磁的記録に係る記録媒体その他の物を頒布し、又は公然と陳列した者は、二年以下の懲役若しくは二百五十万円以下の罰金若しくは科料に処し、又は懲役及び罰金を併科する。電気通信の送信によりわいせつな電磁的記録その他の記録を頒布した者も、同様とする。
2 有償で頒布する目的で、前項の物を所持し、又は同項の電磁的記録を保管した者も、同項と同様とする。
たとえば1対1のやり取りでわいせつ画像を送ってしまったからといって、ただちにわいせつ物頒布罪に該当するわけではありません。
まずはそれぞれの用語についてご説明いたします。
わいせつ物の「わいせつ」とは
「わいせつ」について、最高裁判決では、「いたずらに性欲を興奮・刺激せしめ、普通人の正常な性的羞恥心を侵害し、善良な性的道徳観念に反するもの」と定義しています。
わかりやすい例ですと、無修正の男性・女性の局部(性器)画像などは基本的に「わいせつ物」に該当します。
電磁的記録とは
動画や写真画像などのデータをいいます。
頒布とは
不特定又は多数の者の記録媒体上(パソコンやスマホ)に、電磁的記録(わいせつ画像や動画)その他の記録を存在するに至らしめることをいいます。
1対1で特定の相手とLINEでやり取りしている中で、わいせつ画像などを送っても通常「頒布」とはいえません。
しかし、例えばグループLINEなどで、不特定又は多数の者にわいせつ画像などを送った場合「頒布」したといえる可能性は高まります。
わいせつ物頒布等罪 は、あくまで頒布を要件としています。
よって、単純にわいせつ物を所持していただけでは、わいせつ物頒布等罪が成立することはありません。
また、最高裁では、「社会通念上」認められ得るわいせつ物について定義していますが、実はその内容は明確ではありません。
とはいっても、性行為中や裸体を撮影した画像(写真)・動画などの頒布は、警察の捜査対象になってくるでしょう。
多くの裁判で「わいせつ物」の概念が争われる例とは、たとえば芸術とわいせつ物の線引きが難しいような作品などです。
児童ポルノ法違反に該当する可能性
つづいて、相手(被害者)が10代だった場合です。
本章では、「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」(当記事では児童ポルノ法と呼びます)に規定されている 罪名・罰則 についてご紹介します。
未成年と、LINEなどを通じてわいせつ画像の要求をした場合、重い罪に問われてしまう可能性があります。
児童ポルノでいう「児童」とは、18歳未満の男女です。
まずは、LINEなどがきっかけで、児童ポルノ法違反となりうる行為についてみていきましょう。
児童ポルノで規制される主な行為 | LINEなどを利用し違法になる例 |
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児童ポルノの単純所持 | 児童の裸の画像(写真)・動画を自分のパソコンや携帯電話に保存した |
児童ポルノの 提供 | 児童の裸の画像 (写真) ・動画をSNS上で拡散したり知人に送信したりした |
児童ポルノの 製造 | LINEなどを通して児童に裸の画像 (写真) ・動画送信を要求した 児童の裸の画像 (写真) や動画などの姿態を撮影した |
児童ポルノ法違反で対象になるわいせつ画像 (写真) 、わいせつ動画については以下のとおりです。
児童ポルノに該当するもの |
---|
児童による性交または性交類似行為に係る児童の姿態 |
他人が児童の性器等を触る行為または児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの |
衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位(性器等若しくはその周辺部、臀部又は胸部をいう。)が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの |
児童ポルノ禁止法での罰則は、
単純所持が1年以下の懲役又は100万円以下の罰金、
提供・製造が3年以下の懲役又は300万円以下の罰金となっています。
また、上記ではご紹介していませんが、そのほかに児童ポルノを不特定若しくは多数の者に提供・拡散し、または公然と陳列した者は、5年以下の懲役刑もしくは500万円以下の罰金刑が規定されています。
このように、LINEなどで要求したわいせつ画像や動画に写っている相手が児童だった場合、規制範囲が広いため注意が必要です。
ひとたび児童ポルノ法違反で摘発されると、逮捕される可能性が高まってくるでしょう。
リベンジポルノ法違反に該当する可能性
リベンジポルノ法( 私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律)は、近年制定された比較的新しい法律です。
交際相手などへの復讐目的で、わいせつ画像 (写真) や動画を悪用したケースを想定しています。
リベンジポルノ法違反の特徴は以下のとおりです。
- 親告罪である
- わいせつ画像等を、相手の同意なく公表等した場合に罪になる
親告罪とは、相手(被害者)の告訴をもって起訴される犯罪をいいます。
つまり、相手が告訴しないかぎりは、わいせつ画像等を公表した加害者は処罰されないということです。
リベンジポルノ法違反で禁止される行為と罰則は、以下のとおりです。
公表罪 | (例)復習したい相手の性的画像 (写真) をLINEなどを通して、不特定多数の人間に拡散した | 3年以下の懲役または50万円以下の罰金 |
公表目的提供罪 | (例)復讐したい相手のわいせつ画像 (写真) を第三者に提供し、LINEなどで公表するよう依頼した | 1年以下の懲役または30万円以下の罰金 |
以下は、リベンジポルノ法違反で禁止されている「わいせつ画像等(私事性的画像記録)」にあたるものです。
性交又は性交類似行為に係る人の姿態 |
他人が人の性器等(性器、肛門又は乳首をいう。以下この号及び次号において同じ。)を触る行為又は人が他人の性器等を触る行為に係る人の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの |
衣服の全部又は一部を着けない人の姿態であって、殊更に人の性的な部位(性器等若しくはその周辺部、臀部又は胸部をいう。)が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの |
LINE・SNSのわいせつ画像で逮捕される可能性

LINEやSNS上のわいせつ画像のやり取りが警察の捜査対象となり、悪質性も高ければ、逮捕される可能性は十分にあります。
LINEのわいせつ画像で逮捕されるきっかけとは?
該当する罪名にもよりますが、逮捕に至るきっかけには次のようなケースが考えられます。
- LINEのやり取りの中で、相手に「通報機能」から通報される
- ネット上で拡散したわいせつ画像を見た第三者が、警察に通報する
- 相手が児童だった場合、親がLINE上のわいせつ画像を発見し通報する
LINEの通報機能では直接警察に通報されるわけではありませんが、運営側の判断により事件に発展する可能性も考えられます。
児童が相手だった場合、携帯電話を親に管理されていることもあるかと思います。
親の通報によって、警察の捜査のきっかけになるでしょう。
LINEのアカウントを削除しても逮捕される?
LINEやSNSでわいせつ画像などの情報交換をおこない、罪になるのを恐れてアカウント削除を試みた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
まずアカウント削除によって自分(個人情報)が特定されるかされないか、ということですが、SNSではアカウント削除後であっても、一定期間は情報が残ることになっています。
警察の捜査では、アカウント削除後もパソコン内の記録を開示することが可能です。
相手や第三者の通報によって警察が認知し、わいせつ画像の内容や行為が悪質である場合は、捜査を開始される可能性が高いでしょう。
ただ、アカウント削除後数年が経過している場合や、各犯罪行為の時効が経過していれば、捜査をされることは考えにくいです。
LINEなどSNSのわいせつ画像については弁護士に相談

LINEやTwitterなどでわいせつ画像のやり取りをしたが、そもそも罪に該当するのかがわからない・逮捕されてしまう前に専門家のアドバイスが聞きたいという方は、弁護士相談を利用しましょう。
IT犯罪を含む、刑事事件での弁護士選びのポイントは以下のとおりです。
弁護士・弁護士事務所選びのポイント
- 刑事事件に慣れている弁護士・弁護士事務所か(弁護士の特徴)
- 費用面はわかりやすい仕組みになっているか(費用)
- 無料相談のシステムはあるか(事務所の特徴)
- 刑事事件を多く扱ったことがあるか(実績)
- 身近な存在として信頼できる弁護士か・相性が合うか(人柄)
刑事事件はひとたび検挙・逮捕されてしまうと、スピーディーに進行します。
弁護士に現状や不安をしっかり打ち明け、今後についてあらかじめ相談しておくことが重要です。
LINEなどで、わいせつ画像のやり取りをした場合、罪になる可能性があります。
まずは、刑法上の犯罪に該当する可能性と罪名・罰則についてご紹介します。