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淫行で逮捕|淫行条例違反や法令違反・逮捕の流れについて徹底解説

昨今、淫行で逮捕された芸能人のニュースが、相次いで話題となりました。
一般用語での淫行とは、「みだらな行為」をいい、性交やそれに近い行為をさします。
また、当記事で解説する「淫行」は、罪になる場合、つまり18歳未満の相手とみだらな性行為をした場合です。
淫行で逮捕されそう・ご家族が淫行で逮捕されてしまった方は、以下についてお困りではないでしょうか。
- 刑事事件の淫行とは?どのような行為が罰則になる?
- 淫行条例に違反した場合とは?ほかの罪に問われることもある?
- 淫行で逮捕されたらどうなる?手続きについて知りたい
- 淫行で逮捕されそう・逮捕されたら何をしたらいい?
目次
以下、淫行で逮捕されるケースやその後について詳しく解説していきます。
ぜひ最後までお読みください。
淫行で逮捕される場合とは?各規定や罰則について解説

淫行で逮捕される場合とは、淫行条例などに違反した場合です。
この章では、「淫行」で逮捕される数々のケースについて、各条例や刑法上の罰則に沿って解説します。
淫行で逮捕されると一口に言っても、その淫行がどの法律や条例に違反したかにより状況は変わります。
また、淫行条例においては、各都道府県ごとで名称や内容が異なり、淫行をおこなった都道府県により処罰内容も変わってくるのです。
まずは東京の淫行条例を見てみましょう。
東京都の淫行条例で逮捕
(青少年に対する反倫理的な性交等の禁止)
第十八条の六 何人も、青少年とみだらな性交又は性交類似行為を行つてはならない。
(罰則)第二十四条の三 十八条の六の規定に違反した者は、二年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
東京都青少年の健全な育成に関する条例
東京の淫行条例においては、単に青少年(少年・少女)とみだらな性交・性交類似行為をした場合に罰するとしています。
性交類似行為とは、肛門性交や口淫等が該当するでしょう。
東京の場合ですと、18歳未満と知らずに淫行したケースは罰則の対象となりません。
東京に対し大阪の条例は、財産上の利益やその他役務・職務の供与などを条例違反の要件にしています。
大阪の淫行条例の一部を抜粋したものは以下のとおりです。
第三十九条 何人も、次に掲げる行為を行ってはならない。
一 青少年に金品その他の財産上の利益、役務若しくは職務を供与し、又はこれらを供与する約束で、当該青少年に対し性行為又はわいせつな行為を行うこと(児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(平成十一年法律第五十二号。以下「児童買春・児童ポルノ禁止法」という。)第二条第二項に該当するものを除く。)。
二 青少年に対し、威迫し、欺き、若しくは困惑させることその他の当該青少年の未成熟に乗じた不当な手段を用い、又は当該青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として性行為又はわいせつな行為を行うこと。
三 青少年に売春若しくは刑罰法令に触れる行為を行わせる目的又は青少年にこれらの行為を行わせるおそれのある者に引き渡す目的で、当該青少年に対し性行為又はわいせつな行為を行うこと。
大阪府青少年健全育成条例
つまり、大阪で淫行をおこなった場合は、性的行為の代償として青少年にお金を渡したケースなどが罪になるのです。
ちなみに、北海道の淫行条例においては、東京の淫行条例同様、金銭の授受は要件としていません。
淫行条例においては、当事者双方が18歳未満の青少年だった場合は罰則の対象となりません。
また、青少年と性交をした場合であっても、結婚を前提とするような真剣交際をしているケースでは淫行にあたらないとされています。
児童買春の容疑で逮捕
18歳未満の男女に対し、金品を渡し、または渡す約束のもと性交等をした場合は、児童買春にあたる可能性も考えられます。
なお、児童買春については「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」に定められており、買春する側が処罰される規定となっています。
(児童買春)第四条
児童買春法4条
児童買春をした者は、五年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。
児童買春においては、相手が18歳未満であると知らなかった場合は処罰対象となりません。
もっとも、完全な故意性がなくても、未必の故意があった場合でも処罰対象となるので注意が必要です。
未必の故意とは、犯罪事実の実現を積極的に意図しておらず、犯罪事実の発生を確定的なものと認識していない場合をいいます。
児童買春においては、相手が18歳未満かもしれないと思っていたが性交等に及んだ場合がそれにあたります。
強制わいせつ・強制性交等罪で逮捕
強制わいせつ・強制性交等罪は、刑法上に規定されている犯罪です。
かつては、男性が女性に対して無理やり性交等をすることのみを処罰対象としていましたが、現在ではその逆、女性が男性に対しておこなった場合であっても処罰対象です。
強制といっていますが、相手が13歳未満であれば、同意があってもなくても罰することとされています。
相手が13歳以上であれば、同意がなかったことが前提となります。
また、暴行や脅迫を用いたこともこの犯罪の要件です。
なお13歳未満については、この暴行や脅迫ですら、あってもなくても成立します。
強制わいせつの条文は、以下のとおりです。
(強制わいせつ)第百七十六条
十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、六月以上十年以下の懲役に処する。十三歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。
刑法176条
(強制性交等)第百七十七条
十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。十三歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。
刑法177条
淫行条例や児童買春での行為が、さらに上記に該当すれば、強制わいせつ容疑の可能性も出てきます。
また、暴行や脅迫以外にも、意識を失っていたり、抵抗できない状態にある相手にわいせつ行為、性交等をおこなう行為も処罰対象です(刑法178条)
淫行で逮捕される?ケースで解説
つぎに、淫行で逮捕されるケースについて、どの条例・法律で罰せられる可能性があるかを事例で検討してみましょう。
ケース1
東京に住むAさんは、出張で大阪を訪れ、居酒屋でアルバイトをしていた16歳の少女Vと接触。
その後ホテルに行き、双方同意のもと性的な関係を持った。
ケース1ですと、性交等によって金銭の授受はされていません。
よって、いわゆる援助交際などが該当する児童買春にはあたらないでしょう。
また、相手は13歳以上かつ双方に同意があるケースですので、強制わいせつや強制性交等罪にも該当しません。
大阪での出来事ですが、大阪の淫行条例は金銭の授受を犯罪要件としていますので、結果、Aさんはどの法律でも罰せられない可能性が高いでしょう。
ただし上記の例で、少女Vに対して威迫し、欺き、若しくは困惑させるなどして自己の性欲を満たした場合は、淫行条例違反に該当する可能性が高くなります。
ケース2
Bさんは、東京で知り合った14歳の少女Vと数回にわたり性交渉をしている。
2人は交際関係になく、両当事者は性交渉をおこなうことにつき同意はあった。
ケース2は東京での出来事です。
東京の淫行条例では、基本的に金銭の授受を犯罪要件としていませんので、今回は東京の青少年健全育成条例違反が考えられるでしょう。
なお、両当事者に上下関係があったような場合で、当事者がそれぞれその立場を認識していた場合、児童福祉法違反に該当する可能性もあります。
児童福祉法の淫行については、児童福祉法34条1項6号に規定されています。
児童福祉法では、単に18歳未満との性交について禁止しているのではなく、何らかの上下関係を利用して性交したことを罰則対象としています。
たとえばニュースでよく見聞きするような、教師(教諭)と生徒のような上下関係があるうえで性交等をしたケースです。
淫行で逮捕されたら?逮捕の流れについて解説

淫行で逮捕されてしまった場合、警察署の留置場などに収容されます。
その後身柄拘束が続いた場合、被疑者は起訴・不起訴の決定まで、最大23日間収容されることになります。
淫行で逮捕されてから処分確定まで
警察は、逮捕から48時間という時間厳守で被疑者の取り調べをおこないます。
その後被疑者が検察官に送られると、検察官は被疑者を釈放しない限り、24時間以内に勾留請求をしなければなりません。
勾留が決定すると10日間の身柄拘束が確定し、その後勾留延長までされれば、さらに最大10日間拘束されます。
勾留又は勾留延長後、検察官が処分を決定します。
起訴されれば裁判に、不起訴となれば前科はつかず事件終了です。
強制わいせつなど罪の重い犯罪で起訴された場合、保釈請求が認められなければ身柄拘束は続きます。
起訴後は、一定の罰金刑の場合は略式裁判に、そうでない場合は正式裁判となり、法廷で裁かれることになります。
淫行で逮捕さないためには?
淫行を自首する
淫行で逮捕されないための方法として、「自首」がまず考えられます。
行為態様や相手の年齢などによっては、自首しても逮捕されることもありますが、そもそもが悪質でない場合は逮捕されずに済む場合もあるでしょう。
なお、自首をしても取り調べは受ける必要があります。
被害者と示談する
被害者との示談はもっとも有効です。
しかしながら、相手が18歳未満ということは未成年です。
未成年は、示談などの法律行為を自分自身でおこなうことができません。
よって示談の相手方は児童の親になりますので、被害感情が大きかったりそもそも受け入れてもらえなかったりと、示談が難航するケースが想定されます。
淫行で逮捕・起訴を免れたい方は弁護士に相談

淫行条例違反や淫行法令違反について解説してきました。
どの条例や法律に触れるかは個々の内容によって異なり、態様が悪ければ、起訴されて有罪となるケースもあり得ます。
特に、相手に処罰感情が強い強制わいせつや、同意があっても極端に相手の年齢が低いなど、悪質であればあるほど事件は深刻になるでしょう。
逮捕されていない方で逮捕を恐れている場合、自首についても弁護士同行が可能です。
取り調べのアドバイスなども受けることができますので、弁護士相談は積極的におこないましょう。
また、逮捕されている方についても、ご家族が弁護士に相談することにより、弁護士による身柄解放活動をすることが可能です。
刑事事件に巻き込まれたら、刑事事件に詳しい弁護士に早めに相談しましょう。
「青少年」とは、18歳未満の男女を指します。
罰則は東京の場合、2年以下の懲役または100万円以下の罰金刑と定められています。