
第二東京弁護士会所属。刑事事件で逮捕されてしまっても前科をつけずに解決できる方法があります。
「刑事事件 法律Know」では、逮捕や前科を回避する方法、逮捕後すぐに釈放されるためにできることを詳しく解説しています。
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住居侵入罪の示談について被疑者・加害者側が知っておくべきこととは?

住居侵入罪で逮捕や勾留をされた方・そのご家族で、被害者との示談についてお困りではないでしょうか?
住居侵入罪は、逮捕されれば懲役刑になることも十分あり得る犯罪です。
当記事では、住居侵入罪の加害者が示談をする場合について、以下の疑問に沿って解説しています。
- 住居侵入罪の内容や刑罰について知りたい
- 住居侵入罪で示談したら起訴されないって本当?
- 住居侵入罪で示談したら他にどのようなメリットがある?
- 住居侵入罪で示談できるとすれば示談金はいくら必要?
住居侵入罪とはどのような罪なのか、どのような刑罰があるのかをまず理解し、そのうえで住居侵入罪の示談効果や示談金相場について知ることが大切です。
目次
住居侵入罪とはどのような罪?

当然ですが、住居侵入罪に該当しなければ、逮捕もされませんし示談の必要性もありません。
まずはご自分のしたことが、住居侵入罪に該当するのかどうかから知りましょう。
特にまだ逮捕されていない方は、ぜひお読みください。
住居侵入罪の成立要件
住居侵入罪(住居等侵入罪)は、以下に当てはまったときに成立します。
- 正当な理由がないのにもかかわらず
- 他人の住居もしくは人の看取する邸宅・建造物や艦船に
- 侵入したこと
簡単にいえば、不法に他人の住居などに侵入(不法侵入)した場合、住居等侵入罪に該当するということです。
侵入した場所が他人の生活する住居だった場合は「住居侵入罪」、学校や会社などに侵入した場合は「建造物侵入罪」です。
侵入先がおもに住居である場合、民家や賃貸マンションの室内はもちろん、マンションに設置してあるベランダなどの共有部分も侵入場所に該当することがあります。
住居侵入の成立要件(構成要件)について、詳しくは『住居侵入罪の構成要件|住居や建造物とは?どこに侵入したら罪になる?』で解説しています。
参考にしてください。
住居侵入罪の刑罰とは
住居侵入罪で示談できなかった場合や犯罪行為が悪質だった場合、起訴されて懲役刑になることがあります。
住居侵入罪の法定刑は以下の通りです。
3年以下の懲役または10万円以下の罰金
刑法130条
懲役刑とは、刑務所に収監させられ、所定の作業をしながら罪を償っていく刑罰です。
自由刑の一種であり、死刑の次に重い刑罰として規定されています。
また、罰金とは、単に金銭を支払うのみではありません。
罰金刑は刑務所には収監されませんが、懲役刑と同様「前科」がついてしまいます。
住居侵入罪で示談できる場合はした方がいい

住居侵入罪で示談のチャンスがあればしたほうがいいです。
示談のチャンスとは、弁護士などの加害者側と被害者(被害者側)の接点があることや、そもそも被害者側に示談をする気があるかなどです。
住居侵入罪の加害者が示談することは基本的にメリットしかありません。
それでは住居侵入罪の示談について、各項目ごとにみていきましょう。
住居侵入罪の「示談」とは
住居侵入罪にいう「示談」とは、住居侵入の加害者と被害者が、合意をもって事件を解決することをいいます。
示談には基本的に「示談金」がついてきますので、実際には示談金の金額などを被害者と交渉することになるでしょう。
示談の成立要件は示談書の作成や提出ではありませんが(合意が要件です)、基本的に「証拠」として示談書を作成することになります。
作成された示談書は、その後の言った言わないの水掛け論を防止できますし、何より刑事事件である住居侵入罪の示談にあっては、示談書を捜査機関などに提出する必要が出てきます。
示談が成立すれば、被害者が追加で示談金などを要求することは基本的に許されません。
住居侵入罪の示談効果
住居侵入罪の示談書を作成する必要があるといっても、示談書の書き方についてまるで知らない方が大半ではないでしょうか。
弁護士に相談・依頼すれば、示談交渉から示談書の作成まで委任できますが、加害者側においてもその内容などを知っておくといいでしょう。
示談書の書き方

刑事事件(住居侵入罪)の示談書には、一般的に以下の内容を記載します。
- 事件の当事者(加害者・被害者の氏名)
- 事件の発生日時
- 事件の発生場所(○△付近など)
- 示談を締結したという事実
- 示談金の金額
- 示談金の支払い方法
- 清算条項(示談書記載の内容以外に、加害者に賠償義務がないということ)
- 宥恕(ゆうじょ)文言(被害者が加害者を許すという文言)
- 被害届の取り下げ意思
宥恕文言はとくに重要です。
被害者が加害者を許すことの効果として、被害届を取り下げてくれることにも繋がります。
また、住居侵入罪は事件の発生場所が被害者の住居などです。
つまり加害者は被害者の住所を知っているため、その付近に近づかないことを示談条件として記載することもあります。
(例:被疑者(被告人)乙は、被害者甲の自宅住所から半径○メートル以内に侵入しない)
なお、加害者が仮に示談で取り決めた内容に違反した場合、その示談は無効になります。
示談書の内容は任意で決められる
示談の概要については、当事者同士で任意に決められる部分もあります。
住居侵入罪の事案や当事者の事情により、内容は変わってくるでしょう。
かならず記載する重要事項は一般的に統一していますが、事案のケースは人それぞれです。
よって、取り決めた示談書の内容によっては、刑事処分においてかならず最善の効果を発揮する保障があるわけではありません。
示談書に記載する内容として、任意に決めることのできる代表的な項目は以下の通りです。
- 示談金の金額
- 被害者が加害者を許すかどうか
- 被害者が被害届を取り下げるかどうか
- 宥恕文言の有無
住居侵入罪で示談することのメリット・デメリット
住居侵入罪の加害者側にとって示談は原則としてメリットしかありません。
他方で、被害者側にとってはデメリットも存在します。
住居侵入罪で示談する加害者側のメリット
加害者側のメリット
- その後の刑罰が軽くなることがある
- 前科がつかず不起訴になる可能性がある(懲役刑や罰金刑の回避)
- 示談金に代えて被害者から「許し」を得られることで、自分を責めずに生きていける
- 示談によって前科などが避けられれば社会復帰しやすくなる
住居侵入罪は、初犯でしかも態様がそれほど悪質でなければ、示談をもって不起訴になる可能性が高いです。
また、肝心な被害者からの許しを得られていることで、刑罰自体が軽くなることもあり得ます。
不起訴を勝ち取れば、前科がつくことはありません。
不起訴となれば事件は終了です。
事件そのものをなかったことにはできませんが、事件については関係者以外誰も知りえません。
よって、その後の社会復帰がスムーズになる可能性があるでしょう。
住居侵入罪で示談する被害者側のメリット
住居侵入罪の被害者側のメリットとして、代表的なものは以下の通りです。
被害者側のメリット
- 早期に示談金を受け取ることができる
- 示談で取り決めた内容によって、今後加害者を遠ざけることができる(接触回避)
加害者側からの示談金支払いや接触回避についての条項を取り決めることにより、被害者にとってもメリットは存在します。
ただし示談は事件の解決であるため、加害者側の住居侵入を許すことにより、加害者の罪が軽くなる可能性も知っておかなければいけません。
その事情をデメリットととるか「事件の解決」という意味でとるかは分かれるところですが、示談によって金銭的な解決ができるということは念頭に置いておきましょう。
住居侵入罪の示談金相場はいくら?
住居侵入罪の示談金を算定するにあたっては、明確な決まりもありませんし計算基準なども存在しません。
示談締結と同様、基本的には当事者の合意で決まります。
滅多にないケースですが、被害者側が示談金は不要と言われるケースもあります。
その場合、加害者は金銭的な支払いをすることなく、示談が成立するという流れとなるでしょう。
示談は合意が大原則ではありますが、大きく以下の事情を考慮して示談金の金額が決まります。
示談金の金額決定要素
- 加害者の犯罪行為の悪質さ・程度
- 被害者の処罰感情
しかし、個別事情抜きの「相場」という観点からいえば、大体以下の金額の範囲内で示談に至ることが多いようです。
- 住居侵入罪のみが問題となっているケース
10万円~20万円 - 住居侵入以外の犯罪があるケース(犯罪の種類による)
50万円~300万円
住居侵入罪以外の犯罪があるケースとは、たとえば被害者の住居に侵入し、強制わいせつをおこなったケース・被害者の住居敷地内に侵入し、風呂場をのぞいたり、盗撮をしたりしたケースなどです。
性犯罪以外ですと、店舗などに侵入し、窃盗をしたケースなども考えられるでしょう。
住居侵入罪で示談するなら弁護士依頼が必要

以上、住居侵入罪の示談についてお話ししてきました。
では実際に、住居侵入の加害者(被疑者)が、ご自分で示談交渉から示談締結まで完結できるかといえば無理難題に近いでしょう。
住居侵入罪の示談をしたい場合、または示談できる可能性を探るには、刑事事件の弁護士に相談することが大切です。
住居侵入の被害者と示談交渉するための第一関門は、被害者との接触です。
住居侵入した加害者と、許しを目的に快く会ってくれる被害者はまずいません。
弁護士であれば、被害者の連絡先を入手したり接触したりすることが可能な場合が多いです。
もっとも、弁護士含む加害者側を拒否する被害者もなかにはいますが、弁護士にできることは被害者との接触だけではありません。
その後の示談交渉や示談金の取り決めなどについて、柔軟に被害者の話を聞き、加害者の代弁をすることが可能なのです。
アトム法律事務所では、加害者や加害者ご家族からのご相談予約を、24時間365日受け付けております。
警察などの捜査機関がすでに関与している事件においては、相談料無料です。
ぜひ地元お近くの支部にお問い合わせください。
示談は、加害者と被害者の合意が大前提です。
しかし、実際に加害者本人と被害者が接点を持つことはないため、弁護士などの代理人が間に入っておこなうのが通常です。