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大麻の刑罰を解説|所持・栽培・使用の刑罰とは?所持量が微量なら不起訴もある?

大麻の刑罰についてこのような疑問をお持ちの方はいませんか?
- 大麻の所持や栽培、輸入の刑罰とは
- 大麻の使用は刑罰を科されないって本当なの
- 大麻で実際に刑罰を科される可能性はどれくらい
ご覧のページでは大麻の刑罰について弁護士が徹底解説していきます。
目次
大麻の刑罰|所持や栽培の懲役年数とは
大麻は
「大麻取締法」
という法律によって規制されています。
対象となる大麻
大麻草(カンナビス・サティバ・エル)及びその製品、樹脂。
ただし
大麻草の成熟した茎
成熟した茎を用いた製品(樹脂除く)
大麻草の種子
大麻草の種子を用いた製品
を除く。
たとえば七味唐辛子には大麻草の種子(麻の実)がよく使われていますが、これは違法ではないわけです。
また大麻の茎の皮をほぐして得られる繊維は服飾品によく使われますが、これも違法ではありません。
違法薬物としては
大麻の花や葉を乾燥させたもの
樹脂化、液体化させたもの
がよく流通しているようです。
大麻の所持、栽培、輸入などの刑罰とは?懲役何年?
大麻の主な罰則は以下の通りです。
私的な目的 | 営利目的 | |
---|---|---|
栽培 輸入 輸出 |
7年以下の懲役 | 10年以下の懲役 |
所持 譲受 譲渡 |
5年以下の懲役 | 7年以下の懲役 |
*1情状による例外規定、刑の加重や刑の減軽を除く
*2法的に許可されている場合を除く
これらの罪は未遂も罰する規定となっています。
つまり…
栽培しようとした
所持しようとした
譲り受けようとした
これらもアウト。
実際にその犯罪を遂げてしまった場合と比較すれば、量刑は軽くなることでしょう。
ただ、刑事事件としてとりあげられて刑罰を科される可能性があるという点については注意が必要です。
大麻の使用って刑罰を科されないの?
実は大麻取締法では、
大麻の単純使用
について罰則規定がありません。
(大麻取扱者以外の大麻の研究目的での使用については罰則規定があります。)
その理由
先述の通り、大麻の茎の繊維や大麻の種子は合法的にさまざまな製品に使われています。
生産の過程で、大麻の葉の粉末や成分等が意図せず摂取されてしまうケースも想定されます。
「単純使用に罰則を科した場合、こういった事例も取締りの対象になりかねない」
というのが、大麻使用の罰則規定が設けられなかった理由のひとつだと言われています。
大麻所持で検挙される可能性
大麻の使用は罪に問われませんが、大麻の所持は罪に問われます。
「大麻は使用したが所持はしていないので無罪!」
といった主張が認められる可能性はほぼないでしょう。
判例上の「所持」の定義は一般用語としての「所持」よりもさらに広い意味が与えられています。
物理的に手に持っている必要もありません。
「所持」の意味
大麻だと認識し、管理しうる状態
所持せずに使用するなどといったことは物理的に不可能と言えるでしょう。
大麻を使用した場合、その多くは大麻所持による検挙が可能です。
大麻で刑罰を科される可能性|初犯で所持量微量なら不起訴?

大麻事件の不起訴率の統計データ
大麻の所持量や初犯・再犯の量刑への影響
などについても解説していきましょう。
大麻の不起訴率はどれくらい?
大麻の事案は、他の薬物犯罪と比較すると比較的不起訴の割合が多いと言える類型の犯罪です。
起訴とは
検察官が裁判を開くよう裁判官に提起すること。
原則、裁判が開かれて刑事責任を追及されることになる。

不起訴とは
さまざまな事情に鑑み、裁判を開く必要はないとして刑事手続きを終了すること。

2017年の、大麻取締法における起訴・不起訴の統計データを見てみましょう。
起訴件数 | 2191件 |
---|---|
不起訴件数 | 2057件 |
起訴率 | 約52% |
*検察統計2017年次『17-00-08 罪名別 被疑事件の既済及び未済の人員』より
起訴された割合は全体の半分強ほどです。
大麻の事案において不起訴処分がくだされるとき、その理由は主に以下の2つです。
嫌疑不十分
犯罪を犯したという証拠が不十分であるとき行われる不起訴。
起訴猶予
犯罪を犯したという嫌疑は濃厚なものの、以下のイラストの理由により行われる不起訴。

不起訴の理由別の割合も見てみましょう。
不起訴件数 | 2057件 |
---|---|
嫌疑不十分件数 | 810件 |
起訴猶予件数 | 1162件 |
*検察統計2017年次『17-00-08 罪名別 被疑事件の既済及び未済の人員』より
不起訴になったうち、
嫌疑不十分を理由とするのは全体の約39%
起訴猶予を理由とするのは全体の約56%
です。
「大麻の所持量が微量」「初犯」なら実刑回避できる?
いま一度起訴猶予とは何かを確認してみましょう。

ここで確認していただきたいのは、
実際に犯罪を犯している場合であっても起訴猶予で不起訴になる可能性はある
という点です。
大麻取締法違反で送致されたうち、
全体の約5割が不起訴となり、
さらにその中の約5~6割は起訴猶予で不起訴となっている
つまり、犯行態様によっては大麻の犯罪を犯していたとしても不起訴になる可能性は相応にあるということです。
不起訴になる可能性
大麻の事件において、起訴猶予で不起訴となる基準は明確ではありません。
ただ、以下のような要素を備えていると、不起訴の可能性は上がるようです。
犯罪の軽重
大麻の所持量が微量
大麻を使用したことがない、恒常的に使用していない
初犯である
犯罪後の情況
薬物の治療を開始した、開始する予定である
家族などの監督者がいる、監督者がきちんと被疑者を監督する意思を示している
薬物に関連した知り合い、友人などと手を切っている
など
あくまで起訴・不起訴の判断は事件担当の検察官がくだします。
「こういった要件を備えていれば確実に不起訴になる」などとは断言できません。
ただ、弁護士に依頼して
上記の要素を備えているということをアピール
上記の要素のうち作出できるものは作出する
などの活動を行うことで、不起訴獲得の可能性を高めることはできます。
量刑軽減の可能性
仮に起訴されてしまった場合であっても、上記の要素は量刑の軽減に効果を発揮します。
「執行猶予付き判決」がくだされる可能性も上がります。
とくに初犯かつ営利目的ではない譲受、譲渡、所持の態様の事件である場合、
懲役6か月~1年で執行猶予3年程度
という量刑が相場だと言われています。
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早ければ早いほど
逮捕の阻止
不起訴処分の獲得
量刑の軽減
について可能性が高まります。
刑事事件は時間との勝負です。
なにか少しでもお悩みのことがあるのなら、早急に弁護士事務所に相談するべきと言えるでしょう。
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回答者
野尻大輔
規制の対象となる大麻は、法文上以下のように定められています。