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刑事事件の裁判の流れを図解|裁判の期間とは?証人尋問の流れとは?

- 刑事事件の裁判の流れが知りたい!
- 刑事事件の裁判の期間や公判回数が知りたい!
ご覧のページでは、刑事事件の裁判の流れについて徹底解説していきます。
目次
刑事事件の裁判の流れ|イラストで図解!検察官、裁判官のよく言うセリフまで網羅
刑事事件では2つの裁判の形式があります。
- 略式手続
- 正式裁判
です。
裁判自体は1日のうちに終わり、検察官と弁護士が意見を戦わせるといったこともありません。
平成28年の統計では、起訴された事件のうち略式手続がとられた割合はおよそ7割でした。
ここでは、簡易的でないほうの裁判、
正式裁判
について見ていくことにしましょう。
起訴から判決までの裁判の流れが知りたい!
略式手続きがとられなかった事案の場合、通常は起訴からおよそ1か月~2か月ほどの後に裁判が開廷されることになります。

この1~2か月の間に検察官側も弁護士側も、裁判に向けてさまざまな準備を進めていきます。
たとえば、検察官はあらかじめ裁判で提出する予定の証拠を、弁護人側に開示する決まりとなっています。
弁護側も、裁判に提出される予定以外の証拠の開示請求をしたり、自力で証拠を集めたりします。
重大事件などでは、公判前にあらかじめ争点を整理したり、より広く証拠を開示したりする手続き(公判前整理手続)が行われることもあります。
この手続きが行われると、裁判開廷までの期間はかなり延びます。
裁判の流れを図解
刑事裁判は以下のような流れとなっています。

ひとつずつ、見ていきましょう。
冒頭手続とは?
冒頭手続では、裁判をはじめるにあたって前提となる事柄を確認します。
裁判官が被告人を証言台に立たせて、以下のような手続きを進めていきます。
①人定質問 |
---|
裁判官が被告人に対し ✔名前 ✔生年月日 ✔住所 ✔本籍 ✔職業 などについて質問。 人違いでないか確認。 |
②起訴状の朗読 |
検察官が起訴状を朗読する。 |
③黙秘権の告知 |
裁判官が被告人に保障された黙秘権を告知する。 |
④罪状の認否を確認 |
裁判官が被告人に対して、起訴状の内容を認めるか、認めないかを聞く。 |
- ① の人定質問では、何も見ずにこれらプロフィールが言えるかを見て、本人確認をします。
- ② ~③について、それぞれよりくわしく解説していきましょう。
②起訴状の朗読
起訴状には氏名、生年月日、住所など被告人を特定するための事項と、
- 審理の対象となる公訴事実
- この犯罪に適用すべき罪名と罰条(条文)
などが記載されています。
「そもそもこれから何の事件を審理するのか」ということをここで明らかにするわけです。
③黙秘権の告知
被告人には黙秘権が保障されています。
裁判官は、おおかた以下のようなことを被告人に対して告げます。
黙秘権の告知の一例
被告人には黙秘権があります。
答えたくない質問は答えを拒むことができ、初めから終わりまで黙っていることもできます。
質問に答えたいときには答えても構いませんが、この法廷で述べたことは被告人に有利、不利を問わず、証拠として用いられることがあります。
④罪状の認否を確認
最後に、起訴状の内容について間違いがないか質問されます。
- 間違いがなければ「間違いありません」
- 事実無根であれば「身に覚えがありません」
などと回答します。
また、黙秘権を行使して質問に答えないでいることもできます。
以上で冒頭手続は終わりです。
続いては
証拠調べ手続
が始まります。
証拠調べ手続とは?
裁判はすべてが証拠によって判断されます。
冒頭手続きが終わると、まず検察側から立証活動が行われます。
具体的には以下のような流れをたどります。
①冒頭陳述 |
---|
検察側が、立証しようとしている犯行事実について説明する。 |
②証拠の取調べ |
冒頭陳述の内容を証明するための証拠を取調べる。 |
①冒頭陳述
事件について、冒頭手続の「起訴状の朗読」よりもさらに細かく述べていきます。
被告人の身上、経歴、犯行に至る経緯、犯行の状況、情状などについても触れます。
②証拠の取調べ|取調べまでの手続き
冒頭陳述で述べたことを証明するための証拠を提出します。
まず、検察官は
「以上の事実を証明するため、証拠等関係カード記載の各証拠の取調べを請求します」
などと述べ、証拠等関係カードを裁判官と弁護人に提出します。
証拠等関係カードとは
提出予定の証拠の一覧表
つまり、
「ここに書かれている証拠についてこの場で検討したいんですけど、いいですか?」
とまずお伺いを立てるわけです。
証拠には3つの種類があります。
物証 |
---|
犯行に使われた包丁、血の付いた衣服など、物的な証拠 |
書証 |
警察署での取り調べ調書や鑑定書など、書面に記載されている形式の証拠 |
人証 |
事件の目撃者や関係者などの人物から、直接供述してもらう形式の証拠 |
このうち書証については、弁護側は証拠として取り調べることを拒否することができます。
これを一般に「不同意」と言います。
不同意とされた書証は、原則として、その裁判で証拠として用いることができなくなります。
書証は一方の側が第三者の目を通すことなく作成した証拠です。
信ぴょう性が担保できないので、証拠として取り調べることを拒否することができるわけです。
②証拠の取調べ|取調べの方法
裁判所は、弁護側の意見を聴いた上で、検察官が取調べを請求した証拠を採用するかどうかを決定します。
採用された物証、人証、書証は、それぞれ以下の方法で取調べされます。
物証 |
---|
展示する。 また物証の性質によっては、裁判官自ら検証してもらう。 |
人証 |
証人尋問を行う。 |
書証 |
全文または要旨を読み上げる。 |
なお採用されなかった書証については、その書証の作成者を人証として取調べることで、書証の代わりとする場合があります。
検察官側が立証を終えたら、今度は弁護側が証拠の取調べを請求します。
弁護側は、
- 無罪を争う事件であれば、検察側の提出した証拠への反証などを
- 犯行事実を認める場合は、量刑の軽減につながる情状証拠などを
それぞれ提出します。
証拠取調べ請求の流れ、方法は検察側とまったく同じです。
検察と弁護人、双方の証拠の提出が終わったら、いよいよ裁判の総括が始まります。
弁論手続とは
裁判を総括する手続きを、弁論手続と呼びます。
まず検察側が、「論告」と「求刑」を行います。
論告
検察側が事件を総括し、意見を述べることを「論告」と言います。
多くの論告では、主に被告人の犯行の悪い部分について焦点をあてて、犯行について断罪する口調がとられます。
求刑
論告に引き続き、どのような刑罰に処するべきかの意見を述べます。
これを求刑と言います。
検察官個々人によってその口調は異なりますが、おおむね以下のようなことを言います。
「以上、諸般の事情を考慮し、相当法条適用の上、被告人を(懲役や禁錮などの刑罰○○年)に処するのが相当と思料します」
ひとまずこれにて、検察官側の裁判における出番は終了します。
続いて、弁護側が「最終弁論」を述べます。
最終弁論
弁護側が被告人を擁護する意見を述べます。
これを最終弁論と言います。
無罪を争う場合には無罪判決を出すよう求め、犯行事実に争いがない場合には、刑罰を軽くするよう求めます。
被告人最終意見陳述
最後に、被告人が自由に発言できる機会も与えられます。
犯行事実を認めているのなら反省や後悔の念を述べ、否認事件では重ねて無実を主張するのが一般的です。
何も言いたくなければ、「なにもありません」などと述べるのも良いですし、完全に黙秘するのも可です。
この被告人最終意見陳述が終わった段階で、結審となります。
結審後、多くは次回の公判にて判決が言い渡されます。
判決
判決を言い渡す一連の手続きのことを
判決宣告手続
などと言ったりもします。
通常はまず「主文」、つまりどのような刑罰を与えるのか、あるいは無罪なのかという「裁判の結果」が告知されます。
その後、その理由が述べられます。
ただし、一般に死刑判決がくだされる場合は、主文からではなくまず理由から言い渡されます。
いま一度、裁判の流れを確認しておきましょう。

証人尋問の流れを知りたい!
証拠調べ手続について解説する中で、
人証は証人尋問によって取調べられる
という旨を述べました。
証人尋問の流れについて、ここでくわしく見ておきましょう。
証人尋問の流れ
証人尋問の流れは以下のイラストのようになっています。

宣誓書の内容というのは、裁判所ごとに多少の差異はありますが、おおむね以下の通りです。
宣誓 良心に従って真実を述べ、何事も隠さず、偽りを述べないことを誓います。
この文言をまず最初に起立して読み上げます。
その後、裁判官から「嘘をついたりした場合、処罰される可能性がある」という点について説明がなされます。
主尋問
まず、証人として呼び出した側から尋問が行われますが、これを「主尋問」と言います。
主尋問では、証人として呼び出した側が、自分の意に沿うストーリーを証人から引き出そうとします。
検察官「あなたは○月○日の午後7時ごろ、どこにいましたか?」
証人 「○○町の○○公園にいました」 検察官「その公園のどこにいましたか?」 証人 「入口のすぐ傍にあるベンチに座っていました」 検察官「公園の入り口付近には誰かいましたか?」 証人 「被告人と被害者がいました」 検察官「2人は何をしていましたか?」 証人 「口論をしていました。被告人が、この野郎などと声を荒らげていました」 |
基本的に、証人として裁判に呼び出された場合、黙秘権はありません。
質問に対しては、きちんと答えなくてはならない決まりとなっています。
証人の証言は、すべて裁判官に証拠として提出されることになります。
ですから証人は、質問に答える際には質問者の方を見るのではなく、裁判官の方を常に向いていないといけません。
反対尋問
主尋問がいったん終了した後には、証人として呼んだ方ではない方から尋問が行われます。
- 検察側が呼んだ証人に対して、弁護側が
- 弁護側が呼んだ証人に対して、検察側が
それぞれ尋問を行うわけですが、これを「反対尋問」と言います。
反対尋問では、おもに主尋問の内容を弾劾します。
つまり、主尋問で述べられた内容について、その信用性をおとしめる証言を引き出すわけです。
弁護人「あなたは今日、○月○日の午後7時ごろ○○公園のベンチにいた、と証言しましたね?」
証人 「はい」 弁護人「本当はベンチにはいなかったのではないですか?」 証人 「いいえ。○○公園のベンチに座っていました」 弁護人「証人の○○年○○月○○日付警察官調書の末尾署名部分を示します」 (調書の末尾を示す) 弁護人「ここに○○という名前が書いてあります。これはあなたの署名ですね?」 証人 「はい」 弁護人「それではこの調書の○○ページの○○行目を読み上げます。一緒に確認してください」 証人 「はい」 弁護人「『私は午後7時ごろ、○○公園のブランコに座り、友人を待っていました。』そう書いてありますね?」 証人 「……はい」 |
この例について検討すると、たとえば立地上、ブランコが公園の入り口から離れた位置にある場合、証人の証言について信用性は大きく損なわれるわけです。
実際の法廷では、調書を指し示す前に、
- 「あなたは、警察署で目撃者として事情を聞かれましたね?」
- 「警察官は調書の内容に間違いがないかあなたに確認し、署名押印を求めましたね?」
などといった形で、調書の信用性を確認したりもします。
主尋問と反対尋問は、必要に応じて何回でも繰り返し行われます。
異議の申し立て
刑事訴訟規則上、「やってはいけない尋問」というものが規定されています。
やってはいけない尋問の一例
- 主尋問における誘導尋問
- 証人に不当な影響を及ぼす誘導尋問
- 重複尋問
- 証人に意見を求めたり、議論に発展するような尋問
とくに、実際の法廷の場では誘導尋問がされがちです。
検察官「あなたは○月○日の午後7時ごろ、○○町の○○公園にいましたね?」
証人 「はい」 検察官「その公園のベンチに座っていましたね?」 証人 「はい」 検察官「公園の入り口付近で、誰かが口論しているのを見たのですね?」 証人 「はい」 |
こうした「やってはいけない尋問」がされたとき、相手側は
「異議の申し立て」
をすることができます。
異議の申し立ての流れは以下の通りです。
①異議を申し立てる |
---|
立ち上がり、異議がある旨を訴えます。 また、異議の事由を簡潔に述べます。 ex)「異議あり!誘導尋問です」 |
②裁判所が相手方の意見を聞く |
裁判所は異議の申し立てがあった場合、その相手方に意見を求めます。 相手方が意見を述べた後、異議を申し立てた側も反論があれば続けて意見を述べます。 |
③裁判所が異議のあつかいを決定 |
裁判所が異議を認めるのか、認めないのかをすぐに決定します。 |
なお、異議はあくまで「やってはいけない尋問」が行われたときに申し立てられるものです。
- 「証人の証言が矛盾するときにそれを指摘する」
- 「検察官の意見に反論する」
といった用法で用いられるものではありません。
証人尋問が行われる理由
証人尋問は、主に
- 目撃者や被害者から事件の情況を聞く
- 不同意にされた書証の作成者を呼び、その内容を立証する
といった目的で行われます。
さらに、犯行事実を認める態様の事件では、身元引受人や家族、友人、知人を呼び出して、
- 被告人をしっかり監督する意思があるという旨の供述
- 被告人が普段は真面目かつ善良な一市民であったことを示す供述
などを引き出し、量刑の軽減につとめます。
判決までの平均期間は?平均公判回数は?
裁判所は裁判に関わるさまざまなデータを取りまとめ、公開しています。
今回はこれらのデータから、刑事事件の第一審の
- 平均期間
- 平均公判回数
などをご紹介します。
多くの事件で、裁判は以下のイラストのような流れをたどります。

判決までの平均期間
統計上、起訴から判決言渡しまでの平均審理期間は
3.2か月
です。
審理期間の分布は以下の表のとおりです。
割合 | |
---|---|
2か月以内 | 43.0% |
2か月以上3か月以内 | 31.2% |
3か月以上6か月以内 | 16.8% |
6か月以上1年以内 | 7.1% |
1年以上 | 1.94% |
*裁判の迅速化に係る検証に関する報告書(第7回)
地方裁判所における刑事第一審訴訟事件の概況等
図7審理期間の分布より
全体の7割以上は3か月以内に審理を終えています。
審理期間が長くなるのは、主にその事件が否認事件であった場合です。
否認事件の平均審理期間は、ここ数年
8か月~9か月
の間で推移しています。
判決までの平均公判回数
公判の開廷回数の平均は、
2.7回
です。
ただしこの数字は否認事件と事実に争いのない事件をまとめて集計した数字です。
事実に争いのない事件では、通常、公判の開廷回数は2回です。

こちらの裁判手続きのうち、1回目の公判期日の間に結審までしてしまい、次の公判で判決の言い渡しを行うわけです。
事実に争いのある事件では、公判の回数はかなり増大します。
呼び出すべき証人の数が多くなるなど、立証の手間が増えるためです。
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刑事事件の加害者として捜査、訴追されているときは、なるべく早く弁護士に頼ることが重要です。
早ければ早いほど
- 逮捕の阻止
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について可能性があがります。
刑事事件は時間との勝負です。
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回答者
浦田忠興
略式手続は一定の条件に適う事件について適用される簡易的な裁判手続きです。
裁判官が過去の判例などを参考にして、適切な罰金の金額を算定します。