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殺人事件について弁護士に無料相談|殺人事件における弁護士の活動内容とは

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殺人事件で不起訴になることってあるの?

殺人事件で弁護士はどんな弁護活動をするの?

ご覧のページでは、殺人事件における弁護士の活動などについて解説していきます。

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殺人事件における弁護士の目標|起訴の阻止、無罪判決の獲得

刑事事件の流れは以下のイラストのようになっています。

弁護士は事件の早期の段階では不起訴処分の獲得をめざします。

起訴されてしまった場合には、裁判の場で無罪を主張したり量刑の軽減につとめたりします。

Q1

不起訴処分って何?殺人でも不起訴になるの?

不起訴処分とは、

検察官が「裁判を開いて審理する必要はない」と判断して刑事手続きを終了させる処分

です。

日本の刑事手続きは、犯罪の一から十まですべてを裁判にかける、という仕組みにはなっていません。

まず検察官の手によって

裁判にかける事件

裁判にかけずにそのまま手続きを終了させる事件

が仕分けされるのです。

不起訴となる理由

刑事事件で不起訴となるのは、主に以下に挙げる理由に該当したときです。

①嫌疑なし

事件を調べた結果、被疑者が犯人でないことが明白となったり、証拠が無いことが明白となったりしたときは

嫌疑なし

として不起訴になります。

法務省の事件事務規定では以下のように定められています。

嫌疑なし 被疑事実につき,被疑者がその行為者でないことが明白なとき,又は犯罪の成否を認定すべき証拠のないことが明白なとき。

引用元:法務省事件事務規定75条2項(17)

「犯人ではない」「証拠がない」ということは要するに

冤罪

というわけですから、不起訴になるのも当然です。

不起訴の理由②嫌疑不十分

事件を調べた結果、被疑者を犯人とする証拠が不十分であるときは

嫌疑不十分

として不起訴になります。

事件事務規定を参照してみましょう。

嫌疑不十分 被疑事実につき,犯罪の成立を認定すべき証拠が不十分なとき。

引用元:法務省事件事務規定75条2項(18)

「嫌疑なし」との違いですが、

嫌疑なし」はあくまで証拠がないということ

嫌疑不十分」は被疑者が犯人であるという証拠が不十分であること

を指します。

日本の刑事手続きでは、被疑者が犯人であるということに「合理的な疑い」が残る場合には、罪に問うことはできないと定められています。

合理的な疑いとは

社会常識に照らし合わせて、その事実が正しいと断定することはできない、という程度の嫌疑のこと

合理的な疑いがある限り罪に問うことはできないという原則のことを

疑わしきは罰せず

と表現したりもします。

嫌疑不十分は、被疑者を犯人とする証拠について、合理的な疑いが残ってしまうような状況で適用されます。

不起訴の理由③起訴猶予

被疑者について、事件の犯人であると十分疑われる場合でも、

被疑者の性格、年齢、境遇

犯罪の軽重

犯罪の情状

犯罪後の情況

などにより裁判を開くほどではないと検察官が判断したときには、

起訴猶予

として不起訴になります。

起訴猶予 被疑事実が明白な場合において,被疑者の性格,年齢及び境遇,犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況により訴追を必要としないとき。

引用元:法務省事件事務規定75条2項(20)

不起訴になる主な理由について、表でまとめてみましょう。

まとめ
不起訴の主な理由
嫌疑なし嫌疑不十分起訴猶予
処分刑事手続きを終了
対象者犯人でない者犯人であると疑われる者犯人であると「十分に」疑われる者
判断基準・被疑者が犯人でないことが明白
・証拠が無いことが明白
・証拠が不十分・犯人の性格、年齢、境遇
・犯罪の軽重、情状
・犯罪後の情況
などに鑑み訴追の必要がない
Q2

殺人の不起訴率、無罪率ってどれくらい?

殺人事件は他の犯罪と比較しても重大な犯罪ですが、実は不起訴の件数は割合としてそこまで低くありません

殺人事件の不起訴率

今回は、法務省がまとめている「検察統計」の2017年版の記録を参照しましょう。

上記のリンクページ内、「被疑事件の受理及び処理状況」の章の「17-00-08 罪名別 被疑事件の既済及び未済の人員」を見てみます。

起訴人員と不起訴人員の比較

昨年、検察が把握した殺人事件のうち、起訴された人員と不起訴となった人員の数を比較してみます。

殺人事件の起訴人員、不起訴人員(平成28年)
起訴人員301
不起訴人員768
起訴率28.2

*2017年版検察統計 被疑事件の受理及び処理状況 17-00-08 罪名別被疑事件の既済及び未済の人員より

検察が処理したうち、全体の7割近くは不起訴処分となっているのです。

不起訴理由の比較

不起訴の理由を比較すると以下の表のとおりとなります。

殺人事件の不起訴人員の理由比較(平成28年)
嫌疑なし287
嫌疑不十分239
起訴猶予30
その他212

*2017年版検察統計 被疑事件の受理及び処理状況 17-00-08 罪名別被疑事件の既済及び未済の人員より

全体の割合としては、

嫌疑なし約37.3%

嫌疑不十分約31.1%

起訴猶予約3.9%

となります。

やはり殺人事件の場合、証拠不十分であったり、冤罪の疑いがあるというときに不起訴になりやすいようです。

確定裁判の無罪率

いったん起訴されてしまうと、その後、無罪判決の獲得は困難を極めます

法務省がまとめている「犯罪白書」という資料の平成29年版を参照してみます。

第3章第1節の確定裁判の項について、有罪率を見てみると以下の表のとおりです。

確定裁判の有罪率(平成28年)
有罪人員32488
無罪人員104
有罪率99.97

*平成29年版 犯罪白書 第2編 第3章 第1節より

これは確定裁判すべて含めた統計のため、殺人事件に絞った実測値とは揺らぎが生じています。

しかし無罪件数が著しく少ないという点については、疑いようはないでしょう。

2

殺人事件における弁護士の弁護活動

刑事事件においては、なによりもまず不起訴処分を獲得することが重要です。

起訴され裁判が開廷してしまうと、その後はほぼ確実に何らかの刑事罰が科されることになります。

犯行事実を否認する場合

犯行事実を認める場合

に分けて、殺人事件における弁護士の弁護活動を紹介していきましょう。

Q1

冤罪の場合はどんな弁護活動をするの?

冤罪事件の場合には、被疑者・被告人を犯人とした場合に生じる「合理的な疑いを探し出し、提示していきます。

また、殺人罪は「故意犯」であり、殺意がない場合には殺人罪は成立しません

一例

過失によって被害者が死に至ったという場合には過失致死罪になる

暴行を加えたものの殺意まではなく、結果的に被害者が死に至ったという場合には傷害致死罪になる

監禁の結果、被害者が死に至ったという場合には監禁致死罪になる

このような態様の事件においても、殺意はあったとされて殺人罪で訴追されてしまうこともあります。

そのような場合には、殺意ありとした場合に生じる「合理的な疑いを探し出し、提示していきます。

「合理的な疑いを示す」とは?

「合理的な疑い」とは、先ほども解説した通り、

社会常識に照らし合わせて、その事実が正しいと断定することはできない、という程度の嫌疑のこと

を指します。

実際に合理的な疑いが示されて、殺人罪について無罪判決がくだされた事例を紹介します。

(略)

ビル1階でスナック経営の女性=当時(32)=の背中を蹴った後、5階から転落させて殺害したなどとして、交際相手だった男(53)が殺人や暴行などの罪で起訴された。

大阪高裁は7月5日の控訴審判決で、暴行罪などを有罪としたが、1審神戸地裁姫路支部に続いて殺人罪は無罪とした。

(略)

引用元:産経WEST 2018/7/25 6:30『殺人と無罪を分けたのは遺体の落下位置 兵庫の女性転落死事件』

この事件では、主に以下の点について、男性が女性を殺害したという事実に対し合理的な疑いが示されました。

女性はビルの側壁から50センチも離れていない位置で見つかった

一般にビルから突き落とされるなどした場合、転落した人は放物線の軌跡を描いて落下し、遺体はビルからある程度離れた位置で発見される。

女性の爪の間から男のDNA型が発見されず、現場周辺から女性の指紋も検出されなかった

女性が抵抗した痕跡が見当たらないのは不自然である。

女性は精神的に不安定だった

女性は鬱病に罹患しており、自殺に関する情報をインターネットで検索していたほか、過去、自殺をほのめかすメールを送信していた。

これら事実が認定されて、

別れ話を切り出され衝動的に自殺したとしても不自然ではない

と判断されて、殺人については無罪となったのです。

弁護活動の面から言うと、被疑者・被告人が「完全無実である」という証明をする必要はなく、あくまで

社会常識的に、その事実を真実だと認定するにはおかしな点がある

ということを示せればよいというわけです。

具体的な弁護活動の内容

弁護士は捜査機関とは別に、独自に

合理的な疑いを示す証拠の収集

を行います。

起訴前の段階

起訴前の段階では、以下のような活動を行っていきます。

起訴前の活動の一例

散逸の早い証拠の保全、確認

犯行現場の検証

被疑者の供述の保全

取り調べへの抗議

これら活動により集積した証拠から「合理的な疑い」が見られた場合には、検察官に対しその証拠物を提出することを検討します。

ただ検察官が証拠に対してなにかしらの対処をし、強引に起訴に持ち込むケースも考えられます。

判断は慎重に下す必要がありますが、「合理的な疑い」の内容次第では、不起訴処分獲得の可能性も決して低くはありません

起訴後の段階

起訴後であれば、証拠収集の幅が広がります。

捜査機関側が収集した証拠の開示請求

行政機関や事業者への照会請求

など、証拠収集にあたってある程度、職権を発動することができるようになるのです。

集積した証拠物などを裁判の場で提出するほか、証人尋問などにより被告人に有利な証言を提示していきます。

裁判の流れについて知りたい方はコチラの記事をご覧ください。

まとめ
冤罪のときの弁護活動
起訴前起訴後
目的不起訴処分の獲得
(嫌疑なし、嫌疑不十分)
無罪判決の獲得
方法「合理的な疑い」を示す
合理的な疑いの示し方検察官に証拠を提出する
(状況を見定めて慎重に判断)
裁判の場で証拠を提出する
Q2

殺人の事実を認める場合はどんな弁護活動をするの?

犯罪の事実を認める場合、

起訴猶予による不起訴処分の獲得

量刑の軽減

をめざすことになります。

ただ、殺人事件において起訴猶予で不起訴となる可能性は著しく低いです。

実務上は、起訴されるのを覚悟した上で、どう量刑を減らしていくかという点に焦点を当てていくことになるでしょう。

情状証拠を提出

犯行事実を認める殺人事件の場合、弁護士は、

情状証拠の収集

に努めることで、量刑の軽減を目指します。

情状証拠とは

被疑者・被告人の性格、年齢、境遇

犯罪の軽重や事情

犯罪後の状況

など、被疑者・被告人の処遇を決めるにあたって影響をあたえる証拠

とくに、量刑判断においてより重要視されるのは、

犯罪行為それ自体に対する事情

です。

「犯罪行為それ自体に対する事情の一例」

犯罪の態様(計画性のない突発的な犯行だった、自首をした)

犯罪の動機(被害者から精神的に追い詰められていた)

被害の程度(被害者が死に至らず未遂で済んだ)

など

この「犯罪行為それ自体に対する事情」のほか、補足的に一般情状も考慮されます。

「一般情状の一例」

被告人の性格や境遇(被告人の生い立ちは悲惨であった、本来は思慮深い性格だった)

被告人の反省の有無(遺族に謝罪した、賠償した、賠償の意思を示している)

被告人の再犯の可能性(釈放後は家族と同居するため再犯の余地がない、深く反省している)

被告人の更生の可能性(年齢が若いため更生の余地がある、専門家の支援を受ける意思がある)

被告人の家族や友人、知人などの支援の有無(被告人の今後について監督の意思がある、協力の意思がある)

など

これら情状を証明する証拠を収集し、裁判の場で提出することで、量刑の軽減を実現します。

精神疾患は減刑、不処罰の理由になるか|刑法39条

刑法39条では

心神喪失者の行為は罰せず、心神耗弱者の行為は刑を軽減する

と定められています。

心神喪失者の行為は、罰しない。

2 心神耗弱者の行為は、その刑を減軽する。

引用元:刑法39条

心神喪失心神耗弱とはそれぞれ以下のような状態を言います。

心神喪失

善悪の判断能力が欠如していたり、判断できていてもそれに従って行動できなかったりする状態

心神耗弱

善悪の判断能力が人よりも劣っていたり、判断できていてもそれに従って行動することが著しく困難な状態

世間のイメージとは裏腹に、これら心神喪失、心神耗弱が認められるケースというのは非常に限定的です

平成28年の統計から、全殺人事件のうち心神喪失で不起訴になった人員を見てみましょう。

心神喪失で不起訴になった人員とその割合(平成28年)
殺人の全既遂被疑事件人員1310
心神喪失による不起訴人員92
割合6.6

*2017年版検察統計 被疑事件の受理及び処理状況 17-00-08 罪名別被疑事件の既済及び未済の人員より

また、確定裁判の無罪人員の少なさは先述の通りです。

全体の割合からいって、心神喪失、心神耗弱が認められるケースは少ないのです。

心神喪失、心神耗弱の認定方法

心神喪失、心神耗弱の認定にあたっては、専門家である精神科医の鑑定が尊重されます。

この精神鑑定は非常に高度かつ綿密に行われるため、詐病はすぐに看破されます

また精神科医の鑑定結果を尊重したうえで、最終的な判断は

起訴前の段階では検察官が

起訴後の段階では裁判官が

それぞれくだすことになっています。

「精神病を患っていたから即不起訴!無罪!」などといったことには絶対にならないのです。

弁護活動の側面から考えると

心神喪失、心神耗弱を主張する方針をとるかどうかは、精神鑑定の結果を踏まえて判断することになるでしょう。

「罪を軽くするためにとりあえず心神喪失を主張する」などといった運用は、現実的ではありません。

まとめ
犯行事実を認める場合の弁護活動
起訴前起訴後
目的不起訴処分の獲得
ただし、現実的ではない
量刑の軽減
方法・情状証拠の提出
・心神喪失、心神耗弱の主張*

*心神喪失、心神耗弱が認められるケースはかなり少ない

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殺人事件の弁護士の気持ちやアトムの相談窓口について知りたい方はコチラ

ここまで殺人事件における弁護士の弁護活動について解説してきました。

弁護士に相談する窓口についてくわしく知りたい!

殺人事件の弁護士ってどういった気持ちで弁護しているの?

そのような疑問をお持ちの方はコチラの記事をご覧ください。

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刑事事件のお悩みを弁護士に無料相談

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Q1

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刑事事件の加害者として捜査、訴追されている方は、なるべく早く弁護士に頼ることが重要です。

早ければ早いほど

量刑や犯罪事実に関わる証拠の集積

無罪判決、不起訴処分の獲得

について可能性が高まります。

刑事事件は時間との勝負です。

なにか少しでもお悩みのことがあるのなら、早急に弁護士事務所に相談するべきと言えるでしょう。

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